戦車で打線を組み、路線図を作ったらウケた『World of Tanks』

公開日時:2015-01-21 00:00:00

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▲がんばって作りました。

 ときどきメーカーさん主催のイベントや配信にゲスト出演している。

 仕事には違いないが、おしゃべり好きなので働いている感覚はない。たくさん出演すると「たいへんですね」と労ってもらえる。ご飯をたくさん食べるとほめられる子どもみたいでうれしい。

 基本的にはゲームの話が求められるのだけど、試しに『World of Tanks』(以下、WoT)イベントでゲームとは関係の薄い話をしたら、ウケた。

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▲『WoT』と無関係のネタを聞かされる来場者たち。かわいそうに・・・。

★『WoT』ユーザーにネタを披露

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▲会場は渋谷のライブハウス“eggman”。

 そのイベントとは、2014年12月12日に開催されたミリタリートークライブ“戦車にほえろ!”。前半はミリタリー全般、後半は『WoT』と『World of Warships』についてメディア関係者が語るというもの。

 僕の出番はもちろん後半だ。『WoT』は変わったイベントも行っているので出だしで過去の事例を紹介。その後、僕から「今後はこんなのどうですか」と提案する流れに。

 台本には「ユースケさん中心にゲームモードやおもしろいイベント系の話へ」と書いてあった。頼られるのは気分がいいが、すべったときのダメージがでかい。・・・ごくり。

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▲“戦車にほえろ!”リハーサルの様子。

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▲中村桜さんの衣装は軍装。

 僕以外の出演者は下記の通り。

中村桜さん(ミリタリー好き声優。本イベントのMC)
宮永忠将さん(ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザー)
柘植優介さん(戦車雑誌「パンツァー」編集者)
岩本孝太郎さん(総合軍事雑誌 月刊「丸」編集者)
有馬桓次郎さん(ミリタリーライター)
竹内修さん(ミリタリーライター)

 僕以外は全員ミリタリーに詳しい。来場者の客層はおそらく、

・『WoT』、『World of Warships』ファン
・ミリタリーファン
・中村桜さんのファン

 このどれかだろう。アウェイの空気をびしびしと肌で感じつつも、できれば全員に楽しんでもらいたい。笑わせたい。

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▲数々のミュージシャンを送り出した楽屋で出番を待つ。壁には多数のミュージシャンのサインが書かれていた。大丈夫だとは思うけど、書いちゃいけないことが書いてあると困るのでぼかしました。

 前半は車両や戦闘機、自衛隊のご飯の話などで盛り上がった。大量のご飯ネタを持ってきたのは月刊「丸」の岩本さん。たしかに丸は総合軍事雑誌だが、総合の意味が広すぎないか。

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▲ミリタリー部分はプロにおまかせ。

★強さではなく美しさを競うのはどうか

 前半は横からコメントし、いよいよ後半。僕の出番がやってきた。あらかじめ作っておいた画像を見せながら、『WoT』が飛躍するためのアイデアを提案していく。たいていの物事は真面目にプレゼンするとおもしろくなる。フリップ芸の一種である。

 まずはゲームモードの話。『WoT』では戦車を使ったサッカーやレースのモードが期間限定で実装されたことがある。単なるジョークではなく、本当に作っちゃうからすごい。

 Wargaming.netの高い開発力を活かせばゲーマー以外のファン層も開拓できるかもしれない。つぎに作るべきゲームモードはこれだと思うのだ。

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▲フィギュアスケートファンなんです。

 美しさを競うモードである。戦車でレースをする“タンクラリーモード”ではドリフトできたので、氷上でつるつる滑る動きも表現できると思うのだ。

 厳密にフィギュアスケートのルールに基づかないまでも、ジャンプやスピンでポイントを競うのは楽しいと思う。砲撃と体当たりで敵の演技を邪魔するのもアリだ。

 それに、フィギュアスケートはWargaming.netお膝元の東欧やロシアで盛んなスポーツだからという打算もある。有名なコーチのニコライ・モロゾフさんはベラルーシ代表として国際大会に出場している。エレーネ・ゲデバニシビリ選手については各自で検索してください。

★野球ファンを『WoT』に取り込む

 また、これまでとは違ファンう層を取り込むアイデアも考えた。新ゲームモードを作るのはたいへんだが、日本独自のキャンペーンなら実現の可能性も上がるはずだ。

 やはり、そのコンテンツをとことん愛してくれる人を味方につけたい。根強いファンの代名詞と言えばこの人たちだろう。

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▲僕は埼玉西武ライオンズファンですが、今年は広島東洋カープと千葉ロッテマリーンズにも注目しています。

 スコアブックをつけながらの野球観戦が趣味という人は意外と多い。この傾向はほかのスポーツにもあると思うが、野球ファンにはデータマニアが多い気がする(個人の感想です)。

 戦車も野球と同様に細かいデータについて語らうのが楽しいので、相性はいいと思うのだ。戦車の性能や役割に興味を持たせれば第一段階はクリアーしたと言える。

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▲日本の戦車で打線を組んでみた。

 その戦車がどういう役割を持っているか説明するには打線を組むのが手っ取り早い。「1番バッターは足が速い」や「4番はパワーがある」、「7番はつなぎとして重要」などと勝手に納得してくれる。

 3番と6番をあえて日本語表記にした点は気に入っている。ゲーム中ではそれぞれ“STB-1”、“STA-1”と表記されるが、英字表記だと外国人選手みたいに見えるから。

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▲1番と4番を助っ人外国人枠にしたかったのだ。1番はフランス、4番はアメリカの戦車である。

★鉄道ファンに『WoT』のシステムを理解してもらう

 愛情がすごいファン層といえば鉄道ファンである。ごくまれに過剰な愛がトラブルにつながる点を差し引いても、あの情熱は見習いたい。99%の鉄道ファンは良識的なわけですし。

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▲鉄道ファンだと同名の雑誌があるので、素直に“電車ファン”にしておけばよかったと後で思った。

 電車も戦車もでかい鉄の塊だ。電車のような乗りものが好きな人には、「戦車ってかっこいいよね」と言えば「たしかにそうだよね」と理解はしてもらえると思う。

 電車ファンには模型や写真を集めるコレクターも多いだろうから、『WoT』にコレクション要素があることを伝えたい。かっこいい戦車を集めて楽しく写真撮影できるぞ。

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▲Tier(ランクのこと)が低い戦車から順に開発することで強い戦車を獲得できる。

 上の画像は技術ツリーと呼ばれる画面だ。戦闘で貯めた経験値やクレジット(ゲーム内通貨)を使い、左側から開発していく。ひとつずつ右に進んでいくこの感じ、何かに似ていないだろうか。

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▲JR東日本の総武・中央線の路線図と比べる。

 そう、鉄道路線図である。そっくりだと思うが、何度も見ているうちに不安になってきたので「似てる!」のひと言で押し切った。似ていないと思う人は遠目から見ることをおすすめする。もしくはほんの少しだけ優しい心を持ってほしい。

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▲日本戦車の技術ツリーを路線図風にした。

 これはかなりウケた。みんなの深層心理には技術ツリーを路線図にしたい欲があるのかもしれない。このデザインでグッズを作るのもアりなんじゃないかと思う。

 ちなみに、“三式中戦車 チヌ改”はゴールド(課金通貨)で直接購入するプレミアム戦車だ。事前に“三式中戦車 チヌ”を開発する必要はない。支線を表現したかったのでこの形にした次第である。

★男性アイドルに夢中な女子を参考にする

 野球にしても鉄道にしても、男性ファンのほうが多い業界だ。『WoT』はすでに多くの男性ファンを獲得しているので、さらに高く羽ばたくには女性の支持を集めることが肝要である。

 ならばターゲットはF1層(20~34歳の女性)だろう。ゲームメーカーにとって喉から手が出るほどほしい部分である。ここを握れれば大きなアドバンテージとなるのは間違いない。

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▲戦車と人間の共通点を探すなんて初めての経験だ。

 そこで、女性ファンの多い某芸能事務所からヒントを探りたい。グループを組んで隙をなくすという点では戦車隊も男性アイドルも同じである。男性アイドルファンと同じ文化を作ればF1層の興味を引けるのではないか。

 なお、ここで参考にする男性アイドルのファン界隈では、好きなメンバーを“自担”と表現したりする。「自分は○○担当です」という意味だ。“推しメン”は女性アイドルに対して使われる言葉だが、こっちのほうがイメージが伝わりやすいかなと思ったので。

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▲男性アイドルファン界隈の文化をリスペクトする。

 男性アイドルのファンはうちわで自担をアピールする。これを『WoT』にも応用したい。誰に対してのアピールなのかは不明だが、つい僕もうちわを作ってしまった。これを衝動と言う。

 みんなで戦車名入りうちわを持ったら「アイドルなのかな」と勘違いする女子がいるかもしれない。宝くじで6億当たるくらいの確率だと思うが、信じることに意義があると思うのだ。

★ウケてよかった

 ミリタリーでも『WoT』でもなく僕の大喜利コーナーになってしまったが、そこそこウケたのでほっとしている。笑っている人以外見ないようにしていたので本当にウケたかどうかは分からない。

 ゲーム以外を主軸に据えるあたり、このトークライブはイベントとしてはテストケースだ。担当さんは多彩なイベントを開催したいと言っていた。また呼んでください。

 もっとイベントや配信に出たい。各社さんが僕にオファーしたくなるように、次回も出演実績について書く予定です。

(当初は「イベントや配信に出演する」というテーマで1本にまとめる予定だったけど、書いてたら超長くなったので2本に分割した。2本目も近々公開できるのではないかと思います)

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▲僕には「腹を抱えて爆笑したよ!」という声が聞こえてきた。

■料理のレシピを鉄道路線図っぽく表現してみる
↑路線図ネタはこの記事の影響を受けていることを否定できない。おもしろいので読もう。

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 2015年1月12日まで、アニメ『ガールズ&パンツァー』とのコラボイベント“World of Tanks Meets ガールズ&パンツァー 第二次秋葉原上陸作戦です!”が開催されていた。満喫しました。

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▲めんこを集めると景品と交換可能な“Wargamingコイン”をもらえる。狙っていたWoTタイツは品切れだった。

『World of Tanks』公式サイト

(C) Wargaming.net

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ファミ通グループでおもにPCのオンラインゲームを担当。企画記事を作るのが好き。
『まいにちがβテスト』は、ミス・ユースケがPCオンラインゲームで遊んだり考えたりしたことをテーマにしたブログです。タイトルには「つねにβテスト時のわくわく感を抱きながらゲームを遊び、実験的な企画もやっていきたい」という意味を込めていると、後付け設定的に考えました。

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