
須田剛一/SUDA51
株式会社グラスホッパー・マニファクチュア
代表取締役/ゲームデザイナー
1993年にヒューマン株式会社にプランナーとして入社。『スーパーファイヤープロレスリング』シリーズ、『ムーンライトシンドローム』を手がけた後独立し、1998年に株式会社グラスホッパー・マニファクチュアを創立。2013年2月よりガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社のグループ会社となる。
多くの作品でディレクター、脚本、ゲームデザインを務めており、その独特なスタイルで構築される世界観は、国内外を問わず熱烈な支持を集めている。
代表作には『シルバー事件』をはじめ、『killer7』『ノーモア★ヒーローズ』シリーズ、『シャドウ オブ ザ ダムド』『解放少女(GUILD01収録)』『LOLLIPOP CHAINSAW』『KILLER IS DEAD』がある。最新作は2016年予定のPS4専用タイトル「LET IT DIE」。
この他2015年4月に公開となったスタジオカラー×ドワンゴ短編映像シリーズ「日本アニメ(ーター)見本市」第16話『月影のトキオ』は須田剛一原作・脚本による初の本格短編アニメーション作品。また2015年8月より「月刊コミックビーム」で須田剛一原作の漫画『暗闇ダンス』の連載を開始。
代表作:
『シルバー事件』、『killer7』、『ノーモア★ヒーローズ』シリーズ、『シャドウ オブ ザ ダムド』、『解放少女(GUILD01収録)』、『LOLLIPOP CHAINSAW』、『KILLER IS DEAD』、『SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日』
Twitter:@suda_51
Facebook:Realsuda51
受賞歴
VIGAMUS Award 2013
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須田剛一による書き下ろし連載!【須田寓話】まっ赤な女の子 #6
2016-03-18 17:00:00
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01.07:スカイブルー2
僕の名前は君鹿守。
インフル治りました。
キツかったっす、辛かったっす。
一週間、寝込みました。
一週間、暇でした。
暇だったので、哲学してました。
今ここで寝込んでいる僕は、
誰からかのウイルスを吸ったわけで、
そこには必然と偶然と自然が三つ巴で相見えて、
朦朧としている事に意味を見出すも、
それがすなわち無意味である事にも意味があり、
意味といえばチョコ。
結局、散子のチョコは
本命チョコだって結論に達したわけなのだ~。
今晩の月が湿っていたのは、
あの日だったせいなのかな。
正しくは、月が泣いていた。
満月よりも僕は半月が好きで、
満月って自信満々で好きになれない。
半月には知性がある。
フォルムが柔らかくて、艶めかしい。
それにミステリアスだよね。
全部見せないのはいい女の条件って、
爺ちゃんが言ってた。
爺ちゃん、助平だからな~。
爺ちゃんの秘密知りたい?
また今度ゆっくり話しま~す。
唐突ですが、魔子の話に戻りま~す。
本城眞子のパンツ……じゃなくて、
後について部屋に入った。
空き部屋って思っていたけど、
ちょっとだけ生活感があった。
最低限の物だけ置いて生活する種族が
最近流行ってるってテレビでやってたけど、
東京って何でも流行にしちゃうよね。
いつか、ウンコはトイレに流さないで
自然に還す種族が流行って、
“本当は誰も知らないウンコ本”みたいなのがベストセラーになって、
そのウンコ使って無農薬栽培で都市生活! とか、
地方移住ブームにも便乗しちゃってビバ、ウンコ!
……ってちょっと暴走しちゃいました。
下品なテキストは女子に嫌われるので、
来週この部分削除しま~す。
今週限定公開で~す。
こじんまりとした団地の一室は、
1人暮らしには適度なサイズに感じた。
狭くもなく広くもなく、三歩で生活に手が届く。
僕が大人になったら、
こんな場所で生きるのも悪くないかも。
感心しながらも、この部屋の違和感の正体を足元に感じた。
靴下に湿った感覚、ドロリとした粘着性は多分アレだ。
何も無いわけではない何も無いような部屋の奥、
赤く染まった畳六畳の部屋の前で本城眞子はそう言った。
「お父さんを殺した」
「ここの部屋で?」
「うん」
「なんで?」
「カレー残したから」
「カレーって、あのカレー?」
「はじめて作ったカレーを食べなかった」
「それで殺したの?」
「そう、たぶん」
「どうやって?」
「憶えてない」
「お父さんはカレーを食べなかったんでしょ? なんで?」
「不味かったから」
「どんな顔してた?」
「誰が?」
「お父さん」
「怖い顔だった。無言で、じっとカレーを睨んでいた」
「どこから憶えてないの?」
「ずっと黙ったままカレー食べないから怒って帰って。
でもやっぱり気になって部屋に戻ったの。
そしたら、部屋が血だらけだった」
「あれ、死体は?」
「無かった。血だけ」
「なんで殺したって思うの?
だってさ、キミは殺した自覚ないのに」
「ううん、違う。私、死体を隠した場所を憶えていたから」
「誰が?」
「だから私が」
「何処に?」
「死体?」
「そう、何処なの?」
「死体に興味あるの?」
「人並み以上には興味ある」
本城眞子は僕の顔をジッと見て、
「付いてきて」
決意を含んだ言葉で僕を誘った。
付いていくべきではない、でももう遅いんだ。
何故か?
もう一回、スカイブルーのパンツを見たい!
理由なんてない、
スカイブルーが男のロマンを刺激する。
それだけなのさ。
【続く】
■編集部解説
いくつもの物語を並行して掲載し、須田氏の混沌を楽しんでいただく“須田寓話”。第6回にしてジュブナイル、“まっ赤な女の子”の話が大きく動きました。“いま”を生きる守くんはあなたでもあり、須田氏でもあります。ミニマルライフとウ○コを繋げる須田氏のパンクが垣間見えます。
■須田氏近況
月刊コミックビームに原作を提供し、作画の竹谷州史氏とタッグを組んで好評連載中のコミック、『暗闇ダンス』の単行本1巻が絶賛発売中!
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時速300kmに挑み生死の境をさまよった男・海道航は、3年間の入院を経て退院。彼が育った街・波道市は大きく様変わりし、航は衝撃を受ける。そんな彼に新たに出来た“王国”から招待状が届き……。この不思議で不可解な旅の物語からも目が離せない!