須田寓話 51FABLES

類を見ないセンスで国内外のファンから熱狂的に支持されるゲームクリエーター、須田剛一氏によるプロット・中短編・メモなどを断片的に掲げる連載。のちの作品に繋がるもの、エッセンスを残すもの、まったくの未完の欠片など、須田ワールドを形づくる珠玉の原石の数々。SUDA51のアタマの中を覗き込め。

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須田剛一による書き下ろし連載!【須田寓話】まっ赤な女の子 #3(1/3)

2016-02-26 17:00:00

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makka05

01.03:軟式

僕は君鹿守。

僕の特技を発表しま~す。
尾行です。
毎日、誰かを尾行してます。
何故かって?
それは暇だからで~す。
う~ん、あんまり言いたくないけど、
ここでは格好つけないで本音で書くって決めたから書くけど、
心が折れちゃいました。
あっ、部活の話ね。

テニス部に入ったんだけど、
軟式のへんてこりんなバックハンドに慣れなくて、
硬式流の打ち方をしてたら
やたら元気がいいだけの筋肉バカな先輩に目を付けられて、
ずっーと球拾い。
その時に体も壊しちゃって、
ドクターストップが掛かちゃったから結局辞めたんだけど、
僕は敗北感を感じた。
軟式テニスに負けたんだ。
だから高校に行ったら、絶対に部活に入るって決めてる。
今度は絶対に辞めたくない、これは自分との闘いだからさ。
負けを認めたくないけど、僕は負けたんだ。

でもさ案外悪くないもんだね、暇って。
それで尾行をするようになって。
誰でもいいんだ、
毎日、駅とかコンビニとか電車でターゲットを見つけて、
その人の後を尾ける。
劇的な事もたまにあって、
スーパーでターゲッティングした女の子が万引きして出てきたんだ。
どうしようかって思ったけど、後を尾けることにしたんだ。
そうしたらどうなったと思う?
凄い事になったんだけど、その話はまた今度書きま~す。


そうそう、忘れてた……。
本題の魔子の話。ちょっとシリアスにいきますよ。

本城眞子と魁散子は、繭森駅の前で別れた。
散子はいつも僕が乗ってるバスに乗って帰った。
眞子は、市営地下鉄に乗る。
僕は同じ電車の隣の車両に乗って、眞子をずっと見ていた。
多分だけど、多分眞子は僕に気付いていたんだと思う。
そんな気配と目の動きを感じた。
反射した窓の眞子と目が合った気がしたんだ。
多分だけどね。

本城眞子は、繭森の5つ先の駅で降りた。
ジョンと同じ駅だ。
あ、ジョンは……まあいいや。
僕は眞子の30メートル後をキープして歩いた。
30メートルは尾行の鉄則。
それ以上でも以下でもダメ。
視界と音と気配が最良のバランスを保てる距離なんだ。
眞子の歩幅は美しい。
スラリとした脚には最低限の筋肉があって
ふくらはぎの膨らみが完璧だった。
完璧っていうのは、いわゆる一般的な尺度であって、
僕の理想とはまた違うってことをここで宣言しま~す。

ん? あれ? あれれ?
眞子の体がどんどん赤くなる。
ドクドクドクダラダラダラって、血が流れてる。
体から溢れて足跡も赤く染まっている。
足跡どころか、血溜まりが歩いているようだった。
まるで血痕少女。
血痕少女って響きいいよね。
ラノベでありそうなタイトルだな。

まあいいや、でね、
眞子は、古びた市営団地の敷地に足を踏み入れたんだ。
この団地に住んでいるのかな~。
テクテク美しい歩幅をキープしたまま、
B区の3号棟に入っていった。

多分、ヤバイ。
これ以上は尾いて行かないほうがいい。
僕の本能がそう叫んでいるけど、
もう一人の僕の本能は興味津々で
この先で行われる宴を期待している。
悩む。どうしよっか……。
ねえねえ、キミならどうする?
ここから先に進むべきか、今日は大人しく退散すべきか。
もちろん、これは眞子の罠である可能性は高い。
電車で目が合っているのも怪しい。
きっとこの場所に誘い込んでいる。
僕、君鹿守はキミからの返答を待っている!
僕の道を印してほしい。

 1.団地に進む
 2.家に帰る

次週の「まっ赤な女の子」掲載までの一週間が期限です。
皆さんの選択がこの物語を作り、僕の運命を導くのです。
たくさんのご返答をお待ちしています。

なんつって、一週間なんて待てません。
僕は迷いなど1ミリもなく、団地に進むの巻~。


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