ニコニコ自作ゲームフェス3 セレクション

“ニコニコ自作ゲームフェス3 セレクション”は、ニコニコ動画で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス3”の参加作品の中から、ゲームフェス運営が選んだゲームを毎週紹介していくコーナー。

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天真爛漫な妹・葵生ちゃんにずーっと「あにき」と呼ばれたい! スタイリッシュRPG『Margikarman ItoA(マージカルマン イトア)』【ニコニコ自作ゲームフェス3 セレクション 第8回】

2014-02-19 17:00:00

『Margikarman ItoA(マージカルマン イトア)』
【著作権者】ゆうやけ 氏
【対応環境】WindowsXP/Vista/7/8
【ソフト種別】フリーソフト
【作者のページ】 Area106


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“ニコニコ自作ゲームフェス3 セレクション”は、“ニコニコ動画”で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス3”の参加作品の中から、ゲームフェス運営がピックアップしたゲームを毎週紹介していくコーナー。今回は練られたストーリーを短時間でぎゅぎゅっと満喫できるスタイリッシュRPG『Margikarman ItoA(マージカルマン イトア)』を紹介していくぞ。


●かわいい妹と一緒に軽快なバトルと熟成されたシナリオを堪能!

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▲HPやMPを宿屋やアイテムで回復しにくいシステムを採用。ゲームの難易度により、グッとバトルの難易度もアップするぞ。

▲主人公は死者とも生者ともいえない“境界人”となって、狭間の世界と現世を行き来することができる。現世のマップでは、ストーリーの進行具合で行ける場所が増えてゆく。

ゲームのキャラクターにも友達がいて、家族がいて、将来がある……。そんな当たり前だが普段は忘れていることに、つい思いを馳せてしまうのがこの『Margikarman ItoA(マージカルマン イトア)』。デザイン、シナリオ、戦闘システム、どれをとってもよく練りこまれており、気持ちよくプレイできるRPGだ。

全9章で構成されており、難易度はイージーを含む3段階から選択可能。一度クリアした後からは最高難易度である「カオス」を選べるようになり、裏ダンジョンといった隠し要素も解放されるぞ。

主人公・硲幸丞(はざまこうすけ)をはじめとしたキャラも、個性豊かで憎めない人物ばかり。イケメンに見える幸丞だがとある理由で「幸スケベ」と呼ばれたりと、上っ面だけでない中身が透けて見えるのがおもしろいところ。


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▲主人公である硲幸丞(はざまこうすけ)は、顔よし性格よしの好青年。しかし飼い犬からは部屋での所業から「幸スケベ」と呼ばれているのだ。

▲ステータス画面では「享年8歳」と表示され、切なさマックスの妹キャラ・橘葵生(たちばなあおい)ちゃん。ノリもいいが察しのよい性格で、人の気持ちを分かりすぎて辛い思いをすることも。

なかでも愛さずにはいられないのが、幸丞を「あにき」と慕う橘葵生(たちばなあおい)ちゃん。本当は幸丞の友人の妹なのだが、訳あって幸丞と行動を共にするようになる。ノリのよい天真爛漫な性格で、ゲーム中でもみんなを和ませてくれるぞ。

明るく朗らかな葵生ちゃんだが、彼女をはじめとした登場キャラにはそれぞれ、トラウマともいえる辛い体験が存在している。そのトラウマと向き合い、自分の中で消化していくわけだが、その過程もまた辛く、苦しい。この過程をキャラとともにプレイヤーも味わっていけるのが、『Margikarman ItoA(マージカルマン イトア)』の醍醐味なのだ。


●生と死を見つめる重厚なストーリーは明るめの味付けで飽きさせない

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▲ゲーム冒頭で知り合う女死神。ゲームの進行役として、主人公にさまざまなことを教えてくれる。たまに意味深なつぶやきが見られるが、実は……!

▲主人公を突如襲ってきたのは、ダーストと呼ばれる亡霊だった。執着を捨てきれずに“猶予”が尽きると、このダーストになってしまうのだという。

ゲームスタート後、知らない場所にいることに気付く主人公・幸丞。女死神と自称する女性から、「あなたはしにました」と告げられる。ところがまだ完全に死んだというわけではなく、強い執着に囚われているせいで死者と生者の間の存在、“境界人”になっているのだという。

“猶予”と呼ばれる期限が尽きるまでに執着から解放されなければ、亡霊(ダースト)になってしまう。ところが境界人はみな、死亡時のショックが強すぎて最近のことが思い出せなくなっている。そこで幸丞は自分の死んだ理由を探しつつ、途中で出会った葵生ちゃんや神蔵之助という青年らの執着を解いてゆくことになるのだ。

重めのシナリオだが、葵生ちゃんを筆頭に死んでもめげない明るいキャラが多く、コミカルなシーンも豊富で楽しくゲームを進められる。憎めないキャラについつい思い入れを持ってしまうのだが、キャラの死亡原因や“執着”が明らかになるシーンでは一転、容赦なく重苦しい雰囲気に。抱えるトラウマが押し寄せ、死亡時の辛い記憶が絶え間なくフラッシュバックする。


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▲死因を探る葵生ちゃんが、ついにすべてを思い出す。すると絶望に捉えられ、“狭間の深淵”というダーストがうごめくダンジョンへと呼び寄せられてしまうのだ。

▲“狭間の深淵”は複数の階層から構成され、過去のトラウマが容赦なく襲いかかり、死亡時の辛い思い出が繰り返される場所。敵の名前も意味ありげで、進むのが苦しくなるかもしれない。ちなみにクリア後も入ることができ、レベル上げに使える。

キャラクターの辛さ、苦しさを追体験しながら進めるストーリーは、ついつい感情移入してしまう出来栄え。特に記憶のフラッシュバック表現は、演出方法を含めて見ごたえ、聞きごたえともに出色の没入感を持つ。辛い経験を乗り越え、キャラが立ち直る姿を見たときには、胸に来るものがある。

ゲームとしてもごほうびがあり、“執着”を乗り越えたキャラは特殊能力が手に入る。動物と話せたり、わずかに物に触れられたりと、新しい能力を使ってストーリーを進めていけるようになるのだ。


●残り寿命が短いと戦闘が不利に!? “猶予”とTPで爽快バトル

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▲戦闘では物理攻撃のほか、「Skill」としてMPを使う技(消費MP量が青色)、TPを使う技(消費量が緑色)でも攻撃ができる。

▲キャラごとに最大猶予の差が大きい。最大猶予の大きいキャラが敵の攻撃を受け、少ないキャラは高速でTPを貯め大ダメージを与えるなど、工夫して戦略を立てたいところだ。

このゲームを語るうえで外せないのは、独自色の強い戦闘システムだ。主人公たちが持つ時間である“猶予”は、死亡直後のキャラほど多く、死後時間が経過するにつれ少なくなる。ところが、ただのゲームのエッセンスと思っていた“猶予”だが、戦闘ではHPとして作用するのだ。残り寿命(最大猶予)が少ないキャラは、強い攻撃であっという間に死亡してしまう。

さらに、強力な装備でも最大猶予が減ってしまうため、ゲームの難易度を上げれば上げるほど戦闘がスリリングになるという仕組みだ。頼みの綱のアイテムでも、“猶予”の回復は0.6~4.8%程度ほど。第4章クリアで回復装備が手に入るまでは、猶予が減った状態で戦い続けるしかない。

と、ここまでの話だと、“猶予”の少ないキャラは常に防御ばかりして戦闘がつまらなくなるように思える。そこをフォローするのが「TP」の存在だ。戦闘中に行動を起こすことで貯まり、全体攻撃や状態異常を持つ強力なTP技を繰り出せる。「Attack」で1TP、「Skill」(MPやTP使用技)で2TP、「Guard」で3TP貯まるため、攻撃力の低い後衛タイプのキャラであっても一撃必殺の爽快感のある戦闘ができるというわけ。

TP技の演出は決めボイス付きで凝っており、戦闘のテンポも良好。オートモードやコマンドリピート機能もあり、ザコ敵との戦闘は素早く終えられる。一方、強敵はバトル中に物理無効や特殊攻撃無効などを細かく切り替えてくるため、プレーヤー側もそれに合わせた攻撃を見極めなければならず、長時間でもダレにくくなっている。

ゲームに詰まった時には、セーブポイントで確認できる「スケジュール」が次の行動を教えてくれる。また、目的地や重要人物にはイベントアイコン(EV)が付くため、迷った時はそれを目当てに移動すれば大丈夫。

主人公たちと一緒に、家族の問題や死の理不尽さなど、さまざまな困難に立ち向かっていく『Margikarman ItoA(マージカルマン イトア)』は、1シナリオ1時間程度と短時間でも遊びやすく、個性豊かなキャラの掛け合いも楽しめるバランス良好なRPGなのだ。


ニコニコ自作ゲームフェス3とは

“ニコニコ自作ゲームフェス”は、ゲームを作る人、遊ぶ人、二次創作をする人をつなぎ、個人で作ったゲームがもっと多くのひとにプレイされるようになることを目指す祭典。3回目の開催となる“ニコニコ自作ゲームフェス3”は、2013年12月13日(金)から2014年3月2日(日)の間で作品募集を行ない、4月上旬に受賞者を発表するぞ。4月26・27日に“ニコニコ超会議”の会場にて展示を行う予定だ。

ライター:市川美穂