E2M1: ロードキル上等! イギリスが生んだ最凶レースゲーム『カーマゲドン』

公開日時:2013-06-05 00:00:00

 ドモー、BRZRKです。ちょっと記事のアップが遅れて申し訳ないという感じです。最近は次世代機のニュースがチラホラと出てきてますが、それよりも最近衝撃的だったニュースは、Episode1で2度に渡って紹介してきた『Shadow Warrior』の新作が先日発表されたことでしょうか。年内に発売予定と言われているので、コチラも時期が訪れたら扱って行きたいと思う次第。


 さてさて、そんな感じで今回俺が紹介するのは、前回の予告でも紹介したこのタイトル!

CARMAGEDDON』(以下、カーマゲドン)。

 名前の由来はクルマのCAR、プラス終末戦争のARMAGEDDONという、なんとも黒々とした感じ。もしかすると、スペルは違うけど、業という意味を持つKarmaも含まれてるかもね。

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編集部より:見ての通りPCゲームが今よりもっとフリーダムだった時代の邪悪でグロでゴアなゲームなので、やな予感がした人はこの辺で止めといて下さい。いいですか、止めましたからね。

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 んで、どんなゲームかと言うと、まぁ早い話がレースゲーム。プレイヤーは、レースが始まった時点で持ち時間が設定されていて、この時間が切れる前に規定回数周回してゴールを目指すという、アーケードタイプのルールを採用している。ただ、一般的なアーケードタイプのレースゲームの場合、チェックポイントを通過すれば持ち時間が増える仕組みなんだけど、カーマゲドンでは一切増えない。

 普通に周回しようとすると、持ち時間とラップ数的に不可能なんじゃないかってくらい困難(挑戦したことないけど)。じゃぁ、どうやって持ち時間を増やすの? つーと、参考動画を用意したので見て欲しい。

 はい。その辺に居る通行人を轢くと持ち時間がモリモリと増えていきます。さらに、コースによってはアメフトのスタジアムなんかに乱入することが可能で、もう血肉が飛び散る惨状が繰り広げられることに。

 そうそう、コースには人間の他に牛も居たりします。この牛なんだけど、迫り来るクルマにビビって糞尿をまき散らす演出もあるんだけど、なんでわざわざそんなアニメーションさせているのかと、少々首をかしげてしまう。まぁそんなわけで、轢いてナンボなんですよ、カーマゲドンは。

 こんな感じで持ち時間を目一杯増やしてから周回すればゴールとなるのだけど、他にもレースに勝つ方法がある。カーマゲドンはレースゲームなので、敵車が当然存在する。  んじゃぁ、敵車を全部ぶっ壊せば残ったのは自分だけだし、ウィナーで勝利じゃね? ということで、敵車を片っ端から走行不能にしてもオッケー。むしろ、これがメインと言っていい。

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 敵車に体当たりをするので、当然自車もダメージを食らってベコベコになるんだけど、カーマゲドンではリアルタイムで車両を修理することができる。チェックポイントの通過時や、通行人を轢き殺したときに入るキャッシュを消費することで、レース中だろうと元通りの新車状態に戻すことが可能。恐らく、このゲームで最もエピックな要素はコレ。自分の車両がぶっ壊れるまえに修理して、バチバチと敵車を破壊しまくるべし。

 こんな感じで倫理観というか感性がネジ切れているゲームなんですが、プレイヤーキャラクターにも注目して頂きたい。まぁ、とりあえず画像を見てみよう。

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▲ちなみにANNA役の人は現在もスタジオに勤務中。いまだにお美しいです。

 プレイヤーキャラとして選べるMAX DAMAGEさんとDIE ANNAさんのお二人。MAX DAMAGEさんは目がすでに病気と言いますか、これまでに二桁以上を殺してそうな目をしている。ちなみに、この二人はゲーム中、ずーっと左上に表示されているんだけど、クルマと同期したリアクションをしてくれて、クルマにダメージを負えば「Bitch!」と叫び、速度を出し過ぎると「Whoaaaaaaaaaa!」と叫ぶ。かなりテンションが異常。


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 こんな感じでカーマゲドンは色々とアレな感じのレースゲーなんだけど、実は世界的にソコソコ有名なタイトルでアドオンや続編が発売されてたりもする。続編は『Carmageddon 2』と『Carmageddon TDR2000』が発売されているんだけど、今となっては日本国内だとどちらも入手が困難。こちらはいずれ入手に成功したら取り扱っていきたいところ。

 それなりのシェアがあったカーマゲドンシリーズは、実は海外だとPCだけでなく、家庭用ハードだとニンテンドー64向けにも移植されている。その名も『Carmageddon 64』と、そのまんまというか、非常に分かりやすいタイトル名(ただし内容は基本的にはカーマゲ2)。3D表示機能が強化されたハードでのカーマゲドン! ということで、海外のゲーマーから期待を集めていたものの、通行人がゾンビに置き換わり、轢いたときの血が緑色に変更され、さらに操作性やゲーム性の改悪っぷりが酷すぎたために不評を集める結果に。
 なんというか、残虐表現がほぼ皆無に改悪されたSFC版モータルコンバットをも凌ぐレベルだったんですよね。それがまぁ、カーマゲドンフリークにとっては許しがたいレベルだった模様。

 というのも、64版カーマゲドンを制作したフランスのTitus Interactiveは、任天堂64で発売され、今なお“64史上最強のク●ゲー”とも呼ばれている『SUPERMAN』を作成したトコロ。このタイトルに関してはYoutubeなどで“Superman 64 review”とかで検索して動画を見るといいかもしれない。レビュアーやプレイヤーの9割くらいが”Rings!” “Shit” “Rings!” “Piece of shit” “Rings!” “Fucked up” “Rings!” “Asshole!” “sucks!” “Period” “Rings!”といった感じで般若の形相よろしく憤怒しているので笑えます。

 あとそのほかには、海外のプレステ1でも発売されていたりする。こちらは64版に近い内容なんだけど、ゾンビからは赤い鮮血が飛び散るようになっているものの、やはり評判はあまりよろしくない内容だった。まぁ64版よりマシな評価ではあったんですがね。

 極めつけに、ゲームボーイカラーにも移植されているのだが、上空からの見下ろした視点のドット絵で、迫力もなんもあったもんじゃないという内容。まぁ、こちらも案の定、操作性が悪くて大不評。

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▲左側が2005年に突如発表されたモバイル版カーマゲ『Carmageddon 3D』、右が見事キャンセルされたGBC版カーマゲTDR2000。


 こんな経緯もあり、カーマゲドンというブランドは徐々に失墜。2004年にブランドオーナーであるSCiから『Carmageddon 4』の制作が発表されたものの、何の音沙汰もなくなってしまい、今に至るといった状況。もう、モラルハザードを起こした最凶最悪のレースゲームは世に出ない……かと思っていたのですが!

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▲血糊を注がれて笑顔のカーマゲ大将Nobby。制作スタッフのひとりであり、上の方のカメラテスト映像でMAX役とANNA役の収録の合間に映ってる人ですが、すっかりオッサンになりました。

 なんと新作『CARMAGEDDON:REINCARNATION』がオリジナルのデベロッパー、Stainless Gamesにより発表され、現在鋭意製作中とのこと! ちなみに、資金集めが芳しくなかったのか、途中でクラウドファンディングのKickStarterで資金を集めたりも(6200万ほどを集めて見事成功)

 で、オフィシャルが初代カーマゲドンと、新作の比較動画を公開しているのだけど、やはりゲームにおけるモラルハザードを徹底した通行人虐殺ゲームに仕上がっている模様! グッジョブ!

 また、これに伴いAppStoreやGooglePlayといった携帯端末向けのカーマゲドンも販売を開始!

iOS版の販売ページ / Android版の販売ページ(無料版もある)

 3Dグラフィックス部分は大幅にパワーアップされているものの、通行人などの処理はペラッペラなスプライト(超大事)のまま! 巻き戻し機能も実装されるなど、今風にパワーアップしたカーマゲドンが楽しめます! 値段もお買い得な価格なので、ゼヒゼヒゼヒ遊んでみて欲しい。

 「じゃぁPC版は?」ってことで、お馴染みのGoG.comで、初代カーマゲドンがアドオン付きで販売されている。こっちは値段が9.99ドルと割高なうえに、グラフィック等は1997年当時のまま。正直なところ、スマートフォン版のほうが手軽だしオススメなんだけど、オッサンゲーマーだったり、細かいconfigファイルを設定できる人、3DFXのグラフィックボードを現役で使っている人はPC版でもいいかも。

 さて次回ですが、PC版の初代カーマゲドンのアドオン、Splat Packを動画メインでちょこっと取り上げてみようと思う次第。基本的なゲーム内容は変わっていないので、簡単な感じになるけどね。

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)