E3M1: 犬とチョビ髭とFPSの黎明期『ウルフェンシュタイン3D』

公開日時:2013-07-25 00:00:00

 いやー、カーマゲドンの続きを書こうと思っていたのだけど、続編を入手できそうになったので予定を変更することにしましたBRZRKです。いやー、最近熱い日が続いてますけど熱中症とか皆さん注意してくださいね。

 カーマゲじゃないなら何やんだよ! ってことなのですが、とりあえず最新作『Wolfenstein: The New Order』が開発進行中の『Wolfenstein 3D(ウルフェンシュタイン3D)』を取り扱ってみようと思う。
 ちょいとFPSを触った事がある人ならば、FPSというジャンル(ファースト・パーソン・シューターの略、ファーストパーソン・シューティングじゃないよ、こっちは和製英語で、俺としては到底受け入れられない表記)を開拓した伝説的な作品だとピンと来るだろう。実は、このWolfenstein 3Dって実はシリーズの3作目だったりするんだよね。


 その記念すべき1作目はMuse softwareという会社から1981年に発売された『Castle Wolfenstein』。驚くことに、敵に出来るだけ発見されないようにWolfenstein城の奥深くへと忍び込み、破壊工作を行うというのがテーマのステルスゲーム。Apple IIやCommodore 64で発売された作品なのだけど、さすがに今の御時世でこのタイトルを遊ぶ環境は構築することができないので、筆者は遊ぶ機会がナシ。いやー、残念でございます。

 そして、2作目は1984年に発売された『Beyond Castle Wolfenstein』だ。基本的な内容は1作目と同じで、Wolfenstein城の中にある防弾チョッキやグレネードを集めながら破壊工作を行うことになる。

 そんな感じでサラッと最初の2作について触れたけど、動画を用意することすら難しいので、Youtubeとかで“Wolfenstein Apple II”とかで検索してみると実際の映像を見ることができるのでぜひご視聴あれ。
 グラフィックがなんというか、いかにもベクターグラフィックスというレトロ感あふれる画面が愛らしいと感じるんじゃないかな。また、ゲーム内でドイツ語の生声を流していたりと、関心させられる出来。

 1作目と2作目と、当時の極小とも言えるゲーム市場の中でも大ヒットと言える結果を残したMuse Softwareなんだけど、やがて資金繰りが悪化して1987年に会社を閉じてしまうことに。この辺の詳しい経緯は不明。


 この5年後の1992年に伝説的作品となるFPSのWolfenstein 3Dが世に出るわけなんだけど、実はid softwareはMuse Software社からIPを買い取っていない。で、ここからは筆者の推測というか、勝手な想像を並べてみた。

仮説1:id software社の天才プログラマーであるジョン・カーマックが、リアルタイムで擬似3D空間の表現を可能にした時、Apple IIでメチャクチャ遊びまくったCastle Wolfensteinを3Dで作ってみたくなった。が、Muse Softwareの閉鎖と同時にCastle Wolfensteinの権利も消滅していた。そこで、Wolfensteinというタイトル名を残し(作品へのリスペクト)つつ、3Dを付けて発表した。

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仮説2:擬似3Dを利用したゲームを作成していたところ、コンセプトがCastle Wolfensteinに似ていたため、リスペクトを込めてタイトル名をWolfenstein3Dにした。

 といった感じなんじゃなかろうか? 正直、この当時の状況を知るには古参のid software関係者にでも聞かなければならないので、なんつーか想像の世界でしか無い。そういった機会に恵まれたいものである。


 まぁそんな感じで世に登場するのが伝説となったWolfenstein 3Dになるわけです。で、このWolfenstein3Dは、現在のFPSとは少々ゲームのシステムが異なっているので、箇条書きにまとめてみようと思う。

・上下の視点操作がない
・スコアがある
・残機制

 といったところ。上下に視点を操作できないっていうのは、高低差のあるマップが存在しないので問題ないけど、昨今の視点をグルグルと動かせるゲームに慣れている場合は違和感が凄く感じられるはず。

 どんな感じか実感沸かない人もいると思うから、動画を撮影しておいたんでそちらを。敵が3Dモデリングではなく、スプライトで表示されているのがなんとも言えない味を出しているよね。可愛らしさすらある。

で、スコアと残機制なのだけど、これはアーケードタイプのゲームだからと言ってもいいかもしれない。マップ上に隠されている財宝とかを集めていくとスコアがたまり、残機が増えたりする。マップ上に残機アップアイテムがあることも。

 で、敵に倒されると残機が減るだけでなく、所持していた武器をロストするという結構な鬼畜具合。後半になればなるほど難しくなるんで、ミスが命取りになりやすいかな。

 敵兵士はドイツ軍の兵士や軍用犬だけでなく、アドルフ・ヒトラーも登場(そんな関係でドイツでは思いっきり高レーティングだし、当時日本で出たスーファミ版もいろいろとカットされまくり)。
 まぁその他もちょろちょろと登場するんですが、ヒトラーの見た目が凄い。どう凄いかっつーと、もう動画で見てもらったほうがいいと思うのでOpenGL版(有志が作成したOpenGL対応版のWolfenstein3D。ドットっぽくなくなって味が薄れまくっているけど、高解像度化されていたりと、遊びやすさは段違い)だけどご視聴あれ。

 はい。今回は画像をあんま用意しないで動画メインになった感じでWolfenstein 3Dについて語ってみた。ゲームとしては物凄く古臭いのだけど、FPSというジャンルの開祖として遊んでみてはいかがだろうか?
 ちなみに、続編のSpear of Destinyというのもあるのだけど、個人的にあんまり好きじゃないので、そっちはちょっとヌキで、次回はQuake3エンジンを使用したReturn to Castle Wolfennsteinを取り扱おうと思う。

 と、なんだか中途半端な感じだけど、実は僕のメインPCが落雷で被害を受けたのでご勘弁。とりあえず、次のPCパーツはAmazonでポチったの、早いうちに組み上げたいなぁ。


(編注:『ウルフェンシュタイン3D』は、その20周年を記念して、Flashゲームとして公開されている。

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)