中村彰憲のゲーム産業研究ノート グローバル編
立命館大学映像学部 中村彰憲教授による、その見識と取材などを元に、海外ゲーム情報を中心としたブログ連載!
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中村彰憲
立命館大学映像学部 教授 ・学術博士。名古屋大学国際開発研究科後期課程修了 早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部を経て現職。 日本デジタルゲーム学会(DiGRAJapan)会長、太秦戦国祭り実行委員長 東京ゲームショウ2010アジアビジネスフォーラムアドバイザー。 主な著作に『中国ゲームビジネス徹底研究』『グローバルゲームビジネス徹底研究』『テンセントVS. Facebook世界SNS市場最新レポート』。エンターブレインの ゲームマーケティング総合サイトf-ismにも海外ゲーム情報を中心に連載中。
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【ブログ】崑崙日本株式会社 副社長 北阪幹生氏インタビュー
2017-06-05 10:45:00
「ファミ通ゲーム白書2017」の刊行が迫っている。筆者は、創刊以来、中国地域、程なくしてからは中国市場に加えロシア、インド、東南アジアといった新興市場も担当することとなった。そのような中で、様々な方々にお話を伺う機会があるのだが、そのすべてが分析に収まりきるわけではない。そこで、本稿では、長年交流があり、今回も取材に快くご対応いただいた、崑崙日本株式会社 副社長である北阪幹生氏への取材を全文掲載する。
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『エルソード戦記』モバイル版の成功とともに進める崑崙のグローバル新展開
――2016年は『エルソード戦記』の成功からはじまりましたが、具体的にどのような展開がおこなわれたのか教えてください。
崑崙日本株式会社 副社長である北阪幹生氏(以下、北阪):崑崙は2016年の『エルソード戦記』モバイル版から、IP獲得・自社開発戦略を打ち出し始めました。3Dサイド・スクロール型アクションゲームの同作は、2次元ジャンルが好きなユーザー層を意識して開発し、2016年1月から展開を始め、成功しています。PC用オンラインゲーム版の複雑さを簡略化し、モバイル版と連結しつつプレイ体験のセグメント化を進めました。ハイクオリティな作品を通して、細分化が進む2次元コンテンツファン層や横スクロールアクションファン層の中で大きな成功を収め、中国のアップルストアにて、ランキング第一位を含む上位ランキングを何度にもわたり得ることが出来ました。またベストセラーランキングでも第9位になりました。中国語版とほぼ同時で英語版をグローバル市場で展開しましたが、それも好調で、121カ国のGoogle Play及びアップルストアにおいて178回にもわたり、「おすすめ」欄で紹介されているのみならずトップセールスの上位ランクを得ることができました。韓国版も2017年1月にNexonによりリリースされましたが、アップルストアの「おすすめ」欄にて取り上げられています。
――開発体制について教えてください。
北阪:本作は、韓国KOGとの共同で開発が行われました。世界観、キャラクターデザインやゲームプレイはこれまでの作品の延長上にありながら、3Dマルチ・アングル技術と、ライブ3Dアバター技術を採用し、バトルシステムでは、操作方法を簡略化させつつ126ものキャラクターに独自のアクションをつけながら各キャラクターにおける戦闘時のクールなビジュアルエフェクトを向上させました。ゲームプレイとしては、ペットシステムやエルソードクリスタルシステムなども統合させコレクション要素や豪富な育成要素も追加しました。
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「自社開発+IP」が今後の崑崙グループにおける戦略の要
――御社はゲームだけではなく
他のコンテンツへの展開も考えているとのことですが……
北阪:2015年から構想した「自社開発+IP」の戦略ですが、『エルソード戦記』の成功で、より確信をもって展開することが可能になりました。既に台湾の老舗ゲームスタジオ、ソフトスターと戦略的提携のもと、『仙剣奇侠伝』、『軒轅剣』並びに『大富豪』シリーズの開発が進んでいます。
これらのIPは、アニメ、テレビ番組、そしてモバイルゲームという3大メディア領域をカバー出来るのです。そしてこれらは、モバイルゲームユーザーにとって最も重要な領域でもあります。
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――御社は海外の優れたアプリを中国国内でも成功させています。
北阪:モバイルゲームの海外への展開と海外からの優れた作品の国内展開は崑崙の強みですが、そこに「自社開発+IP」戦略が加わることで、海外市場の開拓にさらに注視出来るようになります。つまり崑崙としては今後も「自社開発+IP」、「映像とゲームの双方向戦略」そして「海外への輸出入」という3つの大きな前提のもと、ゲームの研究開発及び運営能力を高めていくつもりです。
――ありがとうございました!