ファミ通.comインディーゲーム

家庭用ゲーム機にPC、モバイルなど、近年、幅広いプラットフォームで盛り上がりを見せている“インディーゲーム”。自作・同人ゲーム、フリーゲームなど、いわゆる“インディーゲーム”の中から、担当のアンテナが「これは!」と反応した作品を紹介するコーナー。国内外を問わず、さまざまなタイトルをピックアップ。

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「50000円出してくれた人には50000円ぶん悶絶させる!」、『LA-MULANA2』ディレクター・楢村氏インタビュー【ファミ通インディーゲーム】

2014-01-29 14:30:00

●国内インディーゲームの本格的な海外展開の試金石に

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 NIGOROの新作アクションアドベンチャーゲーム『LA-MULANA2』の、KickStarterによるクラウドファンディングが開始されて約一週間週間が経過した。

【関連記事】『LA-MULANA2』がKickStarterでクラウドファンディング開始!

 2014年1月28日現在、支援総額は目標の約3分の2にあたる$130,000を突破。2月23日13時(日本時間)内のファンディング成立に向けて、支援者数を着々と伸ばしている。
 今回のプロジェクトは、小規模の独立系メーカーが、国内外のゲームシーンを結ぶPCプラットフォーム・PLAYISMと協力してKickStarterに参加するという、日本初のケース。前作『LA-MULANA』が世界中で人気を博しているという背景はあるものの、国内インディーズゲームの本格的な海外展開手段の試金石となるだけに、各方面からの注目度も高い。
 そこで今回は、NIGOROのディレクター・楢村匠氏に、同プロジェクトの経緯や現状について語ってもらった。


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●何を作るにしても、まずは初期資金が必要

──開始2日で目標額の半分を突破し、現在も着々と支援額を増やしている現状についての、率直な感想をお願いします。
楢村匠氏(以下、楢村) 達成額は$200,000ですが、自分たちで定めたさらに下の目標は早々に達成してくれたので、少し安心しています。成功するつもりで始めてはいますが、失敗する不安も拭えないまま挑戦していました。「早い段階で20%を超えれば成功率が高い」ということを事前リサーチで聞いていた一方、期間中に50%に満たないようならプロジェクト自体をあきらめるしかないとも考えていました。
 いまは一日$2,000くらいの増加に落ち着いていますが、残り期間中もこのペースなら、目標額は達成できると思います。ですが、ゲームを完成させて、宣伝したり、移植したり……ということまでを考えると、この2、3倍の額が必要になります。まだまだ気を抜かず、注目を集めるようなアップデートや活動を続けるつもりです。
──KickStarterに参加することになった経緯について教えてください。
楢村 前作『LA-MULANA』では、1タイトルの開発にかかる費用を補うため、Wiiウェア、PC、海外販売、Steamなど、さまざまなプラットフォームで展開していくことになりました。ここまで続けて、やっと納得いく本数が購入されたのですが、開発期間と広報期間、移植期間などで利益を少しずつ消費していったために、次回作を作ることができるほどのプールができませんでした。
 何を作るにしても、まずは初期資金が必要だとは考えていました。必要な金額を考えると、クラウドファンディングの最大手であるKickstarterを利用するしかないと思いました。ただ、日本からの利用が難しかったため、海外とのコネクションがあるPLAYISMさんに協力してもらい、Kickstarterを利用できる環境を作っていきました。成功するための戦略を考えると、知名度であったり、宣伝力であったり、とにかく注目を集めなければなりません。そこで、昨年の東京ゲームショウでインディーズゲームが大々的に扱われるタイミングに合わせて、我々の作品の中でもっとも知名度の高い『LA-MULANA』の続編で挑戦しようということに決めました。


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──現在Kickstarterのプロジェクトページで公開されているプロモーション映像ですが、MSXゲームのROMカートリッジが出てきたり、楢村さんが体を張っていたりと、ネタ要素満載で楽しかったです。映像制作についての裏話を教えてください。
楢村 当初は自分自身を表に出したいとは思っていなかったのですが、Kickstarterのリサーチをしていると、前面に出ているクリエイターを皆が応援する……という形が一般的ということがわかりました。そこで、クリエイターが作りたいものについて熱心に説明する内容になりました。ちょうど内容を考えているときに、稲船(敬二氏)さんの『Mighty No.9』のKickstarterが始まりました。そのビデオがあまりにハイクオリティーだったので、「同じ路線でぶつかったら勝てるわけがない」と思い、お金はかけずにネタに走ろうと決めました(笑)。
 お金はかけられないけど、ロケーションで遺跡探索の雰囲気を伝えよう、ということで、日本国内にある日本っぽく見えない場所をロケ地に選びました。撮影時は、東京ゲームショウへの出展などもあってほとんど時間がとれず、一泊二日の弾丸ツアーで和歌山→鳥取→兵庫を回りました。3ヵ所とも観光地なので、人がいないタイミングを見計らって短時間で撮影を終えたりと、大変でしたね。


●日本のインディーがクラウドファンディングで成功するのが当たり前になるために……

──PLAYISMとの協力体制について、これまでの経緯を含めて教えてください。
楢村 クラウドファンディングの経験者に話を聞く機会があったのですが、皆さんが口を揃えて言うのは「徹底したコメント返し」。世界中から英語でコメントが寄せられるKickstarterを利用することになったとき、自分たちだけでは絶対さばききれないとわかっていたので、PLAYISMの協力は必須でした。
 手続き面では、Kickstarterの参加条件である“北米に所在地を持つ会社のカード”の準備に、とても時間がかかりました。少なくとも、この最大の難関はすでにクリアーできていますから、つぎにPLAYISMとKickstarterを始めるインディーのディベロッパーは、自身の準備に専念できると思います。
 自分たちが、今後苦労することなく新作開発の資金を得られるようにするには、日本のインディーがクラウドファンディングで成功するのが当たり前になってもらわなければならないと思っています。そのためには、PLAYISMにクラウドファンディングのノウハウを蓄積してもらう必要がありますし、窓口として機能してもらわなければなりません。ひとつのプロジェクトをスタートして終わるまでを実際に体験してみないとわからない部分も多いので、この1ヵ月間はNIGOROとPLAYISMがつねに連携して、プロジェクトを見守っている状態です。
──今後プロジェクトで予定している展開は?
楢村 一週間おきに、注目を集められるような大型アップデートの準備はしています。スタートの盛り上がりは“『LA-MULANA』のファン”が出尽くしたところで止まると予想していましたから、課題は“『LA-MULANA』を知らない人”をどうやって呼び込むかです。『LA-MULANA』のSteamでのセールや、ほかのインディーゲームクリエーターに応援を求めるなど、『LA-MULANA』を知ってもらうための工夫を用意しています。
※1月29日には、comceptの稲船敬二氏や、イギリスのディベロッパー・nyamyamの東江亮氏など、世界のインディーゲーム作家5組からのプロジェクト応援コメント動画が公開された。
Kickstarter・応援コメント動画はコチラ

 終盤に関しては、現時点ではどういう状態で迎えられるか予想できませんが、状況に合わせてストリーミング放送をしたりするかもしれません。
──Kickstarterプロジェクトを支援するには、amazonの海外アカウントが必要だったりと、国内ユーザーには若干のハードルがありますが、『LA-MULANA2』に興味がある日本のファンに向けて、ひとことお願いします。
楢村 正直なことを言うと、できあがってもいない作品にお金を出してもらうことに引け目を感じます。先行予約と考えれられればいいのかもしれませんが、すでにけっこうな額をバックしてくれた人もいて、気持ちの整理がつきません。だからといってお金を集めたい側がウジウジしていてもしらけますから、『LA-MULANA2』を売るというよりは、自分たちの活動そのものを楽しんでもらうスタイルでやっています。
 幸いにも『LA-MULANA』は長く楽しめるし、クリアーしても他人の実況動画を見てニヤニヤできるという妙なポジションのゲームに育っています。それならば『LA-MULANA2』は、開発前からお金を出したくなるほどの楽しみを提供していこうと。50000円出してくれた人には50000円ぶん悶絶させればいいんだろう、と(笑)。ゲームが届くまでも、届いて遊んだあとも楽しませます!


Kickstarter・『LA-MULANA2』応援コメント動画

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▲ディレクターであるとともにグラフィッカーでもある楢村氏謹製の描きおろしイラストを公開! 『LA-MULANA2』の登場キャラ・セレプド長老のような未来が、NIGOROメンバーに待ち受けている……!?