第七霊災とは何だったのか?(1)

 『新生FFXIV』をプレイしていると、何度となく現れる、“第七霊災”というキーワード。『旧FFXIV』を生き抜いたプレイヤーは身をもって体験してきた事件だが、エオルゼアが新生した後に冒険を始めたプレイヤーには、具体的な経緯がよくわからないことも多い。物語の端々で語られるこの一大事件のあらましを、3回に分けてあらためて解説。もちろん当時の歴史を知るプレイヤーも、復習を兼ねてご一読あれ。

公開日時:2014-01-01 11:55:00

 皆さんこんにちは。コネクト!オン『新生FFXIV』担当ライターのMainaiです。
 今年もよろしくお願いいたします。

 さて新年最初となる今回から、いよいよ『新生FFXIV』の物語を読み解くためのキーワード、“第七霊災”の解説を始めます。すでに多くの方が『新生FFXIV』をプレイしてご存知かと思いますが、ゲーム中に何度も第七霊災(または霊災)というキーワードが登場しますよね。じつはこれ、『新生FFXIV』が展開される5年前のエオルゼアを襲った災厄の名称で、『旧FFXIV』の一大テーマともなっていた用語です。

 第七霊災をひと言で説明すると、以下のようになります。

 いまから5年前……ガレマール帝国第VII軍団長のネール・ヴァン・ダーナスは、古代アラグ帝国が大昔に打ち上げた月の衛星ダラガブを地上に落とす作戦(メテオ計劃)に着手。しかしその企てはグランドカンパニーとその精鋭たちの活躍により阻止され、激戦の末にネールは命を落とす。ところが彼の死後もダラガブは落下を続け、地表に接する直前でついに崩壊。中から現れた古代の蛮神バハムートが放ったメガフレアによりエオルゼア全土が焼失し、これが第七霊災となった。

 上記の一連のシナリオは、『旧FFXIV』をプレイされた方にはお馴染みですが、『新生FFXIV』から新たに参加された方は具体的な経緯がよくわからないはず。そこで、ここでは第七霊災のあらましを改めて説明していきたいと思います。もちろん当時の歴史を知る方も、復習を兼ねて読んでみてくださいね。なお、このページに掲載している画面写真は『新生FFXIV』ではなく、すべて『旧FFXIV』時代のものです。あらかじめご承知ください。

第七霊災は起きないはずだった

 前提として覚えておいてほしいのは、当時のエオルゼアで暮らす人々は、第七霊災は起きないと考えていたということ。そう理解する根拠とされていたのが、預言者メザヤが記したとされる書物「神歴記」です。この預言書は、全6節で構成されており、それぞれに6種類の霊災が書かれていました。過去6度の霊災は、風、雷、火、土、氷、水の属性を象徴するものであり、全6属性の災いを乗り越えたいま、永遠に繁栄の時代が続くと考えていたのです。当時の人々は、エオルゼアはすでに6回の終末を経験したことを知っていたので、預言書をもとに、記述のない7回目の霊災は訪れないと信じていたのです。

 ところがある日、獲物を追っていた猟師が、7番目の節(第七節)が刻まれた石版を洞窟内で偶然発見してしまいます。その表面にはこう書かれてありました。

 「六の陽 没し 七の月 輝きしとき 群雲より 紅き炎降り 奈落より 黒き闇湧かん」
 「然れど 古き灰に 新しき種は蒔かれり 其は汝 魔断つ勇の剣 獣畏る優の灯なり」

 いまひとつ内容が判然としませんが、真相はこのあとわかるのでひとまず大きなイメージだけを把握しておいてください。

 この第七節が発見された当時のエオルゼアでは、月の衛星ダラガブが日増しに巨大化するという異常現象もあり、石盤に書かれていた文面は瞬く間に各地へ広まりました。

危機の始まりは

 エオルゼアの民衆は7番目の霊災が存在することに慌てたのかといえば、そうでもありません。迫り来る危機を語る者もたしかにいましたが、全体を通して見れば焔神イフリートの脅威が存在する程度で、まだまだ地域の安定が覆されたわけではなかったのです。しかし、その平和を打ち破る事態がついに発生します。
 これまで属州化したアラミゴに留まっていたガレマール帝国の軍勢が、活動を活発化。新型魔導アーマーを投入するなどして、エオルゼア諸国への直接攻撃に踏み切ったのです。

第七霊災概要/th7thUE_01

▲たとえばホライズンのケース。ここに現れた魔導アーマーは陽動部隊。グランドカンパニーの兵士たちはこの地へまんまとおびき出され、フェリードックの防衛に回ることができなかった。

 それから時を経ずに嵐神ガルーダまで現れて、黒衣森の集落クォーリーミルを襲撃。住民たちを風で切り刻む事件が起きたのです。……惨劇の場となったクォーリーミルで、ガルーダはこう叫び姿を消しました。

 「これは報いじゃッ!人ごときがッ、あの醜き神を召喚しようとした報いじゃッ!」
 「「クリスタルの力」は、すべてッ! わたくしのものよッ!誰にも渡してなるものかッ!」
 「根絶やしじゃッ! 根絶やしじゃッ!虫ケラどもが二度とくだらぬ夢を見れぬよう……」

第七霊災概要/th7thUE_02

▲美しい女性の姿から想像できないような凶暴性を剥き出しにするガルーダ。イクサル族の祈りにより「ハウリングアイ石塔群」で召喚された蛮神だ。

 “醜き神”という単語が気になるところですが、ここでは地上界におけるエネルギー源として、ガルーダは「クリスタルの力」を必要とすることを覚えておいてください。クリスタルとは、エーテルと呼ばれる惑星ハイデリンの生命エネルギーが結晶化したもの。土地からエーテルが失われ枯れ果てると、その地では生命が生まれなくなり、いわゆる“死の大地”と化してしまうのです。

 一報を受けたグランドカンパニーの兵員たちは、クルザス地方にある「ハウリングアイ石塔群」へ急行。ガルーダに戦いを挑み、見事打倒に成功しました。その直後、ガレマール帝国軍第VII軍団長のネール・ヴァン・ダーナスが彼らの前に現れ、こう告げます。

 「その方が足掻けば足掻くほど、クリスタルの力、大地の力、蛮神の力……エオルゼアの「血潮」は衛星へと送られ、浄化の光は強く輝く!」
 「浄化の光は、未開の地平を赤く照らし、しかるのちに解かれる封をもって「メテオ計劃」は成就するであろう!」

第七霊災概要/th7thUE_03

▲ネールの狙いは、グランドカンパニーの兵士たちにガルーダを討伐させて、蛮神の体内に秘められたエーテルを四散。それをダラガブに吸わせることにあったのだ。

 初めて、「メテオ計劃」の具体的な目的がエオルゼアの人々に明かされました。第七霊災とは、ネールによって引き起こされつつある、地上へのダラガブ落下計画だったのです。でもエオルゼアを占領するだけであれば、ここまで大掛かりな作戦を実行する必要がないようにも思えます。そのからくりは、救世詩盟(現在の暁の血盟)のパパリモが当時解説してくれています。

 「ガレマール帝国は、「蛮神が世界を滅ぼす」とおそれてエオルゼアごと破壊しようとしていた……」
 「その方法が、エオルゼアに小月「ダラガブ」を落としてエオルゼアを破壊してしまう「メテオ計劃」! 人が、第七霊災を引き起こすなんて!!」

 ガレマール帝国は、都市国家ではなく蛮神のほうこそ、みずからの障害になると考えていたのです。

【コラム】魔導と魔道の違いについて

新生FFXIV』には、魔導と魔道という同じ読みの用語がふたつ登場する。どちらも世界に存在するエネルギーを表すものだが、その由来によって双方が使い分けられている。魔道は魔法の力を使う技術。「生命エネルギーであるエーテルを利用して、炎を生み出したり、治癒力を高めたり、さまざまな効果を生み出す技術」のことを指す。一方、魔導は「魔法を機械的に再現する技術」を指す。帝国の主要民族であるガレアン族は、先天的に魔法を使えない者が多いという特徴があるため、彼らが魔法を操る他種族に対抗するために編み出したのが魔導技術なのだ。その最たるものが、青燐水を動力した青燐機関による機械だ。“魔導アーマー”が“魔道アーマー”と表記されないのは、その根幹を成す力がエーテルに依拠したものではないからだ。

都市国家間の確執

 侵略者であるガレマール帝国の野望が、七番目の災厄の引き金となりつつあることが判明しました。事がここに至って、自国の利益ばかりを重視し他国との協調性を欠いてきた各都市国家が、連帯に向けてついに重い腰を上げます。3つのグランドカンパニーが手を取り合い、打倒ネールへ動き出したのです。その方策は、10年前(『新生FFXIV』の時代からは15年前)に結ばれた「エオルゼア都市軍事同盟」の復活です。すでに当時は有名無実化していた軍事同盟を旗頭に、共同軍の創設を試みたのです。この案を強力に提唱したのが、双蛇党を束ねる神官カヌ・エ・センナ。しかし提唱とはいうものの、当時のグリダニアはガレマール帝国領となったアラミゴから再三攻撃を受け、もはや危機的状況。実態は救援要請に近いものでした。

 同盟締結に際してカヌ・エが提示した条件はふたつ。
 ●リムサ・ロミンサの海戦時における軍船派遣と、陸上戦力の提供。
 ●ウルダハの資金面における負担と、各鉱山からの鉱石の供出。
当然ながら、両都市国家がすぐに受け入れられる内容ではありません。海軍が主体のリムサ・ロミンサに、不慣れな陸戦を依頼。そしてウルダハには、彼らにとってかけがえのない、資金と商品の提供を求めたわけですから。協議は当初から難航が予想されました。

第七霊災概要/th7thUE_04

▲リムサ・ロミンサとウルダハは、ガレマール帝国の軍門にグリダニアが降ることを望まない。なぜなら、グリダニアのつぎは彼らが帝国軍の標的となるからだ。それを理解していたからこそ、カヌ・エ・センナは同盟締結に条件をつけられた。

 そこへ、モードゥナに派遣されていた偵察隊から情報がもたらされます。「ネール・ヴァン・ダーナスが当地に建設した要塞、カストルム・ノヴムにて異変あり」。カストルム・ノヴムは、ダラガブを制御するための装置「交信雷波塔」を備えた施設。この塔の攻略が当面の目標となっていたのですが、その糸口が見つかったとのこと。各グランドカンパニーは選りすぐりの精鋭を集め、個別にモードゥナへ派遣します。

 ……ストーリーが盛り上がり始めてきたところで恐縮ですが、今回の記事はここまで。次回は、都市国家の結束とガレマール帝国内で起きた粛清。さらに第七霊災の顛末までをじっくりと説明していきたいと思います。

(コネオン小隊/Mainai)

【コラム】「交信雷波塔」は過去に1度製造されている

旧FFXIV』の物語で登場した「交信雷波塔」は、じつは2代目。初代は、帝国領内のシタデル・ホズヤという都市で以前開発されていたのだ。その陣頭指揮を執ったのが、ガレマール帝国筆頭「機工師」のミド・ナン・ガーロンド。現在のガーロンド・アイアンワークス社長である、シドの父親にほかならない。ただしミドはこの当時、すでに過去の人物。シタデル・ホズヤでの実験で眠りを妨げられたダラガブが白い光を照射し、「交信雷波塔」とミドもろとも、都市を丸ごと蒸発させたのだ。このシタデル・ホズヤ蒸発事変により、ダラガブを利用した蛮神殲滅計画が一時中断。ネール主導による「メテオ計劃」の策定まで、時機の到来を待つこととなった。

第七霊災概要/th7thUE_05

▲シタデル・ホズヤでの事変がひとつのきっかけとなって、シドはエオルゼアへの亡命を決意した。ちなみに5年前のシドは、このとおりまだヒゲを生やしていない。

【コラム】「エオルゼア都市軍事同盟」とは

アラミゴの陥落を契機に十数年前に結ばれた、リムサ・ロミンサ、グリダニア、ウルダハ、イシュガルドの4都市による軍事同盟。帝国軍の侵攻に対抗すべく結成されたが、アラミゴを占領した帝国軍が動かないことを理由に、イシュガルドが離脱。共同軍の創設に至らないまま形骸化した。

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