青春! 学生たちが火花を散らした学校対抗選手権『アラド戦記』

公開日時:2013-07-12 00:00:00

JXDh45Y3JXqLIEpMSyW13e6eF3ASqY7e

▲初の試み。

 オンラインアクション『アラド戦記』で珍しい大会が開催された。その名も学校対抗選手権。

 なんだその甘酸っぱそうな企画は。春夏の甲子園みたいなものだろうか。負けたチームは泣きながら会場の土を持ち帰ったりするのかもしれない。

 仲間と結束し、一喜一憂しながら、ともにゲームに取り組む若者たち。感動だ。もし悔し涙を流そうものなら、僕もつられて泣いてしまうと思う。

 若者たちが発する青春の空気(マイナスイオンみたいなものである)を全身に浴びるため、大会を見学に行きました。

sRYD9pMQD2CUV4kW9wMCnGLTxMY7I3Y8
QR7P4FTLYRFqqHa4v7vu2DZqN7Tghy79

▲『アラド戦記』は横スクロールタイプのオンラインアクション。仲間と協力して冒険するのも楽しいが、対人戦の人気も高い。格闘ゲームのように派手な空中コンボを決めることもできる。

★会場に到着したらセッティングの真っ最中

uHIzy8qMBQ5l3j8lrH265p49wox64F5v

▲普段とは違う層の参加者が増えるのはいいことだ。

 大会は15:00スタートだったが、選手に話を聞きたかったので3時間くらい早く会場入り。ちょうどアカウントの設定や確認をしているところだった。普段の大会よりも少し和やかな雰囲気。

 ぴりぴりしていない理由は大会のルールにある。1チームは3人構成で、勝ち残りなしのひとり1戦。ひとりが強くても、ほかのふたりが負けると敗戦となる。

 つまり、ひとりで張り切っても勝てないのだ。普段から対人戦をがっつりやり込んでいるプレイヤーはそれほど多くなく、この大会に出場するために友だちから誘われた選手もいれば、3人で示し合わせて『アラド戦記』を始めたチームもある。

 わりとわいわい楽しんでいる選手が多い印象だった。

LFkQH9IE4P751ji8I3WP2vjQT9jqd1fE

▲実況はオンラインゲーム実況アナウンサーのyukishiroさん(左)、解説は日中韓の大会で日本代表になったこともあるプレイヤーのあー君さん(右)が担当。

 大会に出場したのは全9校。みんな、どういう経緯でチームを結成したのだろう。空き時間に4校の選手をつかまえて話を聞くことに成功した。


<<神奈川大学>>

wgKVkaQmww9q5MNfdbiCO57Ojw9ifDMb

▲左:χFIREχ 中:幻影銃士 右:NG.28.0

中央の幻影銃士くんは6~7年ほど『アラド戦記』をプレイしている現役プレイヤーで、ほかのふたりを誘ってこの大会にエントリーしたとのこと。χFIREχくんは中学生のときにプレイしていたが、高校生になったときに休止して、大学に入ってまた復帰。NG.28.0くんは大学に入ってからプレイを始めた。

ベテラン、ルーキー、復帰組と、ある意味バランスの取れたチームである。

vE18k83vtYF1c2o2ioqy7G16TnWjWnrV

▲笑顔でプレイするNG.28.0くん。


<<名古屋大学>>

Aiu7zN18Tsz6P373Ll87B94V2u6y453Y

▲左:Eustoma 中:SポケットcF 右:はんにゃばる

Jy5bxQsnB9RY1gf1oT6Pu9sjU5fn8R9Q

▲はんにゃばるくんの周囲には余裕の雰囲気が漂っている。

はんにゃばるくんは個人戦の大会で2連覇を達成している『アラド戦記』トッププレイヤー。彼のワンマンチームかと思いきや、Eustomaくんもオフライン大会に出場経験のある実力者だ。SポケットcFくんはもっとも気楽な参加者だったに違いない。だって、自分が負けてもほかのふたりが勝てばいいんだもの。

同じ学校に通っていて、しかも同じゲームをやり込んでいるのだから、はんにゃばるくんとEustomaくんはもともと友だちどうしだと思っていた。

が、それほど付き合いが長いわけではなく、昨年11月のオフライン大会で知り合い、話しているうちにたまたま同じ学校ということが発覚したのだという。何たる偶然。名古屋大学には『アラド戦記』の女神が微笑んでいたのかもしれない。


 下馬評では優勝候補は名古屋大学。3人中ふたりが強いのだから当然の評価だと思う。

 名古屋大学のはんにゃばるくんとは顔見知りなのだが、大会に出たり取材されたりといった場数を踏むうちに可愛げがなくなった気がする。前はシャイな好青年だったのに。

 つぎは明治大学と自由が丘学園高等学校。この2校にはしっかり話を聞く時間があった。


<<明治大学>>

snf94N4W25t7v7B3RDY99k34pW1xVrWR

▲左:ぺろんぷ 中:ぺろんぺ 右:ぺろんぱ

3人とも同じサークルに所属していて、今回の大会がきっかけで4月から『アラド戦記』のプレイをスタート。3人のほかに首謀者がいて、「誰か大会に出たい人いるー?」とメンバーを集め、3人がそろったら俺の夢はお前たちに託したとばかりに去っていったとのこと。何者だ?

明治大学だけに、使用キャラは3人とも“メイジ”。美少女キャラクターである。ダンジョンはさくさくクリアーできるから調子に乗って決闘場に行ったら、かわいいだけじゃ勝てないということに気づいた。

ぺろんぺ「見た目はかわいいから画面は映えますよね」

そうだね。でも、大会なんだから勝たないと意味がないと思うよ。いや、彼らからすれば会場が盛り上がったら勝ちなのだ。たぶん。

tLxyUg6O6mYoZ6E4DO3y82wQd25Waj8C

▲この大会をいちばん満喫したのは明治大学チームなんじゃないかと思う。

ぺろんぷ「最初は決闘向きのキャラにしようと思ったんですよ。はんにゃばるさんの動画を見て、竜闘士に憧れてたんですけど、プリーストを育てきるところまでいけませんでした」

ぺろんぱ「メイジはシールドを張らなきゃいけなかったり、やることが多いんですよね。戦う準備をしているあいだにコンボを食らって負け、みたいなことも多いです」

ぺろんぷ「サモナーを使っているんですけど、相性が悪い職が相手だとぜんぜん勝てないんですよね。男メイジとかも作りましたけど、ほかのキャラはあまりしっくり来なかったですね」

ぺろんぺ「ちっちゃい女の子がいちばんいいよ」

ウケを狙って出場するわりにはすごく研究している。キャラ愛の為せる技だと言う。

RaFZ2585IBMKlQ6G42e6h44DO625v8w7

▲負けたらこのリアクション。

ぺろんぺ「ネタのくせに意外と強いというのがコンセプトだったんです」

ぺろんぱ「大会にガチの人が出てくるとは思ってなかったから」

ぺろんぷ「どれくらいのレベルの大会か、よくわかってなかったんですよね」

ふざけるだけではおもしろくない。ネタ要員はネタ要員なりに、ある程度は強くなければ。

何だろう、このしっかりした若者たちは。ネタを考えていたら『アラド戦記』が楽しくなってきて、いまは純粋に楽しんでいるということだから、ネクソンさんとしても運営冥利に尽きるだろう。

HWav741xsoO4e83gi1qQc55r91gxsL2Q

▲大将は紅一点のぺろんぺさん。瞬殺されてた。


<<自由が丘学園高等学校>>

uXruO87jtc94SSNmcuXnwoyEK7i19Zev

▲左:次郎先輩 中:震江テル 右:Everlog

リーダーの次郎先輩くんの『アラド戦記』歴は3~4年ほど。1年プレイして少し休んで復帰して、みたいなスパンで遊んでいる。

震江テルくんは2月ごろに始めたのでプレイ歴は4~5ヵ月。Everlogくんはプレイ歴4時間の超初心者だった。

今回の大会の開催を知った次郎先輩くんがふたりを誘ったかたちである。

WbFg9QTP26lmmxxYJOoQp5c546T259wG

▲緊張で笑顔を失う次郎先輩くん。

ユースケ「先鋒、中堅、大将はどういう順ですか?」

次郎先輩「大将のおれが3人倒す感じで」

ユースケ「戦えるのって、ひとり1戦だけでしょ?」

次郎先輩「えっ、そうなんですか?」

震江テル「勝ち抜きじゃないんだ」

次郎先輩「最初に2回負けたらおしまい?」

なんと、ルールを把握してなかった。おい。

大将の次郎先輩くんに出番が回らない可能性もあるので、この取材が終わったらスタッフさんに話して登録の順番を変えたほうがいいと進言しておいた。

次郎先輩くんを先鋒か中堅に据えたとしても、彼が勝たないことには話にならない。プレッシャーはそうとうあるはずだ。

次郎先輩くんは腕に自信はあるものの、オフラインの大会に出るのは初めてだから緊張しているらしい。一方、震江テルくんとEverlogくんはすごく気楽そうだった。

ユースケ「意気込みをお願いします」

Everlog 「目指すは?」

震江テル「目指すはきれいに負ける、です」

きみたち楽しそうだな。おじさんうれしいよ。そして、がんばれ次郎先輩くん、と心のなかでエールを送った。


★はんにゃばるくんを擁する名古屋大学が優勝

VUpy7oL1FpTF97ZAUFg6N7GTkk2l78EN

▲Everlogくんと震江テルくんはだいぶ楽しそう。

 大会の結果は下記のとおり。

優勝:名古屋大学
準優勝:日本電子専門学校
3位:神奈川大学
(詳しくはこちらのちゃんとしたリポート記事を参照)

 僕は取材をさせてもらった4校に感情移入して観戦した。4校中2校が入賞したのはとてもうれしい。僕が勝利の女神という可能性もある。

 不運だったのは自由が丘学園高等学校チームだ。初戦の対戦相手は3位の神奈川大学。

 先鋒に登録し直した次郎先輩くんはNG.28.0くんと対戦。プレイ歴は次郎先輩くんのほうが長いし、順当に勝つものだと思っていた。試合の流れは次郎先輩くんペース。

 だが、危なげなく勝利を収めるかと思った矢先、アクシデントで試合がストップ。再試合に流れ込んだ。

 これで集中力が途切れたようで、次郎先輩くんは惜しくも敗北。甲子園と同じように、オフラインイベントにも魔物が潜んでいる。小さなきっかけで強豪が負けてしまう。

RIWWaj47M9tsoeKQ5Z8SM2ESZiA2pg2C

▲ぎゃー!

 試合後に話を聞いてみたら、

次郎先輩「悔しいけど、負けは負けなので、つぎに向けてがんばります」

 高校生とは思えない落ち着いたコメント。でも、内心はすごく複雑なはずだ。

 高校生が本心をこらえて優等生コメントをする。もうそれだけで目頭が熱くなる。次郎先輩くんが女子だったら僕の胸で泣かせているところだ。

vXZprJQ5rJXgzn4q7xDeGrO51YL5sM63

▲今度は別の大会に出て雪辱を果たすんだ!

 明治大学チームは初戦で敗退したものの、会場の盛り上げにひと役買ってくれた。観客席にはかなりの人数の応援団が駆けつけており、大きな歓声で出場選手たちのテンションを後押し。選手たちの試合後のトークもおもしろかった。

qCS6V8mqgmUCxpsYc2IV9Nb97zj16voS

▲話芸では今回のNo.1チームだった。

【試合後のコメント】
ぺろんぱ「序盤は押していただけに、負けたのはやっぱり悔しいです。おもしろかったので『アラド戦記』はこれからも続けてみようかなと思ってます」

ぺろんぺ「もうちょっと強くなって、また楽しく散れたらなと思います」

 100点満点のコメントである。ぺろんぷくんがいないなーと思ってたら、

wM64zB14M4Kd1Lt3bUb3113vT66GTHwd

▲ステージ上に登場。

 解説のあー君さんにANU賞(あー君・ナンバーワン・ユニーク賞)に選ばれていた。“トークやプレイもさることながら、観客を巻き込んで大会を盛り上げたから”が選出理由。

 個人の力も大きいが、明治大学全体で受賞した感じである。これも結束の力だ。

★学生たち、すごいぞ

 最初は会場の空気がどうなるか想像もつかなかった。ふたを開けてみたら、多くの学生たちが楽しそうに『アラド戦記』に向き合っていた。

 大会=ストイックなものというイメージがあったが、こういうガチすぎない人が出場できる大会も魅力的だ。

 家族や地域対抗の大会とかあったら見てみたいので、どなたか企画をお願いします。

HObJ1dxEeVO47VgOw8W9S3bg39DeD5y9

▲明治大学チームは初戦で戦った日本工学院八王子専門学校チームと仲よくなって、いっしょにニコニコ生放送での配信を見てた。

アラド戦記』公式サイトはこちら。

Copyright (C) 2012 NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd. All Rights Reserved.
Copyright (C) 2012 NEOPLE Inc. All Rights Reserved.

この記事の個別URL

ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

『PCオンラインゲームのブログ まいにちがβテスト』ブログ