スーパーコアゲーマーがクリエイターに突撃! 椿姫彩菜のゲームの話

タレントでコアゲーマーとしても知られる椿姫彩菜さんが、ゲームクリエイターの皆さんに“ならでは”の視点で切り込む連載企画。椿姫さんが注目するゲームのクリエイター、旬なクリエイターに対談形式でお話を聞いていきます。椿姫さんのゲーマー側に立った突っ込みに、クリエイターはどう応えるのか? どんなぶっちゃけトークが展開されるのか? 注目です。

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“椿姫彩菜のゲームの話”第14回 スクウェア・エニックス市村龍太郎氏に聞く『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』開発秘話その1

2015-03-31 13:00:00

 タレントでコアゲーマーとしても知られる椿姫彩菜さんとゲームクリエイターの対談企画第14回。今回のゲストは、プライベートでも椿姫さんと親交の深いスクウェア・エニックスの市村龍太郎氏。市村氏がチーフプロデューサーとして関わる『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』(以下、『DQヒーローズ』)の開発秘話を中心に、椿姫さんがユーザー目線で鋭く切り込みます。

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市村龍太郎氏(左)
椿姫彩菜さん(右)

●『ドラゴンクエストヒーローズ』というタイトルの由来は……?

市村龍太郎氏(以下、市村) 今日はお酒ないけど大丈夫?

椿姫彩菜(以下、椿姫) いらないですよ(笑)。いつもこのコーナーの対談はマジメにやってるんです!

市村 そっか(笑)。確かに過去の対談記事を見たら、しっかりやっていたね。

椿姫 気を取り直して……市村さんと初めていっしょにお仕事をしたのは、ファミ通.comの『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー』の連載記事だったんですよ。あのときはかなりアツく『ドラゴンクエスト』(以下、『ドラクエ』)について語りましたよね。

※【第1回】椿姫彩菜さんと市村龍太郎氏によるスペシャル対談が実現!『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー』

市村 あのときは「この人、本気でやっとるわー」と思ったよ。

椿姫 当時は、毎日ゲームセンターで子供に混ざってプレイしてましたから(笑)。それじゃあ、質問をたくさん考えてきたのでさっそくいきますね。

市村 彩菜ちゃんは“ガチ”だから、鋭い質問が来そうで怖いな(笑)。

椿姫 『DQヒーローズ』はプレイステーション4版をメチャクチャやり込みましたよー。すっごくおもしろかったです。

市村 うんうん。まずは彩菜ちゃんに「おもしろかった」と言ってもらえるのがいちばんありがたいですね。よかった(笑)。発売前にプレイしてもらったときに「ちょっと難しすぎじゃない?」と指摘されたことがあるから心配だったんだよ。

椿姫 あのときは少し運が悪かったんですよ。序盤のステージで“おおきづち”4体くらいに、“痛恨の一撃”を連続で食らったおかげでやられそうになって、それで「難しい!」って(笑)。

市村 それを聞いたからスタッフに、「このステージは痛恨の一撃禁止ね」と、序盤ステージで“痛恨の一撃”はやってこないようにしたんですよ。

椿姫 私はアクションゲームに慣れているほうなんですけど、それなのにやれちゃうとしたら「初心者の人はどうなっちゃうんだろう?」と心配になったんですよ。でも製品版では調整されてあってよかったです。

市村 そりゃあもう、ヘビーユーザーの彩菜ちゃんのご意見でしたから。確かに序盤ですぐやられてしまったらやる気がなくなっちゃうかなと。クリアーまではプレイしました?

椿姫 はい。大好きなピサロも仲間にしました。

市村 イケメン好きにはうれしいだろうね。

椿姫 イケメンだけじゃなくて、『ドラクエ』の大好きなキャラクターを実際に自分で動かせるという喜びは格別でしたよ。

市村 『ドラクエ』としての感触はどうだった?

椿姫 『ドラクエ』のアクションゲームと聞いたときは少し不安でしたけど、市村さんがチーフプロデューサーとして関わっていると聞いてからは安心しました。『8』や『9』、『モンスターバトルロード』など、市村さんの関わっている作品は、『ドラクエ』ファンが納得いくものをしっかり作ってくれているので、失敗することはないと思っていました。それでも、ここまで『ドラクエ』の世界観をしっかり表現しながらアクションゲームとして仕上げるのはすごいと思いました。そこで質問なのですが、『ドラクエ無双』という名前にしなかったのはなぜですか?

市村 僕個人は『無双』のヘビーユーザーだから、『無双』シリーズが爽快感のあるすばらしいゲームだと言うのはわかっている。でも、『ドラクエ無双』というタイトルにしてしまうと、「こういうゲームになるだろう」とイメージできちゃうんですよね。ゲーム内容を想像できてしまってはつまらないじゃない。それと、『ドラクエ』も僕自身もつねに新しいチャレンジをしてきたから、そうするには『無双』というタイトルをつけちゃいけないと思ったんだ。

椿姫 うんうん。そうだったんですね。

市村 オメガフォース(※)の方々には申し訳ないけど、『無双』のシステムを使うにしても、RPGとしての『ドラクエ』とアクションゲームとしての『無双』を融合して、まったく新しいアクションRPGに仕上げていく、という話を最初にして納得していただいたんだ。

※『DQヒーローズ』の開発を担当するコーエーテクモゲームスのチーム。『無双』シリーズを手掛けている。

椿姫 すごく納得いきました。『無双』のよさを活かしつつ、さらに超えるものを作りたいという気持ちがあったんですね。では、『ドラゴンクエストヒーローズ』という名前はどうやって決めたんですか?

市村 開発スタッフみんなで案出しをしていたんだけど、歴代の『ドラクエ』キャラクターが出てくるということを考えたら、堀井雄二(※)さんが「このゲームは歴代のヒーローたちの闘いなんだよね」、「『モンスターズ』はモンスターたちのゲーム。これは人間側を描いた物語だから『ヒーローズ』にしてみない?」と堀井さんが言ってくれたんだ。

※『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親

椿姫 堀井さんが決めたんですね!

市村 それを聞いていた僕らは、今後シリーズとして展開していきそうなタイトルだけど大丈夫かな?と、逆に不安になってしまって……。

椿姫 うんうん。プレッシャーになりますよね。

市村 でも堀井さんは「シリーズ化できるポテンシャルを持ってやりたい」という気持ちも込めて『ヒーローズ』という非常に大作感のあるタイトルをつけてくれたんだ。

椿姫 うんうん。

市村 ロゴも子供向けというよりは、映画のような高級感のある大人っぽいものにしたんですよ。パッケージのデザインもね。

椿姫 大人向けを意識して作られたんですね。

市村 そういう方向に極端に振り切った感じだね。久しぶりのプレイステーションフォーマットで、かつ据え置き機の『ドラクエ』だから、大人の『ドラクエ』ファンがじっくり遊べるものにしたかったんだ。

椿姫 そのおかげで、プレイステーション4本体もソフトといっしょにすごく売れていますよね。

市村 それはすごくうれしいよね。今後のゲーム業界にとってもすごく大事なことじゃないかな。ソフトが充実しないとハードは売れないわけだし、牽引できたのはとてもいいこと。それにしてもオメガフォースさんの開発スピードの速さには驚かされたよ。だって『ドラクエ』シリーズが新ハード発売から1年くらいで出たことってないじゃない?

椿姫 確かに! そういえば、『ドラクエ』シリーズはいちばん普及してるハードで出すとおっしゃっていたこともあるじゃないですか。でも、今回はプレイステーション3とプレイステーション4。これはグラフィックを重視して大人向けに作るというコンセプトがあったからですか?

市村 僕らも『ドラクエ』のアクションゲームというのは長年の課題だったんだよ。じつは構想はあったんだけど、どれも発表までにはいたらなかった。そうしたところに、オメガフォースさんから「『ドラクエ』のアクションゲームを作ってみたい」と声をかけていただいて、堀井さんもぜひ作りたいとおっしゃったんだ。じゃあ、オメガフォースさんの力をいちばん発揮できるのはプレイステーションフォーマットだよね、と。

椿姫 まずアクションゲームを作りたいというのがあって、そこから始まっているんですね。

市村 そうそう。それで開発がスタートしたころにプレイステーション4が発売されたから、1年後に発売するのに対応していないというのはあり得ない。それでプレイステーション3とプレイステーション4対応に。

椿姫 そうだったんですね! 贅沢を言うと、マルチプレイがやりたかったなあ。

市村 いいところをついてくるねホンマ(笑)。

椿姫 (笑)。開発内でそういった話はなかったですか?

市村 う~ん、なるほど。これは慎重にならざるを得ない質問だ(笑)。もちろん、みんなで遊べるものが作れれば、それはすごくいいとは思うんだよね。僕らとしてもやりたかったことのひとつではある。でも、マルチプレイに対応するとなると、もう1年必要になったかもしれないし、ゲームデザインを根本的に調整する必要が出てきちゃうんだよ。

椿姫 そんなにたいへんな作業なんですね!

市村 そうだね。アクションゲームでマルチプレイとなると、開発工程が増大してしまうんだ。だからまずは、「『ドラクエ』のアクションRPGはどう?」というものを提示しようと。それでユーザーさんの反応がよければ……。

椿姫 じゃあドンドン意見を寄せればマルチプレイが実現する!?

市村 じつは、実際にドシドシそういった意見が寄せられてる(笑)。

椿姫 もし続編が出るとしたら、マルチプレイを期待してもいいですか?

市村 う~ん、どうだろうね(笑)。

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次回は『DQヒーローズ』のキャラクター選出について迫る!