中村彰憲のゲーム産業研究ノート グローバル編

立命館大学映像学部 中村彰憲教授による、その見識と取材などを元に、海外ゲーム情報を中心としたブログ連載!

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【ブログ】「TGS2018」話題のアクションゲーム2作をハンズオン

2018-10-01 21:00:00

 4日間にわたる会期の来場者数が29万8690人となり、過去最高の来場者数を更新した東京ゲームショウ2018。ゲーム会社大手による最新作の発表から、eスポーツ、ユニークなインディーズゲームタイトルから、VR/MR/ARまで、実に様々な作品に今年も巡り合ったが、その中で、筆者が注目した、2作のハンズオンを本稿では紹介したい。一方は、カプコンの『バイオハザード RE:2』、他方は、よむネコによる『SWORDS of GARGANTUA』だ。これら2作は、いずれもゲームアクションをさらに進化させるべく真摯に研究に取り組んでいるという点において共通している。それではこれら2作のハンズオンをお伝えしよう。

リメイクというよりは完全新作だと実感できた『バイオハザード RE:2』

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カプコンブースにおいて『バイオハザード RE:2』展示は筆者が訪れたビジネスデーの際でも既に大盛況


 まずはE3 2018において電撃発表されて話題となった『バイオハザード RE:2』。リメイク作品と説明がなされていることが多いが、実際、ゲームをプレイしてみると、世界観、ストーリーはほぼ前作を踏襲しながらの「完全新作」という印象を受けた。というのも、主人公キャラクターや舞台こそ前作と「同じ」であるものの、ゲームプレイそのものについては、全く別物と実感出来たからだ。

 ちょうどマーベル・コミックと劇場用映画のマーベル・シネマティックユニバースは全く違うものになっているのと同じと言ったら分かりやすいだろうか?

 筆者は、幸運にもレオン・S・ケネディ版とクレア・レッドフィールド版の双方をプレイする機会に恵まれたが、まず驚かされたのは「質感」。例えば、レオン版での警察署奥部。デモでは旧作でもお馴染みのラクーン・シティ警察署内を、生存者を見つけるために探索するわけだが、暗闇の中、懐中電灯のわずかな光を頼りに彷徨うこととなる。その中で血が一面に広がる部屋に入り込むわけだが、その瞬間、床のぬめりを実に生々しく感じたのだ。

 また、動画共有サイトでも話題になっているシャッターシーンでは、分かってはいてもやはり度肝を抜かれる。犠牲者の叫び声やゾンビのうめき声などが想像以上に緊迫感をあおるからだ。

圧倒的な質感と実在感のある音響効果が非現実的な事象をリアルとして認識させる

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無残にも、G第一形態に襲われてしまうクレア。プレイヤー(筆者)が不甲斐ない状態に……!


 一方、クレアシーンで感じていたのはクリーチャーの生々しさ。同シーンでは地下牢のようなところを彷徨ったあと、シェリーとの初対面シーンへといきつくのだが、その直後に、G第一形態が自身の真後ろに迫っていることに気づく。背景はピントが合っていないものの、Gの巨眼がギョロリと動く瞬間は否が応でも気がつくことに。その後、Gとの接戦が繰り広げられるわけだが、極めて狭い、迷路のような地下空間のため、非常に悩まされることに。その戦闘時も、例の巨眼は終始、右に左にと動き続けるのだ。その躍動感に、たとえそれがG第一形態というこの世に存在しないクリーチャーでも、生き物としての本能的な恐怖を感じざるをえない。

 このように、旧作とは段違いのリアリティに思わず目をつぶりたくなる瞬間をわずか30分程のプレイ時間で何回も体験した『バイオハザード RE:2』。完成版をその手にする日がいまから待ち遠しい。

VRアクションにおける未開拓の牙城、剣劇を正確にゲームデザインに落とし込んだ『SWORDS of GARGANTUA』

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こちらキービジュアルだが、HMD内では超巨大な存在としてプレイヤーの前に立ちはだかることに


 もう一方は、VRコーナーで終始盛況だった、株式会社よむネコによるVR専用アクションRPG『SWORDS of GARGANTUA』だ。デモは2人のプレイヤーで、塔のような場所で敵軍を蹴散らし、最後には、超巨大ボスに挑むというものだ。プレイ時にまず驚かされたのが移動速度の適切さだ。本作はこれまで多くのVRアクションで使われたワープシステムが採用されていない。

 確かに本作は西洋の伝統的なRPG的世界観であるため、ワープを繰り返すと、没入感の妨げになることだろう。だが、従来、VR用HMDをかぶりながらコントローラを用いて移動すると、どうしても酔いを感じてしまう。だが、本作は程よい速度で移動するため、全く違和感を感じることが無かった。これもVRアクションの研究を続けた成果だろう。

巨大な敵との鍔迫り合いは圧巻且つ実在感溢れる体験に

 ただ今回のプレイの中で、最も印象に残ったのは剣劇だ。巨大な敵に回り込んで、剣を振り回すと、正確にその動きがキャラクターに反映されているように感じた。さらに鍔迫り合いのような経験もした。それも事前にシナリオがセットアップされているようなものではなく、偶然発動する鍔迫り合いだ。実際にプレイヤー自身の戦略が実態をともなって実感できることが本作の醍醐味と言える。

 また、背後に回って、剣を思い切り突き立てると敵キャラクターを剣で倒しているという実感を得た。ただ、最終ボスではその巨大さに圧倒されたのも事実。近づくことすらはばかれるような、存在感に脅威を感じつつ、渾身の一撃を放ちつつ即座に逃げるといったことを繰り返した。結局、巨大ボスを倒したのは、もう一方のプレイヤーだったが、プレイ後はストーリーをコンプリートできた充実感と体のところどころに程よい筋肉痛を感じるというまるでスポーツに興じたような独自な感覚を得た。一見、極めて伝統的RPGの雰囲気を醸し出しながら、体験という視点において従来、感じたことのない高揚感を実感できるのが、『SWORDS of GARGANTUA』だ。VR元年を経て、生み出されたゲームは、VRの独自性をより際立てたものになるのだということを体感出来た瞬間だった。

 以上、本稿は、東京ゲームショウ2018で、筆者が体験したゲームタイトルのハンズオンだが、例年と変わらずイノベーティブな作品を体感出来たことは間違いなく、さらに、大手、ベンチャー企業に関わらず、その革新性を実感出来たことは大きな収穫であった。これらの作品の今後の進展も見守っていきたい。