『AVA』を愛知県尾張旭市の市長にアピール(後編)

公開日時:2014-03-07 00:00:00

 オンラインFPS『Alliance of Valiant Arms』(以下、AVA)の実力派クラン・DeToNatorとGalacticによる、愛知県尾張旭市の市長への表敬訪問に同行した。

 うまそうなナポリタン写真が食欲をそそる前編に引き続き、後編も読んでください。

『AVA』を愛知県尾張旭市の市長にアピール(前編)

★市長、もしかしたらゲームに理解があるかもしれない

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▲市長が5周年本を読んでくれている。うれしい。

 熱意をきちんと伝えると、市長がどんどん乗ってきた。気がする。

市長「まだよく分かっていないんですけど、銃みたいなものを持って戦うんじゃなくて、マウスとキーボードでやるんですよね? このキーが前進とか?」

市長「5対5で対戦するんですよね。5人の役割は違うんですか?」

市長「ゲームのパッケージを買って、月額いくらか支払って遊ぶんですか?」

 市長からゲームに関する質問が出てきたのだ。興味を持ってもらっていることは素直にうれしい。

MaxJam「『AVA』は無料です。武器がたくさんあって、一部の武器を買うときに課金するんです。お金を払えば強い武器も買えますが、無課金でも十分遊べるゲームだと思いますよ」

市長「ということは、“大会ではノーマルな武器しか使えない”みたいなルールがあるんですよね」

 察しがいい! 実際、最近の大会は、世界中のユーザーが公平を期して戦うために、国際ルールで開催されている。

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▲スポンサーさんの製品もアピール。

市長「ほかのゲームの大会は見たことありますけど、私が見た大会とはずいぶん雰囲気が違いますね。もう一度、『AVA』の画面を見せてもらっていいですか?」

 MaxJamさんはノートPCで大会映像を再生した。隣りで簡単にルールを解説する。

市長「スポーツみたいに解説者もいるんですね。プレイヤーのみなさんはヘッドセットをしていますけど、味方どうしで通信ができるんですか?」

MaxJamさん「ボイスチャットで自分の状況を報告しながら戦うんです」

市長「最近、スマートフォンのゲームが流行っているじゃないですか。それとは全然違って、本当にスポーツみたいですね」

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▲奥に座っているのは文化スポーツ課の担当さん。一応、顔はぼかしておきます。

MaxJam「まさしくそのとおりです。e-Sports、エレクトロニック・スポーツとも言われていますから」

市長「だから、ユニフォームを作って活動されているんですね」

MaxJam「真剣にゲームに取り組むのは当たり前ですが、彼らも仲間とのコミュニケーションや企業様とのやり取りで成長しています。ゲームがうまいだけではだめだと思うんです」

 DeToNatorもGalacticも、企業からサポートを受けて活動している。言わばプロチームだ。彼らの行動が各社のイメージに直結する可能性がある。

 企業側だって、ただの善意でサポートしているわけじゃない。サポートを受けているからには、それ以上の結果を出す責任がある。

 責任を負えば人は成長する。責任から逃げると停滞する(おれみたいに!)。

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▲左のふたりはちゃんと責任を全うしてます。

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▲市長公室に飾ってあった置きもの。かわいい。

市長「それだけチームとして一生懸命やっているということは、メンバーの入れ替えもあるんですか? サッカーや野球の場合、調子が悪いとレギュラーを外れるじゃないですか」

MaxJamさん「メンバー入れ替えの多いチームもありますけど、我々はレギュラーが固定されていることが多いですね」

市長「たとえば、“あっちのチームのほうが強いから移籍する”みたいなことは?」

MaxJamさん「ありますよ。強いチームに引き抜かれるプレイヤーもいますし、うちに入りたいなんて話も聞きます。このふたりにもチームのことを考えてもらっています。毎日のようにボイスチャットで戦略会議をしたり、メンバーのことを話し合ったり」

市長「インターネットにつながっていれば、どこでも話せますもんね」

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▲市長がぐいぐい質問してくれる。

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▲わりと和気あいあいとした雰囲気でした。

 市長の興味が“ゲーム”から“ゲームをプレイする人”にシフトした。

市長「おふたりはふだんは何をしていらっしゃるんですか?」

Darkよっぴー「ふだんは仕事をしていて、夜から『AVA』の練習をします」

市長「あっ、そうか。“練習”なんですね」

 『AVA』というゲームを“遊ぶ”のではなく、“練習する”。このニュアンスの違いは市長にも伝わっているようだ。

SyaNha1「僕はいま学生で、就活しながら活動を続けています」

市長「就職活動中なんですね。“どっちが大事なんだろう”って混乱しません?」

 その悩みを抱えてゲームから離れるプレイヤーも多い。たしかに就職は大切だ。

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▲ときどき冗談を挟むが、説明するべきところでは熱弁をふるうMaxJamさん。

MaxJam「彼はゲームに関して圧倒的に詳しいですし、人前に立つ経験も積んでいます。スポンサー企業様といろいろ話し合っていて、ゲームをプラスにつなげたいと考えています」

 ゲームを真剣にプレイすることが就職活動にもつながっている。ゲーム好きにとって夢のような状況である。もちろん、それなりの覚悟は必要だけど。

MaxJam「企業様からは人材育成やゲームを健全に伝えていくために、力を貸していただいています」

 ゲームが持つネガティブなイメージを少しでも払拭したい。きっとこれはロビー活動だ。僕の目の前でロビー活動が行われている。

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▲市長は意外とゲーム好きだった。

MaxJam「市長も『AVA』をやってみませんか?」

市長「アクションゲームは苦手なんですよ。“そんなに早く死ぬ人珍しいだろ”くらいのタイミングでやられますから。じっくり遊ぶRPGは好きですね。あとはパソコンの問題かな。グラフィックボードとか、処理が早いパーツを積んでいないとついてこれないですよね」

 市長の口から“グラフィックボード”なんて単語が出るとは思わなかった。この瞬間、PCゲーマーからの支持率が急上昇したのは間違いない。

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▲Darkよっぴー「うちのチームのオリジナルマウスパッドなんですけど、クッション性がありますから、ふだん使いしても手首が疲れなくていいと思います」

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▲最後は記念撮影。

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▲おみやげとして尾張旭市のご当地キャラ・あさぴータオルをいただいた。
市長「ゲームをして汗をかいたら、このタオルを使ってください」

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▲僕ももらった。

★Darkよっぴー選手のルーツ

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▲広告みたいなシロノワール写真が撮れて満足。

 市長との会談後、近くの喫茶店に入って選手ふたりに感想を聞いた。

SyaNha1「話を聞いていて30分があっという間に感じました」

 大きな舞台に立つことはあっても、公的な場に同席することはあまりない。やっぱり緊張していたのだ。

Darkよっぴー「あの空気、知ってるような気がするんですよ。……そうだ、子どものころに囲碁をやっていて、けっこう強かったんです。県の代表になったときに、ああいう場所で知事と話したことがありました」

 突然、Darkよっぴー選手のルーツが明らかになってびっくりした。どうりで強いはずだ。もともと思考型の競技と相性がよかったのだ。

 FPSは陣地取りが重要な理詰めの競技とも考えられる。Darkよっぴー選手としては、それを理解しているプレイヤーは上位陣にも少ないと感じているらしい。

 エリア理論を詰め将棋的に解説したらおもしろいんじゃないか。表敬訪問がきっかけでネタがひとつ生まれた。得した気分。

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▲無心で甘いものを食べるSyaNha1選手とDarkよっぴー選手。

★ゲーマーの地位向上への第一歩、無事に終了

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▲「世界大会で優勝して(MaxJamさんの)故郷に錦を飾るぜ!」

 今回の表敬訪問には、いくつかの意図がある。

・DeToNatorやGalacticのアピール
・『AVA』プレイヤー(ひいてはゲーマー全体)の地位向上
・あさぴーの可愛らしさの確認

 企業のサポートを受け、ストイックに自分たちのレベルアップを目指すゲーミングチームは、日本にいくつもある。

 ゲームを真剣にプレイして結果を出せばゲーマー層へのアピールにはつながる。それはもちろん大切だけど、それだけでは誰もがイメージする“プロ”にはなれないと思う。

 やっぱり、一般層に受け入れられてこその“プロ”だろう。ゲームをしない人たちにも「ゲーマーってすごい!」というイメージを与えられれば、ゲーマーの地位は向上する。

 これからはゲームを知らない人たちにこそ、アピールしていかなければならない。井の中の蛙で終わらないためにも。

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▲だからMaxJamさんは一般層の代表である市長にプレゼンしたのだ。

 今回の表敬訪問だけで劇的に状況が変わるとは思えない。だけど、DeToNatorやGalacticが、プロチームとしてつぎのステップに進んでいると感じたのはたしかだ。

 あと、やっぱりゲームのイメージアップにキャラクターものは不可欠だ。みんなで意見を出し合って“FPSくん”みたいなキャラクターを作ろうぜ。

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▲あさぴーバスを見つけて大興奮。

『Alliance of Valiant Arms』公式サイト

DeToNator公式サイト

Galactic公式サイト

愛知県尾張旭市公式サイト

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 取材後にナポリタン(前編)とシロノワール(後編)の写真を見返したら、あまりにもうまそうだったので、ほかの画像よりも画質高めになってます。

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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