チェイサーゲーム

実在のゲーム制作会社サイバーコネクトツーを舞台にくり広げられる、若きゲームクリエイターたちの青春群像劇。3週に1度、月曜更新予定。漫画掲載の翌月曜には、原作者であるサイバーコネクトツー松山洋社長のコラム「デバッグルーム」を掲載。

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【マンガの裏側を語る!】『チェイサーゲーム』原作コラム デバッグルーム第4回

2019-03-11 11:00:00

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第04回 “クリエイターのジレンマ”

01


【「データ上書き事件」の顛末】

前回(第3回)のこのコラムでも告白しましたが、「データ上書き事件」は実際に起きた事件です。というか私がやりました。今回の第4話にもあるように“データそのものは私が作って上書きしたものが採用”されましたが、めっちゃ上司に怒られました。“そもそも勝手に上書きするな”という怒られかただったので、“次回からは事前に言います”と口答えしてさらに怒られるところまで一緒でした。当時は、私自身20代だったこともあって、じつに生意気な開発者だったんですね。人数も少なく、一人一人の責任範疇が多かったので、かなり“ヤッた者勝ち”の世界だった時代の話です。現代のような大規模開発でこんなこと(上書き)やってると開発チーム全体が大混乱になってしまうので、絶対にやっちゃあイケナイことですよ。みなさんは絶対に真似しないように。

02


【質的にいうと60点のデータ】

漫画の作中に登場する開発中の画面の多くは、実際の開発現場から著作権に触れない範囲でスクリーンショットを撮り、それを作画時にトレースしたりしています。今回の60点のデータは、サイバーコネクトツーの開発スタッフが学生時代に制作したポートフォリオの中から抜き出してきて、それをわざわざ“ショボく見えるように加工して作画”しました(本人了承済み)。なかなかちょうど60点くらいのデータなんて見つからないんですよね。そうなるともう描くしかないんです。

03


【大谷にモデルはいない】

“ショボい先輩・大谷”は存在しません。名前も顔もオリジナルで、松島幸太朗がゼロから描きました。サイバーコネクトツー社内に実在するスタッフの顔と名前が多く登場する漫画ですが、さすがに大谷のポジションはなんにも“美味しくない”のでスタッフをモデルにするのは止めました。

04


【魚川のバババババッ】

夜、会社に戻ってこっそり(久井田の)作業をやる魚川の姿のシーンで、手がいくつもの数に分身して“バババババッ”とデータ制作をカッチョよくやってますが。そもそも彼はシネマティックの担当で、なおかつ久井田の作業担当であるエフェクト制作の工程で、こんなにもキーボードを叩いたりマウスをカチカチカチカチカチと動かしたりはしませんね。これはあくまでイメージ優先の漫画的表現です(実際にはもっと地味な作業風景です)。

05


【魚川の株上昇が止まらない】

こっそり作っておいたデータで久井田のデータを上書きすることもなく、人知れず黙って自分のデータを削除した魚川に大絶賛のコメントが止まりません。モデルとなったウチの魚川も、周りから“カッコいい!”って言われ過ぎて困って“こんなことなら上田さんみたいな役の方がよかったです”とか言い出す始末。しかし安心してください。今後も魚川の大活躍は止まりませんよ。このあとも、彼はやはりキーマンとしていろんなエピソードに登場する予定です。

06


【開発室にある丸い円盤】

じつはちょこちょこと作画されていますが、一般的なゲーム開発会社ではあまり目にすることがないはずの“丸い円盤”にお気づきでしょうか? サイバーコネクトツー社内には、この円盤が数十個設置されています。これはワコム社の液晶ペンタブレットを支給しているスタッフとワンセットになっていて、そのほとんどが高精細な絵を描く作業をメインにするスタッフです。高密度のテクスチャーを描いたり、キャラクターデザインをやったりするスタッフの多くが液晶ペンタブレットを使用する際、画面を立てて作業することが多いので、その“天井照明の反射除け”としての機能がこの丸い円盤にはあるということです。じつはこの円盤を採用しているのは、ゲーム業界ではサイバーコネクトツーだけなので、他のゲーム開発会社の方がこの漫画を読むと“ん?この丸い円盤ってなんだ?”って感じられてると思います。


<第4話 「クリエイターのジレンマ」