ユーザー配信担当の4人にいろいろ聞いた。『AVA』

公開日時:2013-05-15 00:00:00

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▲“AVAIFM 2013”は爆破・護衛の両部門ともに日本代表の勝利で幕を下ろした。

 先日、“もうひとつの親善試合・ユーザー配信『AVA』”という記事を書いた。今回はその続きだ。

 前回の記事では、“ゲームオンさんの『Alliance of Valiant Arms(以下、AVA)』の大会では、メインの配信チャンネルのほかに、ユーザー配信チャンネルが用意されていることがある”と、書いた(このひと言だけで済ますのは寂しいので、できれば前回の記事も呼んでください)。

 それぞれのチャンネルの特徴をざっくり説明すると、メイン側はストイックに大会を楽しみたい人向け、ユーザー配信側は笑いながら気軽に楽しみたい人向け、といった感じだ。

 ユーザー配信チャンネルで実況・解説を担当するのは、その名のとおりユーザー(プレイヤー)である。ユーザーがユーザー視点でユーザーに向けて配信する(メインチャンネルの実況を担当したmejikaさんも『AVA』プレイヤーだけど)。

 ユーザー配信を担当する4人にはいくつかの共通点がある。

・『AVA』がうまい(全員、強豪クラン所属)
・トークがうまい(つなぎのトークもおもしろい)

 “いくつかの”なんて仰々しく言ってみたものの、ふたつで終わってしまった。あとはなんだろう。僕に親しく接してくれる、とかだろうか。いや、それは大半のユーザーに当てはまる。

 まぁ、ふたつでいいことにしよう。ふたつの共通点があるのだ。

 そんな彼らにどういう流れで運営のゲームオンさんからオファーが来たのか、どういう思いで配信を行ったのか、彼らは何者なのか、気になる人も多いだろう。多いということにしてほしい。僕は気になる。

 なので、国際親善試合“AVAIFM 2013”の空き時間を使って本人たちに聞いてみました。

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▲オーディションでもあったのだろうか。水着審査は?

★護衛担当 トンピ(所属クラン:NIOIのある日常)

(文中では「ト」)

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▲オフラインイベントでよく会うので仲よくしてもらっています。

――護衛部門の実況を担当していますが、どういうふうにオファーが来たんですか?

ト 爆破担当のもるちゃんから、いのP(『AVA』運営プロデューサーの井上さんのこと)に勧めていただいたらしく、「やってみない?」って声をかけてもらいました。

――もるちゃんから「護衛好きなトンピくんというプレイヤーがいる」という話が運営側に伝わったということですか?

ト 前からネットカフェ(アイカフェAKIBAPLACE店さんや快活オンラインCAFEさん)イベントで配信や実況をやらせてもらっていたんです。それを見たもるちゃんが「実況をやらせてみたらどう?」って言ってくれたみたいで。それから初めて公式の大会(2012年9月開催 AVAれ祭2012 プリズムホール -秋の陣-)の決勝で実況をさせていただきました。

――最初はネットカフェイベントのお手伝いをやっていたわけですね。それがもるちゃんの目に留まって、話が進んでいったと。

ト そうですね。今回が4回目くらいかな?

――もともとプレイヤーとして護衛が好きなんですよね。

ト 爆破もやり込んでいるほうだとは思いますけど、どちらかというと護衛が好きですね。

――護衛は『AVA』独自のモードなので、ほかのFPSユーザーからするとよくわからないと思います。どういう部分を見たら護衛のおもしろさがわかると思いますか?

ト 護衛というモードは、戦車を守りながら進めてゴールを目指すのが最終目標なんですよ。いちばん見てほしいのは、途中のチェックポイントの攻防ですね。戦車がチェックポイントを通るとリスポーンの位置が変わるんですけど、突破するかしないかの瀬戸際の攻防がいちばん熱いんです。ここは押し切らなきゃ、止めなきゃっていうポジションがあるんで、そこのせめぎ合いが見どころだと思います。

――なるほど。ちょっと話は変わりますけど、ふだんは学生ですよね。

ト はい、そうです。

――ネットカフェイベントのお手伝いをしているみたいですけど、単純にそういうのが好きだから店舗に掛け合ってるということですか?

ト アイカフェAKIBAPLACE店さんの店長に「きみよくしゃべるねー。ちょっとスタッフやってみない?」って言われたのが最初ですね。

――そこから活動の場を広げたいった感じなんですね。ありがとうございました。

★護衛担当 かえでlノ゚ー゚lノ(所属クラン:DeToNator)

(文中では「か」)

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▲落ち着いた語り口のしっかり者の印象。本性はどうだろう。

――オフィシャルの解説担当は何回目ですか?

か 公式は2回目です。

――前回はどの大会ですか?

か 最初(2012年12月開催 “AVARST Season3”)はメインの護衛の解説で、そのときもトンピくんといっしょでした。

――どういう流れでオファーが来たんですか?

か 公式サイトの連絡帳(ユーザーと運営が連絡を取る際に使用するシステム)でメールが来ました。護衛を知っている僕にやってほしいと。経験にもなりますし、ぜひやらせてくださいと返信しました。

――もともと護衛中心のプレイヤーですもんね。

か 個人的にニコ生配信をやっているんですよ。それを運営の方が見て、わかりやすいという評価をいただいたみたいです。

――急にこういう大きな話が来て、しゃべれるものですか?

か やっぱりすごく緊張しますね。自宅でやっているニコ生とは違いますし、何をしゃべればわかりやすく聞けるんだろうとか考えます。

――個人配信より見ているユーザーの層も広いでしょうし、それこそ爆破専門みたいな人も見るでしょうしね。

か 『AVA』を知らない人も見ている可能性は高いですからね。そういった方は護衛って言われてもわからないと思うんですよ。護衛のおもしろさをわかりやすく説明しないといけないので。

――“DeToNator”という強豪クランに所属しているわけじゃないですか。「つぎは解説ではなく選手として出場してやる!」みたいな野心もあるんですよね。

か もちろんあります。そこはもう実力で枠を取りたいです。

――オファーが来たけど、「いや今回は選手としてプレイに集中したいんです」って断れたらかっこいいですね。

か う~ん、でも、どっちも(プレイも解説も)やりたいんですよね。

――選手として活躍するのも期待してますよ。ありがとうございました。

★爆破担当 もるちゃん(所属クラン:Sunsister)

(文中では「も」)

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▲フリートークに定評のあるお兄さん。もじゃもじゃ+サンバイザーがトレードマーク。

――ユーザー配信担当としては古株ですよね。

も 6~7大会くらい担当させてもらってます。

――ネットカフェキャラバンにも同行してますよね。

も キャラバンは50ヵ所くらい行ったと思います。

――すごい! 最初はどういう経緯で話が来たんですか?

も 僕もプレイヤーですから、最初はふつうにキャラバンに参加していたんです。そのときの配信はいのPだけでやっていました。ちょうど世界大会に出場して少し名前が売れてきたときだったので、「もるちゃん、ゲストとして配信席に座って」って言われて。

――最初はキャラバンの会場で何となく呼ばれた感じなんですね。

も 僕、おしゃべりが好きなんで、べらべらっとしゃべっているうちに「あっ、もるちゃんはしゃべれるんだ」と、いのPが認識したんでしょうね。

――それがきっかけですか。

も それから大型オフイベでも「ゲストで座ってみてよ」とか言われるようになりました。それを3~4回くり返しているうちに、お手伝いとしてスタッフに加わってもらえませんかという正式なオファーが来ました。

――それまではニコ生で配信とかはやっていましたか?

も もともとはPeerCastでやっていて、ニコ生が盛り上がってきたということでニコ生に移動しました。

――なるほど。

も うち、嫁さんがいるんですけど、旅行が好きな人なんですよ。沖縄のオフイベに行ってみたかったんで、嫁ちゃんに「旅行に行きたくない?」って聞いて沖縄に行くことにしました。そのときに、「1日だけ空白の時間をくれ」って。

――言われたほうはびっくりしますよね。

も 「えっ、沖縄に行くのに何でいないの?」ってなりますよね。でもまぁ、「その日は1日沖縄でひとりで遊んでてくれ。オフイベがあるんで」と。いのPからすると、「わざわざ沖縄まで来てくれるプレイヤーなんだ」って思いますよね。で、またしゃべらせればいいや、くらいには考えてもらったんじゃないですかね。

――遠方まで来てくれたらうれしいですもんね。

も そのつぎは仙台で、ちょうど震災のあとの復興の時期だったんです。ドキュメンタリー番組とかニュースを見ていると、もう東北は大丈夫だからどんどん遊びに来てくださいっていう報道が流れるじゃないですか。じゃあ、「復興の助けにもなるかもしれないから、東北にお金を落としがてら旅行に行こう。で、また1日だけ空白の日をくれ」と。そしたら「オフイベでしょ?」。

――もう若干食い気味ですね。

も こんなことをやっているうちに、いのP的に「あっ、ここも来てくれたんだ。こいつ使えるな」ってことで、いま配信をやらせてもらってます。

――奥さんは何て言ってます?

も いや、文句とかは全然なくて、応援してくれてますよ。僕はもともとスノーボードで競技活動をしていたんですけど、ケガが多くて引退したんですよ。スノーボードに情熱を傾けていたので、引退したら熱くなれるものがなくなっちゃったんです。そんなころに『AVA』のガチクランに入って、日本一、世界一を目標にするようになりました。一生懸命やってるんで、それについては嫁ちゃんから何か言われたことはないですね。

――奥さんの株が上がりそうなインタビューになっちゃいましたね。ありがとうございました。

★爆破担当 CherylNome(所属クラン:Sunsister)

(文中では「Ch」)

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▲しっかり話したのはたぶん今回が初めてだ。かっこいい。写真をたくさん載せたら女性読者が増えるかもしれないが、悔しいからやらない。

――まず最初に大切なことを確認しておきたいんですが、名前の由来はあの銀河の歌姫ですか。

Ch そうです。

――ランカ派ではないと?

Ch シェリル派です。

――なるほど。わかりました。さて、オフィシャルの実況解説担当は何回目ですか?

Ch 3~4回目です。最初は・・・プリズムホールのAVAれ祭り(2012年9月開催 AVAれ祭2012 プリズムホール -秋の陣-)ですね。

――どういった流れでオファーが来たんですか?

Ch 前に理由を聞いたら、『AVA』の知識がある人が配信したほうが説得力があって、視聴者のみなさんも楽しいんじゃないか、ということみたいです。自分が試合に出られないときは担当させてもらっています。

――もるちゃんの場合、知識はもとよりフリートークがうまいじゃないですか。それとは違うタイプとして、お話があったということですか?

Ch 僕の爆破のノウハウを、初心者が見てもわかりやすいかたちでみんなに伝えてほしい、という意図で僕が呼ばれているのかなと思います。

――オファーが来る前からニコニコ生放送などで配信はしていましたか?

Ch ニコ生は前からやってましたけど、実況とか解説はやったことないですね。

――慣れてないのに、よく内容がすらすら出てきますね。すごい。

Ch 伝えたいことはいっぱいありますし、内容は浮かぶんですけど、滑舌が悪いのでなかなか難しいです。

――もるちゃんとのコンビはやりやすいですか?

Ch 僕は雑談が苦手なので、いろいろ話してくれるのはありがたいです。雑談は(もるちゃんに)任せて、自分のFPS論を語るみたいな場になっています。『AVA』に関しては頑固なので。

――ご自身もプレイヤーじゃないですか。やっぱり解説よりも大会に出たいという気持ちはありますか?

Ch 基本的には、試合に負けてからオファーが来ているんですよ。早く試合に出たいという気持ちはすごくあります。

――やっぱり悔しいですか?

Ch 悔しいですね~。何だこのやろうとか思うこともありますよ。でも、負けたなりに、『AVA』のために何かやりたいなという気持ちでやらせていただいてます。

――好きなゲームのために何かをやりたいって、すごくいいですね。ありがとうございました。

★よく考えたらひどいことをしていた

 ユーザー配信を担当していた4人は、それぞれが得意とする方法で『AVA』の魅力を伝えられる人だった。当然、実力と知識があることが大前提。

 最初は「配信の裏側を教えてもらおう」くらいの軽い気持ちで取材をさせてもらったのだが、途中で「おれ、傷口に塩を塗りこんでないか?」と気づいた。

 彼らはプレイヤーである。日本代表の選手になっていたら解説のオファーは来ない。本当は解説される側、つまり日本代表になりたかったのだ。「そう言えば負けたんですよね。いまの気持ちは?」と聞いてるのと同じである。

 配信を担当するのは楽しいし、すごく光栄ではあるのだけど、悔しい。でも、自分なりに『AVA』を応援したい。発言の内容からはそんな複雑な気持ちが見え隠れしていた。

 試合の展開や結果だけでなく、選手や関係者の心境に注目すると、違った景色が見えてくる。勝手に話を聞いて、勝手にドラマ性を見出せたので満足だ。今度はユーザー配信担当者の1日に密着とかやってみたい。

 最後に、インタビューとしての体裁を整えるために僕のセリフを敬語に直しているが、実際はため口で馴れ馴れしく聞いたことをここに記しておく。すみません。

“AVAIFM 2013”のちゃんとしたリポート記事はこちら

“AVAIFM 2013”公式サイトはこちら

ユーザー放送チャンネル(ニコニコ生放送)のアーカイブはこちら

メインチャンネル(USTREAM)のアーカイブはこちら

AVA』公式サイトはこちら

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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