E1M3: 俺達の好きなあのニンジャが帰ってきた、けど……『Shadow Warrior』(2013編)

公開日時:2013-12-20 00:00:00

 ドモー、BRZRKです。いやー、普段はオススメをしているゲームを書いている本ブログですが、今回は正直なところ苦々しい顔をしながら書いています。
 扱うタイトルは、E1M1E1M2で紹介した『Shadow Warrior』の続編というか再定義版。正直、この原稿を書くのも本当はイヤイヤな部分があるんだけど、こういう見方をする人もいるって程度に読んでもらえればなと。

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▲というわけで今回は本連載の第1回で扱った怪作『Shadow Warrior』のリブート版。


 この新しいShadow Warrior(以下、新SW)なんですが、旧Shadow Warrior(以下、旧SW。リマスター版が発売中)の物語のプロットは基本的に無視。もう、パラレルワールドかよ! って思うくらい全然違う世界になっちゃって唖然。

 例えば旧SWは、ジラ・エンタープライズの社長であるマスター・ジラが闇の世界から召喚した化け物を使い、日本征服を企んでいるという物語だった。
 本作は基本的な設定を踏襲しつつ、時代をサイバー老忍者ロー・ワンの若かりし時代へと設定(誰得だ)。そこに異界での出来事とか、新キャラクターなどをぶっこんで煮てみたという感じなのが本作。

 キャラクターの成長システムや武器の拡張など、新たな要素を取り入れ、現代風に再定義された本作なのだが……。ぶっちゃけ俺には全然面白いとは思えない代物。

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▲銃とカタナとニン=ジツを使っていっぱい出てくる敵を倒すゲームです。

 というのも新SWは、トリガーハッピー系のFPSとでも言えばいいだろうか、『PainKiller』や『Serious Sam』シリーズのように、少し進んでは大量の敵が出現、というのをひたすら繰り返すだけになってしまい、定期的に出現するボスにも、撃ちまくっていれば余裕で勝ててしまう。正直、こういったタイプになっちゃうと作業感が強すぎてどうにも面白く感じない。つかめんどい。

 ゲーム中もストーリーで盛り上げさせようと、様々な工夫を凝らしているんだけど、違うんだよ。これじゃShadow Warriorじゃねーんだよ。これじゃShadow Warrior風PainKillerでしかないんだわ。
 割とストーリーはどうでもよくて、3D Realmsの下品な冗談でゲラゲラ笑ったり、下ネタ満載の主人公のセリフで吹いたり、完全に間違っちゃった日本文化を見てニヤニヤしたり、すんげー見つけにくいシークレットを探したりといった旧SWの楽しみが全然ない。

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▲そりゃ主流のFPSと違って、グラが突然古くなるシークレットステージや小ネタの仕込みもないわけではないのだが。

 俺はオールドスクールなFPSにのっとったShadow Warriorを求めていたのであって、PainKillerを求めていたわけじゃないんだよね。
 それでも、旧SWを彷彿させるような仕掛け(ウサギの交尾、アニメ調の女性とか)があったりと、旧SWのファンをなんとか満足させようとしているのだけど、果たして納得できたのだろうかと疑問に思う。

 あとマルチプレイが無いのは本当に残念。
 まぁ完全に俺のワガママであり、老害的な発言でしかないけどさ。結構がっかりした訳ですよ。

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▲変な日本語も健在、だが……。

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▲旧SWに出てきた駅風ステージなんかもあったりするけど。


 で、代わりに凄く笑ったのがオマケで付属してきた『Viscera Cleanup Detail:Shadow Warrior』というゲーム。
 気付いたらSteamに登録されていたので、なんだろうかと思って起動してみたんだけど、本編よりこっちのが面白いんじゃねーかと思う始末。どんなゲームかとりあえず紹介すると、本編の序盤でロー・ワンが大暴れした建物の清掃をする内容だ。

 周辺にはバラバラになった遺体、血で汚れた壁や床があるので、それをモップで片っ端から綺麗にするという単純なルール。
 が、落ちている肉片を落とそうものなら床が再度血まみれになるし、肉片はちゃんと焼却炉に入れなければならないという、ストレスフル仕様(もちろんわざと)。さらに、血だまりを踏んでしまうと靴の裏に血液が付着し、足あとが地面にクッキリと残る。これもまたモップで綺麗にしなければならない。

 で、血液を消し去るためのモップも使い続けていると真っ赤に汚れてしまうのだけど、定期的に水で綺麗にしなければ、付着した血液がさらに床を汚す酷い具合。
 ゲラゲラ笑えるんだけど、10分も遊んでいるとストレスで顔が般若に。これを完璧にクリーンアップ出来る人はいるのだろうかと、若干疑問に思う次第である。

 ちなみに、このオマケゲーには元ネタがあるんだけど、その名もズバリ『Viscera Cleanup Detail』。どういうゲームかというと、宇宙船の中で行われたエイリアンとの戦いの跡を綺麗にクリーンアップするというもの。
 というか要するに、この『Viscera Cleanup Detail』のゲームの中身がそのまんま新SWのステージに置き換わえたのが『Viscera Cleanup Detail:Shadow Warrior』だったりする。オリジナル版はプロトタイプが無料配信されているので、年の瀬の長い夜に淡々と遊んでみるのはいかがでしょうか。

 とまぁ、こんな感じで新SWにはちょっと否定的な印象なんだけど、トリガーハッピー系FPSが好きな人にはそこそこ好評だったりもする。
 なので、SWを期待せず、トリガーハッピー系FPSという前提で遊ぶなら楽しめる人もいるんじゃないでしょうか。僕は旧SWが好きで期待しすぎたせいか、ゲーム内容とマルチプレイの欠如でかなり落胆しましたが。


※この記事は英語版をベースに書かれたものです。日本語版はMagino Driveで配信中です。

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)