Secret Level 11: 『Selaco』ハードに迫りくる敵! 飛び散る破壊表現! 魔改造系レトロFPSの新星がついに登場

PCでアーリーアクセスが開始したFPS『Selaco』を早速プレイ。
文:BRZRK 編集:ミル☆吉村

公開日時:2024-05-31 23:00:00

 ドモー。「そういえばE3って無くなったんだよなぁ」と感じるこの季節、いかがお過ごしでしょうか? ……とか言ってるけど、6月と8月と9月は大規模な発表が続くので、熱い夏になりそうな予感がヒシヒシと。

 今回紹介するのはPC版のアーリーアクセスが開始されたFPSの『Selaco』(PC、公式サイト)。リリースに先んじて体験したので、担当編集のミルを召喚して語ろうってわけだ。

GZDoomベースでモダンな設計を入れまくった魔改造FPS!

BRZRK(以下、B) っていうことで『Selaco』なんだけど、一応ブーマーシューター(レトロ系のテイストを活かしたFPS)ってことでいいのかな?

ミル☆吉村(以下、M) ど真ん中に。FPSジャンルを確立した初代『Doom』(1993)のModとして開発がスタートしたらしいんですけど、一旦方針転換して、あらためてエンジン移植のGZDOOMをベースにした単体ゲームとして作られたのが本作になります。

B まぁ画面は本当に「モダナイズされたDOOM」って感じで、敵のグラフィックがスプライトで動いてたりするんだよね。GZDOOMを使ったゲームには敵キャラを3D表示する奴もある中で、あえて本作はスプライトでペラペラってのがニクイ演出。

M あくまで初代Doomの延長として魔改造してると。

レトロFPS『Selaco』

B このゲームがやっぱ力入れてるのは破壊表現だね。多くのオブジェクトだけでなく敵もぶっ壊せるのは気持ちがいいかな。

M ド派手に物が飛び散りまくるのは、Doomの超有名Modの『Brutal Doom』あたりの影響も感じられますね。ただあっちは血まみれ破片まみれになるけど、『Selaco』はそういうゴア表現よりも、弾丸による周囲のオブジェクトの破壊とかに力を入れてるという感じ。

B 『Selaco』は敵を倒しても飛び散るのは紫色の液体と申し訳ない程度の臓物くらいなので控えめだけど、オプションで液体量を増やすことは可能だった(笑)。

レトロFPS『Selaco』

M 銃ぶっ放してるとマズルフラッシュによる照り返しとかも結構激しいですよね。地下施設が舞台ということもあって暗めシーンが多めの中で、戦闘中はエグく光りまくってアガる。

B ライティングの反射表現やソフトシャドウとか今なら割と当たり前の表現も取り入れてたりでかなりカスタマイズされた感じだね。『Doom』からは結構後の世代のゲームだけど、『F.E.A.R.』からも影響を受けているというのはわかるかな。

 ただ、古いエンジンのカスタムってこともあるんで、変に負荷がかかる場合もあるよ。特に破壊されたものを永続的に残す“Permanent Destruction”や“Permanent Gore”がオンになってると場合によっては重くなるかも。

レトロFPS『Selaco』

ゲーム難度は結構辛めだが、そこには意味がある

M じゃあ難度としてはどうなんでしょ。

B ぶっちゃけ難しいよこのゲーム。敵がアホみたいな精度で攻撃してくるし、その勢いは昨今のゲームには見られない激しさがある。だから、戦闘中に気を抜くとすぐ倒されちゃうね。何度自分が死ぬ演出を見たかわからんよ。

M レトロFPS的な、エリアに足踏み入れたら敵が周囲からドバっと出てくるようなシーンもありますからね。足止めて目の前のやつから順番に撃ってるだけじゃ間に合わなかったりする。

B 初代『Half-Life』で敵として特殊部隊が出現するじゃない? で、あいつらクソ激しい攻撃してくるんだけど、『Selaco』の敵はあれの1.5倍増しくらいのアグレッシブさでで攻めてくるから。

 じゃぁそんなイケイケで攻めてくる敵にどう対抗するかっつーと、道中で手に入れた武器はアップグレードできるんよ。マガジンサイズを変えたり、ダメージを上昇させたりといった感じで。ぶっちゃけそれ前提のバランスじゃないかと思うんだよね。

M ちょっと前のゲームですけど、『バイオショック』みたいなRPG的な強化要素を利用してナンボになってると。

レトロFPS『Selaco』

B そう、で、強化は探索や戦闘と紐付いてんのよ。性能強化は敵や探索から手に入る“ウェポンパーツ”を使って行うんだけど、マップにはそれとは別にグレネードランチャーをロケランに変えるキットとか(モディフィケーション)も隠されてる。こういうのをキッチリ探して、強化して、また探索してってサイクルが成り立ってる。

M それはいいっすね。レトロFPSってシークレット見つけても、弾とかシールドとかヘルスとか、別にユニークではないものが手に入るだけだったりしますからね。

レトロFPS『Selaco』

B マップ間を行ったり来たりできるような作りになってるんだけど、それもやっぱ強化とかが関係してる。序盤マップの最初は行けなかった場所に、セキュリティレベルの高いカードとかを手に入れてから戻ると、やっぱ何かしらが置いてあったりするのよ。

M あー、そのへんもやっぱり『Doom』というより、もうちょっと後のゲームのエッセンスをぶっこんできてるって感じですね。サバイバル系のゲームとか、メトロイドヴァニアみたいなマップの回遊性というか。

B マップが単に使い捨てじゃないし、戻って探すことにもちゃんとメリットを持たせてるから、探索の楽しさがかなり感じられるかな。まぁそれでもシークレットが見つからなくてイライラすることはあるけどね!

レトロFPS『Selaco』

テキスト読解とか道探しで気合を求められたりも

B っていうかマップがデカいのはいいんだけど、進行しなきゃいけない所を見落とすこともあったし。ストーリー上の目標は出せるけど、指し示してるものがどこにあるかマップに出してくれたりするわけではないからね。

 それに、そのあたりのヒントは各所のデータパッドに書かれていることもあったりするんだけど、それらは現状では全部英語だし。多少慣れてる方だと思うけど結構キチーよ。で、もちろん情報が無いまま攻略させられるケースもあるので忍耐が試されてる感はある。「なんか昔はこんなゲームばかりだったな」って思い出したわ。

レトロFPS『Selaco』

M 仕掛けに気付かないとスタート地点からすら出られないゲームとかありましたからね。『Duke Nukem 3D』でなかなか屋上から出られないとか、『Blood』で墓から出られないとか。ところでアクション面はどうですか? 

B 独自アクションとしてスライディングが入ってるんだけど楽しいよ。敵にブチ当てて壁までふっ飛ばして硬直中にショットガンで粉々にしたり、滑ってる最中にジャンプすると遠くまで飛べたり、気持ちがいい移動ができる。

B でも前述したように、敵が遠くから正確無比な攻撃を仕掛けてくるから「スライディングでいい感じに攻められる距離」ってコッチも割とヤバいのよ。なんで意外と使いどころが限定されるかもね。プレイヤーのスタイル次第かもしれないけど。

M まぁそのあたりは何度かプレイしての慣れも込みって感じですかね。アーリーアクセス版ということで、現状でのコンテンツ量はどうなんでしょ。

B シークレットの探索をするために行ったり来たりしながらだけど、クリアーまでは10時間半くらいだったかな? 充実してて楽しかったよ。ただ、すげー盛り上がりそうなところで「チャプター1終了」みたいな終わり方をしてくれやがるのはちょっと許さない。

レトロFPS『Selaco』

M 現状のアーリーアクセス版はあくまでチャプター1部分だけなので、そこから先はしばらく待たないといけないと。

B そう。今後、追加のエピソードを出すって話なんで“アレ”と戦わせて欲しいよ。劇中でさんざん匂わせてたんだからさ!

 敵の攻撃とか配置を入れ替えるランダマイザーモードとかも予定しているみたいだし、きっちり仕上げていって欲しいところ。あとGZDOOMは日本語対応しているはずなので、できればローカライズして!

M GZDoomベースで魔改造した全盛りレトロFPSとしてベースはすでにちゃんと仕上がってて、後は磨き上げとコンテンツのさらなる拡張と。

B そうそう、オールドスクールなFPSのファンが喜びそうなイースターエッグがいくつかあるんだけど、id Softwareのゲームに出てくる“Dopefish”とか『DukeNukem 3D』のマップのオマージュとかあったりでシビレタね。そういうのを探して探索するのも楽しいんじゃないかな?

レトロFPS『Selaco』

------
著者近況:スマホ買い替えたいなぁ

この記事の個別URL

BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)