DeToNator大阪イベントをダシに真面目なことを書いた

公開日時:2017-10-31 16:45:00

 10月21日、22日にDeToNatorが大阪でイベントに出演するというので見学。21日の様子はリポート記事を書いた。

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DeToNatorが大阪でファンと交流。『Overwatch』と『PUBG』で盛り上がり、指でハートを作った
 

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 撮影会時に女子ファンが「ハートを作ってください」とお願いしたのがおもしろい。この日いちばんのファインプレーだと思い、記事タイトルに入れた。いいタイトルになったと思う。
 

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「真ん中のsiorinくんは腕をクロスさせて」と、僕がポーズ指導をした。

 イベントは大盛況。ヨドバシカメラ マルチメディア梅田内のイベントスペースに入りきらないほどのファンが詰めかけた。関西のDeToNatorファンにおかれましては「軽量小型で派手=ファミ通.comの人」と覚えていただければ幸いである。

 21日が大盛況なのはいいとして、22日は心配だった。ストリーマーのYamatoNくんとStylishNoobくんが『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の大会に出るため欠席となり、運が悪いことに台風直撃。

 ファンなら自宅で大会の配信を見たいだろうし、そもそも台風だから外出したくないはずだ。それでも、チーム代表の江尻さんは「仕方ないですよねー」と軽い。気にはしているものの、深刻な様子はなかった。
 

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助っ人としてコスプレイヤーの古宮 彗。さんが『Overwatch』のD.VA衣装で登場。

 ついさっき心配と書いたが、うそである。僕もとくに気にしてなかったし、少なかったらそれはそれでおもしろい。

 少人数のイベントが好きなのだ。少ないと仲間意識が生まれる。ファン同士で仲間意識を持てるコンテンツはすごく強い。1+1が5にも10にもなるというやつである。この表現は合っていないかもしれないが、とにかく一定の身内感は大切だと言いたいのだ。
 

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古宮 彗。さん(左)、DeToNator代表・江尻さん(中)、『Overwatch』部門・siorin選手(右)。

 基本的なイベント内容は21日と同じ。DeToNator『Overwatch』部門のsiorin選手に挑戦し、『PUBG』のデモプレイをし、合間には関係各社のプレゼンが挟まる。チーム代表の江尻さんがMCとしてイベントを切り盛りした。

 前日には及ばないものの、熱心なファンはきちんと足を運んでくれた。こういうところにチーム人気の地力が出る。
 

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この日の『Overwatch』1on1チャレンジに参加したプレイヤーは全体的にうまかった。ハンデを付け過ぎたのが仇となり、なかなかのペースで景品が出ていく。いいぞ。

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PUBG』デモプレイではsiorin選手と古宮彗。さんがDUOを組んだ。

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ふだんからプレイしていることもあり、手慣れた感じで操作。やられたら本気で悔しがるのは好印象。

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YamatoNくんたちが出場している『PUBG』大会のパブリックビューイングコーナー。みんなで見ていた第1試合でいきなり優勝し、会場は大いに沸いた。

★★★「プロ=ただゲームがうまいやつ」ではない★★★

 DeToNatorの選手たちはファンとの距離感がちょうどいい。変に馴れ馴れしいわけではなく、かと言って手が届かない存在でもない。

 ほかのスポーツやアーティストなどと違い、ゲームはファンとプロの距離が近い(わりといつでもゲームで遊べるし)。それでも、なあなあになることなく、適度に一線を引いている。
 

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プロ意識が強い人はファン対応もうまい。

 この辺のバランス感覚は本人の資質に依るところが大きい。企業のマーケティング全般にも共通する話である。

 企業もSNSを通じてファンを作るのが大切な時代だが、心地いい距離感を保てているところは少ない。過剰にファンとの距離を縮めようとする人を見て「そういうことじゃないと思うんだよな」と、もやもやすることもある。

 身内感が強過ぎると、今度は一見さんお断りの雰囲気が出てしまうのだ。この問題に気付かずにぐいぐい行くのは、端から見ていて気まずい。
 

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プロ=雲の上の存在だからこそ、親しみやすいとファンはうれしいのだ。

 siorin選手は立ち居振る舞いがちょうどよかった。堂々と、そしてにこにことしながらファンの前に立つ。それがいい。ファンを大切にすることは、ファンの顔色を伺って下手に出ることではない。プロにはみんなが憧れる存在であってほしいものだ。

 前に江尻さんから聞いた話によると、ここ最近のsiorin選手は先々を見据えて行動するようになったそうだ。ただゲームプレイを追求するだけではない。何が業界の発展につながるのか。何が自分の将来に役立つのか。いまの自分には何ができるのか。多角的に考えている。

 siorin選手のように、DeToNatorには自分で考えて行動するプレイヤーが多く所属している気がする。ほかのチームはどうだろう。しっかりと自立したプレイヤーが増えているようなら、とてもうれしい。
 

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人間的にきちんとしているのは当然として、プロとしての立ち居振る舞いってあると思う。

 せっかくだから、たまには真面目なことも書いておく。プレイヤーが自立することは“セカンドキャリア問題”の解決につながると思う。

 「プロゲーマーが引退した後の受け皿を用意しなければ」なんて話題をよく目にするが、そもそも潤沢に受け皿が用意されたスポーツってあるのだろうか。コーチとして誘われるのはトップレベルの実績を残し、なおかつ分析能力に長けた人格者くらいだろう。チームスタッフや関係会社への就職口だって数に限りがある。

 とは言っても、ゲームに真剣に取り組んだ人が働きやすいように社会が整備されたら、うれしいのは間違いない。それは偉い人たちに進めてもらうとして、選手本人やチーム単位でできることもあるはずだ。
 

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古宮彗。さんもサインを求められていた。手前は書きやすいようにTシャツをピーンと張る江尻氏。抜群のチームワーク。

 経済産業省は、社会人基礎力とは“前に踏み出す力”、“考え抜く力”、“チームで働く力”であると提唱している。

 3つとも競技生活で十分に身につけているだろうが、自分が専門とする競技以外に活かせない(そこまで考えが及ばない)人は多い。これはアスリート全般に言える問題であると、何かの記事で読んだことがある。

 その競技以外の世界を知らないため、せっかくの能力を別方面に転用できないのだという。
 

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DeToNatorは所属選手を甘やかさない。きついとは思うが、そのぶん精神的に成長できるはず。重要なのは自分で考え、判断することだ。

 大事なのは本人の意識。引退後のいちばんの武器は元プロゲーマーという経歴ではなく、プロとしての活動で得た経験のはずだ。

 プロゲーマーを目指す若者は「ゲームがうまければいい」と勘違いするかもしれない。だが、それだけではいけない。人間的に成長しなかったばかりに、引退後に落ちぶれるようでは目も当てられない。

 周りの大人が考えなければいけないのは、若いプレイヤーを「ゲームがうまいだけのやつ」にしないことだ。彼らが自分で気づくきっかけを用意して、成長を促すことが、本当の意味での“支援”なのである。
 

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プロゲーマーに興味があるようで、江尻さんに相談している若者がいた。現場の人の話を直接聞けるのだから、ある意味ではeスポーツって恵まれた業界だと思う。

 とはいえ、それも悩ましい問題だ。仮に人前に出る場をたくさん用意しても、与えられたものをこなすだけの人になったら意味が薄い。僕は子育てをしたことはないけれど、与えるだけが教育じゃないことくらいは知っている。

 スポンサーやeスポーツ業界の関係者としてプレイヤーを支えるには、手間も時間もかかる。だが、若者の成長を間近で感じられるのだから安いものだろう。
 

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イベント完全終了まで残っていたファンも集めて記念写真。

 いまのDeToNatorが選手に気付きを与える場として機能しているのか、たまたましっかり者が集まっているのか、それは僕には分からない。ただし、彼らと接したファンの笑顔は見ていて気持ちがいい。

 各ゲーミングチームの代表者やスポンサー企業のみなさんには、選手や関係者の将来を見据えた活動を期待する。若者の成長を見せてくれ。きっと僕は感動して泣く。
 

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おつかれさまでした。

 DeToNatorは2017年11月5日にも店舗内イベントに出演する。会場は愛知県豊田市のエディオン豊田本店。YamatoNくん、StylishNoobくん、SPYGEAくん、SHAKAくんの掛け合いを現地で見ましょう。

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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