ニューヨーク プレスカンファレンスリポート(2)パンデミックは起こりえる! 識者が語るゲームのリアリティー

文・取材:古屋陽一

公開日時:2016-03-01 18:30:00

●『ディビジョン』のシミュレーターとしての役割にも期待している

 引き続き、2016年2月上旬に行われた“『ディビジョン』プレスカンファレンス”の模様から。マーティン・フルトバーグ氏が、いかに『ディビジョン』が現実に即しているかを説明したのに続いて発言したのはナフィーズ・アルメッド氏。環境の変化やエネルギー危機、経済危機などの社会的危機に関する著作を持つアルメッド氏は、いわば危機管理のエキスパートだ。

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▲ナフィーズ・アルメッド氏(中央)。

 まずアルメッド氏は、2005年にアメリカ国土安全保障省はパンデミックのリスクについて文書を作成しており、そのほとんどが閲覧可能であるとコメント。その中で、「パンデミックはリスクであるだけではなく、実際に発生する可能性があり、さらにはいつ発生するかを予測するのは非常に難しいとされています」と続けた。

 さらには、2009年にはアメリカ国防総省が、パンデミック発生時には30%の人が死亡する可能性があるという研究結果を発表したと説明(当時は機密書類だったが、現在は公開されているという)。「このようなパンデミックが発生すれば、主要インフラが破壊され、エネルギーシステムや公共サービス、食料供給に支障をきたすとされています」(アルメッド氏)という。数年前にはイギリスでも、同様の調査報告があったそうだ。アルメッド氏は、「パンデミックのリスクは、非常にリアルなものです」と言う。

 現実に社会に大きな影響を及ぼしかねないパンデミック。さらにアルメッド氏からは興味深いコメントも。ユービーアイソフトはゲーム化に際しては、「ユービーアイソフトは、“コラプス(崩壊)シミュレーター”を導入し、病院数やベッド数などリアルなデータに基づき、特定の場所で病原体が広がったという想定で、いかに早くいろいろなところに影響が出るかを検討したそうです」というのだ。さらには、このシミュレーションで得られた結果がゲームのシナリオにインスピレーションを与えたという。

 「自分のようにアカデミックな立場で研究してきた者から見ると、ひとつのゲームが非常に詳細な部分にまで科学的なバックボーンを取り入れ、細かい調整を経た結果、シナリオが非常に妥当なものになっているのは興味深いです」と、アルメッド氏も『ディビジョン』のリアリティーに太鼓判を押す。

 さらに一歩進んでアルメッド氏は、『ディビジョン』のシミュレーターとしての役割にも期待しているという。ユーザーが『ディビジョン』の世界に入り、現実世界にどれくらい抵抗力があるのか、社会システムや経済への影響はどうか、コミュニティーがどのように反応するのかなどを、ある意味バーチャル・リアリティー環境でテストできるというのだ。「これは、現在の科学的研究ではできないことです。プレイヤーはシナリオの一部となって経験し、学習する機会を得られるんです」と、『ディビジョン』に大きな期待を寄せている。

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※写真はユービーアイソフトから提供された動画からのキャプチャーです。

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