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「ユーザー、ビジネスへの取り組みに対しても手応えが感じられた」(田畑氏)――『FFXV』Q&Aカンファレンスリポート
公開日時:2016-04-06 14:15:00
現地時間2016年3月30日(日本時間3月31日)、アメリカ・ロサンゼルスにて開催された“ UNCOVERED: FINAL FANTASY XV”の翌日朝9時から、各国メディアを対象にしたQ&Aカンファレンスが行われた。ここでは、そのQ&Aカンファレンスからおもなものをピックアップして紹介しよう。
『ファイナルファンタジーXV』ディレクター田畑端氏 |
『キングスグレイブ FFXV』ディレクター野末武志氏 |
『ブラザーフッド FFXV』プロデューサー大藤昭夫氏 |
『FFXV』、『キングスグレイブ FFXV』コンポーザー下村陽子氏 |
『ジャスティス モンスターズ ファイブ』プロデューサー本橋大佐氏 |
――“UNCOVERED: FINAL FANTASY XV”からひと晩経ち、メディアとユーザーの反響をどのように捉えていますか?
田畑 いまの気持ちとしては、ネットでユーザーのリアクションをダラダラと見ていたいんですけど(笑)、まったく時間が取れず見れていません。昨日の会場、そのあとのアフターパーティーでの印象のみになりますが、それで答えさせていただきます。いわゆるビジネス向けのカンファレンスと異なり、我々が作るものをダイレクトに、エンターテインメントとしてユーザーの皆さんに伝える場にさせていただきました。そういう意味では、ファンにダイレクトに伝わった感触がありました。そのあと、アフターパーティーでメディアの皆さん、リテイラー(小売店など)の皆さんに「とてもよかった」、「呼んでくれてありがとう」「いっしょにがんばろう」と声を掛けていただき、ビジネスとして、ゲーム業界への取り組みに対しても、手応えが感じられました。
――『ファイナルファンタジーXV』は、以前は『ファイナルファンタジー ヴェルサスXIII』というタイトルで、ファブラ ノヴァ クリスタリスという世界観のひとつの作品でした。それとは方向性は異なりますが、今回、“FINAL FANTASY XV UNIVERSE”という複数の作品を展開しようとした理由を教えていただけますか?
田畑 “FINAL FANTASY XV UNIVERSE”のいちばん大事なポイントは、最終的にゲームの『ファイナルファンタジーXV』を最大化するために、すべての作品があるということです。独立した個別の作品ですけれど、それは『ファイナルファンタジーXV』への導線です。新しいユーザーの新しい入り口、既存のユーザーがより深く『ファイナルファンタジーXV』を楽しむためのコンテンツという位置づけになっています。
――昨日の発表会を見ても、スクウェア・エニックスが大きな投資しているというのがわかりますが、それに見合う成果を期待されていると思います。実際に、何万本売れたら成功と見なされるんでしょう?
田畑 ワールドワイドで1000万本を目標(※採算ラインとは一切関係ない、プロジェクトチームの自主的な目標)にしてやっています。
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――『FFXIII』のように、世界観を共有する別のタイトルを作る予定はありますか?
田畑 先ほど、“FFXV UNIVERSE”は『FFXV』をより多くの人に触ってもらうためのものだと言いいましたが、そこに符号するコンテンツであれば、検討します。あくまで、『FFXV』という作品をいかに最大化できるか、という視点ですべて考えています。
――“FFXV UNIVERSE”の世界観を、今後の『FF』、たとえば『FFXVI』の土台にする予定はありますか?
田畑 ないです!(笑) あくまで『XV』だけのものです。
■『ファイナルファンタジーXV』について†
――『ファイナルファンタジーXV』の開発において、いちばん大きなチャレンジだった部分は?
田畑 グローバルモデルに切り替えたことです。これまでの『FF』タイトルは、日本でローンチをして、それからローカライズをして海外で発売する、という流れだったのですが、今回は世界同時発売ということで、その流れが大きく異なりますので困難が多いですね。
――オープンワールドを採用したいと思わせる作品は何かありましたか? また、空飛ぶレガリアの操作感について教えてください。
田畑 いま世に出ているオープンワールドのゲームのほとんどにインスピレーションは得ていますが、シームレスに世界が繋がっているスタイルで影響を受けた原点の作品はニンテンドウ 64の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』です。
レガリアですが、ゲームを進めてカスタマイズしていくと、ああいった飛行が可能になります。ゲームの位置づけとしてはやり込みです。レガリアのフライングモデルを手に入れたあとでしか行けない場所も当然用意しようと思っていますが、ストーリーの中でフライングモデルが必要になることはありません。フライングモデルの狙いはふたつあって、ひとつめは、ずっと旅をしてきたクルマで自由に空を飛ぶ喜び。ふたつめは、本物の飛行機のように、着陸のスリリングな感じをゲーム性として取り込むこと。ですので、飛び立つのは簡単なんですが、着陸に失敗すると「ボカン!」(笑)。
――VR要素はお考えですか?
田畑 開発スタッフの多くが興味を持っています。(第2ビジネス・ディビジョンとして)具体的なテストも1年以上前から行っています。「これなら!」という新しい体験のものにたどり着ければ、提供を考えたいなと思います。
――PC版の『FFXV』をリリースする考えは?
田畑 いま我々がDirectX 11世代で作っているものは、コンソール版にすべて盛り込みます。その仕様を完成させたあと、PCのよりアッパーなスペックを想定しながら、そこから検討します。
■『キングスグレイブ FFXV』†
――野末さんのキャリアと、『キングスグレイブ FFXV』映像作品を制作するにあたってインスピレーションを得た作品などがあれば。
野末 私は、ヴィジュアルワークスというプリレンダリングのCG映像を作る部署にいまして、『ファイナルファンタジーXV』を機に、第2ビジネス・ディビジョンに異動しました。それまで『キングダム ハーツ』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズ、弊社のEidosタイトルなどのPVを手掛けていました。長編作品の経験としては、『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』でCo.ディレクターを務めました。
インスピレーションを受けた作品というのは、とくにありません。田畑やほかのプランナーとアイデアを練っていきました。
――『キングスグレイブ FFXV』のスクリーンショットに、建物にユニクロやJALなどの看板が表示されているものがありますが、そういった企業とのコラボなども実施しているのですか?
野末 まず、なぜさまざまな企業様の看板があるかということですが、現実世界から徐々にファンタジーの世界に移っていく、というコンセプトがあり、舞台になるインソムニアという首都は東京をモデルにしています。そのコンセプトに賛同していただいた企業様から許可をいただいて表示しています。
■『ジャスティス モンスターズ ファイブ』について†
――スマホアプリ『ジャスティス モンスターズ ファイブ』と『ファイナルファンタジーXV』本編と、どういった連動が行われるのでしょうか。
本橋 『ファイナルファンタジーXV』の世界にある『ジャスティス モンスターズ ファイブ』とスマホアプリ版は同じゲームになりますので、先にスマホ版を遊んだ人は違和感なく楽しめ、『ファイナルファンタジーXV』の世界で『ジャスティス モンスターズ ファイブ』に触れ、興味を持ってくださった方は、アプリ版でいつでも何処でも遊べるんだという感覚を持ってくださると思います。ビジネスモデルは基本無料(アイテム課金あり)となりますが、課金の重圧が強い作品ではないことはお約束します。
■『プラチナデモ FFXV』について†
――配信された『プラチナデモ FFXV』のネットの評判の中には、フレームレートが期待より低いという声が多いようですが。
田畑 フレームレートは、製品版に向けてもっともっと改善していく予定です。『プラチナデモ FFXV』では実験的に動的な解像度を導入していて、上限はフルHD(1920×1080p)。『プラチナデモ FFXV』は、まずは『FFXV』の世界の一部を楽しんでもらうため、解像度に関して技術検証を終え、それを今回導入しました。これからフレームレートの改善を行っていくということになります。もうひとつの側面として、今回の『プラチナデモ FFXV』はPS4とXbox Oneは同じスペックで提供していますが、本編に関してはそれぞれのハードウェアで最適化を図るので、同じスペックになるかは未定です。
■『ブラザーフッド FFXV』について†
――『ブラザーフッド FFXV』の配信スケジュールと、各エピソードはすべて10分くらいのものになるのか教えてください。
大藤 第一話だけは“UNCOVERED: FINAL FANTASY XV”がありましたので、先行配信という形を取らせていただきました。二話以降は、6月から発売に向けて毎月一話ずつ配信していきたいと思います。各話の長さは10分くらいを想定して作っていますが、何を表現をするかによって尺は前後しますので、尺が明確に決まっているわけではありません。
――『ブラザーフッド FFXV』の全エピソードはすべて完成しているのでしょうか? もしまだの場合、ファンからのフィードバックを受けて、変更することもあるのでしょうか?
大藤 脚本はほぼ完成しています。二話以降は絶賛制作中です。一話を観た人の意見はネットでも見ていますので、何かできることがあればそれは反映していきたいと思います。
――『FINAL FANTASY XV ULTIMATE COLLECTOR'S EDITION』に収録されるディスク版『ブラザーフッド FFXV』には六話目が収録されていると聞いています。今後、それを配信する予定は?
大藤 まず、六話という位置づけではなく、追加シーンです。そして『ブラザーフッド FFXV』のディスク版の販売は、現在、日本だけが決まっているのですが、そのほかの地域に関しては、これから検討することになります。そのディスク版には、追加シーンも入ります。ディスク版は、『FINAL FANTASY XV ULTIMATE COLLECTOR'S EDITION』以外でも、手に入れる方法は必ずあると思います。
■楽曲について†
――下村さんに、田畑さんとどのような話しをしながら作曲を進めているのか、また、いまの楽曲全体の完成度も教えていただければ。
下村 今回、『ファイナルファンタジーXV』をメインに、『キングスグレイブ FFXV』でも何曲か書かせていただいています。コンテンツはたくさんあるのに、作曲のメインは私ひとりというのは不公平だと思っているんですけど(笑)、ほかにもすばらしい作曲家の方とか、レコーディングなどを仕切ってくれるとても優秀なスタッフに支えられ、曲作りを進めています。私が書いたほうがいいというところは、田畑さん、野末さんにピックアップしていただき、書いていたりするんですが、そういう曲は田畑さんも野末さんも思い入れが強いので、いろいろ意見をやり取りをしながら、日々がんばっています。まだまだ世に出ていない曲もたくさんあるので、楽しみに待っていただけるとうれしいです。
――植松さんは『ファイナルファンタジー』を象徴する曲を数多く作っています。今後、植松さんのテイストと自分のテイストをどう融合していくお考えなのか。
下村 音楽というのは抽象的なもので、感情に左右されるものだと私は思っています。植松さんをすごく尊敬していますし、私は『FF』の音楽で育ってきたことで、いま、この場にいられると思っていますので、その気持ちを忘れずに作っていけば、どういうふうに踏襲していこうかと意識しなくても、『FF』の音楽ができるのではないかな、と漠然と考えています。
以上で、約1時間にわたって行われたQ&Aカンファレンスは終了。終了直後、会場からは各国メディアから大きな拍手で沸き起こった。
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