『WoT』と『WoWs』は変な対戦をするのに向いている

公開日時:2017-06-27 11:55:00

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 6月17日にウォーゲーミングさんが『World of Warships』(以下、WoWs)と『World of Tanks』(以下、WoT)のオフラインイベントを開催したので見に行った。ふらりと名古屋まで。

 新情報だけ抜き出して記事にしたのだけど、雰囲気のいいイベントだったので感想も書く。

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★★★変則ルールで『WoWs』と『WoT』を遊ぶ★★★

 イベントは午前中からだったので、前乗りして一泊。ホテルはたまたまいい部屋が空いていたらしく、料金そのままでランクアップしてくれた。幸先がいい。

 バスルームには天井シャワーがついていて、「おれ女優みたい」と思った。ホラー映画だったら最初に殺されるお色気担当である。

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▲女優気分を引きずったまま会場入り。

 スタート時間は11:00。夜中に活動するオンラインゲーマーにとっては早朝くらいの感覚だと思う。事実、僕は眠かったし、編集部の坂本ビス太なら「夜中じゃん」という時間だ(念のため書いておくが、23:00ではなく11:00だ)。

 それでもイベントは頭から大盛況だった。ユーザーはそれだけイベントに飢えているのかもしれない。

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▲飢えたユーザーを相手にイベントを進行する加持太郎さん(左)と井澤美香子さん(中)、畑井翔さん(右)と、

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▲宮永忠将さん。

 『WoWs』でも『WoT』でも、イベントのアクティビティーは大きく分けて2種類。変則ルールでの対戦と7対7の即席チームによるトーナメントだ。

 こういった対戦イベントにおいて変則ルールは鬼門である。意外と盛り上がらないなんてよくある話だ。ふつうに遊ぶのがいちばんおもしろいのは全員が知っている。

 だが、その心配は不要だった。『WoWs』にしても『WoT』にしても参加希望者は多いし、ちょくちょく笑いや歓声、拍手が巻き起きる。

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▲「やりたい人いますかー?」、「はいはいはいはい!」

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▲MCのみなさんが手分けをして参加者を決める。

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▲HPが1しかないTEST SHIPで対戦。接触するだけで大破するので、狭いところを抜けるには慎重な操作が必要となる。あれよあれよという間に大惨事に。

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▲MC陣もゲームに参加。

 僕がいつも楽しみにしているのはレースだ。これがなかなか盛り上がる。

 『WoT』ではだいぶ前から定番の企画で、『WoWs』でも実施された。畑井さんが妨害したり、自動的に攻撃する戦艦・大和のBotを配置したり、最終コーナーを回ると魚雷攻撃が解禁されたりなど、ルールも凝っている。

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 『WoWs』はじっくり考えながら戦う対戦ゲームだ。FPSなどと比べると試合展開がゆっくりなのだけど、この“レースなのにゆっくり”というのが絶妙におもしろい。

 レースは上空からの俯瞰視点で観戦。ゆっくりかつ神の視点なので、レースの状況を観客が理解するだけの余裕がある。魚雷が見えたときや明らかにまずい状況になったときの観客の「あーーーーーーーー!」が長いのだ。

 理屈としてはドリフの「志村、うしろうしろ~!」に似ている。昭和のグルーヴが僕らを熱くする。

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▲団子状態の艦船に畑井さん&Bot大和が淡々と魚雷や砲弾を撃ちこみ、なすすべもなく沈没していく。

 人があたふたしている様子はたいていおもしろい。そして、実況の文言がレースとは思えないくらい物騒なのもよかった。

「いかに味方を盾にするかがポイントです」
「3人くらいは生き残れたらいいですね」

 なお、ふたつ目のやつは井澤美香子さんのコメントだ。笑顔で物騒なことを言うので胸がざわざわする。

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▲実況しがいのある企画だと思います。

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▲アニメ『ハイスクール・フリート』とのコラボ艦艇“晴風”と“グラフ・シュペー”で敵AIと戦闘する企画。

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▲イベントの合間にはちょくちょくクイズが出題。画像を見てマップを当てるシンプルな問題かと思いきや、

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▲「わかった人は挙手をお願いしまーす」って、無理っす。

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▲ゲーム中に登場する艦長キャラは写真をデフォルメして作られている。ウォーゲーミングジャパンのスタッフをモデルにした艦長を当てる問題。

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▲「そっくり!」とも「似てねー!」とも言いにくい絶妙なクオリティだと思う。目元は似てますね。

★★★跳んで撃っての『WoT』企画★★★

 15:00からスタートした『WoT』の対戦企画は以下のとおり。

・でら戦車ジャンプチャレンジ
・それいけ!ワンパンマン
・帰ってきた国家戦…!?
・WoT戦車道 名古屋大会

 “それいけ!ワンパンマン”は大火力・紙装甲のイギリス駆逐戦車 FV4005 Stage IIのみで戦う企画。装填時間が長いので、お見合い状態で互いに外すと、何もできないのに焦りだけが募る味わい深い時間を楽しめる。

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▲側面・背面から撃たれると一撃でやられるので、慎重な立ち回りと連携が大切だ。戦車の“ままならない部分”を煮詰めた企画である。

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▲“帰ってきた国家戦…!?”では特定の国だけでチームを組んで戦う。使用国家はくじ引きで決定。たまにくじを引いた瞬間がクライマックスみたいに盛り上がる。時間に余裕があるとTier制限を変えて追加試合を実施したりもする。

 “戦車ジャンプチャレンジ”も定番企画(名古屋だから“でら”がついている)。ウェストフィールドというマップには途中で崩れた橋があり、うまく加速すると飛び越えられるのだ。

 『WoWs』のレースと同じように車両は運営側が用意したものから選択。もちろんスピードの速い戦車が有利なのだが、ネタ枠として重戦車もラインナップに組み込まれている。

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▲ジャンプに成功するとオッズ×500のゴールド(課金用の通貨)がプレゼントされる。

 でら戦車ジャンプチャレンジには僕も参加させてもらった。やるからには本気で成功を狙う。ゴールドは来場者にプレゼントし、ファミ通.comのイメージアップを図る算段だ。隙がなくて自分がこわいぜ。

 僕が選んだ車両はイギリス中戦車のクロムウェルB。加速力は軽戦車並みにも関わらず、オッズは3倍と配当ゴールドも高い。笑いなんかいらない。おれがほしいのはゴールドだ。あと人気。

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▲まずはマップ北西部のスタート地点に集まってからジャンプチャレンジスタート。

 およそ30台の戦車が土煙を上げながら一斉に橋に向かう。橋に到達した順に跳んでいけばいいのだが、橋の幅は2~3台ぶんしかないので、少し操作を誤るとたいへんなことなる。

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▲帰省ラッシュ時の東名高速道路。

 大渋滞だ。態勢を整えようにも、どんどん後続が到着して押し込まれていく。バックはできないし、助走も足りないので絶対にジャンプは不可能。飛び降りる順番を待つしかない。カジュアルな地獄だろうか。

 生存を諦めて散る順番を待っていたら幸運にも周囲が空いた。このチャンスにいったんバックしようと思ったところ、後続の重戦車VK 100.01 (P)に追突されて履帯を破損。動けない状態でガンガンぶつかられて大破してしまった。せめて飛ばせてくれよ。

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▲この重戦車に乗ってるのは誰だい? ちょっと話し合おうよ。

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▲橋の下の様子。死屍累々と思いきや、何とか生き残っている戦車もある。

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▲欄干に引っかかって落下を免れたりすると、会場中から歓声が上がる。

 印象的だった対戦企画は“WoT戦車道 名古屋大会”。

 これはアニメ『ガールズ&パンツァー』に登場する学校(チーム)の編成を再現して対戦するというものだ。『WoT』を活用すれば作中では見られなかった“if”の戦いを楽しめる。

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 このルールがまたすごくいい。戦力差が大きすぎる試合を観ても「ふーん」で終わりがちだが、ガルパンというフィルターがかかると「うおー!」になる。

 精神がガルパン側に引き寄せられるというか、妙に感情移入してしまうのだ。観戦中、僕は何度か「うんうん、このシーンは興奮したな」とガルパンの思い出に浸った。いま思い返すと、たぶんそんなシーンはない。僕の記憶をガルパンと『WoT』が勝手に改ざんしている。

 来場者の多くはガルパンを見ているだろう。感動して泣いているだろう。“ガルパンで感動した”という共通体験が試合に華を添える。

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▲使用チームは国家戦と同様にくじ引きで決定。1戦目は聖グロリアーナ女学院チーム VS 大学選抜チーム。

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▲大学選抜チームの圧勝。

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▲2戦目も参加メンバーはそのままで実施。1戦目で負けたこちらのチームは最強クラスの黒森峰女学園チームに決定し、歓喜の拍手。

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▲対するこちらは知波単学園チームに。満面の苦笑い。

 2戦目のチームが決まった瞬間の盛り上がりはすごかった。仕込みじゃないかと勘繰ってしまうほどに。

 念のため説明すると、知波単学園は突撃戦法が得意な愛されチームである。『WoT』の戦車は性能ごとにランク分けされていて、黒森峰女学園チームの編成に正攻法で勝つのはほぼ不可能。ふつうにやったら絶対にマッチングされない組み合わせだ。

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▲知波単魂で突撃。

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▲そして返り討ちに。負けることが楽しくて盛り上がるってすごいな。

★★★プレイヤーたちの成長に立ち合う★★★

 変則ルールで盛り上がったあとは7対7カジュアルトーナメントの決勝戦。多くが即席チームとはいえ、こちらは真剣勝負だ。

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▲会場内のプレイ席で準決勝までが実施された。真剣に作戦を練る姿も。

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▲Let's Battle!

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▲『WoWs』はふだんからクランで活動している人たちが安定した戦いぶりを見せて優勝。

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▲『WoT』トーナメントでは強豪チームB-Gamingの元メンバーとして国際大会への出場経験もあるv_samo_vさん(右)が解説。

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▲なお、v_samo_vさん以外にもB-GamingやCarenTigerといったトップチームのメンバーも会場で雑談していたので写真を撮らせてもらった。

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▲『WoT』トーナメント優勝チームは連携が安定していたのでクラン参加かと思いきや、即席チームとのこと。

 『WoT』トーナメント終了後、国内トップチームのB-GamingとCarenTigerの混成チームと優勝チームによるエキシビションマッチが実施された。

 混成チームのメンバーは5人しかいなかったので、ふたりの運営スタッフがフォローすることに。さすがに不利かなー。

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▲トーナメント優勝チームの勝ち。うおー!

 なんとトーナメントで優勝した即席チームが勝ってしまった。こんなの興奮するしかないだろう。

 ハイレベルな試合ではほんの少しの綻びが勝敗に結びつく。ふたりの運営スタッフも平均以上にうまいはずだが、ひりひりする試合を戦い抜いたプレイヤーにはかなわなかったということか。

 そう、人は成長するのである。僕は『WoT』を通した7人の成長に立ち会ったのだ(適当なことを言いました)。

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 『WoT』の試合はランダムでマッチングされた15対15で戦う“ランダム戦”が主流だ。一方で、チームを組んで戦略を練り、トーナメントなどに参加すると別のおもしろさを味わえる。

 今回のエキシビションマッチにも出場したCarenTigerのAki00vくんたちは「チームバトルのおもしろさを広めたい」と考えていて、自分たちでトーナメントを主催している。

WoTユーザートーナメント公式サイト

 PCオンラインゲーム界隈では昔から「自分たちで何かしたい」と考えて動く若者をちらほら見かける。若さゆえの衝動をプラスの方向で発散しているのだと思う。これもゲームを通した成長のひとつだろう。

 こういう子たちが増えることはコミュニティーの活性化にもつながるはずだ。目を細めて見守りたい。

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▲今回のカジュアルトーナメントでチームバトルの楽しさに目覚める人がいたらうれしい。

 『WoT』や『WoWs』のイベント参加者を見ると、“おもしろがる力”が強いように感じる。あまり聞かないタイプの力だけど、ゲームで言えば隠しパラメーターみたいなものだ。なお、この力がいちばん強いのは箸が転がっても笑う女子なんじゃないかと思う。

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▲じゃんけん大会はいつも盛り上がり、負けると崩れ落ちるように悔しがる人もいる。全力。

 運営スタッフの“おもしろがらせようとする力”もなかなか高い。対戦企画のルールは適当に決められているのではなく、東京・原宿でのイベントを経て内容が微調整されていた。

 『WoWs』も『WoT』も世界展開しているタイトルなので、ふつうは他国での評判を鑑みたうえでイベントの構成を決めるもの。だが、こういうイベントをやりたがるのは日本くらいなので、自分たちでデータを溜めるしかないらしい。

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▲今後はコンソール版のオフラインイベントも開催していきたいそうだ。これは6月25日に実施されたコンソール版『WoT』講習イベントの様子。

 今後はもっと変則ルール作りに磨きをかけてほしい。『WoT』のジャンプチャレンジで飛んだ瞬間を撃ち落とすクレー射撃みたいな企画はどうだろうか。

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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