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『KOF』の未来を拓く者たち~『KOF 15』開発者インタビュー~第1回プロデューサー編
公開日時:2022-02-17 11:45:00
ついに発売日を迎えたSNKの最新対戦格闘ゲーム『KOF XV』。この記念すべきタイミングに合わせて、開発のキーマンたちにインタビューを敢行。複数回にわけて制作陣の声をお届けする。第1回は、チーフプロデューサーである小田泰之氏をはじめとしたプロデューサー陣にプロジェクトの全貌を伺った。
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小田泰之氏(写真中央)
『KOF XV』チーフプロデューサー。開発だけではなく、マーケティングに関わる部分も指揮する。本作におけるSNK開発スタッフの中心人物。
安部直人氏(写真左)
本作プロデューサー。現場のスタッフの開発の進行管理をおもに担当するほか、小田氏のサポートをするなど幅広く作業をしている。
ジョシュア・ウェザーフォード氏(写真右)
アシスタントプロデューサーを務める。並行して、おもに海外のマーケティングに関する業務も行っている。また、ゲーム内の英語表記の監修も担当する。
キャッチコピーの真意とは?†
――まず最初は、本作のキャッチコピー“SHATTER ALL EXPECTATIONS”についてお聞きします。この言葉は「すべての期待をうち砕く」とも直訳できることから「ネガティブな言葉なのでは?」という声も一部で上がっていました。しかし、そう捉えられることも承知のうえで、あえて採用した理由を教えていただけますでしょうか?
ジョシュア あえて刺激的な言葉を出すことによる話題性を意識しました。同時に、たとえネガティブな意味に捉えられたとしても、ゲームの内容で挽回できるという我々の自信も込めています。
小田 この言葉が意図することは、ポジティブな意味での“過去作の否定”です。ジョシュアが新システム“シャッターストライク”と絡めて考えてくれました。日本語のキャッチコピーは“すべてを超える”にしていますが、この言葉にも同様の思いを込めています。
――言葉に込めた開発陣の自信がうかがえます。
ジョシュア とくに北米では、ゲームのキャッチコピーの言葉がコミュニティー内の用語として、いろいろな場面で使われることがあります。さっそく使われているようで、そういう意味でも大成功かと思っています。
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小田 『KOF』というゲームの市場に関して言いますと、じつはプレイヤーの9割以上が海外という事実があります。
――えっ! そうなんですか? その数字は驚きです。
小田 そんな背景もあり、開発面でも販売面でも英語を用いたやり取りが増えています。その部分をジョシュアに携わってもらっているんです。
――確かに、海外市場を主としたゲーム開発の中心スタッフに、英語圏ネイティブの方がいるのは心強いですね。
小田 はい。昔の対戦格闘ゲームには、テキトーな英語でつけられた技名が多いじゃないですか(笑)。いまはそういった表記も、きちんとしたものにしなければなりません。そんなことから、新たに加わる技名や用語といった名詞関連は、ほとんどジョシュアに考えてもらっています。まずは、ジョシュアに英語表記を考えてもらい、そこから全言語に翻訳しています。この流れはNEOGEO時代の作りかたとまったく違うところですね。
ジョシュア たとえば、“シャッターストライク”は、最初にシステムそのものは決まっていたものの名称が決まっていなかったので、私が名称の考案を行いました。
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攻撃に防御にと、両面で活躍する新システムのシャッターストライク。 |
社内人員100人規模のプロジェクト†
――そもそも『KOF XV』のプロジェクトが始動したのはいつごろなのでしょうか?
小田 じつは『KOF XIV』の開発作業が終わった段階で、『KOF XV』を作ることは決定していました。ただし、その前に『SAMURAI SPIRITS』を出すことも決まっていたので、当面そちらの作業があったぶん実際のスタートはもう少しズレ込んでしまいましたが。
――次世代機の発売もある中で、『KOF XIV』での展開から『KOF XV』へスイッチするタイミングは難しかったのではないでしょうか?
小田 難しさはなかったですね。前作の流れでPS4にプレイヤー層のベースがあるから、PS4が元気なうちに出そうという考えでした。間を置かずに、なるべく早く『KOF XV』をリリースできればそれに越したことがないと。
――なるほど。それで開発がスタートしたのが『SAMURAI SPIRITS』のあととなると、タイミング的にコロナ禍に直撃したと思うのですが、その影響はありましたか?
小田 ええ、ありました。開発作業が2ヵ月近く止まってしまいました。
安部 まさにプロジェクトの立ち上げ時期で、もっともディスカッションが必要なときに、全社一斉に在宅勤務になってしまったのです……。いま思うと、そのころが開発作業でもっともしんどい時期だったのかなと。
――まだ誰もがオンラインでの仕事のやりかたに慣れてない時期ですよね。ちなみに、開発体制はどのくらいの規模なのでしょうか?
安部 社内の開発スタッフでいうと100人程度。このうち、常時『KOF XV』の開発作業に就いているスタッフは80〜90人くらいです。
――そんなにいらっしゃるのですね!
安部 外部スタッフなどすべてを含めると400人くらいはいると思います。
――対戦格闘ゲームは、どのくらいの規模で開発されているか知らないゲームファンも多いと思います。それにしてもすごい規模ですね……。
小田 じつは、うちの場合グラフィック関連のスタッフが多いんですよ。割合としては、全体の50%がグラフィックに携わるスタッフで占められています。その多さに驚かれるかもしれませんが、私自身もエンドロールをみて「長い!」って思いましたから(笑)。
――開発部門はどのように分かれていますか?
小田 大きく分けると、ゲームデザイン、プログラム、グラフィック、サウンドです。まず、ゲームデザイン部門は、仕様を決めたりバランス調整を担当します。つぎにプログラム部門はその名の通りプログラムを組むのですが、ゲーム本編、各ゲームモード、ネットワークなど、担当が細分化されています。そしてグラフィック部門は、キャラクターモデル、モーション、エフェクト、背景、UIを作る人で分かれています。最後にサウンド部門は、SEやBGMの作成、ボイス収録のディレクションなどを行っています。
――やはり大規模ですね。各部門の開発スタッフが一同に集まることはあるのでしょうか?
小田 前作『KOF XIV』の開発初期にはありましたよ。一軒の居酒屋にみんな入れる人数……十数人程度でしたので。
――ということは前作『KOF XIV』の開発が動き出したときは、そのくらいの人数だったということですか?
小田 いや、もっと少なくて、始動直後は5人くらいでした(笑)。
ーー本当ですか?(笑)。それはプロデューサーとディレクターだけという感じですね。
小田 ええ、そうなんです。僕と安部と3、4人でしたね。当時は、まず机を買うという段階からのスタートでした(笑)。
――そんな状態から現在の規模まで増えたんですね。ちなみに、『KOF XIV』と『KOF XV』の開発時はピーク時のスタッフ規模はどちらが大きいんですか?
小田 『KOF XV』のほうが大きいですね。理由としては、対応プラットフォームが増えていることが挙げられます。それぞれでネットワークやグラフィックの面で取り組まなければいけない作業が増えているので、その分開発規模が大きくなっています。
――『KOF XIV』では初の3D作だったので、そちらのほうがたいへんだったのかなと個人的には想像していたのですが、意外ですね。
小田 たいへんさの質が違うんですよ。『KOF XIV』は規模の小さなところからスタートして、少しずつ開発作業が増えていったのですが、『KOF XV』では最初からある程度大規模な体制で始めたので、その分が違います。
――それでは、実際にどのような流れで開発していくのかを教えていただけますか? 最初は企画を立てることから始まるんですよね?
小田 一般的な話として、作りたいゲームの企画があって、作れる人がいればゲーム開発はスタートできますが、まず最初は社内の検討からですね。小規模なカジュアルゲームの開発であれば、好きなように作れることもあるかもしれませんが、会社ですから当然事業として取り組むことになります。ですから、「作っていいですよ」と会社から承認を受けるまでがたいへんなんです(笑)。
――そこは小田さんたちプロデューサー陣が承認を受けられるように、ゲーム内容やプロモーション案をしっかり詰めていくんですね。
小田 ええ。承認を受けたら、企画書に従ってゲームの仕様を決めていきます。その仕様に基づいたプログラムとデータを作り、トライ&エラーをくり返して、プロトタイプが出来上がったら、ようやく実制作が始まります。
――仕様の詳細を固めるのは、ゲームデザイン部門のディレクターの役目ということに?
ジョシュア そうです。ディレクターが各部分の仕様をまとめて方向性を決めたら、私たちプロデューサー陣がチェックして調整します。そして、実制作へ……と、このような流れで制作を進めます。これはキャラクター、ステージ、BGMと、どんなパートであっても同じです。
小田 とくに『KOF』のようなシリーズものの場合は、キャラクターが重要なコンテンツになります。どんなキャラクターを起用するか、どういったデザインにするかということについて、現場のクリエイターがベストと思うものを提案してきても、それがプレイヤーさんが触れる商品としてはベストであるとは限りません。
――商品としてふさわしいかどうかの見極めをしなければならないのですね。
小田 デザインだけではなく、メンバーの男女比であるとか、さまざまな問題をひとつずつ解決していかないといけません。最終的には「これだけのキャラクターがいたらファンも納得いくよね」と、開発メンバーが納得する段階までディスカッションして突き詰めて、ようやくキャラクターが決まっていきます。
ジョシュア 私はまだ開発メンバーとしてキャリアは浅いので、プレイヤーさんのニーズがキャッチしきれないこともあります。それでも『KOF』にはこれまでシリーズ作から得られた豊富なデータがあるおかげで、このようなときの判断に役立っています。また、以前ならば発売してみるまでわからなかったプレイヤーの反応も、いまはSNSなどから、発売前の段階である程度受け取ることができます。こういった声もいまのゲーム作りには役立っていますね。
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オープンβテストで寄せられた声†
――発売前にオープンβテストを2回実施しました。プレイヤーからの実際の反響はいかがでしたか?
小田 かなりポジティブな反応をいただきました。中南米の国々は、もともとNEOGEOが売れていたこともあり、シリーズファンが多い地域なのですが、とくにこれらの国のプレイヤーから「国境を越えても快適にプレイできる」と、とても良好な意見を多くいただいたことが大きな成果のひとつでした。
――中南米は広いですもんね。
ジョシュア ひと言で中南米と言っても、メキシコからアルゼンチンなどまでありますからね。最初のオープンβテストではちょっとした不具合も出ましたが、2回目のβテストまでにほとんどを改善できて実りのあるテストになりました。
――ほかの国や地域ではどうだったのでしょう?
ジョシュア アメリカのケンタッキー州に住んでいる対戦格闘ゲーム好きの弟と、日本の私が対戦してみたのですが、体感では違和感なくプレイできたので、ふたりで「すごい!」と感激していました。
――アメリカは国内どうし¥でも、東海岸と西海岸では相当な距離があるので、オンライン対戦は困難といいますからね。
小田 その場合、距離もありますけど、回線品質によるケースが多いんですよね。
ジョシュア 私が日本に引っ越してきたひとつの理由に、インフラがいいというのがあるくらいですし(笑)。いまの時代はインターネットがないと生活ができないですからね。
――オープンβテスト中は、Twitter上でプレイヤーの意見を積極的に募っていましたが、どういった声が多かったのでしょう?
小田 「このキャラを出してほしい」という要望が非常に多かったですね。
――やはり、そうなりますか(笑)。
小田 こういう声は、すべてのキャラクターが出せる時代になるまでは、未来永劫要望され続けると思います(笑)。
――さきほどは、開発メンバーでディスカッションしたうえで登場キャラクターが決まるとおっしゃっていましたが、起用の基準はあるのでしょうか?
小田 基本的に人気のキャラクターはひと通り起用しようとは思っているんです。しかし、メジャーどころを押さえると、コアなファンの要望が今度はニッチな方向へと向かっていくんですよね。最終的にはアメリカンスポーツチームだったり、藤堂竜白を出してほしいという声に集約されていくのですが(笑)。
――ちなみに、オープンβテストではテリーが使いやすいキャラクターになっていると感じました。
小田 ありがとうございます。実際、テリーは動かしていて気持ちいいというお誉めの言葉を多くいただきました。こういう言葉は格闘ゲームやアクションゲームを作っていて、いちばんうれしいものですね。
安部 対戦格闘ゲームでは操作感がもっとも大事ですからね。
小田 内部的には大きく動きを変えた部分はないんですけど、細かい調整が積み重なった結果、そう感じられるキャタクターに仕上がったのではないでしょうか。ここは我々の開発力が上がった結果だとは思います。
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非常に使いやすく初心者にもおすすめのテリー。 |
小田 また、これはテリーに限らず全般的な話なのですが、プレイフィールが変わった重要なポイントとして、わずかですがキャラクターの表示サイズを上げたことが挙げられると思います。
――どうして大きくしたのでしょうか?
小田 理由のひとつとして、キャラクターの細かい部分まで描写できるようになったことが挙げられます。ただ、あまりにキャラクターが大きくなりすぎると、『KOF』らしさがなくなるので、そうならないギリギリのところに留めています。東京ゲームショウでプレイアブル出展した後に「画面が狭い」という意見が来るかもしれないと思っていたのですが、これについてはポジティブな意見を多くいただきました。
――見栄えと快適なプレイが両立した絶妙な大きさだったんですね。
小田 ここについては僕たちの予想を越える反応でした。
――オープンβテストの結果から再調整が必要な部分はありましたか?
小田 もちろんテストですので、そういったところは当然出てきます。プランナーが納得できるもの、かつ調整できそうな部分はテスト後に手を加えています。それについても、詳細はつぎのディレクター陣インタビューの際に聞いていただいたほうが、おもしろい話が聞けると思います。
――これだけグローバルなタイトルですと、地域や文化によって意見が異なるはずですし、どこを取るか難しそうですね。一度開発チームでひと通りの意見を検討するのでしょうか?
小田 はい。もちろん最初からスケジュールや技術的に無理なこともありますが、集約すると相反する意見が多いんですよ。この人の意見を採用したら、別の人にとってはマイナスになるだろうな……という具合にです。意見をすべて受け入れていたら、仕舞いには藤堂竜白を出さないといけないハメになりますから(笑)。
――藤堂竜白は開発の皆さんにとっては最後の砦、または切り札みたいなポジションじゃないですか(笑)。
小田 冷静に考えて、藤堂竜白を知っている人はアラフィフじゃないですか(笑)。万が一起用するにしても、まずは何らかの形で藤堂竜白をフューチャーしてからですよね。現代のプレイヤーさんに覚えてもらってからじゃないと。
――たしかに(笑)。
安部 せめて娘の藤堂香澄を知ってもらってからじゃないと、藤堂竜白は出せないので、そういう意味を含めても竜白は最後の砦なのかもしれません(笑)。
小田 でも、『龍虎の拳』チームのテーマ曲は『龍虎の拳』の藤堂ステージの曲がもとになっているんですよ。そんなわけで、じつは彼はこっそり主役のような扱いを受けているんですよ(笑)。
――そんな!? では、本作に登場する可能性がまったくのゼロじゃないということにしておきましょう(笑)。
マルチプラットフォーム展開の理由†
――今回は対応ハードが多岐にわたりますが、ハードが違うことで苦労した部分はありましたか?
小田 いまのゲーム制作の現場では、マルチプラットフォームに対応させるときに、基本的な部分をゲームエンジンの“Unreal Engine”が吸収してくれるので、以前よりはかなり楽になっています。ただ、それでもネットワークに関する部分や、動作環境の仕様差に関する部分は個別に対応する必要があります。
――目に見えて違いのある箇所はあるのでしょうか?
小田 もっともわかりやすいのはグラフィックの描画です。最初にスペックの低い環境で作成して、それを高い環境に合わせる作業はわりと容易なんですが、その逆……つまり高い環境でもっともキレイな表現を作ってから、クオリティーを保ちながらダウンサイジングするのは至難の業なんです。落としどころを非常に悩みますね。
ジョシュア やっぱりクリエイターは、もっとも優れた表現を突き詰めたくなります。ですから、そんな葛藤が起こるのは当然ですね。
――それをプロデューサー陣の皆さんがいさめていると。
小田 どうしても詰まったら、マーケティング的な観点から抑えてもらうことはあります。アートスタッフの気持ちはとてもわかるのですが(笑)。
――大人の事情ですかね(笑)。
小田 Xbox Series X版の『SAMURAI SPIRITS』では、4K画面で120フレームの表示を実現しました。プレイしている最中に違和感はないのですが、そのあとに従来のフルHD画面60フレームの画面でプレイすると、「あれ?」と違和感を覚えてしまいますよね。最新ハードに合わせて画面を作る作業を進めると、それと同じような現象が起きちゃうんですよね。
――早く最新ハードがスタンダードになってくれるといいですね。PC版はいかがですか? 日本では当面PS4環境のプレイがメインになりそうですが、PC環境が普及している海外では事情が異なると思います。
ジョシュア 海外の対戦格闘ゲームコミュニティーでは、どのハードでプレイするのがベストなのかは、つねに議論の対象になっていますよね。PCを用いた大会では、ドライバー設定などの対応が必要になるから運営がとてもたいへんなのですが、プレイヤーの立場からするともっともいい環境で戦いたいのは当然の気持ちなんです。そんな事情で両者が納得できるベストの環境の構築が難しいのは事実。PS5が手に入りにくい問題は海外でも起きていることから、海外でも当面はPS4が基準になりそうとは考えています。大会でPS5やPCが20台必要ですとなったら、コミュニティーが独自に集めるのはまだまだたいへんですから。
――今後、SNKが公式大会を開催する場合、どのハードを基準にするかの選択が難しそうですね。
小田 前作をPS4で出したこともあり、『KOF XV』はPS4のプレイ層を基準にして制作を始めました。しかし、そもそも家庭用ゲーム機自体が手に入りにくい国や地域は世界中にたくさんあるんですよね。その事情を考慮したら、PC版を出したほうが絶対にいいはずですし、昔、NEOGEOアーケードが普及していた国や地域のプレイヤーに届きやすいのかなと思います。
――なるほど。家庭用ゲーム機が手に入りにくい地域も考慮しないといけないのですね。
ジョシュア 税金の関係でPS4ですら日本の3倍ぐらいの値段がついている地域もあるんですよ。
――そうなんですか!? それだとゲーミングPCと値段が変わらないからPCを選ぶ人が多そうですね。
ジョシュア また、PCのメリットとしては、パーツを差し替えるだけでグレードアップできます。そんなことから、中南米や東ヨーロッパはPCでゲームを遊ぶ人が多いんですよ。
小田 中南米の熱烈なファンは、アメリカ旅行に行ったついでにPS4を買って帰る人もいると聞きました。
――多くのハードに対応するのはプレイヤーにはありがたいことですが、大会になると主催者は採用ハードに苦心しそうですね。
ジョシュア コミュニティーや開催タイミングによっても事情が異なるはずですから、どのハードで開催するかは大会主催者に委ねることになりますね。弊社では、コミュニティー大会の支援プログラム“e-Sports Support Program”を用意しています。これは大会の主催者へ、弊社から賞品のグッズ類を提供する運営支援の取り組みです。このプログラムは引き続き継続しますので、『KOF XV』の大会が増えて盛り上がることを期待しています。
北米エリアを意識したDLC†
――DLCはどれも魅力的なキャラクターセレクトになっていて、ファンとしてはうれしいです。
小田 最初のDLCは“サウスタウンチーム”と“餓狼MotWチーム”。『KOF XV』のDLCについては、じつは北米市場を意識したラインアップになっています。
――つまり北米で人気の高いキャラクターからセレクトされていると。
小田 そうです。DLCと話は変わりますが、テリーやギースは、『鉄拳』や『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』といった他社さんのタイトルのゲストキャラとして出る機会がありました。これらは北米でもとても人気の高いタイトル。2キャラクターともに北米で人気が高いキャラクターなので、ゲストのオファーがあったのかもしれません。
――発売後は一定期間ごとに、新規キャラクターを追加して運営していく予定ですか?
小田 現段階では先程挙がりましたチームパス1に含まれている2チーム“サウスタウンチーム”と“餓狼MotWチーム”の発表が済んでいます。そして、発売に合わせてチームパス2の情報も発表しました。同時に年内のロードマップも発表をしています。その先はまだ言えませんが、個人的には次作の『KOF』まで運営を続けていきたいと思っています。
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ロックやギースなど、人気のキャラクターが早くも新キャラとしてエントリー。 |
――プロデューサー陣の「ここを見てほしい!」という注目ポイントをそれぞれお教えください。
安部 私はおもに演出の部分に力を入れて制作管理をしていました。ですから、カットシーンやストーリーに注目して楽しんでいただければうれしいですね。
ジョシュア オンライン対戦で相手と順番に使用キャラクターを選出していく“ドラフトVS”モードをぜひ遊んでほしいですね。私自身は変則的なルールの対戦のほうが好きなんです。このモードは、同キャラクター対戦がなくなるところがいいんですよね。キャラクター選びの段階から勝負が始まっているぶん、おもしろい展開があるはずです。このモードで大会やイベントを開催するときっと盛り上がるでしょう。
小田 今回は、サウンド部門に無理を言ってBGMにいろいろとこだわりました。アンロック要素になっているので、プレイを進めて解放していかなくてはなりませんが、楽しみにしていただければと。もうひとつはキーアートですね。これはイラストレーターのナカタさんとおぐらさんの合作なんですよ。「これしかない」と思ったほどですので、ゲームと併せてお楽しみいただけると幸いです。
――いよいよ発売日となり、プレイヤーさんの熱量が高まっています。最後に小田さんに総括として意気込みをお聞きします。
小田 発売と同時に第一弾のDLCを2チームに分けて用意しています。そのあとも、長期的な継続も視野に入れて『KOF XV』を盛り上げる施策をスタッフ一同で検討しています。『KOF』は『KOF XV』で終わるわけでなく、これからもずっと続いていきます。熱烈なファンも新規の方も発売後の展開にぜひ期待していただければと思います。いっしょに『KOF』を育てていきましょう!
取材・編集:とよまん/豊泉
協力:大瀬子ヤエ、リプ斉トン、ベックス、わたなべりー渡辺
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クオリティーの高いムービーなど、ストーリーは必見の価値あり。 |
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オンライン対戦で順番に使用キャラを選んでいくドラフトVS。ぜひ友だちとワイワイ楽しもう。 |
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『KOF XV』のキーアート。 |
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