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アソシエイト・クリエイティブ・ディレクター ジュリアン・ゲリティ氏に聞く ディテールへのこだわりが、リアルなニューヨークを構築する
公開日時:2016-03-08 18:30:00
●アーティストはディテールに情熱を持っている†
2016年2月上旬にニューヨークで行われた『ディビジョン』プレスカンファレンスに合わせて、クリエイター陣にインタビューを刊行。ここでは、アソシエイト・クリエイティブ・ディレクターのジュリアン・ゲリティ氏へのインタビューをご紹介する。
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――まずは、さきごろ行われたクローズドベータテストの手応えからお教えください。
ジュリアン ユービーアイソフト史上最大のクローズドベータテストでした。私たちもとてもびっくりしましたね。各プラットフォームで同時に30000人がプレイすると予想を立てていたのですが、実際にはひとつのプラットフォームでピーク時に90000人が同時にプレイしました。フィードバックは非常に肯定的でした。どんなゲームかわからないで本作を始めた人たちも、ゲームに入り込んで理解した後は、とても肯定的な意見を持ってくれたようです。
――予想もしていなかった遊ばれかたなんてありました?
ジュリアン 私はベータテストよりアルファテスト(2015年の年末に、Xbox One版の予約者を対象に実施)で多くプレイしたのですが、驚いたのはダークゾーンです。ダークゾーンは “フリー・フォー・オール”であり、どう行動するかはプレイヤー次第です。ダークゾーンに入ったプレイヤーがフレンドリーだったことには驚きました。ゾーン内でも“グッドシェリフ(よき保安官)”であり続ける人が多かったですね。グループや友人がすぐにできていっしょに行動し、ローグを倒したり。ダークゾーンはどうなるかわからなかったので、自衛している環境はすばらしいと思いました。
――それほど多くのプレイヤーがローグにはならなかったのですね?
ジュリアン それほど多くはなかったですね。ただ、ローグになった人たちはとてもうまいプレイヤーであることが多く、倒すのはたいへんだったようです。
――ローグのバランス調整はたいへんだと思いますが……。
ジュリアン たいへんだとは思いません。なぜならプレイヤー次第だからです。私はすでにいい年で、動きも緩慢なプレイヤーなので(笑)、シングルプレイでは誰とも戦闘しません。でも、仲間が4人いて、同じようなレベルの相手がひとりで行動していて、しかもバッグを持っていたら、もしかしたら仲間に「こいつを倒してみる?」と聞くかもしれません。まあ、自分ひとりだったら絶対にやらないですね。開発者サイドでやっているのは、同じようなレベルのプレイヤーどうしでマッチメイクしていることです。ダークゾーンには専用のレベルがあって、あまりにレベル差が異なるプレイヤーどうしが出会うことはありません。
――ニューヨークという都市をゲーム内で構築するにあたって、苦労したポイントを教えてください。
ジュリアン まずはテクノロジーですね。新しいゲームエンジンの“Snowdrop”を使っているので、本来持っているパフォーマンスをどこまで失わずに画面に入れられるかがカギでした。ビジュアルと、快適なゲームプレイのバランスを取るのが難しかったですね。
あと、単純に「どの建物を使えるのか?」という権利的な課題もあります。自分のビルにマシンガンを持った人たちが入り込むのを嫌う所有者もいるわけで、気を使うところです。
――新ゲームエンジン“Snowdrop”の特徴は?
ジュリアン 開発チームの誰に聞いても同じ意見だと思うのですが、とても使いやすいことです。アーティストは、フォトショップでもMayaでも、自分で使い慣れたツールを使って作業し、すぐにゲームに取り込めるんです。一方で、柔軟性があるので、アーティストは創造性を発揮できる。とても複雑なビジュアルを作れるんです。本作はリニア(ゲームプレイが1直線のゲーム)ではなくオープンワールドです。さらにオンライン専用で、最大4人までの協力プレイを実現しながら、ここまでのビジュアルを実現している。これは、“Snowdrop”だからこそです。パワフルなツールでありながら柔軟性があるんです。
※以下、“Snowdrop”が可能にした、ニューヨークの街並みの天候と時間の移り変わりを表現したPVをお届けする。
――リアルなニューヨークを再現するために取り組んだことを教えてください。
ジュリアン ニューヨークは何度か訪れているのですが、最後の訪問は、私はアートディレクターやアソシエイト・アートディレクターといっしょで、それこそ何千枚という写真や膨大な量のビデオを撮りました。あれは、ちょうど2015年2月の猛吹雪のときでした。雪を見るのはすばらしかった。あの日は誰も外に出ないので、私たちだけでした。アートディレクターは、ビニール袋に木が引っかかっているところを10分間以上撮り続けていましたね。こうしたことは(マッシブ・スタジオのある)スウェーデンでもできたことですが、ニューヨークのビニール袋でないとダメだったんです。葉が落ちた木にビニール袋が引っかかって、その下にはゴミ箱があるという微妙な感じがよかったんです。ディテールが非常に大事であり、アーティストはディテールに情熱を持っています。
――構築したニューヨークで、とくに誇りに思う場所はどこですか?
ジュリアン フラットアイアンビルディングは気に入っています。その前にあるマディソン・スクエア・パークもいいですね。ニューヨークはとても狭苦しいところなのですが、ここには広い空間があり、美しいビルが建っています。エンパイア・ステート・ビルディングも見えるんですよ。
――ジュリアンさんは、『ザ クルー』の開発を終えてから『ディビジョン』に加わったとのことですが、奇しくも同じオープンワールドのゲームです。『ザ クルー』での全米と、『ディビジョン』でのニューヨークとでは、どちらのほうがたいへんでしたか?
ジュリアン 両方とも難しいですよ(笑)。ゲーム開発は、それぞれ違う意味でたいへんです。『ザ クルー』はスケール感が重要で、広大な空間にたくさんの道路があり、速く走れることが魅力でした。一方で、『ディビジョン』はディテールが大切です。それぞれ異なるチャレンジなんですね。私は、個人的にはディテールにこだわった仕事をするのが好きです。一枚の紙が風に乗って舞うところや、銃で撃たれたオブジェクトが破壊される様子など……。『ディビジョン』は複雑なビジュアル表現がすばらしいと思います。
――本作では音楽が印象的ですが、どのようなこだわりが?
ジュリアン マッシブ・スタジオにはすばらしい作曲家がいます。彼は自分のサウンドを持っていて、ハンス・ジマー、ジョン・カーペンター、ゴブリン、そのほかクラシック映画音楽に対する造詣が深い。『ディビジョン』は、そういった音楽と親和性が高いかもしれません。しかも非常に壮大なサウンドになっていますね。
――最後に、日本のファンに向けて本作の抱負をお願いします。
ジュリアン 日本のゲームファンからフィードバックをもらうのが待ち切れません。どう気に入ってもらえたかや、ゲーム中のニューヨークはどう思うかなど、聞きたいことはたくさんあります(笑)。ちなみに、本作は日本語へのローカライズを100%行っています。個人的には日本語のゲーム画面が世界でいちばん美しいと思っています。ぜひ、日本の皆さんも『ディビジョン』を楽しんでください。
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