DeToNator江尻さんの書籍発売記念セミナー“まさるの部屋”に参加したので愛について書く

公開日時:2019-04-30 18:55:00

 セミナーに行った。ビジネスマンになったみたいで背筋が伸びる。

 内容はeスポーツやゲーミングチーム運営に関するもので、その名も“まさるの部屋 in 代官山”。

 プロゲーミングチーム・DeToNator代表の江尻勝さんが主宰するビジネスセミナー&トークイベントだ。
 

01_IMGP0681

 
 セミナーは江尻さんの本『DeToNatorは革命を起こさない』発売を記念して開催された。

 『DeToNatorは革命を起こさない』のおもな内容はチーム運営の方向性だ。

 いまはeスポーツが盛り上がっていると言われている。そんな時代だからこそ、「地に足をつけてやっていきましょう」というメッセージを込めて、本を出して、セミナーを開いたのだと思う。
 

02_IMGP0746

やけに神々しくなってしまった江尻さん。

 セミナーのゲストとして、ゲーミングチームの運営経験者が登壇した。江尻さんとも親交の深い4人だ。
 

03_IMGP0710

元Rascal Jester代表の大川孝行氏(左)、SunSister代表の太田桂氏(右)。

 いきなり画が荒々しい。見た目的に「アウトレイジ」、「武闘派」などと言われがちだが、考えかたはまじめだ。

 ふたりともFPSやMOBAなど、いわゆるPCオンライン系のタイトルに長く関わっている。
 

04_IMGP0707

忍ism代表のももちさん(左)、チョコブランカさん(右)。世界初のプロゲーマー夫妻のおふたりは、格闘ゲーム系の文化に詳しい。

 江尻さんも含めて、全員がゲーミングチーム運営の経験者。現場で培った経験をもとに語られる。

 今回のセミナーは配信もメディアによる取材もない予定だった。あくまでもクローズドで、しかも有料のイベントだ。

 こういった有料イベントの詳細レポートを書くのは参加者に悪い気がする。わざわざお金を払ったから、楽しくてためになる時間を過ごせるのである。それを僕が広めていいものか。

 江尻さんに確認したら「少しなら」とのこと。発言者が特定されないようにしつつ、印象に残っている内容について少し書く。

 テーマは愛について。
 

05_IMGP0676

 
 クローズドのイベントだからといって、いかにもな裏話や言えない話、攻撃的な話がされたわけではない。前向きな内容が多かったように思う。

 イベント参加者は基本的には主催側に賛同する人だ。そこで直接的に何かを攻撃するような話をすると意地の悪い空間になる。

 そういうのはたしかに盛り上がるが、僕は好きではない。今回のセミナーは雰囲気がちょうどよかった。

(「自分ならこうする」とか「こういう風にすればいいのに」とか、建設的な意見を言うふりしてマウント取る人もキツいなあと思う)

★★★愛だろ、愛っ★★★

 江尻さんが話したのは、

・チームスタッフの教育
・海外の数字に惑わされないこと
・大切なのは“節操”

 など。その後はゲストも加わり、

・日本の業界のこれから
・若年層との接し方
・チームと企業の関係性

 といった話題で盛り上がった。

 「へぇー」という感じで聞いた。内容はまじめ。そう言えば半分はビジネスセミナーなのだった。来場者の目的はeスポーツの勉強だ。遊びに来ている人は少ない。
 

06_IMGP0702

 
 “若年層との接し方”には、なるほどなと思わざるを得なかった。

 いまはスマホゲームのおかげもあって、本気で競技性ゲームに取り組む年齢層が若くなっている。プロゲーマーを目指す中高生も少なくない。

 そういった若いプレイヤーから「チームに入りたい」と応募があった場合、親御さんと直接話すこともあるそうだ。

 10代半ばから後半は人間の成長にとって大切な時期。どんなにその子が強かったとしても、生半可な気持ちで預かるわけにはいかない。

 eスポーツのプロシーンは華やかな部分だけではなく、厳しさも含んでいる。現実を丁寧に、誠意をもって伝える。これも優しさだ。甘やかすだけが愛ではない。

 結果的に親御さんが「プロゲーマーではなくほかの仕事に就いてほしい」と判断したとしても、それは仕方のないことだ。きらきらした夢だけ見せるのはだますようなもの。

 いったん冷静に。
 

07_IMGP0684

 
 愛についてもうひとつ。“チームと企業の関係性”について。

 強豪チームやプレイヤーの大半はスポンサー企業からの支援を受けて活動している。企業側に求めることとして挙がったのが「愛を持ってほしい」。

 試合に勝ったらいっしょに喜んでほしい。負けたらいっしょに悔しがってほしい。

 仮に、多額の支援を約束してくれていたとする。それでも、負けたことをまったく気にされなかったり、試合の日程にすら興味を持たれていなかったりすると、もやもやするそうだ。

 ビジネスなのでドライなお金のやり取りは重要だ。それでも、熱意をもって応援してくれる人のために勝ちたい気持ちは誰だってあると思う。仲間意識と言い換えてもいい。

 お金も大事だけど仲間のためにがんばりたい。そういうの何かいいなと思う。チームのスポンサーになったり、eスポーツに参入して稼ぎたいと思っている企業の人に伝えたい。

 そういうところ、あるぞ。
 

08_IMGP0726

おつかれさまでした。

 ももちさんとチョコブランカさんの発言は全体的に興味深かった。僕は格闘ゲーム界の話題を聞くことがあまりないからだ。

 「格闘ゲーム界はしっかりした縦社会」とか「FPS/MOBAと格闘ゲームのファン層はちょっと違う」とか。

 とはいえ、レポートするのはここまで。

 イベントごとに参加して「よし話を聞くぞ」という意思を持ってから人の考えを知るのはおもしろい。勉強というよりレジャーとして続けたい。
 

09_IMGP0715

地に足をつけることを重視する江尻さんの考えかたを知りたい人は、著書『DeToNatorは革命を起こさない』をどうぞ。

この記事の関連URL

この記事の個別URL

ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

『PCオンラインゲームのブログ まいにちがβテスト』ブログ