『
KOF XV』クリエイターインタビューの連載第3回。今回は、グラフィックのうち、キャラクターのデザインやアニメーションを司るデザイナーチームに直撃した。
公開日時:2022-03-25 10:45:00
『KOF XV』クリエイターインタビューの連載3回目。今回は、グラフィックのうち、キャラクターのデザインやアニメーションを司るデザイナーチームに直撃。アートディレクターの指揮のもと、キャラクターの造形を統括するキャラクターデザイナー、動きを担当するアニメーター、エフェクトを生み出すVFXアーティスト、そして実際にゲームに反映するプログラマーといった面々がスクラムを組んでビジュアルが構築されていく。
前回に引き続き、制作全体を統括するおぐらえいすけ氏、空中海人氏にもご登場いただき、アートスタッフに本作だからこその苦労話や、見どころなどをうかがった。
※ソフト発売時期に取材した内容をもとに記事を制作しています。
おぐらえいすけ氏(写真左)
クリエイティブディレクター。バトルやグラフィックなど、ゲームプレイに関わる部分をすべて指揮する。
空中海人氏(写真中央)
ゲームディレクター。制作の管理がおもな業務で、バトルシステムを考案するといった作業も行う。
天野祐輔氏(写真右)
アートディレクター。グラフィックチームの作業管理に加え、ゲームグラフィックの監修などを行っている。
ナカタトモヒロ氏(写真中央)
メインキャラクターデザイナー。本作に登場するキャラクターグラフィックのもととなるデザイン製作を担当。
生田和啓氏(写真左)
VFXアーティスト。キャラクターモデル以外の、光や炎といったエフェクトの制作業務をおもに行っている。
ジム・ブルマー氏(写真右)
プログラマー。グラフィックをゲームに落とし込むためのプログラミングや、ゲームエンジンの拡張を行う。
清水俊介氏(写真なし)
リードアニメーター。キャラクターモーションの制作とクオリティーチェックなど、アニメーションに関わる部分を制作。
キャラクター制作は土台、本番モデルの2段階で!†
――まずは、キャラクターやモーションを制作する作業の流れを簡単にお教えいただけますか?
天野 まず最初にキャラクターのデザインを起こし、それをもとに3Dモデルを作成します。この段階の3Dモデルはまだ仮のざっくりしたものです。この仮モデルは、いわばこのさきの作業の土台になるもので、キャラクターのサイズやシルエットといった基本の骨格の部分を決めていきます。同時にデザインの方針もここで決定します。
――土台構築の段階だけで、すでにけっこうな数の作業がありますよね。
天野 ええ、そうなんです。これらを踏まえて、ようやく本番モデルの制作が始まります。キャラクターのモデルを細部まで作り込んでいく作業と同時に、キャラクターの基本モーションもここでつけていきます。モデルとモーションの素材がひと通りそろったら、ゲームに実装してデザインや動作の確認を行います。さらに、キャラクターの動きに合わせて表示されるエフェクト(視覚効果)をここでつけていきます。
――ここまで進むと、キャラクターのデザインはかなり最終形に近いものになっているんですね。
天野 そうなんですが、まだ大事な作業が残っています。この段階で各技のモーションの調整をしなくてはなりません。技まわりの細かい動きをつける作業は、我々アートチームから企画チームにバトンタッチします。具体的には、想定したアクションに合わせて、使用するモーションの設定、モーションの再生スピードや技のリーチなどの設定が行われ、また必要に応じて各アートチームと協力してエフェクトのサイズやモデル、モーション自体の微調整も行います……と、以上がキャラクター制作を担当する僕らの作業進行ですね。
――工程は結構ありますね。もっとも源流の部分となるキャラクターデザインは、おぐらさんやナカタさんが担当されているんでしょうか?
おぐら 厳密には誰が担当というのではなく、みんなで固めていく感じですね。新キャラクターに関して言うならば、まず最初に企画チームのみんなでどういうキャラクターにするかを考えます。そして、その案に沿ったデザインラフをチームのみんなで出し合います。ここで方向性を整理して固めて、ナカタがブラッシュアップ。最後に私がチェックをして決定という流れです。
細かいアレンジが施された従来のキャラクター†
――従来のキャラクターはデザインが変わっている者もいます。どのような方針で決めたのでしょうか?
おぐら 従来のキャラクターに関しては、起用が決まった最初の段階でコスチュームを変更をするか、従来のデザインを維持するかを決めました。その後、デザインの方向性や細かい部分をじっくり詰めていきましたね。
――変わっていないように見えるキャラクターでも、よく見ると細かい部分が変わっていたりしますよね。
おぐら そうなんですよ。じつは細かい部分もちょこちょこと変えています。
――アテナのコスチュームには、新作のたびにファンの期待と視線が集まる重要なポイントだと思います。こだわった部分や狙いがありましたらお聞かせください。
ナカタ 作業の流れは、新キャラクターのデザインと同じでした。まず最初にテーマを限定しないで、自由にアイデアを出してもらいました。もちろんアテナですから、提出された案の中には制服、アイドル風の衣装、道着風といったおなじみの路線の案もあがりました。でも、前作がセーラー服でしたからね。私は「そこから少し変えた方向性にするのがいいのでは?」と思い、おぐらさんに提案しました。
――定番をあえて外したんですね。
ナカタ ええ。その結果、アイドル要素も取り入れつつ、同時に拳法要素も表れる方向のスタイルでまとめることにしました。さらに、髪型は思い切ってショートにしています。
――このショートヘアのアテナが最初に発表されたとき、かなり反響があったと思いますが、どう受け止めましたか?
ナカタ SNSのコメントを見ると、「今回の髪型はかわいい」といった好意的な声を多くいただいました。こういう反響を見ると、思い切ってチャレンジしてよかったなと思いますね(笑)。
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――SNS上では「コスプレしたい」、「イラストを描きたい」という声も多く見かけました。コスプレをするときの“映え”を意識してコスチュームのギミックをつけ加えることは実際あるのでしょうか?
ナカタ コスプレに関して特別意識している部分はありませんが、あまり凝りすぎたギミックを加えると、イラストでは描いてもらえないこともありますので、そうならないような意識はしています。アテナやシェルミーをお披露目したときは、さっそく多くのみなさんがイラストを描いてネットで発表してくださって、その反響の大きさに開発陣一同は大喜びでした。
――シェルミーの話題が出ましたが、久々のオロチチームの出場に注目をする人も多いと思います。社、クリス、シェルミーのデザインで意識されたポイントがあれば教えください。シリーズを長くプレイしている人を筆頭にオロチチームのファンは多いと思いますし、久々の起用にプレッシャーはなかったですか?
ナカタ ええ。おっしゃっていただいたとおり、オロチチームの面々は多くのファンに支持されているキャラクターですので、もちろんプレッシャーはありました。デザイン上で意識したことは、もともとのキャラクターイメージのいいところを残しつつ、本作ならではの新しさを考えながらデザインし直しています。この変化のバランス感が苦労したところですね。もっとも変わっているのはシェルミーかもしれません。
フィーリング優先で発展させた新キャラクターのデザイン†
――新キャラクターのイスラ、ドロレスのデザインについてはいかがでしょうか? とくに気になっているファンも多いと思います。
おぐら イスラとドロレスに関しては、最初のキャラクターコンセプトの部分は私の案が元にはなっていますが、最終的には『SAMURAI SPIRITS』のメインデザイナーを務めた佐治がまとめてくれたデザインなんです。この2キャラクターに関しては、何度も修正を重ねてこのデザインに辿り着きました。
――つまり難航した、と。
おぐら ええ。ドロレスは、初期段階でナカタが考えた衣装のデザインがよかったので、これを生かしていこうという方針で固めていきました。露出の具合が絶妙な感じでよかったんですよ。そのうえで、佐治に顔や髪型のデザインの詳細を決めてもらいました。佐治は、女性らしいファッション感覚と繊細なデザインセンスの持ち主ですから、イスラ、ドロレスの仕上げに関しては彼女に任せました。
――ファッションはどのような方向性をイメージしていたのでしょうか?
ナカタ イスラはもともと企画チームが作ったキャラクター設定では、不良っぽいイメージコンセプト、ドロレスは民族的な感じのコンセプトがありました。そこから発展させている感じです。
おぐら じつはキャラクター設定よりフィーリングを優先した部分が大きいんですよ。たとえば、イスラの特徴であるスプレーアートでいうと、じつは設定よりもデザインイメージがさきに決まったんです。シュンエイのキーアイテムがヘッドフォンだったので、イスラにも何かつけたいという発想で。そこで、ガスマスクをパッと描いて、さらに連想を広げて、スプレーアートはどう?……という流れで決まりました。
――イスラに関してはアマンダもいますね。
おぐら 殴る攻撃は全部アマンダにさせようと、最初の段階で決めていました。前作『KOF XIV』でバースをデザインしたときは、バース本体にはずっと腕組みしていてほしかったんですよ。殴る攻撃はもうひとつの腕にさせるつもりで。しかし、その案が没になってしまいました。今回のイスラで、そのリベンジを果たせた形です(笑)。
新たな表現にも挑戦したエフェクト†
――対戦格闘ゲームではエフェクトも戦いを盛り上げる大事な要素です。生田さんはそういったエフェクト制作を担当されたそうですが、どういった部分に気を使ったのでしょうか?
生田 エフェクト表現が強すぎると、対戦時の視認性に影響を与えてしまいますので、演出と視認性のバランスの取りかたに気を使いました。エフェクトの大きさで強弱の表現が変わるので、そういう部分も含めてうまく調整しています。
――『KOF XV』は全体的にエフェクトが派手でカッコいい印象があります。
生田 過去作ではエフェクトが出ないキャラクターもいて、インパクトが薄くなっているケースもありました。足元に煙だったり、衝撃波を出したりという表現を加えるだけでもキャラクターの動きを効果的に表すことができます。ほかでは、ドロレスの泥の表現やクーラの透明感を意識した表現です。形だけではなく、壊れたかたも自然になるようにしてます。
ジム プログラマーの立場からすると、クーラには半透明のエフェクトを採用していまして、その部分に苦労しました。これはシュンエイの幻影も同様で、いろいろと複雑なんです(笑)。
――なるほど。エフェクトの処理がたいへんだったキャラクターはほかにもいらっしゃいますか?
ジム イスラのアマンダです。ほかのキャラクターと制御の仕組みがまったく異なるんですよ。アマンダの手から炎のエフェクトが出ていますが、これがほかの部分に影響を与えがちなので、この処理は本当に苦労しました。
生田 一般的に、こういう常時表示のエフェクトは負荷がかかりがちなんですけど、過去にほかのキャラクターで同じような処理を行った経験があるので、うまく解決できたと思います。
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――エフェクト関連の見どころがあれば教えてください。
生田 本作のキャラクターは炎系のエフェクトを使うことが多いのですが、それぞれキャラクターのイメージにあわせたデザインにしています。また、形については過去のドット絵で描かれているものを参考にしながらアレンジを加えています。アッシュは唯一緑色の炎を使うキャラクターなので、作っていて楽しかったですね(笑)。
おぐら 『KOF XIV』と『KOF XV』では、エフェクト表現があまり変わってないように思う人もいるかもしれませんが、ゲームエンジンが異なるので作り直している部分が多いんですよ。いまお話したように、同じように見えるところでも、じつは表現がかなり進化しています。
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――続いてキャラクターのモーションについてお聞きします。キャラクターの基本的なモーションはどのように制作されているのでしょうか?
おぐら カットシーンについてはモーションキャプチャーで役者さんの動きを取り込んで作成していますが、技に関しては、すべて手作業でモーションをつけているんですよ。
――そうなんですか!? キャラクターごとにさまざまな技のモーションがありますが、企画チームから技ごとに指示を受けて作成するのでしょうか?
空中 基本的にはそうですね。まず最初に企画チームで動作設定資料を作って、各技の基本動作を決めます。ただ、企画スタッフはみんな絵が得意というわけではありません。「イメージしているものはあるけど的確に伝えられない」ということが起こります。そういうときは、アートスタッフが企画スタッフに話を聞きながら形にしていきます。でも、たまに「動きはアートの人にお任せします」といったオーダーや、「攻撃判定はこの場所に入れたいので、それに合う動きを作ってください!」という、いわば“丸投げ”な依頼をすることもあります(笑)。
――そういう場合、アートチームは悩んでしまうのでは?
清水 我々はいわば、かっこいいポーズやモーションを作る専門家です。ですから、たとえば「このあたりを蹴るモーションがほしい」というオーダーがあれば、キャラクターの設定から着想を得て、いい感じのモーションを何パターンか提案します。こういった動きのともなう部分は、アニメーターでないと提案できない部分も多いです。企画チームから多少無理と思えるポーズが上がってきても、それをきれいにつなぐように工夫するのが、アニメーターの醍醐味でもあります。
――なるほど。キャラクター表現に関して、誰よりも知る立場だからこそ言えることですね。
清水 動作資料ではきっちり動きの流れが決まっていても、よりよいと思うアイデアがあれば、こちらから提案することもあります。イスラなどは、最終的なモーションと動作資料とで細かく違っている物も多いです。もちろん、一度動きを作ったのちに、企画チームから修正してほしいという要望が出たり、こちらからもっとよくしたいからと変えることもあります。
――モーションを変更するとなると、当たり判定の修正を入れることもありますよね。そうなると、見た目だけの問題ではなくゲームバランスにも影響してくるから、かなり重要なお仕事ですよね。
空中 そこは企画チームの判断のうえで修正を行っています。企画チームとモーションチームで密に連絡を取りながら取り組んでいる部分ですね。
――このような企画チームとのキャッチボールを通じて、キャラクターのポーズやモーションが完成していくんですね。ところで、従来から登場するキャラクターの中には、モーションが変更された技もありますよね。この場合、何を根拠に変更を決めたのでしょうか?
空中 既存キャラクターについては過去作をもとにしていますが、対戦中にまったく使わない技が存在するのは単にもったいないだけになってしまいます。それだったら、少しモーションを変えてみようと思った次第です。たとえば、これまでのクーラのジャンプ弱Pと強Pはモーション自体が同じで、声の大きさだけ違っていたんです。でも、「令和の時代にモーションを流用するってどうなの?」という思いがあったので(笑)。
――そのほかに、技のモーション作業でとくに苦労したところはありましたか?
清水 エフェクトでも触れていましたが、イスラはさまざまなところで苦労しました(笑)。ずっとアマンダが出現していて、かつ本人はポケットに手を入れているので、ほかのキャラクター以上に考えることが多かったです。たとえば、過去にも登場しているキャラクターでは、山崎もポケットに手を入れていますが、彼の場合は片手だけで、ほぼ手を入れたまま。ここぞというところで手を出すくらいでした。でも、イスラの場合は頻繁に出し入れ、しかもそれが両手分なので、表現がたいへんなんです。
――ただ、モーションのつなぎは自然にしなければならないので難しそうですね。
清水 アマンダもたいへんでした。アマンダは骨格の数も意外と多くて、ほかのキャラクターと比較すると0.5体分くらいキャラクターが増える感じなんです。イスラが何かアクションをしている間は、アマンダはただフットワークしているだけではつまらないので、何か動きを考えなきゃいけない。意外とこれがたいへんな作業でして……。
――なるほど。アマンダも1体のキャラクターなわけですね(笑)。
清水 アマンダの動きを考えているうちに愛着が湧いてきて、かわいい動きをさせたいという思いが膨れ上がっていったんです。CLIMAX超必殺技の演出が終わったあと、破裂したスプレーの霧からイスラが出てきてかわいいポーズを取るところがあるんですけど、そこまでは絵コンテの段階で決まっていました。ただ、作っている途中でアマンダにも何かさせないといけないという感覚になってきたので、「上着の汚れをはらうような動き」をさせてみて、イスラとのチームワーク感が出るよう工夫しました。そんな風に、イスラはほかのキャラよりもだいぶ手間がかかっています。ですので、ぜひアマンダの動きと併せてよく見てほしいですね(笑)。
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中にはブッ飛んだ案も!? CLIMAX超必殺技の演出†
――見どころのひとつに、CLIMAX超必殺技の演出があると思います。これらのモーションはどのように作られたのでしょうか?
清水 最初は絵コンテやスケッチなどから発展させて作ることが多いのですが、何せキャラクター数が多いので、1週間で3キャラクター程度の案をみんなで考えて、またすぐ翌週に別の3キャラクターの案を……という流れで進めていきました。ひとつすごくいい案があってすぐ決まった場合もあれば、複数の案を合体させてひとつのものにしたこともありました。
――1週間で3キャラクター作ったとしても、相当な時間がかかることを想像できます。
清水 おもに演出のアイデア出しに時間をかけましたが、実際の絵作りにも同等の時間を費やしています。表情のアニメーションにもこだわりました。カメラ演出の表情は手作業で細かい部分も配慮して動かしています。ちょっとした表情の緩急をつけてまぶたが開いたり閉じたりと、パッと見てもあまりわからない細部にもこだわることで、人間味が出るんですよ。前作よりもかなり表情が豊かになっていると思います。
――とくに検討を重ねたキャラクターはいますか?
清水 テリーはずいぶん難航しました。一度決まるには決まったんですが、いざ実装というところでしっくりこないという声がスタッフ内で上がってしまい、イチから作り直しました……。テリーは根強いファンが多いキャラクターですから、あまり奇をてらいすぎるのも違うなと。ファンのイメージを考慮しながら練りに練ってできたものが、皆さんにご覧いただいている演出になります。スタッフの愛が籠っていますので、じっくり見てほしいですね。
――CLIMAX超必殺技の演出も基本的にはアートスタッフの担当なのでしょうか?
清水 アートスタッフに限ってはいません。企画やデザインスタッフで絵コンテを出し合ってアイデアを詰めていったんですけど、その中にはブッ飛んだ案もありました。たとえば、ダイナソーは相手をつかんだまま地面に潜って、化石の横を通過するみたいな案もあっておもしろかったのですが、よりよい案があったので今回は不採用となりました(笑)。いろいろと表現的な困難に当たることもありましたが、最終的に採用されたものはそれを乗り越えて作成したものです。
一部のアレンジコスチュームは動きも変化†
――キャラクターグラフィックで言うと、注目要素としてアレンジコスチュームがあると思います。こちらの制作についてはいかがでしょうか?
天野 アレンジコスチュームは、キャラクターの表情など流用部分もありますので、通常のキャラクターを作るよりはコストはかかりません。とはいえ、それなりに手間もかかっているのは事実で、だいたいキャラクター0.5体分ぐらいの作業コストでしょうか。ただ、テリーはコスチュームによって帽子をつかむアクションが変わっているので、そういう固有アクションがある場合はもう少し作業コストがかかりますね。
――コスチュームによって個別対応があるとなると、制作はたいへんそうですね。
空中 アレンジコスチュームを求める声も多数届いていますが、全キャラ分のアレコスを用意するとなれば、とても大きな作業コストとなります。そうなると一部キャラのアレコスのみ用意するか、もしくはその作業コストを使って新キャラクターを登場させたほうが、ファンのみなさんへのインパクトはあるのかなと思っています。
――本作ではカラーバリエーションも楽しみのひとつになっていますね。設定のポイントや意識されたところはありますか?
天野 まず、キャラクターモデルチームでカラーの候補を作りまして、その中からいいと思うものを私とおぐらで選定し、いくつかのカラーにはさらに調整を加えました。今回、何パターンかはユニークなものを入れています。たとえば庵で白と金を主体にしたカラーのものは、いい反響をいただいているので、試みとしてはよかったと思っています。
――天野さんから見て、もっとも“冒険した”と思うカラーはどれですか?
天野 各キャラクターにひとつは新しい試みとして入れたカラーがありますので、実際に見て想像してみてください(笑)。
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――最後に、ご自身が担当された部分で、ここに注目してほしいという部分を伺って締めたいと思います。
ジム プログラムでもっともたいへんだったのは、クーラの氷などの半透明表現ですね。また、格闘ゲームは60FPSをキープしなければなりません。そういった条件の中、一定のクオリティーを保ちながら60FPSをつねにキープするのはたいへんでしたが、最優先事項として取り組んだ結果、実現できてよかったです。
天野 イベントシーンでは、キャラクターの目にこだわっているので、その辺りを注目してほしいと思ってます。ここは、キャラクターの生きた表情が表れるように調整を行ってます。3D表現はどうしてもライトが決まった方向から当たるので、シーンによっては顔が暗くなってたり、目にハイライトがなく、生気を感じられない顔になってしまうこともあります。そうならないようにプログラマーに目だけ適用される専用のライトを作ってもらいました。これを用いて、シーンごとにキャラクターの表情が生きるように細かい調整を施しています。ぜひ実際にプレイしてチェックしてみてください。
ナカタ キャラクターデザインは従来のイメージは残しつつ、いまの時代に見てもかっこいい、かわいいというところをとくに意識しました。また、エンディングの作画も担当しているのですが、そこには今回出場していないキャラクターもちょこっとだけ出てくるので、ぜひ探してみてください。
生田 ドロレスの泥がいちばん苦労しました。技を出した時に地面から出現するんですが、開発途中では泥がうまく出てくれなかったり、変なところから出てしまったり……その調整にかなり時間がかかってしまいました。ですので、ぜひ泥に注目してほしいです(笑)。
清水 注目してほしいところは、やはり新しいキャラクターと新しいCLIMAX超必殺技、掛け合いなどの演出と、表情の部分ですね。さきほどお話したテリーの演出や、イスラとアマンダのチームワーク、既存キャラクターの追加モーションにも注目してみてください。