第7回: 『Heroes of the Storm』はBlizzardファンなら40ドル払って即ベータ参加!HotS駄話回

公開日時:2015-02-02 00:00:00

 今回はBlizzardの新作ゲーム『Heroes of the Storm』(以下HotS)のクローズドベータテストに参加したので、その興奮とともに担当編集のミル☆吉村さんと『HotS』って実際どうなのかを語り合った駄話回をお届けします。
 筆者はBlizzardファンだったので、『Blizzard All-stars(仮タイトル)』として発表された時から楽しみにしていた本タイトル。テクニカルアルファテストもクローズドベータテストも当たらずにモンモンモンとしていたところ、約40ドルを払えば参加できるようになったので即買い!というわけで、担当編集との駄話をどうぞ。

H: hahaha 本ブログの書き手。なぜかやたら昔のRTS/MOBA事情を知っている大学生。
M: ミル☆吉村 本ブログの担当編集。このジャンルはド素人。なぜかアメリカに住んでる。


●40ドル? そんなもん余裕で出す!

M 『HotS』始まったわけだけど、思ったより早く販売開始したね。まだ本当にクローズドなβテストだと思ってた。Polygon(アメリカのメディア)がβキー配ってた時、忙しくてそんな情報見てなかったから絶対ウソだと思ったもんね。「Battle.net以外でβ募集しないって言ってたろうが!」って。
H 約40ドルは高いけど、Blizzardファンなら即買いのMOBAゲーだと思います。
M そうなんだよ、F2Pが基本という中で、タイトル代というよりも正確には“Founder’s Pack”というバンドル(初期ヒーローとスキン)代だけども、結構強気の値段。
H 噂では、eBayとかでアカウント売買されてたのが問題だったから切り替えたらしいんですけど、アカウント売買のような黒い手段に手を出してまでやりたい人がいるってのが期待の表れですよね。
M そう。よくないけど潜ってでもやりたかった人の気分はわかるし、正規の方法で約40ドル払えば堂々と遊べるんだったら「やれるならそれぐらい出すぞ!」ってなっちゃうね。


●冒頭からいきなり燃える展開

H で、ゲーム内容だけど、なにより、最初のチュートリアルからして面白い。『Warcraft』キャラのUtherがチュートリアル主人公Raynor(Starcraftキャラ)のサポートをしてくれるという時点で、Blizzardファンなら感動物です。しかも、倒すべき相手はあのDiablo(もちろん『Diablo』のラスボス)。
M ミリオンタイトルばかりの各ユニバース(シリーズで共有する世界)にいっぱい人気キャラクターを持っているっていう最大の強みをよくわかっているよね。“Blizzard All-Stars”って仮タイトル通り、もう全員がパッケージになれる顔役ばかり。たとえこのジャンルのプレイ方法がよくわかってなくても、キャラに惹かれてやってきて、チュートリアルも大人しく聞こうかって気分になる。
H 各ユニバースの人気キャラクターを扱えるってだけでも楽しいですけど、セリフ回しなんかもファンならニヤリとできるものばかりでBlizzardの愛を感じましたね。『Starcraft』ネタでNexusと聞いて、Protossを思い出すRaynorとか(笑)。
M ベタなんだけど、まぁBlizzardギャグはいつもベタだし、全員集結のアベンジャーズ感あるから「イェー! こういうの待ってたぜ!」感あるよね。hahaha君も言ってたけど、Blizzardファンなら最初の質問は左端を選んでおくべきだね。

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▲最初に聞かれる質問でプレイヤーの知識レベルを4段階に分けており、左端を選ぶとフルのチュートリアルで、知識段階ごとに内容が変わる。


●サクサク進むチュートリアル

M で、実際のチュートリアルとしてもサクサク進められて良かった。どのゲームとは言わないけど、表向きはβだからってチュートリアルが一切用意されてないとか(ちなみに日本ではあんまり話を聞かないマイナータイトル)、項目が一個一個丁寧すぎてダルいゲームとかでギブアップしてきたから。
 一応フォローしておくと、ジャンル自体が大きいから、結構な割合を占めるだろう、ちょっとは遊んだことがある移行プレイヤーだったらとっととプレイを始めて問題ないとかあると思うんだけど。
H 『HotS』自体がMOBA/DotAジャンルを簡略化するという考えで作ってるのも関係あると思います。他のMOBAゲーだと、「ミニオンのラストヒットを取る」、「アイテムを買ってビルドを進める」といったこともチュートリアルで教えなきゃいけないんですが、HotS』では簡略化されていてお金の要素が無いおかげで、チュートリアルを短くして楽しく終わらせることができる。
 それにしてもチュートリアルはストーリー仕立てもありーの、小ネタもありーので、Blizzardファンとして楽しかったです。Utherがしっかりとミニオンの後ろに立ちながら敵を倒すなどのMOBAゲーの基本を教えてくれたりして。

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▲Utherさんといっしょ。超基本レベルから教えてくれる。

M そうなんだよね。俺は普段チュートリアルの話をまったくもってちゃんと聞かないんだけど、短い分ちゃんと集中して作ってあって、Utherが「次のミニオン来るまで待つんじゃー。ひとりでタワー殴りに行くでないぞー」(意訳)とか細かく突っ込んでくるから、3回言われたらさすがに「待つべき」というのがわかった(笑)。『Diablo』のソロプレイヤーだから、つい単独でも殴りに行っちゃうんだよ。無意識にShift押して足止めて殴ろうとしたりね。
H そうか、僕は『Warcraft III/Starcraft』プレイヤーだったから、最初の3匹のミニオンにすらKite(引き撃ち)してしまいましたよ(笑)。『Starcraft 2』からは離れてしまったけど、今になってMarineのRaynorを操作して引き撃ちすることになるとは懐かしい気分になりました。あと、あの『Warcraft』キャラのUtherに言われるってのがちゃんと従おうって気分になりますよね。MOBAゲーでは味方をディスる人が多いから、Utherに「マルチプレイでは、味方をディスるでないぞ」とか言ってほしい(笑)。
M 最強の説教役(笑)。まぁ、それを言ったら言ったで「マルチプレイでは(仲間のプレイヤー名)がクソでもディスるでない」とかネタ煽りに使われるだけだと思うけどね。で、そのRaynorだけど、スキルが初心者用に整理してあってよかったよ。「とりあえず味方のミニオン来たらWでバフ(強化)して、敵を一列に揃うように動いたらQのスキルで攻撃すりゃいいのね。んで自動回復もついてて、Rでなんか範囲攻撃の超必殺技かー」って感じ。
H MOBAゲーのチュートリアルって、ほとんどRangedの通常攻撃主体系キャラなのが面白い。League of Legends』ではAshe、『Dota 2』では複数ヒーローだったけどSniperを使わされた気がする。『Smite』ではNeith、『Chaos Heroes Online』ではアグネスだったし、MOBAゲー七不思議に入れたい(笑)。その中でもRaynorはシンプルなスキル性能で使いやすかったですね。Qがラインの範囲攻撃なんだけど、明らかにQを使えってミニオンの配置になってたりするのは、ずっとマルチだけじゃなくてシングルプレイがあるゲームを作ってきたBlizzardなんだぁと思いました。

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▲Qキーで出せるスキルPenetrating Round。「一列まとめて撃ってください」って感じにミニオンが出てくるので、まぁそうやって狙いましょう。

M そう。「まとめて来るからまとめて撃つんじゃ」って言われるから、そりゃそういう風に撃つよね。で、基本操作を覚えたら、もういきなり「じゃ、ワシとレーン行こうか」って話になって、さらに次のチュートリアルでは試合形式になって、気が付くと普通にCPU戦になってる。導入としては完璧だと思うよ。
H 確かに完璧でした。一回目のチュートリアルの最後にRaynorが単騎でやられて復活してから、なんか味方の増援が来て5人で戦うことになる。この集結感は先ほども出てきましたけど、アベンジャーズですよね(笑)。ここでこのゲームはチームゲームで5人で戦うゲームなんだよって分かる。味方と一緒に戦おう!ってここまで上手くできているMOBAゲーのチュートリアルは僕は知りませんね。最高でしたね、なによりチュートリアルが楽しいというのが一番デカイ!


●じゃあゲームとして実際どうなんだ

M そこからはまぁ、まずはCPU(bot)戦、次にCo-opでレベル上げてこうかって話になるわけだけど、それこそ『Warcraft III』のModからこのジャンルを見ているhahaha君として、どう?
H そうですね、CPU/Coopをやる段階では無料ヒーローぐらいしか使えないんですけど、無料ヒーロー(週によって違う)だけでもKerrigan(Starcraft)やらArthas(Warcraft)キャラを使えて楽しいのですが、僕が大好きだったMuradin(Warcraftキャラ)などは有料ヒーローで使えないので即課金したくなる(笑)。
 ヒーローを使いこまないとスキンなんかがアンロックできなかったりするのも、憎い。人間時代のArthasスキンなんて、『Warcraft III』やってたら絶対使いたいじゃんよ!あとは、アイコンや効果音などが『Warcraft』の使いまわしになってたりするのがいい。『Warcraft III』は僕のオールタイムベストゲームなんだよ!懐かしすぎんだろ!

M 細かいし、時々君の年齢がわかんなくなるよ(笑)。でもスキンとかに夢があるよね。思わず掘りたくなる。Raynorのスターズ&ストライプス(星条旗柄)ペイントとかゲットして超「USA!! USA!!」したいわ。

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▲スキンは完全にネタなものから、原作知ってるとグッと来るものまでいろいろある。

M で、MOBAゲーとしての設計はどう?
H まず、プレイ時間が他のMOBAゲーと比べて短いというのが一番大きいです。MOBAゲーって1試合40分は平気で掛かるし、それ以上になることも多いんですよ。『HotS』なら、ビルドの選択肢も少ないし今ならヒーローの数も少なくて覚えることが少ないので、今『League of Legends』なんかの他のMOBAゲーをプレイしている人もサブゲームとしてでいいからプレイしてみてほしいですね。もちろん、メインゲームにしてもいいんじゃないかなって思い始めるぐらいには楽しいし、奥深いです。
M 確かにプレイ時間の長さは、それだけじっくり遊べる分、ちょっとやりたい人にはハードルでもあったからね。40分、50分の試合を、じゃあ数百試合、千試合やって修行するかって、誰もができるわけじゃない。
 話が変わるけど、ちょっとマップギミック(※)に右往左往されすぎるって意見とかも聞いたけど、その辺はどう? マップギミックは本作の特徴でもあるけど、それを追わされ続けるのは嫌だという意見があるのもわかるんだよね。

(※特定条件をクリアーすると、例えばBlackheart’s Bayでは中央の海賊船を使った攻撃が可能になる)

H マップギミックに関しては、確かに追わされる感はある。ですが、集団戦が発生しやすく、今やるべき行動というものが分かりやすいので良いと思います。MOBAって始めたばかりの時もそうなんですけど、今なにやればいいのか迷う時間って結構あるんですよ。20数分という短い時間で濃厚な体験をさせるためには、ギミックがありすぎて忙しいぐらいがちょうど良いと思いました。
 まだやりこんではないので分かりませんけど、『HotS』にもギミックを無視して捨てるべき時なんかもあるんじゃないかと思います。
M あー、「この局面だったらギミックは敢えて捨ててこっちやるべき」みたいなことね。そういう動きをトップチームがバシッと決めたりしたらあっという間に広まるだろうね。
H あくまで例えですけど、そういうことです。そういった選択肢が発見されて、みんなが分かってきたら、競技ゲームとしてもプレイされるようになるんじゃないですかね。


●第三極になるのは間違いない。それ以上を狙えるか?

H では、こちらからも質問を。カリフォルニアに住んでいる編集者的には、e-Sportsとして流行る可能性はあると思いますか?
M すごくあると思う。まず本命Blizzardというのが大きい。さっきも書いたけど、すでに数百万単位では済まないレベルで売れるユニバースが3つ集まっていて、それぞれにミリオン売れるスピンオフになりかねないぐらいの有名キャラクターたちがいる。もちろん『League of Legends』とかにもTeemoとか人気キャラクターがいるけど、プレイヤーコミュニティ外へのアプローチっていうのは弱かった。業界もそれがわかってるから、スーパーマンやバットマンのDCヒーローやヴィランが出る『Infinite Crisis』なんて“キャラ推し”のタイトルも出たわけだし。

H 確かに。『League of Legends』みたいなオリジナルキャラクターの場合はゲームをプレイすれば好きになる可能性はあるけど、そのゲームをやってないと知らないですからね。例えば、Twitchで大会が配信されたとして、『HotS』大会の視聴者数が『League of Legends』や『Dota 2』を超えたとする。そうしたときに「あー、Blizzardのゲームか。MOBAなんて知らないけど見てみようかな?」なんて人もたくさん出てくるでしょうね。で、「あっ!Diablo様じゃん!」、「Novaたんやっぱカワイイわ!(Starcraft Ghostは今でも待ってます)」なんてなってプレイする人も出てくるでしょうし、なにより大会は視聴者がいないと成り立たないので既に人気のユニバースを使っているという所は視聴者数という観点から大きいと思います。
M で、プレイ時間が短縮されたことで、みんな単位時間当たりでプレイできる試合数が増えるし、これまでプレイできなかった人もプレイできるようになる。ゲームとしてこれから完成度が上がってくれば、『League of Legends』と『Dota2』に続く第三極になるのは間違いないし、それを超える所も当然狙えるだろう。その規模になると北米やヨーロッパだけじゃ済まなくて、アジア展開も当然含めての数になるけど、彼らは『World of Warcraft』なり『Starcraft』で東アジアや東南アジアも抑えてて、ノウハウもあるからね。
H まだクローズドベータテストですけど、アジアで本格的にプレイされるようになったときにシーンが出来るかという点は興味がありますね。アジアで『Warcraft』や『Starcraft』が強かったから『DotA』人気が出て、そこからシーンが出来たという歴史的背景がありますので。アジアプレイヤーの斬新な戦術やテクニックは、MOBAゲー視聴ファンとして単純に見てみたい!

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