ニューヨーク プレスカンファレンスリポート(4)RPGたるゆえんの成長要素と“あいまいな空間”ダークゾーン

文・取材:古屋陽一

公開日時:2016-03-03 18:30:00

●あえて “クラス”を導入しないわけ

 引き続き、2016年2月中旬に行われた“『ディビジョン』プレスカンファレンス”の模様から。おつぎに登壇したのは、『ディビジョン』のクリエイティブ・ディレクターを務めるマグナス・イェンセン氏。イェンセン氏は、本作の3つのエッセンスとも言うべき、“オープンワールド”、“RPG”、“オンライン”を改めて紹介。その3つのエッセンスを元に、ゲーム序盤の概要を説明してくれた。

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▲クリエイティブ・ディレクターのマグナス・イェンセン氏。ゲーム性を構築するうえでカギを握る人物と言える。

 オープンベータをプレイされた方ならご存じの通り、本作では冒頭で中央郵便局(実在)に“作戦基地”を確立。ここを拠点としてミッションを遂行していくことになる。ミッションの主軸となるのは、“医療棟”、“技術棟”、“防衛棟”の機能を回復させること。それぞれの棟のアップグレードがスキル獲得に直結しており、キャラクター育成において不可欠の要素となるからだ。

 また、“医療棟”、“技術棟”、“防衛棟”にはそれぞれキーとなる人物がいる。以下、イェンセン氏の説明をもとに、それぞれのキャラクターの人となりをご紹介する。なお、ディビジョンを語るうえで欠かせない存在となるのがJTF(Joint Task Force)。JTFは警察や国家警備、軍などから残った人たちで構成されたチームで、ディビジョンと協力してニューヨークに秩序を取り戻すべく戦っている。ちなみに、本作ではRPGらしく魅力的なNPC(ノンプレイヤーキャラクター)が多数登場する。そんなNPCも本作の見どころと言えるだろう。

■ジェシカ・カンデル(医療棟ミッション)
優秀なドクター兼ウイルス研究者。作戦基地にある医療棟の責任者として、ディビジョンやJTFと協力し医療活動に当たる。誰が何の目的でウイルスを作ったのかの調査にも協力している。

■ロイ・ベニテス(防衛棟ミッション)
JTFのキャプテンで、マンハッタンの治安問題に対処する。みずから前線に立つ勇敢な姿勢から、仲間からは“隊長”と呼ばれ尊敬されている。

■ポール・ローズ(技術棟ミッション)
作戦基地にある技術棟の責任者。周囲からは変わり者だと思われているが、機械に関する技術は確か。政府やディビジョンに対して不満を抱きつつも、街のインフラを修復するため積極的に活動している。

 「以上の3人は重要人物です。そして、3つの棟はとても重要な要素です。これら3種類のミッションをクリアーすれば、すべてのマップがオープンして、すべてのメインミッションがプレイできるようになります」とイェンセン氏。これら3種類のミッションは、どの順番で進めることも可能で、こなす順番によってゲームの進行に影響が出るという。

 本作では、メインミッションのほかに、サイドミッションやタスク、エンカウントなど、さまざまな“アクティビティ”が存在。これらのアクティビティをクリアーすることは、3つの棟を拡充するための資源を獲得する助けになる。「プレイヤーがどこへ行き、どのミッションをこなして、どの棟をアップグレードしていくかを決めていきます。その行動の過程で、プレイヤーは新しいアビリティや武器、防具を獲得して、より成長していくのです。これがRPGです」とイェンセン氏は強調する。作戦基地はRPG要素の心臓部であり、「第二のキャラクターのような存在と言っていい」(イェンセン氏)とのことだ。

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▲本作では、アビリティを獲得するために、“医療棟”、”技術棟”、”防衛棟”をそれぞれアップデートしていく必要がある、

 RPG要素でイェンセン氏が言及したのが、『ディビジョン』には“クラス”の概念がないこと。これにより、幅広い選択肢がプレイヤーに残されているというのだ。「これは、いろいろな意味で重要です。ひとつには、プレイヤーに選択肢を残すことは、ゲームプレイ時に活きてきます。シングルプレイでは全体的にバランスの取れた装備が必要でしょうし、協力プレイ時は求められる役割に特化した装備が要求されます。シチュエーションに応じて、自由に変更できるんです」とイェンセン氏は、“クラス”がないことのメリットを語る。

 そして、本作においてマルチプレイの魅力をさらに広げてくれるのが“ダークゾーン”。“ダークゾーンはほかのゲームのマルチプレイとは一線を画す”とイェンセン氏は言う。「いったんメニューに戻ってマルチプレイに行くのではなくて、ゲームスペースの真ん中に入ればいいんです。ロード時間もなく、マッチメイキングのロビーもありません。いきなりマルチプレイの世界に入ります。ここにこのゲームの趣向が凝らされています」(イェンセン氏)。

 ダークゾーンは非常にあいまいだ。この区画にはほかのプレイヤーがいるが、別に撃つ必要はなく、無視してもよい。もちろん、話しかけてチームに入ってもらうことも可能だ。「このあいまいさがダークゾーンをおもしろくし、緊張感を与えている」(イェンセン氏)という。

 さらに、ダークゾーンで緊張感を高めているのが、ここで見つけた装備は、“回収”してダークゾーン外に持ち出さない限りは、ほかのプレイヤーに取られる危険性がつねにつきまとうということ。そのための対人攻撃も可能となっているのだ。ダークゾーンが“あいまいな区画”というのは、ユニークな表現だが、あらゆるプレイヤーのニーズを受け入れる、不思議な空間だとは言えるのかもしれない。

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▲ダークゾーン入り口。対人戦が可能な、独特な空間と言える。サービス開始後、どのような空間になっていくのか……。

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