シーズン2 第22話　“ 幸福の反作用（9）”

【アニメ制作会社を訪問】

　出会った翌日すぐに連絡をしてアニメ制作会社を訪問する、という流れはさすがにマンガ的な演出ではありますが、実際の話、驚くほどアニメ会社の人は「ぜひ遊びに来てください」と気軽に言ってくれます。

　そして実際に訪問してもぜんぜん嫌な顔をされません、むしろ歓迎ムードで社内を隅々まで案内してくれたりします。

　ものすごくフレンドリーな方が多いということと、皆さん社内環境やそこで制作されているアニメ作品の制作プロセスをあけっぴろげに見せてくれます。

　「こういう工夫や苦労の末にアニメーション作品は生み出されているんです」

　こういう姿勢はもっとゲーム業界も見習った方がよい部分だと思います。

　ゲーム会社は会社見学などを実施しているところがほとんどありませんからね（サイバーコネクトツーはやってますが）。

　なかなか悩ましいものですね。

【アニメ業界における出入り禁止事情】

　これは残念ながら実際にあります。いわゆる“出入り禁止”という事情や理由は本当にさまざまですが、実在します。

　作中のようなセクハラ的な問題もありますが、モラハラや人間関係のもつれから出入り禁止に発展するケースが多いようです。

　結局、人と人がいっしょに仕事をしている以上は、人間関係がいちばん大事だということです。

　ゲーム会社以上に、アニメ制作会社はフリーランスで契約（業務委託契約）して働いている方が多いですからね。

　「嫌だったらその会社の仕事は二度と受けない」というスタンスの方が多いですし、本当に腕ひとつ身体ひとつで仕事をしている職人が多いということですね。

【それで誰かが泣くはめになっても】

　残念ながら“人間性よりも能力の方が上回る”なんてことがまかり通っています。

　これはアニメ業界に限った話でもなくて、ゲーム業界でもマンガ出版業界でも映画業界でも同様なんです。

　みんながクオリティに跪くことになる、なんて言いかたをしてしまうとすごく嫌な気持ちになってしまいますが、私自身が過去に出会ってきた大御所と呼ばれるようなトップクリエイターにもいましたよ、人格が破綻しているような人が。

　私自身、若いころは「こんなおぞましい人が、あんなにすばらしい作品を本当に生み出せるのか？」とショックを受けましたが、同時に「絶対に自分はこんな人間にはならないようにしよう」と心に誓ったのである意味での耐性と攻略法を見つけるようになりましたね。

　これは『チェイサーゲーム』という物語の中で描いていくテーマのひとつでもあるのですが、“神様は二つはくれないジレンマ”というやつです。

　すごくよい絵を描く人だけど人格者、と言える人は本当にひと握りしかいません。

　人格と絵の上手さは関係があるのか？

　絵を描いて売れたから人格が破綻していくのか？

　これは鶏と卵のどちらが先なのかがわからないということと似ています。

　この先の物語の中でもこのジレンマには触れていきますよ。

【編集部コメント】
　第4話に登場した冬雨のモンスター上司の麻美。かなり強烈な存在感を放つ存在でしたが、第5話でも大暴れするみたいですね。

　次回のマンガ『チェイサーゲーム』シーズン2第23話は、2024年2月12日（月）に掲載予定です！

　現在放送中のドラマ『チェイサーゲームW』がTverにて見逃し配信中です。ぜひ、ご覧ください。