スクウェア・エニックスの吉田Pやコロプラの馬場社長が大いに語る 『新生FFXIV』の新情報も飛び出したGFF2014ゲームクリエイターズセッションの模様を濃密リポート

GFF2014で行われたゲームクリエイターズセッションの模様を詳細リポート。『新生FFXIV』の新情報も飛び出して……。

●日野さんの『新生FFXIV』 に対するガチゲーマーぶりが明らかに

 “福岡からはじまる新しいゲームイベント”をキャッチフレーズに、2014年3月21日~30日、福岡・キャナルシティ博多にて、GFF(Game Fan in Fukuoka)2014が開催されている。福岡ゲーム産業振興機構(GFF・九州大学・福岡市)主催によるこちらのイベントは、“ゲーム都市福岡”を全国にPRすべく開催されたものだ。主催に名を連ねるGFFは、ゲームイベントの“GFF”とは別の略称で、こちらは、Game Factory's FriendshipもしくはGate For Futureの頭文字を取っている。福岡のゲーム産業を振興すべく、レベルファイブやサイバーコネクトツー、ガンバリオンなど、福岡のゲームメーカーを中心に、2003年に設立された団体だ。2003年といえば、ちょうど福岡の開発会社の注目度が高まり始めたころで、当時“GFF設立!”の報に、記者も福岡のゲームメーカーの勢いと「福岡をゲームのハリウッドに!」という熱意を実感したものだ。


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 設立以降、GFFは福岡にて数年おきにイベントを開催、福岡ゲーム産業の振興につとめてきたが、GFF2014はその一環として開催されるものだ。最新作の試遊や『妖怪ウォッチ』スタンプラリーなどが楽しめるGFF2014にあって、ハイライトとも言えるのが、2014年3月29日に実施された“ゲームクリエイターズセッション”。キャナルシティ福岡に隣接するグランドハイアット福岡にて、スクウェア・エニックス『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏と、コロプラ 代表取締役社長の馬場功淳氏をゲストに招いて行われた。ゲストの人選は、「いま世の中を動かしているゲームを作っているクリエイターに語っていただくのがいちばん」(日野氏)との発想から、GFF2014のテーマである“ひとをつなぐ、GAME”と照らしあわせてセレクトされたもの。トーク内容は、ゲームに興味のある社会人の参加などが多かったこともあり、勢いゲームファン目線の内容に。さらに、ナビゲーター役がレベルファイブ 代表取締役社長/CEOの日野晃博氏や、サイバーコネクトツー 代表取締役社長 松山洋氏といったサービス精神溢れる方々だったこともあり、(福岡という土地柄もあるのか)極めてフレンドリーな内容となった。そんなトークの内容に照らし合わせて、以下ではあえて、ファミ通.comの慣例である日野氏、松山氏という敬称ではなくて、日野さん、松山さんというスタイルでトークイベントのリポートをお届けさせていただこう。あまりに充実した内容に記者もすっかり気合いが入り、リポートは12000文字を超えてしまうほどでした!


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▲申し込みが殺到したために急遽席を増設するなどして対応。最終的には350人以上の参加となった。

■コロプラ・馬場功淳さんは、いかにして『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』を成功させたか?

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 まずは、コロプラの馬場功淳さんとサイバーコネクトツーの松山洋さんによるクリエイターズトークが行われた。いまや、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』などで、飛ぶ鳥を落とす勢いのコロプラ。まずは、「コロプラの馬場功淳とはどんな人物なのか?」がテーマとなった。馬場氏の出身は大阪府。小学校卒業後、中学校3年・高専5年を宮崎県で過ごし、福岡・九州工業大学に入学したのだという。(転入で)2年、修士で2年、博士で2年……で、お金が尽きバイトを始めたのがKLab。福岡に拠点を作ってもらい働き始めたのだとか。福岡にはじつは6~7年いたらしい。当時、Webサイトを作る練習をするために、自宅にサーバーを置いたというから驚きだ。そこで、「サイトを作るだけではおもしろくないからゲームを作ろう」ということで、コロプラの原型である『コロニーな生活』を開発したのだという。公開したところ、1000人くらいの人が集まったらしい。その後、東京へ転勤。(『コロニーな生活』のサーバーは、1日サービス停止にしてお引っ越し)。さらに、企業から請け負ってユーザー向けのサービスを提供する(B to B to C)から、直接ユーザーとやりとり(B to C)がしたくなり当時スタッフが40人だったグリーへ。グリーでは、アバターや『クリノッペ』などを開発したという。同じころ、『コロニーな生活』のユーザーが爆発的に増加。サーバーを秋葉原で買ってきつつ、いかに電気容量を抑えるために省電力に工夫したかや、1日200通のサポートに苦慮したかが語られた。当時の1日の睡眠時間は3時間とのことで、「死ぬかと思った」と馬場さん。それでもひとりで作業をしていたそうで、「完全にどうかしていますね!」という松山さんのツッコミももっともだ。


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 「さすがにこれは死ぬな」と思ったという馬場さん。当時グリーは伸び盛りで仕事も楽しく辞めたくはなかったものの、「グリーは僕がいなくてもグリー。『コロニーな生活』は僕がいなくなったらサービスが死んでしまう」との判断から、グリーを辞める決意を固める。それが2007年の正月だ。そこで、「24時間やれる」ということで、マンションを借りて6ヵ月(サーバーの引っ越し作業は5時間)。ひたすらPCの前に座る毎日だったが、ふと気がつくと話せなくなったらしい。コンビニで「お弁当温めますか?」「はい」というやりとりをするだけでもうれしくなってしまったというのだ。「これはまずい! サービスもダメになるし、人としてもダメになる」との思いから会社の設立を決意する。2008年11月のことだ。

 会社は順調に伸びていったが、それから3年後に転機が訪れる。より楽しいサービスを提供しだした、グリーやディー・エヌ・エーにユーザーが流れていったというのだ。大きな会社に真っ向勝負を挑んでも勝てるわけがない……。悩んだ馬場さんの前にある端末が目に入った。スマートフォンだ。そのころ、ほとんどのスタッフはスマートフォンを使っていたが、実際に作っているのはフィーチャーフォン向けゲーム。「時代は絶対にスマホになる!」との判断からスマートフォン向けゲームの開発を決意した。ただし、社内の人材は割けないので、ひとりで……。ときに、社会で3D経験のあるスタッフをスイカで買収してモデルを作ってもらいつつ、ゲームはなんとか完成。役員会にかけたところ、「いいんじゃない?」との判断から、あっさりと世に出ることになった。

 驚くべきは、フィーチャーフォンだと多額の宣伝費をかけないといけなかったのが、スマートフォンだと一切告知しなかったにも関わらず、たくさんの人に遊んでもらえたこと。実験的な意味合いから、コロプラとは関係なしに“Kuma the Bear”というブランドでリリースしたのにも関わらずだ。スマートフォンの勢いを実感した馬場さんは、スマートフォン向けプロジェクトを立ち上げることにした(ただし、ここでもひとり……)。とはいえ、当時スマートフォン向けゲームを作っている会社はほとんどなく、「スマートフォン向けゲームを作りたい」という優秀な人材がどんどん入社してきてくれたという。いまでは、“Kuma the Bear”の部署だけでも、スタッフは150人を超えているという。

 『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』出たのは1年前。そのころ“Kuma the Bear”でライトゲームをリリースしていたが、さらに収益を上げないといけない。そこで、コロプラでいうところも“オンラインアプリ”(運用があって、ユーザーさんを楽しませて、フィードバックを得て、お金を支払ってもらう)の開発を決意する。ライトゲームを作っていたチーム(“Kuma the Bear”)が運用のあるゲームを開発するということで、社内でも慎重な意見が多くなることが想定されたことから、馬場さんみずからが1週間かけて企画書を作り上げたという(当時、コロプラには企画書という慣習がなかった)。当時はすでに『パズル&ドラゴンズ』が全盛。『パズル&ドラゴンズ』に負けない“コアアクション”を……ということで思いついたのがクイズだった。

 またたく間にヒットした『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』だが、それをさらにブレイクさせたのが、ご存じの通りテレビCM。ところが当初、馬場さんはテレビCMに反対だったという。当然テレビCMが効果的なことはわかっていたが、テレビCMをやらなくなるとユーザーが離れてしまう。そのためテレビCMを打ち続けないといけない……ということで、悪循環に陥ったメーカーを何社も見てきているからだ。馬場さんにとってテレビCMは、「効果はあるが手を出してはいけないもの」という認識だった。その認識を変えたのがとある雑誌。『パズル&ドラゴンズ』の企画記事で、ユーザー数が一気にはねたのがテレビCMだということを知った馬場さんは、その効果を目の当たりにし、テレビCMを決意。結果は初日からすごくて、想定の数倍だったらしい。「テレビCMすごいなと手の平返しでした(笑)」と馬場さん。


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 もちろん、テレビCMは万能というわけではない。松山さんは「勘違いしないように」と前置きをした上で、テレビCMだからいいわけではなくて、順番と段取りがしっかりしていないとダメだと釘を指す。テレビCMはスマッシュヒットをメガヒットにする起爆剤にはなるが、いくらつまらないタイトルのテレビCMを打っても意味はない。「テレビCMを打っても、きちんと成果のあるものを作らないといけない」と馬場氏も同意する。

 かくして大ヒットを記録した『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』。「ヒットの秘訣は何か?と聞かれても答えようがないですよね?」との松山さんの言葉に、馬場さんは「一生懸命作るしかないですね」と賛同しつつも、以下の通りに続ける。家庭用ゲーム機でもスマートフォン向けゲームでも、ひとつのジャンルが流行るとそこにタイトルが集中する。家庭用ゲーム機の場合は、その流れは3~4年続くがスマートフォンの場合は、馬場さんが見るところ、半年でトレンドが変わる。ところが、いまスマートフォン向けゲームの開発は半年以上かかる。つまり、配信されるころにはトレンドは思わっているのだ。「ユーザーさんは何に興味を持っているんだろうという流れを読みたいです」と馬場さん。それには、松山さんも「新し過ぎるときょとんとなるので、ちょうどいいものを目指さないといけないですよね」と、共感する。

 最後に、若い世代に向けて、「何を目指して欲しいか?」と聞かれた馬場さんは、「まさに、いまがチャンスです」とひと言。いま新しいプラットフォーム(スマートフォン)が目の前にあるが、既存のメーカーは会社組織ゆえに対応に時間がかかる。その点、これからゲーム業界に入る若手のほうが、フットワークを軽くして市場にフィットしたゲームをリリースできる可能性があるというわけだ。「世界的なクリエイターになれるチャンスなんです」(馬場さん)。馬場功淳さんという人となり、そして『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』のヒットの一因を知ることができた、好セッションだった。


■スクウェア・エニックス吉田直樹さんのセッションでは、『新生FFXIV』の新情報もポロリ!?

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 おつぎは、スクウェア・エニックスの吉田直樹さんとレベルファイブの日野晃博さんによるクリエイターズトーク。『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)をこよなく愛する日野さんは、吉田さんとは飲み友だち。今回のGFF2014への出演も、飲みの席でオファーされて断れなかったという。「今回は、日野さんがいかに『新生FFXIV』のコアプレイヤーか知らしめられるのではないか?」と吉田氏。日野氏も「ユーザー視点でうかがっていきたい」と、ファンのスタンス全開。なお、日野氏は先日ナイトで大迷宮バハムート:邂逅編の第5層をクリアーしたばかりとのこと。初クリアーだったらしいのだが、アラガンブレードとアラガンヘルムをダブルゲットするというミラクルだったのだとか(しかも、アップデートの1時間前だったとか)。会場には、『新生FFXIV』のファンも多く詰めかけていたようで、日野氏がその発言をするや、「おお~っ」という低いどよめきが。ちなみに、日野さんはクラフター/ギャザラーはカンストしており、黒魔道士など戦闘職がいくつかカンストしていないだけの状態とのこと。しかも『新生FFXIV』で新たにキャラクターを作り直しているのだ。「お忙しいのによく時間が取れますね」と、吉田さんも呆れるほどのやりこみ振りだ。「寝る前のゲームの時間は唯一の楽しい時間なので、ここはやらせてもらっています」と日野さん。

 最初のトークのテーマは、“プレイステーション4用の『新生FFXIV』の新情報”について。まず吉田さんは、「プレイステーション4本体のシステムソフトウェアのバージョンを最新にしてほしい」とリクエスト。『新生FFXIV』は、プレイステーション4の最新のシステムソフトウェアに対応しているらしい。そのあと日野さんから飛び出した質問は、「クロスホットバーやギアセットの情報は、プレイステーション3からプレイステーション4に移せないんでしょうか?」というもの。それに対して吉田氏は、「それを最初に聞きますか!?」と半ば呆れながらも「プレイステーション3からプレイステーション4への環境の移行はサポートしたい」とコメント、移行の仕方は、近日中に発表したいとのことだ。ただし、PCからプレイステーション4への移行は、諸般の事情により現時点では未確定。できる限り最善の努力をしているとのことだ。

 おつぎのテーマは、“『FFXIV』の変化、そこにあるポリシーは?”というもの。両方とも遊んだという日野さんは、もともとの『旧FFXIV』はものすごく世界観を作ってあり、そこでしっかりと遊ばせようコンセプトのように思われたが、『新生FFXIV』ではプレイヤーとセッションをする仕組み、どう付き合っていくのかを大事にしているように感じたのだという。それに対して吉田さんは、世界観は大事にしつつも、「そのうえでどんな体験ができるかのほうが、僕は重要だと思っています」とのこと。さらに吉田氏は、自身もMMORPGのファンなので、プレイヤーとキャッチボールをしながら、世界を組み立てていったほうが、長く遊んでもらえると続けた。「この世界はどう変わっていくんだろう、というところをきちんと想像してもらいつつ遊んでもらったほうが、先への期待感もつながるし、そこに向かっていく“いま”も楽しめる。それはアップデートのあるオンラインゲームしか味わえないライブ感がある」(吉田さん)。そこが『旧FFXIV』 との違いではないか、という。日野氏も、「ひとつひとつの遊びでいろいろな趣向が用意されていて、すばらしい」と賛同する。とはいえ、いろいろな楽しみかたを可能とするためには、全部を用意しないといけないので、たいへんな道であるような。「究極、そこがおもしろくなると信じてやっています」と吉田さん。


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 ほとんどすべてのボスをクリアーしており、『新生FFXIV』を堪能しているという日野さんからのさらなる質問は、「吉田さんが最高におすすめするコンテンツは?」というもの。それに対して吉田氏は「人によるので、すべての人に当てはまるわけではない」と回答。「とにかく全方位に用意してアップデートを続けていくので、ぜひいつもの『FF』と変わらないメインストーリーのダイナミックさをプレイしていくうちに、何か気に入ったものを見つけてもらえれば……」(吉田さん)と続けた。が、日野さんはそれでは納得しない。「で、吉田さんは?」とさらに追求する。吉田氏は、「いまのパッチ2.2の状態ならば、まだクリアーしていなかったり、ためらっていたという方ならば、大迷宮バハムート:邂逅編を遊んでほしい」とおすすめ。難易度がやさしくなって先にどんどん進めるようになるのは、日本のゲームでは初めての感覚だと思うので、“焦らないでもいいんだ”という気持ちになれるのではないか、という。

 さて、以上がクリエイターズトークの範疇で、「これからはいちユーザートークに変更させていただきます」と日野さんが宣言。「『新生FFXIV』をやっていない方はお帰りいただいてけっこうです!」とコメントするや会場は爆笑の渦に。そんな日野さんの疑問は“日野の疑問:ナイト編”。


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 日野さんはナイトをやっており、アイテムレベルは95。ナイトは辛い役で、辞めたいことも多いという。ところが吉田さんが定期的に行なっている生放送(プロデューサーレターLIVE)の先日の回で、そんなナイトに向けてパッチ2.2のアップデートで乗り物としてウォーライオンがもらえると発表されたのだ。そこで日野さんがパッチ2.2の公開後、入手条件となっている討伐数のアチーブメントを確認したところ、ゼロの数字が並んでいたという。「過去の蛮神を討伐したアチーブメントが記録されてないという大惨事! 盾の人からしたら、大惨事ですよ! これは何かの間違いだと思ってネットで必死に探したのですが、何もなかった。これについてどうお思いですか?」と詰問するや、会場からは期せずして拍手が。

 吉田さんは微妙に困りつつも、「盾役となるタンク(ナイトや戦士)は総人口が少ないため、パッチ2.2でふたつの施策を行うことにした」とプロデューサーレターLIVEで発表した内容を再度説明。まず、ナイトや戦士を新しく始める人のために“不足ロールボーナス”としてたくさん経験値がもらえるようにするという策と、鉄壁の守りをしてくれるベテランタンクのために、専用の乗り物を用意するという策だ。生放送では“これからもタンク役をよろしくお願いします”と発言しているという。

 一部で、「わざわざフラグを消したのでは?」という誤解があるようだが、そんなことはないと吉田氏。『新生FFXIV』では、サーバーにすべてのセーブデータを記録しており(オートセーブは45秒に1回、バックエンドには15分に1回猛烈に書き込みをしているという)、その量は膨大なものになる。しかも、『新生FFXIV』 はたくさんのジョブを同時に操れるアーマリーシステムを搭載しているので、セーブデータはさらに膨れ上がる。いままでどのジョブでどのクラスで何をクリアーしたかというデータを取っていなかったというのだ。

 今後、タンクは経験値などがたくさんもらえるということになると、それに目がくらんでタンクを選ぶ人もいるかもしれない。いままでタンクをやってきた人のプライドを守るために、もっと上のものを作らないといけないということで、ライオンを考えたとのこと。「2ヵ月くらいコンテンツルーレットをやって初めて、ウォーライオンを取れるくらいにしないと、ライオンだらけになったら、それはそれでモチベーションにならないと思うので……ゲーマーとしては心が痛いです」(吉田さん)とコメント。それに対して日野さんも「了解です」と口にしつつも、「(取得条件である、高難度8人用コンテンツの攻略回数)200回については、このあと飲んで話しましょう」と、微妙に割り切れないふうだった。

 おつぎのテーマは“日野の疑問:超える力編”。“超える力”に関しては、トークでは、ホラーハウスを例に吉田さんが丁寧に説明していたが、ここではスペースの都合もあり、日野さんのコメントを援用して、簡略化して説明すると、「クリアーできないコンテンツを、何回か遊ぶことでクリアーさせてあげようというシステム」(日野さん)。日野さんは、これに対して言いたいことがあるそう。日野さんの最大の難関は、極タイタン戦で小タイタンの敵視をきっちりふたつとも取ってクリアーすること。それをきちんとこなすために、日野氏は数多くのコンテンツで特訓を積んできたのだという。その苦労の末に甲斐あって、極タイタン戦をクリアー。「これがプライドだと思う」と、日野さんはきっぱり。「これが何回か倒されることでクリアーできるようになってしまうとなると、特訓で切り抜けてきた人にどう説明するんですか?」(日野さん)

 それに対して吉田さんは、部活を例に、部活のメンバーにはインターハイを目指せば、和気あいあいをプレイすることを望む人もいる。わきあいあいとプレイすることを望む人にとって、インターハイのレベルがいつまでも高すぎるままだと、2度と届かない存在であり、ないに等しい。つぎのインターハイがはじまったら、みんなでわきあいあいのインターハイがあってもいいのでは?という考えかただというのだ。「最前線の人には、いままで練習してきたことをすべて総動員して、さらに高みを目指すものを用意していきます」と吉田氏。たくさんの人に遊んでもらうための施策というわけだ。日野さんは、ゲームとしてそれは大事だと思いますとしたうえで、「僕個人的には納得できない」と、『新生FFXIV』に関しては、あくまでもいちユーザーなのであった。


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 さて、トークは大いに盛り上がり、この段階で所定の時間は過ぎていた。最後に肝心な質問“新情報ください編”が残っていたのだが、当初は吉田さんと日野さんがパーティープレイを披露するプランもあり……。ということで、パーティープレイを披露しながら、新情報も提供するという流れに。挑んだのは、蛮神リヴァイアサン。「トークでは緊張しないけど、自分のプレイを見せるのは緊張する」などとコメントしていた日野さん。「ふだんはもっとうまくプレイします」と漏らすヒトコマも。吉田さんも当然無様なプレイは見せられず……とプレッシャーのかかるシチュエーションだったが、結果は見事討伐。とはいえ、真剣にプレイするとつい無言になってしまうのも人情というもので、けっきょく新情報は出ずじまい。さすがにこれは申し訳ないと思ったのか、吉田さんは新情報を教えてくれた。

 新情報は個人宅に関すること。仕様はすでに固まっており、ふた通り予定しているとのこと。ひとつは、フリーカンパニーの中に自分の部屋が持てる。もうひとつが個人で土地と家が買えるというもの。両方実装する予定で、いずれにせよどちらかは、つぎのパッチ(2.3)での対応向かって急ピッチで準備を進めているという(細かいパッチはそれ以前にもあるそうです)。「だいたいあと3ヵ月くらいでは」(吉田さん)とのこと。日野さんの「いまフリーカンパニーで家を買っていない人は待つべきですか?それとも買っておいたほうがいいですか?」との問いには、「絶対に買ったほうがいいです」と吉田氏。個人の家だけだと、自分の家に閉じこもりコミュニケーションも途絶えがちになってしまう。それが、フリーカンパニーの中に個人の家が持てる、いわゆるマンションタイプにしたのは、家をちょっと出れば誰かがいるという作りを大事にしたいと思ったからだというのだ。

 最後に吉田さんは「日本のMMORPGって本当に少ないので、ぜひゲーム開発者の方は一度触れてみていただきたいです。オンラインゲームのあらゆる要素が詰まっていて、プレイヤーとして見たときと開発者として見たときで、ぜんぜん違った見えかたをするゲームです。これからゲーム業界を目指したり、いまゲーム業界で働いていて、この先のキャリアをどうしようとか、オンラインでキャリアを磨いていきたいと思っている方は、ぜひ、自己投資だと思って遊んでみてください。メインシナリオをクリアーするだけでもいいので、触ってみてもらえるとうれしいです。もっと日本にオンラインゲームを開発するクリエイターが増えることで、国産のMMORPGが増えていくといいなと。競走のないところに進歩はありません」とトークセッションを締めくくった。


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▲イベント用にキャラクターは用意してもらったが、デモプレイのためには「自分のセッティングでいきたい」ということでコンフィグをコピー。自分の家でやっているクロスホットバーやギアセットにしたというこだわりぶり。

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▲楽しそうにプレイする日野さん。

■クロストーク・「何がおもしろいのか?」を考えるのが大事

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 最後のクロストークでは、コロプラ・馬場功淳さんとスクウェア・エニックスの吉田直樹さんのふたりに対し、レベルファイブの日野晃博さんとガンバリオンの山倉千賀子さんが質問を投げかけるというスタイルで行われた。

 最初の日野さんからの質問は、「吉田さんはハイエンドなマシンで最高のゲームシステムのゲームを作っている、馬場さんはスマートフォンを舞台にライトユーザーを対象にしたゲームを作っている。ある意味対照的だが、お互いどのように思っているのか? それぞれが作っているゲームを開発したいと思わないか?」というもの。

 それに対して、吉田さんは「世界中のメディアの方からよく聞かれます」と前置きした上で、そもそもゲーム業界は成長しなくなったと言われるが、誰もが知らずにエンターテインメントだった時代が終わっただけであって、むしろゲームは生活の中のエンターテインメントとして定着している。文化として定着したということであって、成長が止まったということではない。ユーザーのライフサイクルが変わっただけであり、いまはいつでも取り出せて、いつでも止められるエターテインメントが流行っているというのが現状だと思うと分析した。そのうえで、「お客さんが楽しいと思うのであれば、作るべき。僕もいまプロジェクトを何も抱えていなかったら作っていたと思う」と、あくまでユーザー重視であることを明らかにした。

 馬場さんも、そんな吉田さんの考えかたには全面的に賛同。“スマホゲーム”、“MMORPG”はジャンルのひとつであり、ユーザーがいる限るは続けていくべきとコメント。選ぶのはユーザーであり、両方共存して、市場全体が盛り上がっていければいいとした。「MMORPGを作りたくないですか?」との日野さんの質問には、「作りたいですよ」と明言。ただし、いまやスマートフォンのスペックもPCとそんなに見劣りするものではないと続けた。ただし、データサイズの問題があり、通信回線に制約されている。「Wi-Fiのような環境で通信ができる環境が近未来に来ます。来た瞬間に同じようなものが作れると思うので、それを待っています」(馬場さん)と説明した。

 吉田さんも、「スマートフォンもデバイスのひとつでしかないので、スペックが足りないのであれば、クライアントはクラウドに置き、レンダリングデータだけ返すように、インターフェースをデバイスでやれば『FFXIV』だって動かないことはない。そういう時期がくれば、(ニーズがあれば)やるんでしょうし」とした。


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 おつぎは、山倉さんから、いきなりガラリと趣向が変わっての「趣味は?」との質問。馬場さんは、「仕事が好きなので、生活イコール仕事みたいになっていますが、温泉が好きです」と意外な一面を見せた。吉田さんの趣味はスノーボードらしく、冬場はどんなに忙しくても徹夜で日帰りで滑りにいくらしい。一方で、「こんなことを言うと、あいつ何だと言われるかもしれませんが」と言い訳(?)をしたうえで、「パチンコが好き」とこちらも意外な趣味を明らかに。玉だけをずっと見ていると無心になるのだとか。あとは、演出なども、非常に勉強になるらしい。

 そこで話は日野さんにも及んだ。日野さんは、映像オタク、AV機器オタクなので、映画を見るのが好きとのこと。100インチ以上のプロジェクターで投影して、5.1chで見られる環境を構築しているのだとか。吉田さんが『新生FFXIV』をリリースするときは、「うしろから聴こえてくる音を聴け」と言われたそうで、「望むところだ!」という感じだったのだとか。最近は、『失恋ショコラティエ』にハマったらしい。「石原さとみさんは、ちょっとかわいかったです」。

 以降は、会場からの事前に用意された質問に答える形に。まずは、「いま遊んでいるゲーム」。吉田さんは、仕事で常軌を逸するような時間の割きかたをしていて、ここ2ヵ月は『新生FFXIV』 でプレイをするので精一杯とのこと。やはりユーザーの感覚をわかるためには、しっかりとプレイしておくべきであると、自身のポリシーを明らかに。ただし、パチンコの『牙狼』シリーズは、中古を購入して家においていあるらしい。一方馬場氏は、プレイステーション4を購入して、最初は義務感で購入したとのことだが、結果としては熱心に遊ぶことになったのだとか。とくに感心したのが『KNACK(ナック)』。その描画ぶりに、「すごい時代が来たな」とびっくりしたのだとか。

 おつぎの「ゲームクリエイターとしての仕事の喜びは何ですか?」との問いには、馬場さんは「やっているユーザーさんに楽しいと言ってもらうこと」と即答。スマートフォンでコロプラの作ったゲームを遊んでいる人の、生の表情をチラ見できるのはいちばん楽しい、とクリエイターらしい感慨を明らかに。吉田さんも、それには「まったく同じです」とのこと。吉田さんが生放送をしたり、全国でイベントを開催するのも、プレイヤーさんがどんな表情で遊んでいるかを見たいためらしい。「オンラインゲームは、双方向で開発ができるし、やり甲斐もあっておもしろい」とのこと。ちなみに、日野さんもふたりの意見には賛同。いま子どもたちが『妖怪ウォッチ』にハマっているが、GFF2014で子どもたちがスタンプラリーをしていたり、モニターの前で“ようかい体操”を踊っている姿を見て、「幸せだな」と思ったという。

 「つぎは、どのようなジャンルのゲームを考えていますか?」という、ゲームファンなら誰もが気になる質問に対しては、吉田さんは「一生オンラインゲームしか作らないと思います」と断言。もちろん、『新生FFXIV』が最優先だが、いくつかネタは持っているので、自分の手が回らなくても、自分のチームでやることになるかも……とした。「自分が一番好きなものに一番力を出せるので、皆さんが“おお、こういうおもしろさがあるのか”と思ってもらえるように、一生オンラインだと思います」と、ファンにとってはうれしい宣言をしてくれた。

 馬場さんは、いまコロプラでは新規で6~7ラインくらい動いており、中には「これぞゲーム!」というタイトルを開発中であることを明らかに。よりゲームらしいゲームをスマートフォンで動かすということに注力して、ラインアップを揃えているのだとか。つぎか、もしくはそのつぎに出てくるらしい。

 最後は、山倉さんからの質問。「ゲームクリエイターになりたいと思ってから、どんな仕事をしていますか?」というもの。吉田さんは、最終的にはゲームデザインをやりたいと思っていたものの、絵が下手で武器がないので、プログラムは勉強するようにしたという。とはいえそれは、「本気で食っていかないといけない」と思った段階からで、それまではひたすらゲームを遊んでいたという。「どうしてこういうシステムになるんだろう? 自分だったらこうするのに」と考えるのが一番の近道だと思う、と説明した。

 吉田さんの意見に対しては馬場さんも全面賛同。馬場さんも子どものころから「なんで楽しいんだろう?」とよく考えるという。これがベースになっており、これができる人は引き出しが多く、いいゲームクリエイターになれるという。ただし、これが行き過ぎると何も楽しめなくなるという弊害もあることを明らかに。馬場さんは、先日生まれて初めてハワイに行ったらしいが、「ハワイはなぜ楽しんだろう?」と考え始めてしまい、勉強しにいったみたいな感じになってしまったのだとか。「その“なぜ?”をどう処理できるかが大切で、ただゲームを遊んでいるだけではダメだと思っています」と吉田さん。

 日野さんの、「こういうイベントを続けていきたいです。しっかりとやっていくのでゲームファンの皆さんよろしくお願いします」とのコメントでセッションは終了。予定時間を大幅に超過したセッションとなったが、その濃密な内容に来場者は大満足だった様子。イベントが終わったあとの拍手は極めて温かいものだった。


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▲最後に記念撮影(松山さんは急用のため欠席)。「今後、こうしたイベントを開催していきたいです」と日野さん。