発表会終了後、吉田氏へインタビューを敢行

 1月30日に催された『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)のPS4版についてのメディアツアー(詳細な記事はこちら)についで、同日、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビューを敢行。PS4版についての補足を尋ねるとともに、プレイヤーの気になるパッチ2.2の内容に踏み込んだ話をうかがった。

●FINAL FANTASY XIV PlayStation4 トレーラー

※この記事に掲載されている画面写真はすべてPS4版のものです。

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▲発表会を終えた直後にも関わらず、終始明るい表情でインタビューに応じてくれた。

──PS4版『新生FFXIV』の特徴をお聞かせください。
吉田直樹氏(以下、吉田) 画面の美しさを始めとするすべてのクオリティが、PS3版から格段に進化しています。家庭用ゲーム機の枠を越えたハイレベルな映像表現の中で、200人を超えるキャラクターが、プレイヤーの周囲で同時に動き回るというのは、単純にすごいことではないかなと。

──確かに画面の美しさは印象的です。
吉田 毎秒最大60フレームの描画数を実現しているうえに、デュアルショック4だけでなくマウス&キーボードによる操作にも対応。ユーザーインターフェース(UI)のカスタマイズ性も最高ですし、PS Vitaでリモートプレイまで楽しめます。これだけ多くの要素が揃っているので、プレイヤーの方々の多彩なニーズにもっとも応えられるプラットフォームが、PS4版『新生FFXIV』だと思っています。

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▲周辺の風景が水面に映り込む演出の美しさを、吉田氏は一例として挙げていた。

──PS4版『新生FFXIV』の開発に着手した時期はいつごろですか?
吉田 開発のスタートじたいは、かなり早い段階からじわじわと進めてきました。SCEさんとNDA(秘密保持契約)を結んだうえでお預かりした情報をもとに、ハードのおおまかな発売日を予測。その時期をゴールとして見定めたうえで動き始めていました。ただ、最終的に本格的なコーディングに入ったのが2013年10月くらいからなので、相当なスピードで最適化してきたことになります。
──PS3版とPS4版の通常版を同じ価格に設定した理由は?
吉田 (たとえば安価な)PS3版を買ってPS4版に無償でアップグレードすることを防ぐためです。僕はもともとハードに応じて差をつけるのが嫌いなタイプなので、たとえば予約特典についてもすべて公平にして、既存のプレイヤーが新たにコレクターズエディションを購入しなくても済むようにしてあります。
──吉田さんご自身が他人にされて嫌と感じることは、なるべくしないというわけですか?
吉田 できるだけそうしたいと思っています。通常版を購入された方のために、コレクターズエディションへのデジタルアップグレードサービスをご用意しているのも、選択肢を増やすためのものです。プレイヤーの皆さんの立場に立って、ひとつひとつの施策に対して意図を持って行っています。

2月22日のβテストからリモートプレイ&動画シェアが試せる!

──2月22日から開始されるPS4版『新生FFXIV』のβテストを、どのように楽しんでほしいですか?
吉田 PS4というハードの性能を測るベンチマークソフトとして使っていただきたいです。購入したての本体をテレビに接続し、βテスト向けのプログラムを無料でダウンロード。『新生FFXIV』の世界を通じて、PS4の画面がいかに美しく、かつ滑らかに動くのかを感じてもらえればと。
──PS4本体の各種機能もβテストで試せるのですか?
吉田 βテストの初期段階からPS Vitaのリモートプレイと動画のシェア機能が利用可能なので、これらも踏まえたうえで、PS4の性能を測る指標として活用してほしいです。動画のシェア機能に関しては、とくに守秘義務を設けないつもりなので、どんどんアップしてください。
──最初のβテストでは、どの程度まで遊べますか?
吉田 メインクエストでイフリートと戦った直後までですね。冒険者の育成は、レベル20くらいまで可能です。エリアの移動制限は設定してないので、行こうと思えば各地をどこまでも旅できますよ。

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▲レベル23で挑めるメインクエストの数は合計で61。最低でも10~20時間は遊べるボリュームだ。

──PS4版のリリースにより、さらなるプレイヤーの増加が見込まれます。混雑への対応策を教えてください。
吉田 2月22日にオープンするPS4専用のテストサーバーとして、いくつかのワールドをオープンします。これらのデータセンターは日本に設置します。
──なぜ日本にデータセンターを置くのですか?
吉田 国内に拠点を置けば、トラブルが発生した際にサーバーチームが迅速に対応できるからです。海外にデータセンターを置いた場合でも作業そのものは可能ですが、日本から離れているぶん、いろいろとロスが出てしまう可能性が高いのです。
──4月4日から始まる予定のβテストフェーズ2以降、各地域のデータセンターが選べるようになるのですね。
吉田 はい。そのタイミングに合わせて、PS4版から新たに冒険を始める方のために、完全新規のワールドが同時にオープン予定です。もちろん既存ワールドを選択してキャラクターを作成することも可能で、お友だちがすでにプレイしている場合には既存ワールドを、PS4版でスタートダッシュを狙う方は、新規ワールドを選択していただくのがベストでしょう。
──リージョン別に新設されるワールドの数はいくつですか?
吉田 現時点では完全新規を各データセンターごとに複数開放予定ですが、リリース直後のアクセス率を見て、随時追加を考えていくつもりです。
──新設されたワールドではなく、友人に誘われて既存のワールドを選ぶプレイヤーも多そうです。
吉田 そうですね。おそらくですが、その時期にはレガシー(※『旧FFXIV』を一定期間有料でプレイしていたプレイヤー)/ノンレガシー間のワールド移転の制限も撤廃されていると思います。
──それはいつぐらいでしょうか?
吉田 早ければ3月上旬には可能な予定です。
──移転が可能になるということは、ワールド間の経済格差が解消されてきているのですか?
吉田 国内のレガシーワールドでプレイされている方々のサイフの紐が、なかなか固くて(苦笑)。ハウジングは段階的な値下げによって、かなり土地を購入されるFCが増えましたし、マーケットの相場やプレイヤーの皆さんの所持ギルデータを確認させていただいて、もう大丈夫と判断しています。

リモートプレイ向けのキーコンフィグ機能を用意

──PS Vitaを活用したリモートプレイの特徴をあらためて教えてください。
吉田 映像のクオリティはPS4版そのままに、PC版では不可能な“外へ持ち出してのプレイ”ができることです。
──たとえばどのような使いかたが考えられますか?
吉田 外出先でWi-Fiなどに接続すれば、蛮族デイリークエストをこなすとか、ほかにも帰宅中の電車の中で、PS Vitaを利用してコンテンツファインダーに登録。家に到着したころにインスタンスダンジョンへ突入するメンバーが揃っている……という使いかたが可能かもしれません。ただし、外出先からインフラストラクチャモードでアクセスするとラグが発生する可能性もありますので、この場合はあくまでもソロコンテンツのプレイやファインダー待ちなど、そういった使いかたが主になりそうです。
──インスタンスダンジョンを代表とする本格コンテンツを、リモートプレイで攻略するのは困難ですか?
吉田 最高難度の極蛮神討滅戦をクリアするのはさすがに難しいのかな……。屋内のリモートテストではいちおうクリアできましたが(笑)。それ以外の要素、たとえば蛮族デイリークエスト程度のバトルコンテンツやクラフターによるアイテム製作などは、十分にコンプリート可能です。
──リモートプレイでどこまで戦えるのかを試すプレイヤーが続出するかもしれません(笑)。
吉田 ほかのプレイヤーの方の迷惑にならない範囲で挑戦してもらえればと(笑)。フレンドどうしで試していただくのがベストでしょう。そのうえで、たとえばインターネット生中継を利用して“PS Vitaで極タイタン討滅戦を試してみた”という番組を放送するのもおもしろいかもしれませんね。

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▲コンテンツファインダーを利用して、リモートプレイで高難度コンテンツに挑むのは避けるべき。事前の了解を得たうえで、気心の知れた仲間たちと突入するのがベストだろう。

──PS Vita向けのコンフィグ機能は存在しますか?
吉田 リモートプレイを利用した際に操作しやすくするためのコンフィグを用意しています。
──動画のシェア機能も見逃せません。
吉田 たとえばPC版で動画を作成する場合、それなりに高価なキャプチャーボードを用意したうえで、本体のパフォーマンスが落ちないよう注意を払いながら映像を撮影し、それを編集した後でインターネット上にアップすることになりますよね。PS4版の場合は、それがボタンひとつでできます。

先輩冒険者よりも新規プレイヤーのほうが深く楽しめる作り

──PS4版のリリースに合わせて、初心者向けの仕掛けやコンテンツが新たに用意されるのでしょうか。
吉田 コンテンツルーレットやトレジャーハントなど、そうした要素はすでにパッチ2.1で公開されていますし、これからも継続してコツコツ型のコンテンツは増やしていくつもりです。現状ほとんど用意できていない、時間をかけてやり込むタイプのコンテンツも用意する必要があると思っています。そのバランスや棲み分けに、目下いちばん頭を悩ませているところです。話が逸れましたが、初心者向けという意味では、初めてプレイする方を想定した導線の中に、トレジャーハントやコンテンツルーレットが組み込まれているため、育成と遊びの幅はロンチ時に比べるとより広がっています。
──そのほかに初心者向けの施策は存在しますか?
吉田 コンテンツとは違いますが、久々にコメンタリー動画などもご用意したいなと。
──PS4版で新しくゲームを始めた人が、現在のトッププレイヤーに追いつくことは可能ですか?
吉田 進行度の面でいうと、先人たちに追いつけないことは絶対にありません。なぜなら、ハイエンドのコンテンツは一定の期間が過ぎたあと、必ず難度が緩和されるからです。もちろんトップランナーたちはさらにその先へ走り出すわけですが、少なくとも彼らの後ろ姿が見える位置までは、すぐに追いつけるはずです。このスタンスはゲームデザインの根本部分に組み込まれているので、『新生FFXIV』をいつ始めていただいても変わらないと思います。

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▲トップランナーの背中が見えるところまではシステム側が助けてくれる。そこから彼らを追い越せるかどうかは、プレイヤー自身の腕に掛かっている。

──先輩冒険者たちが考案した戦法がそのまま利用できるので、攻略面でも楽な部分がありそうです。
吉田 昨年12月にパッチ2.1がリリースされたことで、サービス開始時よりも物語が深みを増しているうえに、新規コンテンツも数多く追加。やり込み要素も拡大し続けていますから。
──先人たちは心優しい人が多いですよね。
吉田 多くの先輩たちは懇切丁寧に攻略法を教えてくれます。それこそ(なり手の少ない)タンクで参加すれば、大喜びで迎えてくれるはずですよ(笑)。

PS4は幕の内弁当のようにいろいろな要素が詰め込めるハード

──PS4版を作るうえで、どの部分に有利さを感じましたか?
吉田 過去に我々は、PC版『新生FFXIV』を作り込みつつ、同時にPS3版も開発してきた経験を持ちます。そのノウハウがスタッフたちに蓄積されているので、PC版向けに作り上げたアーキティクチャー(構造)を家庭用ゲーム機に移し替える術に長けていたというのが大きかったと思っています。
──PS3版の開発経験が活かされたわけですね。
吉田 そうですね。もともと『新生FFXIV』は、PS3版と中国市場を念頭に置いて最低動作環境を定めてあります。
──ということは、中国版はPS3版に近いものになるのですか?
吉田 ご存知の方も多いと思いますが、中国は個人所有のPCで遊ぶ習慣よりも、インターネットカフェを利用する文化のほうが強いため、OSを切り替える速度がほかの国よりも遅めです。僕がプロデューサー兼ディレクターに就任した直後くらいに、当地のインターネットカフェで用いられているPCの平均性能を調べてもらったのですが、それがほぼPS3と同性能でした。
──つまりPS3で動くものであれば、中国をはじめとする諸外国で稼動しているPCでもプレイ可能だろうと。
吉田 はい。それがいちばん最初に我々がPCのハードウェア構成を調べたときに得た結論です。ただし、PS3に最適化して開発すると(ゲーム表現の)天井が決まってしまうので、まず最初にPC版を完成させたうえで、オプションで設定を増やせば重くなるし、減らせば軽くなる環境を構築することにしました。
──PS3版は設定を減らして軽くしたバージョンということですか?
吉田 たとえるなら、PS3版は小さな箱。必要な要素を取捨選択して、その中にPC版を押し込んで、ギリギリまで最適化を行ったイメージです。一方でPS4というハードは、たしかに現行のハイエンドPCと比較すればやや小ぶりかもしれませんが、サイズはPS3よりもかなり広め。取捨選択をそれほど考えずに、まるで幕の内弁当のように必要な要素を詰め込めました。メモリの量も、PS3とは違いプールのように巨大なので、入れるべきものはすべて搭載してあります。開発する側としては、すごく楽だったですね。
──PS4がゲームを制作しやすい理由は、どのへんにあるのでしょうか。
吉田 ゲームデザイナーのマーク・サニーさんがハード開発に携わっていたのが大きいと思います。じつは本体の設計段階からスクウェア・エニックスにご来社いただいて、メモリのサイズを増やしてほしい……といった我々の要望や意見を拾い上げてくれました。その結果、最高にゲームが作りやすいハードに仕上がったと考えています。先ほどもお話をしたとおり、PS4版『新生FFXIV』のフルコーディング(全要素の統合作業)を行っていたのが昨年10月。そこから現時点でβテストが行える段階まで進んでいることから考えても、作業の円滑ぶりがわかるはずです。

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▲日本のゲーム開発スタッフの意見も、PS4本体の設計に取り入れられていたのかも?

──たしかに、それはものすごい早さですよね。
吉田 これを言うと担当のプログラマに怒られそうですが、グラフィックスはあっさり動いていてちょっとびっくりしました。コンテンツの積み込みも問題なく、SCEさんのレギュレーション(規則)への対応とPS4というハードウェアへのの最適化作業が、おもな仕事になりました。
──PS3はゲームが作りにくいハードだった?
吉田 えーと、ノーコメントでお願いします(笑)。僕自身がPS4にすごい思い入れがあるので、ほかの人よりもPS4の優位性を強く感じてしまうせいかもしれませんが。

PS4版へのアップグレードでPS3版のプレイ権利が消えるのは“一物二価禁止”が原因

──PS4版へのアップグレードすると、PS3版をプレイする権利が消滅してしまう理由は何ですか?
吉田 当初はPS3とPS4のどちらでも遊べるようにする予定でした。SCEさんとの交渉の席でもそれが実現可能という手ごたえを感じていたのです。しかし弊社の法務部門が確認を取ったところ、担当者から「日本では無理です」と言われてしまって……。
──なぜ無理なのでしょうか?
吉田 “一物二価禁止”という原則が日本にだけ存在するのが理由です。PS3で遊べる商品というひとつの価値に、PS4でもプレイできるという新たな価値を後から設定するのは、ひとつの物体にふたつの価値を与える商法に該当してしまうのです。
──つまり、抱き合わせ販売と同じ扱いになるのですか?
吉田 独占禁止法に関連する決まりのひとつです。後付けで価値を持たせることでライバルを排除。自社の商品だけを有利に見せよう……という売りかたを防止するために設けられたルールのようです。
──ふつうに考えると、相互乗り入れは、消費者であるプレイヤーの利益にしかならないはずですよね。
吉田 海外だけPS3とPS4の双方で遊べるようにすることも可能なのですが、そうすると国内のお客様が明らかに不利になるので、この選択は消しました。いろいろ思案を巡らせた結果、PS3で遊ぶ権利を失う代わりにそれをPS4側へ移せば、法律上の問題をクリアできることを思いついたのです。
──そのアイデアは吉田さん側で考案したのですか?
吉田 思いつきではありましたが、この案を法務部門に持ち込んで審査を仰いだところオーケーが出ました。SCEさんにも問い合わせた結果、問題ないとのことでしたので、「ではそれで」と最終的にゴーサインを出しました。
──PS4版へ移行した後、改めてPS3版のパッケージを買いなおせば、双方のハードでプレイできる?
吉田 その場合、ふつうにPS4版のパッケージをお買い上げいただいて、レジストレーションコードを紐付けたほうが早いし、ふつうだと思います(笑)。ただ、できないかと言われればできます。

将来的に、PS3版からPS4版へのシフトを促すタイミングが訪れる

──今後家庭用ゲーム機やPCの性能の向上に伴い、将来的にPS3版が開発上の足かせになる可能性はありますか?
吉田 現在も我々は、PS3版のハードの限界に挑むアップデートを行っています。たとえばパッチ2.16で盛り込む予定の冒険者が水に濡れるエフェクトは、PS3版でも過不足なく表現されています。とはいえ、どこかのタイミングで“限界の限界”が訪れるとは思います。次回の拡張パックにはPS3版向けの設計が含まれていますが、そのつぎを発売するときにそれが盛り込まれる確約は、残念ながらできません。
──たとえばどのような表現を用いようと思ったら、PS3の“限界の限界”を超えてしまうのですか?
吉田 全長200メートルの飛行するドラゴンの周囲を旋回しながら戦う……などですね。『新生FFXIV』は世界で戦っていくことを目標にしているので、我々がおもしろいと感じた要素が実現できないとなると、何で勝負すべきか見失ってしまうと思うのです。
──そうなる前に苦渋の決断をすることもある?
吉田 すぐにではありませんが、PS3版からPS4版へシフトしてくださいとアナウンスさせていただくタイミングが、いずれ訪れると思います。ですがその日が来るまでは、せっかく購入していただいたPS3版で引き続き楽しんでもらえるよう、品質を維持する責任をキッチリ果たしていきたいと考えています。

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▲ハードの移行をアナウンスする時期が訪れるのは、まだまだ先の話。PS3版のプレイヤーは安心してプレイを続けられるとのこと。

──幕引きを決断する際の判断材料は?
吉田 PS3版でプレイしている方がPS4版へ移行する割合を注視。その数値をもとに、最終的な決断時期を考えるつもりです。
──そうしたハードを替える際のハンデをなくすためにも、無償でアップグレードキャンペーンを行うわけですね。
吉田 絶対に無料にしたいという話を、かなり早い段階からSCEさんに申し入れていました。我々はお客様にプレイしていただくことで対価を支払ってもらうという考えかたなので、逆にそれ以外の部分、たとえばプレイ環境を変える際に手数料を徴収するといったことは極力排除するスタンスでいます。

Mac版の発売については検討すべき時期に入っている

──今後、Xbox One版を発売する予定はありますか?
吉田 Xbox Liveのゴールドメンバーシップに参加中の方は全世界で6000万人近く存在するので、Xbox Oneは市場としてとても魅力的です。しかし、問題がふたつあります。ひとつは、ゴールドメンバーシップ登録者の中に国内ユーザーが少ないこと。もうひとつは、クローズドネットワークであるXbox Liveが存在するため、それ以外のプラットフォームで遊んでいる方とのあいだでコミュニティが分断されてしまうことです。僕はとくに後者のほうが致命的な問題と考えていて、これが解決されないかぎり発売は難しそうです。
──その問題が取り除かれれば、可能性はある?
吉田 大いにあります。むしろ障害はその部分にしかありません。僕自身はXboxというゲーム機が大好きなので、いますぐにでもやりたいくらいです(笑)。
──マイクロソフトとは実際に交渉を行っているのですか?
吉田 (Xboxのサードパーティを統括するゼネラルマネージャーの)ジョージ・ペッカムさんともE3のたびにお話をさせていただいたりしています。
──同じマイクロソフトの製品であるWINDOWSでプレイしている仲間たちと、せめていっしょに遊べるようにしてほしいという気もしますが。
吉田 そうですね。僕もそう思っています。
──ではMac版の発売についてはどうでしょうか。
吉田 OS本体の普及台数も増えてきていますし、ほかのMMOメーカーさんもMac版が視野に入ってきているようなので、我々としてもそろそろ検討に入ろうかという話をスタッフのあいだで交わしています。

あらゆる手段を尽くしてマクロ&UIの共有機能を用意したい

──PC版で遊んでいる人がPS4版でログインしたときに、マクロやUIなどのデータは自動的に反映されますか?
吉田  PC版からのマクロ共有は、現状ではサーバーへの保存ができないので、マクロは改めて作成していただくことになりそうです。
──具体的にどういうことなのですか?
吉田 PS4とPCのセーブファイル構造が違うためです。さすがにここを外部PCのデータで上書きできるとなると、レギュレーション的にNGになってしまうので……。
──『FFXI』では可能なのに、『新生FFXIV』の場合はなぜできないのかという声も聞かれますが。
吉田 当時はまだMMOというジャンルのゲームが未知のものだったので、いろいろな面でイレギュラーな対応を許可していただいていたことで、可能だったのだと思います。

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▲我々以外にも、複数のメディアからUIの保存機能に関する質問を受けたことを吉田氏が教えてくれた。この事実が、リリースへ向けての追い風になってくれれば……と願うばかりだ。

──何かいい方法はないものでしょうか。
吉田 たとえばサーバー上に待機場所を設置して、そこにマクロなどのデータを一時的に保管してもらう、といった解決策を模索中です。しかしその場合でも、何しろ671万ものキャラクターが存在するので……。実際に機能を開放したらアクセスが殺到するため、そこでまた課題が発生してしまいます。
──新たな設備投資が必要になってきそうです。
吉田 おそらく数千万円を超える規模になるので『旧FFXIV』時代のLodestoneで使用していたバックエンドサーバーを引っ張り出せば乗り切れるのでは……など検討を進めている段階です。申し訳ないのですが、PS4版のリリースまでに対応が間に合うかどうかは、現時点ではわかりません。
──PS3からPS4へマクロを移動させるのも難しいのですか?
吉田 PS3版からPS4版へマクロなどのクライアント保存データの移行は、SCEさんが用意してくれている仕組みの中で対応できそうな状況です。βテストのできるだけ早い段階で、可能にできるように開発を行っています。対応できしだい、データの移動方法などアナウンスさせていただく予定ですので、いましばらくお待ちください。

話題はパッチ2.2へ。シナリオを通じて3都市の側面が明らかに

──3月公開予定のパッチ2.2で展開されるシナリオの見どころは、どのあたりでしょう?
吉田 パッチ2.1のストーリーは、ガレマール帝国の脅威はひとまず去ったものの、全体的に怪しい雰囲気が漂い始める……いわば”予兆”のようなものでした。パッチ2.2では、いよいよリヴァイアサンが召喚され、リムサ・ロミンサを中心にエオルゼアが大慌てになります。
──エオルゼアの3つの都市国家が、新たな蛮神の出現に伴い、何らかの動きを見せるのですか?
吉田 ガレマール帝国という重石が取り除かれたので、それぞれの都市国家の思惑がズレ始めてきます。第七霊災を経験した後のエオルゼアの“嫌な一面”も垣間見えるはずです。

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▲パッチ2.2では、渦巻く都市国家間の思惑に翻弄されながら、冒険者は迫り来る脅威に立ち向かうことになるのかもしれない。

──メインクエストの中心は黒渦団ですか?
吉田 今回の主役はリムサ・ロミンサになります。たとえば今後ラムウが召喚された際には、(信仰者であるシルフ族が暮らす)グリダニアが大騒ぎになることでしょう。
──つまり蛮神を中心にシナリオが展開される?
吉田 違います。蛮神が呼び出された場所にある都市国家が、何らかの対応を迫られる形になります。
──ではシヴァの場合はクルザスが舞台になるのですか?
吉田 ご想像にお任せします(笑)。
──今回も新たな人物は登場しますか?
吉田 はい。新しい登場人物だけでなくウルダハなどの都市国家を含めて、物語が急展開していきます。アルフィノの“若さ”も見え始めてきますよ。
──彼はすでに血盟のリーダー格ですよね。
吉田 なぜ彼がリーダーになりきれないのかも、今後明らかになるはずです(笑)。
──今回は重みのある物語という印象です。
吉田 その一方で、ヒルディブランドみたいな能天気な人物も新たな活躍を見せるはずですよ(笑)。
──蛮族デイリークエストで“御子ちゃま”が誕生しますが、これも今後に影響を及ぼすのですか?
吉田 シルフ族の“御子ちゃま”はラムウと関わってきます。どのような成長を遂げるのかは、今後のシナリオにご期待いただければと。
──『旧FFXIV』で語り尽くされなかったエピソードが『新生FFXIV』で明らかになることはある?
吉田 現時点で『新生FFXIV』に盛り込まれていない部分は僕の判断であきらめたものなので、基本的に今後深く掘り下げることはありません。例外的に、フ・ラミンの過去視の場面で登場したニエルフレーヌのシナリオだけは、明らかにすべきかなという気がしています。ですが、それを正式に決めた場合であっても、公開時期はかなり先になると思います。

リテイナーを”派遣”する新たな遊びも追加される!

──真リヴァイアサン討滅戦の報酬は?
吉田 "真"のほうは、メインクエストに深く関わります。報酬の中身も、クエストの進行に有益なアイテムになる予定です。おそらく、強い武器をドロップしたりするようなことはないでしょう。
──ボスを背後から攻撃することも可能でしょうか。
吉田 背面と側面からしっかり攻撃できるように設計されています。この状態で背面攻撃はありえないのでは……という場面であっても、しっかり後ろからアクションを発動できるようにしてあります。
──バトルの舞台となる船が、大きく傾くようです。
吉田 そもそもなぜあれほどまでに傾く状況になるのかという部分も、攻略のポイントですね。
──"真"は、善王モグル・モグ討滅戦よりも少し倒しやすいくらいの難しさになるのですか?
吉田 真リヴァイアサンについては、パッチ2.15で調整されたモグル・モグと同じ程度に調整しています。全員がギミックを理解していればある程度簡単に、初見の方がいてもほかの人がカバーできるレベル。全員が初めてでも2~3回のトライで討伐できるくらいというイメージ。パッチ2.1リリース直後の善王モグル・モグ討滅戦は『旧FFXIV』時代に開発したものを何とかして『新生FFXIV』に取り入れねばという感じだったので、少し苦しかった面もあります。
──当時は、いわゆるマラソン戦法が主流でした。
吉田 走りながら戦わずに倒してもらうにはどうすべきか……という立脚点からギミックを考案したところ、予想外に難しくなってしまいました。ですが難度の部分は、すでにパッチ2.15で調整済みです。
──パッチ2.2で追加するリテイナーの新要素とは?
吉田 『旧FFXIV』時代からアナウンスしてきた、リテイナーの有料追加雇用サービスを実現させます。そのうえで、リテイナーに荷物を預ける以外の新要素を加えるべく、現在準備を進めています。
──いわゆる便利機能の一種になるのですか?
吉田 派遣という新しい遊びの要素になります。リテイナーのジョブやクラスを決めた後、チップを支払って取得したいアイテムを指示します。そのうえでリテイナーを派遣。見ごとアイテムを入手して戻ったら彼らに経験値が加算され、その結果レベルが上がり、多様な装備が着せられるようになります。
──リテイナーが冒険者向けの装備を着用する?
吉田 そうです。レベルが上がるほど高性能な装備が着られるようになり、それによってさらにレアなアイテムが持って帰れるようになるのです。

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▲ダークライト系の装備をリテイナーに着せられる日がついに訪れる!?

──リテイナーに設定したクラス/ジョブのロールによって、獲得できるアイテムの種類は変わるのでしょうか?
吉田 モンスターがドロップするタイプの品物が欲しい場合はバトル系。採集で手に入るアイテムを狙うなら、ギャザラー系のクラスを選んだほうが有利でしょう。

アイテムレベルの上限引き上げは2~3パッチおきに実施

──大迷宮バハムートと同様に、クリスタルタワーもバージョン2.0のシリーズで完結するのですか?
吉田 拡張パックが発売されるタイミングで、新規レイドを公開しようという話は出ています。ですが、そのタイミングでクリスタルタワーを終わらせた場合、未使用のアイデアが大量に余った状態が生じてしまいそうな予感が、いまのところしています。
──複数のレイドが同時にアップデートされていく状況も、現時点では考えられるのですね。
吉田 クリスタルタワーは、拡張パックを跨いで更新を行ってもいいのかなとも思っています。

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▲パッチ2.1の時点では、クリスタルタワー本体の建物にさえ足を踏み入れていない。コンテンツ全体の展開は、まだ始まったばかりという雰囲気だ。

──その一方で、大迷宮バハムートに代わる次期最高難度コンテンツの企画は進んでいるのですか?
吉田 タイトル名とテーマはすでに決まっています。すごく『FF』らしいうえに、皆さんから「そう来たか」と思っていただけるものになっています。
──今後新たなパッチが公開されるたびに、アイテムレベルの上限は引き上げられていくのですか?
吉田 アイテムレベルの上限を、パッチごとに毎回開放することはありません。2~3回おきくらいの間隔をイメージしていただければと。
──アイテムレベルが据え置かれる回のパッチが公開される際に、経済活性化の施策は行われますか?
吉田 たとえばパッチ2.2でアイテムレベルが大きく引き上げられた後、パッチ2.3ではかなり大規模なコンテンツが導入されます。このコンテンツに関連して巨大な商機が生まれてくるはずです。
──現在のような経済の停滞は生まれない?
吉田 我々の不手際が原因ではあるのですが、パッチ2.1はハウジングのショックが大きかったと思います。家を購入するためにプレイヤーの皆さんが貯蓄を始め、必然的にマーケットが停滞。その結果として相場が下落し、さらにギルが手に入りにくくなるという負のスパイラルの状態でした。今後は、このような事態が起きないようにしていきます。

拡張パックのコレクターズエディション発売が確定!

──今後もコレクターズエディションのような特典付きの商品を発売する計画はありますか?
吉田 具体的には何も決まっていませんが、拡張パックのコレクターズエディションは必ず発売します。その節はパッケージ版のときと同様に、魅力的なアイテムをご用意するつもりです。
──拡張パック版のコレクターズエディションには、どのような物品を特典に付けたいとお考えですか?
吉田 じつはロンチ時に発売したパッケージ版のコレクターズエディションに、フィギュアを特典として付けるつもりでした。時間的な制約などの関係で、残念ながら実現には至りませんでしたが……。
──付属しているフィギュアの種類が、パッケージごとに異なるという仕組みは取り入れられる……?
吉田 それはさすがにありません(笑)。
──『新生FFXIV』が同梱されている、PS4本体のスペシャルパッケージ版の発売予定はありますか?
吉田 僕としてはぜひ出したいと思っていますが、SCEさんしだいなので明確にお答えしづらいところです。僕がSCEさんの立場ならば、PS4本体は、いま世界的に品薄の状態なので、『新生FFXIV』専用パッケージをリリースするよりも、そのパワーを通常のハードの生産に回すほうを選ぶだろうと思います。
──最後に『新生FFXIV』をまだ知らない方に向けて、ゲームの魅力をあらためて語ってください。
吉田 『新生FFXIV』にはコンテンツファインダーが存在するため、すぐにパーティが組めます。コンテンツを攻略する際に、コミュニケーションを仕組みとして要求するわけではないので、綿密な打ち合わせが必要にならず、ともすればマッチングで選ばれたほかのプレイヤーがNPCに思えてしまうほどです。気楽に遊べるオンラインゲームが、ご家庭のリビングルームで楽しめる時代を感じながら、まずはβテストに参加して、“こんな世界があるんだ”と感じてみてください。オンラインゲームだからといって、怖がる必要はまったくありません。
──ありがとうございました。

『新生FFXIV』担当ライターがPS4版を体験リポート!

 吉田氏へのインタビュー終了後、取材スタッフはPS4版『新生FFXIV』がプレイできる特別室へ移動。ここでPS Vitaを活用したリモートプレイを含めたすべての要素を体験した。その一部始終を、ファミ通コネクト!オンの担当ライターMainaiがリポート。PS4版の特長を4項目に分けて報告していきます。

その(1) グラフィックスの美しさ

 PS4版のグラフィックスの美しさは秀逸。私は日ごろからPC版の“最高画質”で記事掲載用の写真を撮影しているのですが、そのクオリティと比較してもまったく遜色ありません。加えて、映像の滑らかな動きも特筆もの。冒険者はスムーズに動いていましたし、大勢の敵に囲まれた状況でもモーションがカクつきませんでした。

リテイナーに変化あり? 『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』パッチ2.2&PS4版吉田氏インタビュー+PS4版体験プレイリポート_12
▲家庭用テレビはPCのモニターよりもはるかにバックライトの性能が高い。『FF』シリーズならではの美麗なグラフィックスを満喫したいなら、PS4版がベストチョイスになりそう。

 もし、これほど高品質な画面をPC版で実現させようとすると、かなり高価なパーツを揃えなければなりません。PS4と本作の通常版の合計価格は約4万5000円。仮に本体と同じ金額を元手にPCを組み、ゲームそのものが動いたとしても、これほど美しいグラフィックスは確実に望めません。『新生FFXIV』をプレイするのに適したPCをお持ちでない方だけでなく、PCの買い替えを考えている(私のような)財政事情の厳しいプレイヤーにもオススメできます。

その(2) デュアルショック4によるプレイ感

 デュアルショック4そのものの軽さに驚愕。私は長年、PC版を市販のゲームパッドでプレイしてきたのですが、いままで使用してきたどの機種よりも軽いです。本体内部に充電型電池が内臓されていることを、本気で疑ってしまうほど。デュアルショック3と比較しても、どちらが軽いのか判断できないくらいなので、長時間プレイしても疲労はほとんど感じませんでした。

 つぎに、アナログスティックの操作感をチェックしてみたところ、完全にいつもどおりの操作が可能でした。各種ボタンを押した際のレスポンスとストロークの深さについても、デュアルショック3との違いを見つけることができませんでしたよ。

 最後に、デュアルショック4の前面タッチパッドで、マウスカーソルの操作感も確認。
ノート型PCのタッチパッドでゲーム内のカーソルを操作したときと感触はほぼ同じだったので十分に使えそう。加えてタッチパッドはボタン機能も有しており、“カチッ”と押し込むことでクリック操作も可能です。ただしデュアルショック4にはPS3版でHUD選択時に用いるセレクトボタンがないため、デフォルト状態ではこのボタンがその役割を果たしていました。キャラクターコンフィグでこの部分をクリックに変えればマウスとして代用できるのですが、すると今度はセレクトボタンの配置に悩むことに……。いろいろ思案した結果、私はR3ボタンにその機能を割り振りました。

その(3)リモートプレイの快適性(操作編)

 リモートプレイのインプレッションを述べる前に、まずは基本的な説明から。

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▲PS Vita上に『新生FFXIV』を呼び出した場合でも、このとおりグラフィックスの質がほとんど落ちない。

<PS4と直接接続をするモード>
PS VitaとPS4本体のあいだを直接無線で交信するモード。電波は遮蔽物がなければ10メートル程度は余裕で届く。あまり離れた場所でのプレイには向かないが、リビングルームや自室で寝転がりながら遊ぶ際には最適だ。PS4本体で遊んだ場合にくらべれば多少ラグは発生するが、その度合いは小さめ。

<外部のアクセスポイント経由で接続するモード>
Wi-Fiなどインターネットによる通信を介してPS4を遠隔操作する。外出先でも利用できるため、場所や時間に関係なく『新生FFXIV』がプレイできる。直接接続をするモードよりも多くの経路を介して通信が行われるため、発生するラグは大きめ。

これらのうち、今回はPS4と直接接続するモードでリモートプレイを体験してきました。その結果、私が感じた印象は以下のとおりです。

◆ラグがほとんど感じられない:
液晶テレビとPS Vitaの画面を見比べて初めて映像のズレが認識できるほど、双方の映像のズレは小さかったです。

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▲このように双方の画面を比較したが、映像が表示されるタイミングはほぼ同じだった。

◆キャラクター操作の感触は問題なし:
コンフィグで設定を変えることで、PC版のゲームパッドと同じ感覚で冒険者を操作できた。ただし根本的にボタンの数が少ないため、完全再現は不可能な状況。とはいえ、ふだん使っているボタン配置に近づけることで、この問題はある程度解決できた。私自身、急ごしらえのボタン配置にすぐ慣れ、取材の後半はデュアルショック4の代わりにPS Vitaを使っていたほどだ。

◆背面タッチパッドの使い心地も◎:
背面タッチパッドは4分割されており、コンフィグで各領域に任意のボタンを割り当てられた。自分好みの設定をつき詰めれば、プレイにじゅうぶん役立てられそう。なお前面タッチスクリーンに触れることで、マウスカーソルが操作可能。思いどおりに動かせたが、やはり画面そのものが小さいため、任意の場所をクリックする際にやや手間取った。しかしこちらも、慣れや練習で十分にカバーできる範囲だろう。

◆快適なチャット入力は練習しだい:
チャットログのサイズを拡大すれば、PS Vitaでも会話内容は楽に確認できた。ただし発言を入力する際はソフトウェアキーボードを使うことになるため、ある程度の熟練が必要になりそう。

通信や操作に関して違和感を覚えることはまったくなく、むしろ快適でした。手間取ったのは、チャットを入力するときだけ。ふだんからソフトウェアキーボードの操作に慣れている人がプレイすれば、おそらくまた違う感想を抱いたはずです。

その(4)リモートプレイの快適性(コンテンツ編)

 PS Vitaのリモートプレイでどの程度まで戦えるのかを確認するべく、実際にライトパーティを組んでコンテンツに挑むことに。取材者は私をふくめて3人のみだったので、同席していたスクウェア・エニックスのスタッフの方に頼み込んで協力を依頼。ヒーラー(白魔道士)でご参加いただいたのですが、腕前にさすがと一同驚愕しました(笑)。

 まずは手始めにタイタン討伐戦からチャレンジ。いわゆる弱タイタンというやつです。ナイト、竜騎士、吟遊詩人、白魔道士の編成で、私は吟遊詩人で参加しました。PS4やPCでプレイしたときと同様に、インスタンスエリア内でも円滑なアクション回しが可能です。着々とバトルが進み、ランドスライドを避けた後、難関のひとつとされる“大地の重み”が襲来……しましたが、ダメージゾーンが見えた直後に走り始めても、問題なく回避できました。念のため液晶モニターとPS Vitaの画面を見比べてみましたが、大地の重みが表示されるタイミングにほとんど違いは感じられません。結果は、1戦目で楽々勝利。これだけ快適に戦えるなら、ボムボルダーとランドスライドによる連携も問題なくかわせそうです。私の中では、真タイタン討滅戦も十分にクリア可能なのでは? という結論に達しました。

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▲その場に8人いたなら、土下座してでも真タイタン討滅戦に挑戦したかったところ。残念。

 続いて、インスタンスダンジョンのワンダラーパレスに突入。タイタン討伐戦と同じ編成で、私は吟遊詩人で参加しました。蛮神バトルのときと同様、こちらも違和感はほとんどなし。乱戦時にカメラを寄り気味にすると画面が若干カクつきましたが、戦闘に支障を及ぼすほどではありません。道中の敵を難なく倒し、最初のボスであるキーパー・オブ・ヘリダムもあっさり撃破。私はPC版でワンダラーパレスを手が覚えるほどやり込んでいるのですが、いつもどおりの立ち回りができました。頭でイメージした行動がそのままPS Vita内の冒険者に反映されると、不思議な快感を覚えますよ(笑)。

その(5)ビデオクリップの撮影とスクリーンショットの保存

 ビデオクリップの撮影方法は、毎回手動で録画を行うシステムではなく、シェアボタンからコマンドを選んだ時点で過去にさかのぼり、映像が自動保存されるシステムとのこと。録画時間は最大15分なので、長期戦で知られる大迷宮バハムート邂逅編5であっても1回のバトルがひとつのファイルに収まります。映像のアップロードはまだできませんでしたが、コメントを書いたうえで、専用のオンラインサービスにファイルをコピーするだけの簡単操作だそうです。スクリーンショットに関しても保存方法は動画と同じ。シェアボタンを押してPS4固有のメニュー画面を呼び出した時点で、そのときの画像がファイルとして内部に保存されました。

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▲撮影したビデオクリップとスクリーンショットは、このメニュー画面からインターネット上にアップロードすることになる。

 Mainaiのプレイ報告は以上です。
 PS4版の感想をひと言でいえば、ハイスペックなPC版とほとんど同じ環境で遊べるうえに、PS Vitaで『新生FFXIV』のコンパクトバージョンも楽しめる贅沢な作りというもの。とくに私はリモートプレイの利便性が気に入っているので、この機能を利用して遊ぶ目的だけでもPS4版を購入しようかと考えています。残された謎は、外部のアクセスポイント経由で接続するモードでどれくらい遊べるのか、という部分のみ。こちらの仕上がりを確認したうえで、最終判断を下すのがベストかもしれませんね。

(取材日:1月30日)