E50M1: 『忍者龍剣伝』にインスパイアされつつ、独自のヒネりで高評価な忍者アクション『The Messenger』

公開日時:2018-12-28 16:20:00

 ドモー、来年も楽しくゲームを遊びたいなと思うBRZRKです。そういえば、ジョン・ロメロとエイドリアン・カーマックのコンビで作るはずだったFPS『Blackroom』だけど、Kickstarterはいつ再開されるのだろうか。

 さて、今回紹介するのは2Dアクションゲームの『The Messenger』(Switch/PC, 公式サイト)。このゲームは様々なハードに移植され、いまなお愛されている『忍者龍剣伝』シリーズを強くインスパイアしたインディータイトルだ。

 舞台は、悪魔によって大半が滅びた世界。その西端で、死よりも隠遁することを選んだ人類最後の村から物語が始まる。この村は忍びの隠れ里といった感じの場所で、それぞれが修行に明け暮れながら、とある人物を待ち続けている。

 主人公はひたすら同じルーチンワークを繰り返す日々に嫌気がさした少しヒネてしまった忍者ボーイだ。しかし、悪魔に村を襲撃され壊滅状態に陥ってしまう。そこへ遅れて現れた西の英雄から重要な巻物を三賢者に渡すよう頼まれ戦いに身を投じることになる。

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 といった感じでストーリーは割とシリアスな作り。かと思えば、道中で出会った人物といきなりフランクにメタな会話やちょっと長い面白小話をしはじめたり、見ていてかなり楽しい。

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 序盤のグラフィックは8-Bit調のドット絵スタイル。。言ってしまえば“現代のマシンスペックに合わせてアレンジされたファミコン世代のグラフィックス”といったところだろうか。

 さすがに現代の技術で作られていることもあり、当時のゲームのようにスプライトの処理オチや描画が欠けたり、スクロール時に画面端だけ表示が間に合わないといったものはないが。

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 序盤のステージはチュートリアル要素をふんだんに含め、ゲームの遊び方を学ばせる構成となっている。なお、ステージ構成は1面ごとに攻略していくステージ制で進行し、三賢者が居る場所まで竹林や火山、雪山などさまざまなエリアを踏破していく。

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 基本的なアクションは攻撃、ジャンプ、そして忍者アクションには欠かせない壁掴みといった感じの『忍者龍剣伝』をベースとしたものにプラスして、遠くの壁や敵にひっかけて移動するグラップリングフック(鉤縄)や特定の条件下で可能になる二段ジャンプにムササビの術的な移動方法などがあり、インスパイア元よりも移動するためのアクションが充実した作りとなっている。

 ステージが進んでいくごとに難度が上がり、空中での制御をしっかりこなさなければ進められなかったりするシビアな場所もあるのだが、残機の概念がなく最後に通過したセーブポイントからのやり直しとなるのでサクサク進められる。

 道中ではフードを被った謎の人物が経営(?)しているお店に立ち寄ることができ、道中で集めた貨幣代わりの物資を支払うことで、体力の上限を増やしたり、パワーアップさせることも可能だ。

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 各エリアの最後はボス戦が待っている。ゲームの操作になれないうちはかなり苦戦するだろう。とはいえ、一度操作に慣れてしまえば、あとは敵の行動パターンを覚えて対応していけば、あまり苦戦せずに攻略可能。ただ、物語が進むにつれて、ボス戦のギミックを把握するまでが大変になるのだが……。

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途中でゲームの形式が変わるヒネリも

 物語が中盤へと差し掛かるとゲーム自体に大きな転機を迎える。詳細はネタバレになるので伏せておくが、これまで8-Bit調で描かれていた世界が16-Bit調になり、地形もちょっと変わった世界へと塗り替わる。同じくBGMも音数が増えてゴージャスな印象に。

 トレイラーなどを見てもらえれば分かるが、さらに物語が進むとステージの途中で8-Bit調と16-Bit調を切り替えたりしつつ進むことになる。

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 さらに、これまでステージ形式の面クリでゲームが進行していたのだが、ここからは『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のようなこれまでプレイしてきたステージをつなぎ合わせた探索型へとゲームがチェンジ。まさかのゲームの遊び方に大胆な変更にすげぇ驚いた次第。

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 そうそう、本作については過去にファミ通.comでも紹介記事が掲載されている。で、この記事を初代『忍者龍剣伝』のサウンドデザイナーだった山岸継司氏が読み、後に本作がプレイアブル出展されたBit Summitに、同じく初代『忍者龍剣伝』でディレクターを担当した吉沢秀雄氏と訪れたというエピソードがあったりも。

 こちらはここで云々いうよりも、パブリッシャーであるDevolver Digitalが制作した動画を見てもらえると良いだろう。

 とまぁそんな感じの『The Messenger』なんだけど、先日開催されたTHE GAME AWARDSではベストデビューインディーゲームを受賞。発売から少し時期が経ってはいるものの、いまだにプレイできていない人は少なくないんじゃなかろうか。というわけで、この年末年始でドップリ漬かってみるのはどうだろうか。

(編注:2019年の1月4日午前4時までSteamでPC版がセール中で、30%オフの1435円に。さらに、Twitch Primeメンバーの人は1月末までPC版が無料配布中。Amazon Primeに入っている人は自動的にTwitch Primeが適用されるので、チェックしてみて欲しい)

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)