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【ウォッチドッグス】日本語版のシナリオ翻訳監修を担当したクリエイター佐藤大氏に聞く!<前編>

公開日時:2014-06-12 13:00:00

■著名なクリエイターに直撃!

皆さん、こんにちは。週刊ファミ通『ウォッチドッグス』担当のヘイ昇平です。今回は、『ウォッチドッグス』日本語版のシナリオ翻訳監修を担当した、クリエイターの佐藤大(さとう だい)さんにお話をうかがいました!



佐藤さんと言えば、『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』や『カウボーイビバップ』、『交響詩篇エウレカセブン』といった絶大な人気を誇るアニメシリーズの脚本を担当し、現在もアニメ業界の第一線でバリバリ活躍されているスゴイ人です。そんな佐藤さんが『ウォッチドッグス』とどんなきっかけで結びついたのか……気になりません? というわけで、佐藤さんに突撃取材を敢行!



じつは佐藤さんはソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアが運営しているコミュニティーサイト“プレコミュ”の『ウォッチドッグス』公式ブログのレポーターとして、シカゴプレスツアーに参加されていて、ツアー期間中は僕もいっしょに行動させてもらいました。すっかり舞い上がってしまった僕は、よせばいいのにアニメ業界に関する質問(ミーハー根性丸出しかつ不躾)を佐藤さんにぶつけまくってしまいましたが、嫌な顔ひとつせず丁寧に答えてくださって……。思い返せば、佐藤さんが超いい人&大人で本当によかった! その節は大変ご迷惑をお掛けしました……。



今回のインタビューは、佐藤さんが運営するシナリオライターズオフィス“ストーリーライダーズ”の事務所で実施しました。非常に興味深いお話をたくさん聞くことができたので、前後編に分けてお届けしますね。前編のテーマは、『ウォッチドッグス』のシナリオ監修について。それではどうぞ!

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佐藤 大(さとう だい)
放送構成・作詞の分野でキャリアをスタートし、ゲーム業界、音楽業界での活動を経て、現在はアニメーションの脚本執筆を中心に、さまざまなメディアでの企画、脚本などを手掛けている。脚本代表作は、『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』や『カウボーイビバップ』、『交響詩篇エウレカセブン』など。2014年7月から佐藤氏が脚本参加している『スペース☆ダンディ』シーズン2が放送予定。また、Webラジオblock.fmのトーク番組“don’t_blink”(毎月第二火曜更新)でも、m-floの☆Taku Takahashi氏とともにMCを務めている。



——まずは『ウォッチドッグス』との出会いから教えてください。

佐藤大氏(以下、佐藤) 忘れもしない、2012年のE3ですね。僕はゲーム好きなので、毎年E3の時期になると国内外のニュースサイトに張り付いているのですが、その年のユービーアイソフトさんのカンファレンスでサプライズとして現れたのが『ウォッチドッグス』でした。「何これ、おもしろそう!」と自分のSNSに書き込んだのが出会いです。当時は完全にゲーマー目線でした。

——佐藤さんが脚本を手掛けていた『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』や『東のエデン』と共鳴するような部分を感じましたか?

佐藤 ええ、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』には“笑い男”というキャラクターが登場するのですが、「彼を主役にしたようなゲームだ」とSNSに書き込んだ覚えがあります。僕は『ファークライ』や『アサシン クリード』シリーズなど、ユービーアイソフトさんのゲームが好きなので、そんなユービーアイソフトさんから『ウォッチドッグス』のような作品が発表されて、ただただ楽しみ、という感じでした。

——仕事として関わるようになったきっかけは?

佐藤 『ウォッチドッグス』の発表があった年末に、知り合いの某ゲーム関係者を介してゲーム業界の方々が集まる飲み会に参加させてもらいまして。そこでユービーアイソフトさんのスタッフがいて、その方と「『ウォッチドッグス』、おもしろそうですね〜」と話をしたんです。すると、あちらも「ぜひいっしょに仕事でも」と言ってくださいまして、そこからユービーアイソフトさんとのお付き合いが始まりました。ただ、このとき僕は『ウォッチドッグス』は海外産のゲームだし、自分が関わることができる部分は少ないだろうな、と思っていたんです。だからソフトの宣伝のお手伝いを少しでもできたらという感じでした。でも、先方と話してみたらどうも事情が違うようで……。

——日本語版の脚本監修としてがっつり開発に入ってくれ、と(笑)。

佐藤 そうなんです(笑)。ものすごく興味を持っていた作品だったので、「こちらこそ、やらせてください!」と即答して(笑)。でも、いま思い返すと、ゲームのトレーラーを見ただけで即答したのは、ある意味で賭けだったと思います。ふたを開けてみてゲームがつまらなかったらどうするつもりだったんだと、自分の無邪気さに呆れましたよ(笑)。とは言え、何となく直感ですばらしいゲームになりそうな予感がありましたし、ハッキングという新しいテーマにチャレンジしていて、アニメ畑にいる僕たちには実現できないことをやっている作品だったので、応援したい気持ちもあって。

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——なるほど。それで佐藤さんは『ウォッチドッグス』日本語版の脚本監修として、開発者の一員に加わるわけですね。

佐藤 はい。それからゲームの仕様を見せてもらい、キャラクターのリストや、ざっくりとした翻訳をいただいたのです。

——脚本の監修というと、どこまで手を入れるものなのですか?

佐藤 今回僕が担当したのは、脚本のスタートアップの部分です。キャラクターのリストとざっくりした翻訳、そして関係図、あらすじなどをもとに、キャラクターの色というか個性をどうやって表現するか考えました。まずはキャラクターごとに印象深いパンチラインとなるセリフをピックアップし、それに対してこんな風に訳したらどうでしょう、あるいは語尾やトーンをこうしてみては? と、指示を入れさせてもらいました。『ウォッチドッグス』の日本語版は、最初から吹き替え音声でリリースすることが決まっていたのが大きかったですね。もし字幕だけだったら、僕ができることも限られていたはずですから。

——翻訳の方向性を決める舵取りを担当されたのですね。上がってきた脚本は佐藤さんのテイストが感じられるものに仕上がっていましたか?

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佐藤 これは後でわかったのですが、『ウォッチドッグス』のスタッフは、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『東のエデン』など、僕が携わった作品を観ていたそうなので、自然にそういうテイストが感じられたんだと思います。ですので、僕の個性を表現するというよりも、素材のよさを引き出すつもりで監修を行いました。また、今回は日本語吹き替えのキャスティングに関われたのも大きかったですね。海外ドラマの『SHERLOCK(シャーロック)』や『FRINGE/フリンジ』、『パーソン・オブ・インタレスト』などを観ている人も楽しめるようなキャスティングを心掛けました。これはふだんあまりゲームをやらない人でも作品に入り込めるようにすることで、ゲームに入り込む敷居を下げたかったからです。僕は海外ドラマフリークなので、仕上がりを聴いて「わーい!」とはしゃいじゃいました(笑)。ドラマとは主従関係が逆の配役にしていたりするので、マニアにはたまらないと思いますよ(笑)。

——なるほど(笑)。翻訳の指針が定まり、佐藤さんの手を離れたあとの開発は順調だったのでしょうか?

佐藤 いやあ、それが延期になりましたよね。

——あ……そう言えば! もともとは2013年の年末に発売される予定だったのが、2014年6月26日に延期されたんでしたね。

佐藤 ブラッシュアップのために半年延期されたのですが、テキストが逆に増えていたことにビックリして。納期に間に合わせるためには仕様を削るのが自然な考えだと思いますが、『ウォッチドッグス』の開発チームは逆にボリュームアップを目指していているのですから恐ろしいです(笑)。いま思えば、結果的に延期してよかったな、と思いますね。ゲームのクオリティーが大幅にアップしましたし、新世代機のローンチに合わせていたら埋もれていたかもしれない。日本国内に限って言えば「プレイステーション4をみんな買おうぜ」という流れが来ているので、タイミングがバッチリだと思います。

——キャッチボールにたとえると、佐藤さんがボールを投げて、つぎのボールが戻ってくるまでのあいだがものすごくスローモーションだったと(笑)。

佐藤 一時期情報がぱったり消えたので、本当にソフトが出るのか不安だった時期もありました(笑)。

——で、ローカライズにおける佐藤さんの仕事がひと段落し、つぎは“宣伝”のターンに移るわけですね。

佐藤 はい。もともと宣伝として関わるつもりだったので、そのままプロモーションにも携わらせてもらいました。

——なるほど。ここからは次回うかがいたいと思います。(後編へ続く)

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インタビューの後編は2014年6月13日更新予定! お楽しみに!!

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