戦車でシャイニング『World of Tanks』

公開日時:2014-04-28 00:00:00

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▲人気サイトの力を借りました。

 ニフティさんが運営する“デイリーポータルZ”という読みものサイトで映画“シャイニング”風の顔ハメを作っていた。

 ジャック・ニコルソンが斧で洗面室の扉を破る狂気に満ちたシーンを、どこでも再現できる逸品である。

 ポスターにも使われている有名なシーンなので、「映画自体は見たことがないけどビジュアルは知っている」という人も多いだろう(ここに掲載するのは著作権的にまずいので、“シャイニング”で画像検索してみてください)。

 僕は思った。亀裂からジャック・ニコルソンじゃなくて戦車が覗き込んできたらどうだろうか。

 思ってしまったのだ。

【参考文献】
デイリーポータルZ:シャイニングの顔ハメを作る

★映画ファンにゲームをアピールしたい

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▲これは『World of Tanks』のイメージビジュアル。インパクトのある絵は記憶に残る。

 ゲームファン以外にもPCオンラインゲームに興味を持ってもらう方法をいつも考えている。

 映画シャイニングは言わずと知れた大ヒット作だ。1980年公開ということは、リアルタイムで観た人は40~50代くらいだろうか。

 となると、大人のプレイヤーも多いオンライン戦車アクション『World of Tanks(以下、WoT)』と相性がいいかもしれない。

 戦車を使ってシャイニングみたいな写真を撮れば、映画ファンの脳裏に『WoT』の印象を刷り込めるのではないか。積極的に映画ファンを取り込んでいこう!

 ……というのは後付けの理由である。「ネタもいいけど、きちんとした記事を作りなさい」と苦言を呈されたときの説明用に考えた。本当は「戦車だったらおもしろいなー」くらいの気持ちだったことをここに記しておく。

★まずは完成形をご覧ください

 思いつきはこんな形で結実した。

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▲新作ホラー映画『World of Tanks』(うそ)。

 どうだろうか。ジャック・ニコルソンではなくタンク・ニコルソンが扉を破って登場。自分では、なかなかいいできになったと思う。

 タンク・ニコルソンを補助する人と怯える人が同一人物という問題点はあるが、そこは目をつぶってほしい。もしくは少し離れて遠目に見ることを推奨します。

★戦車シャイニングポスターができるまで

 シャイニング顔ハメは期間限定でニフティ本社の受付に展示されていた(現在は展示終了)。戦車のオブジェがあれば、シャイニング with WoTの写真を撮影できる。

 ただし、僕は戦車のオブジェを持っていない。調べてみると、想定しているサイズのものはそれなりに値が張るようだった。

 小さめのプラモでもいいのだけど、かっこよく見せるためには塗装も必要だ。そこから勉強するのか。この企画、途方もないぞ。いきなり暗礁に乗り上げてしまった。

 悩んでいても仕方ない。そういえば『WoT』を展開するウォーゲーミングジャパンさんの受付には立派な戦車模型が飾ってある。あれを貸してもらえないだろうか。

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▲これ。

 この戦車模型を1日だけ貸してもらい、撮影が済んだら返却すればいいのだ。

 そう思ってウォーゲーミングジャパンさんを訪問し、「1~2日だけ貸してください」と軽い気持ちでお願いしたら、

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▲会議室に通された。

 いつも仲よくしてくれているスタッフさんは、僕の話を聞くと真顔になり、「すぐに社内の確認を取りますので!」とオフィスに戻っていった。

 あの戦車模型は安物じゃない。勝手に貸して壊れたら一大事なので、いろいろなセクションに確認する必要がある。あぁ、おれの思い付きが多くの大人たちに迷惑をかけている。

 そんな心理状態でもコーヒーはうまかった。

 しばらく待つと、

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▲どーん!

 立派なケースが出てきた。高級感が僕の致死量を超えている。安物じゃないどころか、ものすごい高級品なのかもしれない。

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▲緩衝材でぐるぐる巻き。

 しかもこれ、すごく重いのだ。たぶんケース込みで10キロ近くある。金の比重が大きいように、たくさん年俸をもらっているプロ野球選手に巨漢が多いように、高いものは重いのである。

 運搬中に落として壊したらどうしよう。自分の足に落としたら二重の意味でたいへんだ。弊社とウォーゲーミングジャパンさんの仲が険悪になってしまうし、労災が下りるかどうかもわからない。

 労災申請用の書類に「戦車を足に落とした」なんて書いたら怒られるんじゃないか。不安が頭をよぎる。

★戦車は顔芸ができない

 戦車を持ってニフティさんにお邪魔した。

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▲デイリーポータルZの藤原浩一さん(左)、林雄司さん(中)、ライター住正徳さん(右)。壊れた扉があるIT企業の受付。アバンギャルド演劇のような世界観。

 僕は10年来のデイリーポータルZ読者なので、ニフティさんを訪問できてうれしかった。藤原さんなんて初めて記事で見たときは高校生だったのだ。立派になったなぁ。

 この展示は読者に向けた企画だ。林さんに来場人数を聞いてみた。

林さん「40人くらいですね」

 おお、けっこうな人数。悪天候だったのに。

林さん「あ、うそです。そんなに来てないです」

 うそで挙げた人数がやけにリアル。信じちゃったもん。

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▲ハヤシ・ニコルソン。

 何はともあれ撮影だ。まずは自分で顔を出してみる。

 “シャイニングの顔ハメを作る”作者の住さんによると、顔は正面に向けて視線だけ左に向けるといい感じになるらしい。

 今後、扉を壊したい衝動に駆られたら、このHOW TOを活用してほしい。ホットドッグプレスのHOW TO記事くらいには役に立つはずだ。

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▲「Here’s Johnny」(このシーンのジャック・ニコルソンの台詞)

 ミッス・ニコルスケ誕生の瞬間である。自画自賛するようで恐縮だが、うまく狂気を表現できていると思う。

 さて、ここからが本番だ。戦車が扉を破壊して飛び出してきたら、ものすごい恐怖だろう。期待を胸に裂け目にあてがった。

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▲どかーん!

 悪くはないのだけど、迫力に欠ける気がする。きっと戦車は顔芸が使えないからだ。戦車好きなら微細な表情の変化も感じ取れるだろうけど、僕はまだそのレベルには達していない。

 いっそのこと、僕もいっしょに顔を出したらどうか。

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▲「Here’s Tank」(戦車はここにあるよ)

 これはこれでいい感じだ。ジャック・ニコルソンは斧で扉を破壊したが、このミッス・ニコルスケは戦車で扉を破壊したというわけだ。

 扉が開かないから戦車で破壊する。言葉だけ聞くと、こち亀のワンシーンみたいだ。いや、そんなことはない。これは超怖いシーンなのだ。怖すぎて感覚が麻痺しているのだ。

 物事はなるべく自分の都合のいいように解釈する。僕は14年の社会人生活でそんな生きかたを学んできた。

★楽しくなってきた

 いい写真が撮れた。せっかくなので、この写真を使ってパロディーポスターを作りたい。シェリー・デュヴァル(奥さん役)側の写真も撮らせていただく。

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▲まずは試しに小道具の斧を使ったパターンを撮影で練習。

 顔芸には自信があったのだが、なかなか難しい。ポスターと見比べると、シェリー・デュヴァルは根本的に顔のパーツがでかいということがわかった。さすが欧米人。

 続いて、戦車が飛び出すパターン。

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▲戦車が飛び込んできたら誰でも驚くよな。

 大人ふたりが「もう少し出せます?」、「いや、引っかかっちゃうんですよ」なんて僕のために試行錯誤してくれている。

 しかも僕はおふたりの著書を買うほどのファンなのだ。僕は憧れの人に何をやらせているのだろう。

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▲戦車の角度に四苦八苦する大人たち。

★パロディーポスター制作

 ここからは写真を加工する作業に入る。

 ふだんは画像のトリミングや明るさの調整くらいにしか使わない画像編集ソフトが大活躍した。

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▲2パターンの写真を合成。もうひと手間かける。

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▲切り抜いて位置とサイズを調整。

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▲背景に色を塗って、自分の体に影をつける。

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▲2パターン作った。

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▲似た雰囲気のフォントを使って文字要素を乗せたら完成。

 さらっと書いたが、ソフトの強制終了で何度も最初からやり直しになり、ふてくされて一度家に帰ったりしているので、実質的に14時間以上かかっている。

 ポスターにはいろいろなパターンがあったので、いいとこ取りにした。また、文字部分には少し工夫を施している。

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▲正式な表記は『World of Tanks』だけど、丸いフォントばかりだとコミカルになってしまうので、LDNKを大文字にした。さらに、サイコホラーにとって大切な“不安”を表現するため、oとaを上にずらしている。

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▲キャスト部分には細いフォントを使い、幅を縮めるとそれっぽくなることがわかった。収まりがよかったので日本戦車ツリーを使用。

 こういう種明かしをするのは恥ずかしいけど、今回は想像以上によくできてうれしかったので全部説明した。

★画像編集が楽しかった

 この記事を書いていて、“パロディーポスターを作るのが好き”ということに気づいた。前にドスパラさんのガレリアを題材にポスターを作ったときも楽しかった。

 シャイニング with WoTのポスター、自信作なので貼らせてくれる場所を募集中です。

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▲イメージビジュアルっぽい画像も作った。

協力:デイリーポータルZ

『World of Tanks』公式サイト

 シャイニング with WoTポスターを見て『World of Tanks』に興味を持った人(いますよね?)は下記の初心者向けページへ。
ファミ通.com作戦司令部 初心者ページ

(c) Wargaming.net

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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