E666M1: FPS『DOOM』24年ぶりの幻の第5章を描く無料WAD『SIGIL』は、ロメロ印のハードコア難度だった!

初代『DOOM』の25周年を記念して伝説的ゲームデザイナーのジョン・ロメロが自ら手掛けた第5章『SIGIL』を紹介。

公開日時:2019-07-04 09:25:00

 ドモー、今年のE3も面白い発表が多かったので良かったのだけど、相変わらず事前に情報がリークされていたものもあり、微妙に残念なことになってしまった発表が多かったかなぁと思った次第。

 個人的に今年のE3の話題は『サイバーパンク 2077』が持っていったかなという印象。そういえばキアヌ・リーブスが最初にサイバーパンク作品に出たのって『JM』だったっけ? ビートたけしがキアヌ演じる記憶屋のジョニィに銃を突きつけながら「Not in the head」(※)って英語で言うシーンが好きだったなぁ(※目当ての記憶データが収められた頭以外なら撃てるぜの意)。

DOOM』25周年記念で登場した非公式続編『SIGIL

 とまぁそんなわけで最新技術を投じて作り上げられるゲームもいいんだけど、PCゲーム界隈では今でもオールドゲームのコミュニティが精力的に活動しており、MOD DB(公式サイト)などで日夜世界各国のModderがオールドゲームに新たな息吹を吹き込み続けていたりする。

 中でもFPS系の人気は衰えを知らず、『DOOM』や『QUAKE』はもちろん、『BLOOD』や『Unreal』まで、20年以上昔のタイトルのMOD作品が次々と生み出されている。

 そんな中、『DOOM』の25周年を祝いジョン・ロメロが『The Ultimate DOOM』の非公式続編となる『SIGIL』を無料でリリースした(公式サイト)。

 ジョン・ロメロと言えば元id softwareのゲームデザイナーであり、初代『DOOM』はもちろん、後の『Quake』やEidosにてリリースされた迷作『DAIKATANA』といった珠玉の作品を生み出した張本人だ。

FPSを遊ぶのにマウスを使わなかった時代を知ってるかい?

 ロメロは『SIGIL』をヴァニラ(プレーンな)状態のDOOMに導入することを推奨しており、操作方法も初代DOOMを踏襲し、マウスを使わない完全なキーボード操作以外はズルであると言及(もちろんジョークだが)。

 初代『DOOM』を現代的なPC環境でプレイするとなるとエンジンの移植版であるZDOOMやGZDOOMなどを使うのが一般的なのだが、それによってマウスルック(現代のPCFPSで大前提となっているマウスでの視点操作―初代『DOOM』には当初なかった―)を追加して上下に視点を動かしたりジャンプを可能にすると、キーボード操作を前提としているSIGILのゲームバランスを崩壊させる可能性があるのだろう。

 まぁ、同じく『DOOM』になかったジャンプまでは導入しないとはいえ、もうマウスルックは手放せない体になっているので筆者は甘んじてZDOOMやGZDOOMを導入するわけなのだが。

 ああ、SIGILは単品の作品としてリリースされているわけでなく、フルバージョンの『DOOM』(1993版)か『The Ultimate Doom』のMOD(というか『DOOM』ではwadと呼ぶ)という位置付けとなっている。詳しい導入方法はテキトーに「How to play SIGIL」で検索すれば出てくるんで。

(編注:SteamGOG.comで『Ultimate Doom』を買ってGZDOOMと組み合わせたりするのが一般的で、多少のファイル操作が必要。なお公式サイトで6.66ユーロを払うと有名ギタリストのバケットヘッドのサントラ付き版『SIGIL』を入手できる)。

撃ちまくり&探索のオールドスクールスタイル!

 基本的なストーリーはオリジナルというか、旧『DOOM』シリーズでスパイダーデーモンを倒した直後のお話。まぁ、大筋は特に変わっておらず、地獄の軍勢を排除するのが目的となっている。

 出現する敵も旧シリーズから変わらず、ゾンビマンやインプといったいわゆる量産型ザコや、DOOMシリーズでも特に人気のあるカコデーモンといったおなじみのモンスターが登場。モリモリと出現するモンスターを相手に強力なショットガンやチェーンガンを撃ちまくり、ひたすら倒していくスタイルをしっかりと踏襲している。

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 収録されているマップの構造も、昨今の1本道で誰でも行き先が解りやすく丁寧に作られたFPSとは異なり、通り過ぎた場所を行き来しながら鍵を探し、閉ざされた壁を開くことで行動可能なエリアが広がっていくというオールドスクールなFPSに多く見られた構造になっていた。

 いやぁ、やっぱ旧『DOOM』ならこうじゃないと駄目ですわ。

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ギミックとトリックでプレイヤーを追い込むさすがのレベルデザイン!

 またそんなオールドスクールFPSを生み出した張本人なだけあってマップの構造が素晴らしい。プレイヤーに対しての視線誘導が多く仕掛けられており、その罠にまんまとはまってしまうと側面の窪みに潜んでいる敵などにボコボコにされるといった手法が取り入れられている。

 慣れてくると「あぁ、ここ左にモンスター隠れてんでしょ?どうせ」といった感じで読み取れるのだけど、そこをさらに裏切るような仕掛けが取り入れられている箇所もあったりもするんだからたまらない。なんつーか、プレイヤーの心理を突くというか、スプーンでえぐりに来ているような嫌らしさがあり、「そういや昔のゲームってこんなの多かったな」と懐かしさが感じられた。うーん、年取ったってことかな俺も。

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 でまぁ、基本のゲームシステムはオリジナルの『DOOM』がベースってことなんで、体力なんかも自動回復は一切しない。道中は体力回復やアーマーをかき集めて万全な状態を整えていたいのだけど、不意打ちを食らってゴッソリ削られたりすることも多くてままならず。さらに、ちょっとの被弾が後々に響いてきてマップ終盤なのに死亡してしまうことも多々あり。

 ゲーム自体の難度は割と高めで、苦戦しやすい場面がかなりある。特にバロンオブヘルやサイバーデーモンが出てくると耐久度が高く、道中で弾薬の消費が多すぎると弾が尽きてどうにもならなかったり。まぁ繰り返しプレイすれば無駄のないプレイができるようになるので、そこまで苦ではないんですがね。

 そんな感じで『SIGIL』を一通りプレイしたわけですが、エンディングは悲惨な内容でした。まぁ地獄の門が火星に開いたので次はどこかといったらまぁ、“あそこ”ですわな。是非とも続編を作っていただいて、エピソードを綴ってほしいなとおもう次第。

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 というわけで今年発売予定の『DOOM Eternal』もいいけど、今もなお息づくオリジナル『DOOM』と『SIGIL』の世界をこの機会に遊んでみてはどうだろうか。

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著者近況:次は『DAIKATANA』でお願いします

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)