第10回 ディレクター前田殿といろいろ駄弁ってみたの術 後編

公開日時:2015-04-07 00:00:00

  『ウィズローグ』ディレクターの前田さんインタビューの後編です。引き続き、前田さんと忍増の肩の力が抜けた雑談を楽しんでください。今回はレアな『ウィズローグ』制作秘話も転がっています! ちなみにマジメ版インタビューはコチラ

前田明彦氏

【プロフィール】
タイトー所属。『ウィズローグ』のディレクターを務める。
■前田さんへの『ウィザードリィ』アンケート
・好きなシナリオ:ファミコン版『1』と『2』、プレイステーション版『5』(『ニュー エイジ オブ リルガミン』)
・好きな種族:エルフ
・好きな職業:侍
・好きなアイテム:Ring of Death
・好きなモンスター:MAELIFIC
・好きな呪文:マピロ マハマ ディロマト
・好きな週刊少年ジャンプのマンガ:風魔の小次郎、バオー来訪者、うすね正俊がアシスタントをしていたころのこち亀
・好きなアイドル:NEWS JAPANのころの滝川クリステル

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▲前田明彦氏

――今回はちょっと『ウィズローグ』の話に戻しましょうか。『ウィズローグ』というタイトル名は、すんなり決まったんですか?

前田 はい。いちばん最初に会社に提案したときから『ウィズローグ』でした。昔、『ウィズ・ボール』というカードゲームがあったんですけど、『ウィザードリィ』の世界観で野球をやるという、風変りな内容で……。

――ああ、知ってます! さすが古いネタをご存じですねえ(笑)。

前田 その『ウィズ・ボール』という名称が、最初に僕の頭の中にありまして。版元のGMOゲームポットさんに、「『ウィザードリィ』っていう名前じゃないとダメですか? 昔『ウィズ・ボール』というカードゲームがありましたけど、そういうふうに名前を短縮したり混ぜたりするのはダメですか?」って聞いたんです。すると、「大丈夫ですよ」という返事をいただきまして。

――『ウィズ・ボール』の語呂がヒントになっていたとは意外でした。マニアックで素敵なエピソードですね。『ウィザードリィ』を“ウィズ”と略したオフィシャル製品は、おそらく『ウィズローグ』が2番目ではないでしょうか。

前田 いまここに、当時自分で買った『ウィズ・ボール』の原物があるのでお見せしましょうか?

――ぜひぜひ(と、前田さんが持っていた『ウィズ・ボール』を見せてもらう)。そう、このパッケージでした。当時、末弥純さんの絵で冒険者たちがバットを持っているこのパッケージは衝撃でしたね。

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▲『ウィズローグ』のタイトル名のヒントになったカードゲーム『ウィズ・ボール』。発売元はアスキー。ゲームデザインは佐脇洋平とグループSNE。なんとパッケージでは“~グループSNG”と誤植されている。1989年発売。翌年には拡張キットも発売された。

――拙者は『ウィズローグ』ですぐ死んでしまうんですが、プレイのコツを教えてください。

前田 基本は何事も“慎重に”です。勢いで進めていくと、気がつけば死んでいたりするんですが、その死は、振り返ると回避できることが多いんです。

――リタイアを頻繁に使ったほうがいいといいことでしょうか?

前田 もちろん、ときにはリタイアも大事ですが、いま言っている“慎重さ”はまた別の話です。たとえば、通路をダッシュした勢いでそのまま部屋に入ってしまうと、いきなり複数の敵に囲まれたりします。そういうときは、部屋の入り口の前で1回空振りすることで、それを防げたりするんです。そういう慎重さが必要ですね。

――そういえば拙者も、入り口の前で一度矢を撃ってから入ることがあります。

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▲いきなり部屋に入ると、大勢の敵に取り囲まれてピンチになることも。

前田 また、逃走している敵の倒しかたにもコツがあります。敵の全滅が目的となるフロアで、聖水を使い切って死んじゃうという話も聞くんですけど、あえて空振りでターンを消費し、敵をどこかの部屋に入れてから、その部屋に向かったほうがいいかもしれません。通路を追いかけると、ひたすら逃げられることがありますので。ムキになって敵を追いかけなくても、一度部屋に入れてしまえば、プレイヤーが近づくまでその部屋にいることも多いんです。ほかにも、通路などで逃げる敵との位置関係が直線状になったときは、矢や攻撃呪文を放つのもいいですね。敵が見えていなくても、矢と呪文は射程10マス以内なら当たりますから。後衛に矢を使える盗賊を多く配置するというのも、攻略のひとつのポイントかもしれないですね。

――複数の矢の一斉射撃は強いですもんね。あと、戦士系3人だけでプレイすると効率がいいとか聞きますよね。拙者は、それはちょっとする気にならないんですが、本当に効率がいいんでしょうか?

前田 はい。3人だと聖水の減りが半分で済みますし、得る経験値も人数が少ないぶん多くなるので、割り切るならそういうプレイの仕方はアリだと思います。プレイヤーさんのあいだで、ここまで定石になるとは思っていなかったですけどね(笑)。あとは原作に比べると司教が使えるので、うまく育ててほしいです。

――それはアイテム鑑定以外の部分でということですよね。具体的に司教のどういう部分が“使える”のでしょう?

前田 まず単純に、呪文を覚えるペースが原作より早いです。また、司教がいれば、魔術師と僧侶をひとりずつ連れて行かずに済み、後衛枠をひとつ別のキャラに使えるんです。どちらにせよ呪文詠唱は基本1ターンに1回なので、魔術師呪文と僧侶呪文を両方使える司教がいれば、ひとりで事足りてしまうという。

――なるほど、そういうことですか。ちなみに拙者は、いまUCのキャラメインでやっているのですが、転職はどうしてもレベルマックスまで育ててからにしたくて、まだ司教は作ってないんです。いまのところだれもレベル30に到達していないんで。

前田 わかります。じつは今後、頃合いを見て、低いレベルの呪文を中心に呪文の使用回数を増やしたいと思っていますので、これが実現するとさらに司教の恩恵が大きくなると思います。

――司教いいことずくめじゃないですか。

前田 そういえば、本当にやるかどうかはわからないですが、呪文要素の変更はもうひとつ、ダルト、メリト、ハリトの3種類を、原作にこだわらずに、もっとこのゲームにあった形で差別化してもいいかなと思っています。いまは属性の違いだけなので、たとえば炎系だったら数ターンダメージが続くとか、氷系だったら数ターン動きが止まるとか、そういう効果をつけたり。まだアイデアレベルで考えているだけですけどね。

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▲今後、呪文の効果が変わると、戦術も大きく変わってくるかもしれない。

――最後に、当コーナーを読んで、拙者のプレイに対して何か感じたことがありましたら教えてください。

前田 以前、後衛を僧侶ふたりにしていたじゃないですか。そういうふうに、増田さんはいろいろ工夫してプレイされているなと思います。いろんなことを試してもらえるのは、作り手としてありがたいです。

――ほかになんか不満とかはないですか?

前田 不満じゃないですけど、“すわ親治”はマニアックでしたね(笑)。ググって思い出しました。僕、その当時は途中から『ひょうきん族』に移行したせいもあるのか、すわさんを覚えていなかったんですよ(笑)。

――自分ではバッチリいい例えだと思ったんですけどねえ。でも、わざわざ検索して調べてくれたのはうれしいです。これからもわかりにくいネタをチョイチョイ入れていきますので、覚悟してついてきてください。読者のみなさんも!

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▲忍増の毎度のわかりにくいネタに前田さんもビックリ。次回はまたプレイ日記に戻ります。

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『ウィザードリィ』に関しては「知らないこと以外はすべて知っている」と豪語するほどの知識を誇るフリーライター。自分のことを忍者だと思い込んでいる可哀そうな人なので、みんないたわろう。

『ウィズローグ』でござるよ!