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ノマドの動きはフランス特殊部隊仕込み。本作のリアルさへのこだわりは尋常じゃない

ミリタリー・アドバイザーのアレックス氏と、ディレクターのジョー氏へのインタビューをお届け。

公開日時:2019-10-08 18:30:00

 本作では、複数人のミリタリー・アドバイザーにより、シナリオや武器のデザインだけでなく、アクションのひとつひとつまで、リアルさを追求している。それは、武器の持ちかたやカバーのしかただけでなく、崖からの転げ落ちかたまで突き詰めているほどだ。

 では、その動きはどのような人物が演じていて、どのようにゲームに取り込まれているのだろうか。

 ミリタリーに関するさまざまな項目の指導を行うだけでなく、実際に主人公の動きを演じた元フランス特殊部隊のアレックス氏と、それらを忠実にゲームに再現するディレクターのジョー氏にインタビューを行った。

A

ミリタリー・アドバイザー
Alexandre Auberton氏
(文中はアレックス)

――アレックスさんは、本作にどのように関わっていますか?

アレックス ミリタリー・アドバイザーとして参加しました。フランスの特殊部隊に11年所属した経験を活かして、現在はミリタリー・コンサルタントして活動しています。本作では、実際の部隊のフィーリングをゲームの中に取り入れるためにアドバイスしています。

 また、モーション・キャプチャーのアクターは、8割は私が担当しています。私はアドバイザーですが、俳優の経験もあるので、チームにとっては私を使ったほうが楽だったと思います。しかも私はパリに住んでいるので、開発スタジオに近いですしね。実際にやってきた動きですので、ゲームがリアルに見えると思います。ユービーアイソフトのアニメーションはすばらしく、私のような実際の特殊部隊のオペレーター、コマンダーを起用したことで、モーションの質がさらに向上していると感じます。

――ということは、私たちが操作しているノマドは、あなたそのものということですね。

アレックス そうです。(腕立て伏せや屈伸をしながら)皆さん、主人公にこんなキツイ動きをやらせているかもしれません(笑)。しかし、ゲームの中ではスタミナを考えて行動しなくてはなりません。急な坂を登って水分を摂らず休まないでいると、なかなか疲労が回復しません。シミュレーションではないですが、ゲームにリアリズムを与えています。

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――ゲーム中ではスタミナがないと、崖を滑って転んで怪我をしますよね。

アレックス はい(笑)。疲れていれば余計に転びます。

――現実の実戦での怪我は、命取りになりかねません。

アレックス 私は実際に4回、怪我をしています。相手を掴んで拘束している時には指を折りました。パラシュート・ジャンプで腰を負傷しましたし、脚に銃撃を受けたこともあります。口径の大きな弾だったので、今もそこには肉がつかず、触れると穴があるのがわかります。

 聴力にも影響を受けています。今ではほぼ何でもよく聞こえますが、銃撃音や爆発音の周波数がよく聞こえなくなりました。人間の話し声と周波数が似ているので、注意して聞いていないと話が理解できないことがあります。足音や鳥の声などはよく聞こえるのですが。

 フランスの特殊部隊では、アフガニスタン、中東、アフリカ、南米などに行きましたが、フランスはあまりこの活動を表に出していません。アメリカなどは、よりオープンに情報を出しています。イギリスのSASもフランスと同様です。フランス特殊部隊は基本的にSASと同じ活動をしているので、フレンチSASと言っていいでしょう。

――そうなのですね。

アレックス 第二次世界大戦で同じユニットだったものが、ふたつに分かれました。英国がまず特殊部隊のコンセプトを導入してSASを組織しました。その時にフレンチ・コマンドーと呼ばれる人たちがいて、終戦後にフランスでSASを組織したのです。その際にはフレンチSASという名称は使っていませんでしたが、今ではそう呼ばれています。あまり情報を流さないので存在を知らない人も多いと思います。

 フランスではSASがアフリカで活動を始めたことで知られるようになり、世界各地で活動をしていることも理解されています。ある編集者から声をかけられ、私の特殊部隊での経験が本にまとめられ、フランスで出版されていますが、これは初めてのことです。

――これまで、もっとも恐怖を感じた体験はなんでしょうか?

アレックス 先ほどお話しした通り、私は銃で撃たれましたが、その時は怖いと思いませんでした。チームメイトがそばにいましたし、意識はしっかりしていて撃ち返すこともできたので、問題ありませんでした。

 もっともストレスを感じたのは、2011年にアフリカのマリで、ふたりの捕虜がテロリストに殺された時です。彼らの命が私たちの手に委ねられていたので、非常にストレスを感じました。けっきょく彼らを救うことができず、非常に辛い思いをしました。

 チームメイトもふたり負傷し、ひとりは心臓から1センチのところを弾が通過し、もうひとりのヘリコプター・パイロットも脚を撃たれました。彼らは命に別状はなかったのですが、捕虜を失ったことで罪悪感に苛まれました。できる限りを尽くしましたが、救うことができなかったことは、自分にとって大きな苦しみでした。このような仕事に就くというのは、自分の命よりも罪のない人たちの命を心配することだと思います。

――貴重なお話ありがとうございます。

アレックス ゲームに登場するゴーストたちも同じような気持ちを持っているかもしれません。このゲームはとてもリアルに作られています。皆さん、ぜひともプレイして楽しんでいただけるとうれしいです。

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B

インゲーム・リアリゼーション・ディレクター
Joe Gingras氏
(文中はジョー)

――ジョーさんは、本作にどのように携わっていますか?

ジョー 現実世界での事象をどのようにゲーム内に持ち込んでどう作るのかをディレクションしています。たとえば、地面に隠れるにはどうしたらよいか。最初は単に草むらや木や構造物など、環境の中に隠れることを考えました。そして、そこからさらに突き詰めて、環境を使ってそこに紛れることにまで発展させました。

 実際に特殊部隊にいたアレックスや、ほかのアメリカのコンサルタントに話を聞き、正しいポジションやカバーの入りかたを知りました。そして、彼らの動きをキャプチャーしてゲームに取り込み、キャラクター・チーム、アニメーション・チーム、スペシャル・エフェクト・チームが一丸となって完成させます。キャプチャーで撮ったものからアニメーションを作り、その上にさらにキャラクターの表面に泥や雪などを加工し、それをアーティストがゲームに実装するという形です。

――モーション・キャプチャーのアクターは、実際に経験した人でないと難しいのでしょうか?

ジョー そうです。私たちは実際に特殊部隊の経験を持つ人たちにそれが正しいのかを聞くことができました。正確ではないかもしれませんが、近いものを目指すことができます。

――そこまでこだわっているのですね。

ジョー 詳細にこだわっていますし、それが強みだと思っています。アレックスとはさまざまなことをやりました。接近時には誰かをナイフで攻撃するなどのCQCを使いますが、これについて彼のアドバイスを多くもらいました。また、スロープを使った移動や、平らな場所で銃をどう構えて、どう歩行するか、カバーに入ってどうエネミーに見つからずにピークするか、相手を拘束して尋問する方法など、じつにたくさんのことを聞きました。

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――キャラクターの動きは、アレックスさんと会話をしながら決めていったのでしょうか?

ジョー そうです。特殊部隊ならどう動くかがわからずに詰まってしまったときには電話で聞いたり、実際にスタジオに来てもらって動きを見せてもらいしました。武器についても、演技で使うものには適正な重さがあり、本物のようにリロードできます。アレックスは武器のリロード方法を指導してくれました。LMG、SMG、アサルトライフル、ハンドガンなどすべてです。彼は実戦で使っていましたから。彼はオペレーターとして大型のマシンガンを専門としていました。武器をどう持って、どう動いて、どう撃つかを見せてくれ、彼はゲームの中の動きのほとんどを演じました。クラスによっては彼以外のアクターを使いましたが、ほぼ彼の演技です。

――さきほどのCQCについて、本作ではナイフで3~4回攻撃していますよね。我々のイメージでは一度で倒すイメージがあるのですが、実際には違うのでしょうか?

ジョー 前作『ワイルドランズ』では一度攻撃すればエネミーが倒れましたが、実際はそうではありません。本作では実際にどういう状況で何が行われるのかを知り、できるだけそれに近づけようと思いました。

 首には動脈がたくさんあるのでそこを狙うよう訓練されています。そこを正確に狙って倒すのです。アレックスはゴムのナイフを持って私たちを相手にデモンストレーションしてくれましたが、とても残忍です。高い位置、低い位置からなど、さまざまなCQCを見せてくれました。レクチャーが終わったときには、私は目のまわりに黒アザができ、背中もアザだらけでした。擦り傷だらけの人もいました。ただ練習しただけなのにこうなってしまいましたから、いかに残忍かがわかりますね。

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――乗り物についても同じようにこだわったのでしょうか?

ジョー はい。同じようにリアルにしようと努力しました。モーション・キャプチャー・チームが、実際の乗り物の大きさに合わせてセットを作らなくてはならなかったのでたいへんでしたが、非常におもしろかったです。ゲームには乗り物が数多く出てきますので、トラック、車、ヘリコプターなどをシミュレーションする必要がありました。そして実際に誰かが誰かを担いで、正しい方法で乗せるわけです。

 また、バイクから飛び出す動きを再現するためにケーブルを付けたスタントを行ったり、撃たれた時の動きやパラシュートを開くときに崖の上からベースジャンプする動きなどのスタントも行いました。スタントマンに5メートルの高さまで上がってもらい、段ボールを積み上げた中にジャンプするのです。とてもすばらしいモーション・キャプチャーの日でした。

――キャプチャーはスタジオ内で行ったのでしょうか?

ジョー 私たちは2種類のモーション・キャプチャー・システムを使っています。ひとつは人物がスーツを着て行う方法で、これはカメラを使ったものです。この場合は野外に出ることはできないので、スタジオ内で行います。もうひとつのシステムでは、人間にセンサーをつけてデータを感知するので、カメラは不要です。これなら坂道などに出ることができ、基本的にどんな状況でもできます。これはバイクから飛び出す動きにも使いました。

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タイトル
ゴーストリコン ブレイクポイント
メーカー
ユービーアイソフト
対応機種
プレイステーション4、Xbox One、PC
ジャンル
アクション・TPS
価格
8400円[税抜](9240円[税込])
ダウンロード版は各8400円[税抜](各9240円[税込])、Xbox OneとPCはダウンロード版専売
CERO
18歳以上のみ対象