『オーバーウォッチ』すべては“ヒーロー(=プレイヤー)のために” プリンシパル・デザイナーのスコット・マーサー氏合同インタビュー

公開日時:2016-05-22 15:30:00

 2016年5月21日と22日の両日、韓国・釜山にあるコンベンションセンター“BEXCO”にて、Blizzard Entertainment社が制作する『オーバーウォッチ』(全世界で5月24日発売)の大規模ローンチイベント“オーバーウォッチフェスティバル”が開催。

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 ここでは、プリンシパル・デザイナーのスコット・マーサー氏に行った合同インタビューの内容をリポート。スコット氏は、『オーバーウォッチ』のキャラクターデザインのほかゲームデザインを担当。アニメ好きで、日本のアニメもほぼリアルタイムで観るほど熱心にチェックしているのだとか。これまでいちばんのお気に入りの日本のアニメは『グレンラガン』。

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▲Blizzard Entertainmentのプリンシパル・デザイナー スコット・マーサー氏。ゲームファンならご存じの方も多いだろう。

――釜山で行われた“オーバーウォッチフェスティバル”ですが、印象はいかがですか?

スコット 多くのファンが『オーバーウォッチ』をプレイしたり、ステージを楽しんでくれていて、とてもすばらしいですね。サインや記念撮影を頼まれたり、個人的にもすごく楽しんでいますよ。

――今回、釜山ではファラの巨大スタチューが公開され、アメリカ・ロサンゼルスではトレーサー、フランス・パリではゲンジが公開されていますが、今後、ほかのヒーローのものを作る予定は?

スコット その点については、私は把握していません。今回のファラもここに来て初めて知ったくらいです(笑)。

――Blizzard Entertainment初のFPSで、しかも対戦型のマルチプレイというゲームデザインとなっていますが、このゲームデザインに行き着いた経緯を教えてください。

スコット Blizzard Entertainmentの開発チームの中にもFPS好きはたくさんいます。私自身も大好きです。開発のきっかけは、弊社が作るすばらしいデザインのキャラクターでFPSを作ってみたかったというのがありました。

――オープンβテストの参加者は970万人とすごい数でしたね。

スコット クローズドβテストのポジティブな評判を聞いて、気になっていた人が多かったのだと思います。また、ゲーム自体についても、気に入ってくれたのだとうれしく思っています。

――オープンβテストのフィードバック、それを受けてどんな調整を加えることにしているのか教えてください。

スコット フィードバックはとてもポジティブなものが多く、うれしく思っています。おもしろい提案や改善を考慮すべき指摘もありました。具体的には……いろいろあるんですが、多くはキャラクターバランスに関するものでした。それらはクローズドβテストから継続的に調整しています。

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――それぞれのヒーローにバックストーリーが用意され、それらはシネマティックトライラーなどで徐々に語られています。そういった物語を楽しみにしているプレイヤーも多くいると思うのですが、ゲーム内にキャンペーンモードやストーリーモードなどを追加する予定などはあるのでしょうか?

スコット 6対6のマルチプレイアクション・シューターでは、ゲーム内でストーリーを語ることが難しく、それで物語を補完するためにシネマティックトレイラーを展開しています。(ゲーム内で物語を語ることに関して)挑戦してみたいですが、いろいろ考えるべき点がたくさんあります。

――シネマティックトレイラーのクオリティーで長編CGアニメを作るといった可能性はありますか?

スコット アニメーターたたちは、そういった意見をすごく喜んで聞いてます。ですが、我々はゲーム会社です(笑)。でも、プリンシパル・デザイナーとしては、やりたいとは思っています。

――シネマティックトレイラーはBlizzard Entertainment社内で作られているのですか?
スコット はい。

――長い期間、バランス調整されてきたと思うのですが、いちばん苦労したところ、もしくはヒーローは?

スコット トールビョーンとバスティオンは苦労しました。トッププレイヤーだけではなく、初心者の方々にも楽しんでいただきたいし、すべてのヒーローを強くしたい(笑)。バランス調整にはとても苦労しています。

――初心者にオススメのキャラクターは?

スコット そうですね……。ひとりだけですか?(笑) 複数挙げると、オフェンスのソルジャー76かな。オーソドックスなキャラクターですし、回復もできます。あとは……サポート役のマーシー。操作も簡単でチームメイトの回復に専念できますから、わかりやすいヒーローです。

――本作は、このマップにはこのゲームルールといったように、マップとルールが紐付いています。そのルールが盛り上がるようにマップのデザインを考慮しているというこだわりのポイントだと思いますが、これは最初からそういった設計が予定されていたのですか?

スコット 『オーバーウォッチ』は“すべてはヒーローのために”という思想のもと、ゲームをデザインしています。ですので、すべてのヒーローがすべてのマップで力を発揮できる、活躍できるようにマップを設計していきました。ですので、ヒーローありきで、マップやルールが決められていったという流れですね。ヒーロー、つまりプレイヤーが輝けるという点にスポットを当てて考えるというのは、マップ以外でも大切にしています。

――使用できるヒーローの21人は、それぞれどいった流れで作られていったのでしょうか。

スコット 大きく分けて、2パターンあって、チーム対戦型のアクションシューターとして必要なキャラクターと、コンセプトアーティストが「こんなデザインのヒーローはどう?」と提案してきたものに、あとから能力を考える、といった作り方がありました。たとえば、ファラは飛んでロケットランチャーを撃つヒーローというコンセプトが先にあって、そのコンセプトに最適なキャラクターをデザインしてもらいました。一方、ゼニヤッタはロボティック僧侶というアイデアをアーティストが提案してきて、そのあとにゲーム的にハマる能力を考えていった、という具合です。

――ご自身のお気に入りのヒーローは?

スコット ロードホッグとウィンストン、そしてゼニヤッタですね。とくにゼニヤッタの能力に関しては自分がスクリプトを組んだので思い入れがあります。

――ゼニヤッタが出てきたので、ついでに伺いたいのですが、ポリスというイギリスのロックバンドのアルバムに『ゼニヤッタ・モンダッタ』 (Zenyatta Mondatta) というのがあるのですが、そこからインスピレーションを得て?

スコット はい。クールだと思ったからです(笑)。そのほか音楽や映画、ゲームなどからインスピレーションを得てネーミングしたヒーローもいます。

――ヒーローは今後追加していく予定だとうかがっていますが、最初の追加キャラクターはいつごろ実装される予定なのでしょうか?

スコット 現在、プロトタイプを作っていますが、ローンチから1年以内に何キャラクターか追加したいと思っています。追加キャラ、マップは無料で提供する予定です。

――基本的にPCではキーボード&マウス、コンソールではコントローラという操作になりますが、操作の違いによる両者のバランスに違いはあるのでしょうか?

スコット コンソール版では、コントローラでもエイムしやすいような調整は加えています。

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▲インタビュー後、スコット氏は、コスプレ集団Spiral Catsとゲーマー混成チーム対Blizzardチームのエキシビジョンマッチに出場。

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オーバーウォッチ - ファミ通エクストリームエッジ

タイトル:オーバーウォッチ
対応機種:プレイステーション4
発売日:2016年5月24日
価格:7800円[税抜](8424円[税込])

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