E10M1: 謎のアニソン風主題歌付き! 元祖ロボ系FPS『Shogo』

公開日時:2014-03-28 00:00:00

 ドモー、BRZRKです。ここ最近はEAさんから発売された『タイタンフォール』を遊びすぎて仕事に手が回っていなかったり。ホント面白いんで、是非遊んでみてはいかがでしょうか。
 で、遊んでいた時にふと「そういや元祖ロボ系FPSで『SHOGO: MOBILE ARMOR DIVISION』ってゲームあったな」と思い出したので、今回はSHOGOについて紹介していこうと思う。
(編注:ロボパートはTPS。)


 SHOGOを開発したのはMonolith Productionsという会社で、このブログを読む人なら恐らくご存じであろう『F.E.A.R.』シリーズを制作したトコロだったりする。この会社が作り上げた作品には名作が多く、古くは『BLOOD』から始まり、『NO ONE LIVES FOREVER』シリーズ、そして代表格なのが『F.E.A.R.』シリーズだろう。あ、迷作という部類では『CONDEMNED』ってのもあったりするけど、こちらもなかなか楽しいのでオススメ。

 道がそれたのでSHOGOに話を戻そう。本作が発売されたのは1998年の9月で、市場にFPSのタイトルが増え始めた時期と言ってもいい。そのためだろうか、他社にはない独自路線のFPSを打ち出そうとする会社も多く、SHOGOもそのひとつと言える。
 当時のFPSは物語が一直線でストーリー性が薄く、主人公が単独で世界の危機を救う英雄譚のような物ばかりが溢れていた。
 だが、SHOGOは主人公を操作するパートだけでなく、ロボットを操作するパートも作り、ゲーム中に表示される選択肢で物語が分岐するマルチシナリオを採用。これは当時のFPSとしては非常に珍しいシステムだった。

 ストーリーテリングについても、恐らく初となる映画的な手法を取り入れたFPSとなっている。当時のゲームのほとんどが「侵略者が暴れまわっている、もう俺はこんな状況に我慢ならんからぶっ殺してやるぜ!」的な感じで、物語として語られる部分はあまりなかった。
 しかし、SHOGOは主人公以外にも多数のキャラクターが登場し、それぞれバックグラウンドを有しており、本作のストーリーを盛り上げるための一役を買っている。
 ちなみに、FPSでこういった作りをしているのは、SHOGOが初だ。世の中ではVALVEの『HALF-LIFE』が元祖と言われているが、実はSHOGOのほうが2ヵ月ほど発売が早く、FPSにちゃんとしたストーリーテリングを実装した元祖と言ってもいいと筆者は思っている。
 ただ、セールスが結び付かなかったため、その事実が土中深くに埋もれている気がするが。

 ちなみに、ストーリーはおおよそこんな感じ


遥か未来、クロヌス星系では、惑星間航行を可能にする物質“カトー”を巡る三つ巴の争いが続いていた。

キミはサンジュロウ・マカベ。大型搭乗メカ、モバイル・コマンド・アーマー(MCA)のパイロットにして、企業複合体ユナイテッド・コーポレート・オーソリティ(UCA)の部隊を率いる若き司令官だ。
そのミッションは、テロ組織フォーレンを率いるガブリエルなる謎の人物を殺害すること。
アッカラジュ提督が指揮する巨大戦艦リヴァイアサンに乗って、かつて愛する人々を喪ったクロヌスに帰還し、ガブリエルを探しだすのだ!


ってな感じ。どういったゲームなのかを把握してもらうためにも、まずはオープニングムービーを見てもらおう。

 はい。物凄くジャパニメーションを意識した映像に仕上がっているとでも言うか、なんか80年代後半~90年台のアニメを彷彿とさせる壮絶なオープニングムービー。ちなみにこれ、日本仕様のオープニングではなく、全世界共通のオープニングムービーだったりする。まぁなんつーか、このゲームを遊んだ時は洋ゲーを遊ぶつもりだったのに、日本語の歌詞が流れてきたから衝撃を受けたのを覚えている。

あ、割と需要あると思うのでここに歌詞を置いときますね。


走りぬく 強い背中が
こんな勇気 ふりそそいでるって
気付きさえしなくても
真実なんて言葉今もまだ
この世界にあるというなら
目の前の貴方の中

おいかけて かけぬけて
強いわけじゃないけど

この体感じるものあるから
ためらわずに進んで信じて
今その心だけを動かせるなら

I KNOW WE CAN MAKE IT TOGETHER

手を伸ばして 闇を探って
希望のカケラ 無いと思っても
知ってるはず 間違いじゃない

輝かせて 光らせて
いつも見ていたいから

この体感じる未来の中
一人じゃない きっと明日は
今その心だけ信じられるなら

YOU KNOW WE CAN MAKE IT TOGETHER

この体感じるものあるから
ためらわずに進んで信じて
今その心だけを動かせるなら

I KNOW WE CAN MAKE IT TOGETHER


※ムービーはショートバージョンなので1番まで。フルバージョンはGoG.comでゲームを買えば付いてくるよ!

 はい。明らかに士郎正宗氏に影響を受けているのが解るオープニングから色んな意味でスゲェ事になっているSHOGOなんですが、実際のゲームも物凄い。

 ゲーム中の物語なんだけど、これがまたクソややこしいので重要人物だけ箇条書き。

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 雑な翻訳で書き並べてみたけど、なんだかホントにややこしいなコレ。

 物語は任務を遂行中のサンジュロウからスタートするんだけど、いきなりロボに乗り込んだ状態からスタート。で、このロボは見た目こそショボイんだけど、マクロスのように変形することが可能。これは当時スゲェ衝撃を受けたのを覚えている。

 当時の技術的な問題でポリゴン数が少なかったりとするけど、こんだけスピーディーに変形するのに興奮した人は多かったんじゃないだろうか。

 で、まぁ物語が進んでいくと、死亡したはずの元恋人クーラが登場。極秘任務に就くため、死亡扱いになっていたことが判明する。元恋人とはいえ、以前は愛し合っていたサンジュロウとクーラ。さぞかし感動の対面を果たすのだろうと思っていたら。

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 という感じで悲惨なポリゴンキャラが登場。アイコン画像は綺麗な感じなのに、いざ本人に出会うとコレってのはちょっとね。なんか妙に細長いし。というか、このゲームに登場するキャラクターのモデリングは全般的に酷い。一部のモブキャラは顔のパーツがセンターに寄っている地獄のミサワ先生風なタッチだったりする。

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 任務をこなしていくと、反乱軍のリーダーが実の兄トシロウで、バクとリョウ・イシカワたちで悪いことをしているのが判明。サンジュロウは現彼女と元彼女との板挟みになりながらひとりずつ倒していくという、謎のサクセスストーリー。

 というかですね、クーラは任務に就くためにサンジュロウの下を離れていたんだけど、クーラが死んだと思って傷心していたサンジュロウに、クーラの妹であるキャサリンがつけ込むというトライアングルな関係になっている。しかも、クーラはサンジュロウと別れたつもりがないのでさらにややこしい。このへんは三角関係を描くマクロスの影響が物凄く強く出ているね。

 ちなみに、エンディングのスタッフロールでは寝取った妹を姉がショットガンを持って追い回す演出があったりする。


サンジュロウ 「この赤いクロウ(酒)をくれ」
店員のお姉さん「あんた仕事中だからダメ」
と、至極まっとうなことを店員のお姉さんに言われ、イラッと来たのか店員のお姉さんをブチ殺す主人公。
その手前で姉妹喧嘩。正直意味不明というか、気が狂っておる。


 実際のゲームなんですが、これが結構難しい。回避不能な攻撃をされて即死とかザラで割と酷い。が、FPSとしては割とよく出来ているし、サクサクと遊べるので今遊んでもソコソコ楽しめる。というか笑える。

 で、本当はSHOGOサーガとしてミッションパックが制作される予定だったんだけど、セールスがあまりよくなかったのか、キャンセルに。壮大な物語の始まりだと公言していただけに、なんとも残念な結末となってしまった次第。もったいない。どっかの会社が権利買い取って今風に作りなおしてみてもいいんじゃないでしょうかね。

 まぁそんなわけで、元祖ロボ物FPSのSHOGOを紹介したんだけど、日本を意識したゲームに必ず登場する日本語の看板もしっかりと登場。

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 なお、本作をプレイするうえで、ユーザー作成の日本語化パッチを適応している。導入する場合は自己責任のうえ、検索して探してみたらどうだろうか。
 まだまだ語れることはあるんだけど、どちらかというとゲームエンジンのLithtech Engineの話題になってしまうので割愛。機会があれば、この辺は書いてみたいと思う。


著者近況:カーマゲドン地獄の再来である

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)