ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション

“ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション”は、ニコニコ動画で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス4”の参加作品の中から、ゲームフェス運営が選んだゲームを毎週紹介していくコーナー。

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男の子と女の子の恋の行方を描くパズルゲーム『恋愛パズル 二人の漸近線』【ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション 第8回】

2014-10-03 18:00:00

【自作ゲーム】男の子と女の子が出会ったらクリア

『恋愛パズル 二人の漸近線』
【著作権者】Catenary Studio
【対応環境】iOS
【ジャンル】 パズル
【作者のページ】 toegame.info/ja
【動作環境/ダウンロードURL】
iOS: itunes.apple.com/jp/app/lian-aipazuru-er-renno-jian/id836911284

“ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション”は、ニコニコ動画で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス4”の参加作品の中から、キラリと光るゲームを取り上げて紹介していくコーナー。今回は、『恋愛パズル 二人の漸近線』を紹介していく。

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●協力パズルをオブラートのように包むどこかなつかしいストーリー

パズルゲームというと、ストーリーがあまりない、もしくはパズルそのものの印象が強い。今回紹介する『恋愛パズル 二人の漸近線』は男の子と女の子の物語。パズルを解いて、最初は離れ離れになっている場所からスタートする2人を「出会わせる」ことがゴールだ。

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▲スタートするときはいつも離れ離れ。

「二人の漸近線は、恋を実らせるパズルゲームです。
障害をうまく避けて、二人を出会わせてください。
出会いを繰り返すたび、二人の距離も縮まっていきます。
友達から、恋心が芽生え、そして……」(App Storeより引用)

紹介動画にも、パズルゲームらしからぬ文章が書かれている。
ただ後付のようにストーリーをくっつけたのではない。全32ステージあるパズルの舞台は街中の1シーン。確かに出会いがありそうな、デートにぴったりなシチュエーションを揃えている。

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▲ステージは32種類。

また、各ステージクリア後には男の子と女の子がアクションをとる動画が流れるのだが、ステージごとに動きが異なる。このゲームではキャラクターの言葉が一切出てこないため、クリアした時のキャラクターの動きを見て、その時の2人の関係をあれこれと考えるのだ。

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▲クリア後の2人の動きに注目。

●雰囲気に合わせたパズルのギミック

さて、肝心のパズルは片方のキャラを動かしたら、もう片方の道が開けるといったタイプの協力プレイ。
キャラクターをタップしてなぞるとその通り動くので操作もしやすい。アイテムなどを拾う際は横まで来たらそのアイテムをタップするだけだ。

最初はスイッチを押して相手の道を塞ぐ扉を開けていくような単純な作りだが、徐々に仕掛けが増えていく。

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▲最初は簡単。扉の色とお揃いのスイッチを踏めばいい。

同じような仕掛けが続くのは、パズルとしては問題ないが、やはり「出会い」というストーリーを考えたときに、飽きてくる。
そこで、このゲームではステージごとに次々と仕掛けが現れる。新しい仕掛けに慣れるまでのデザインはある程度急に設計してあるが、仕掛け自体はそこまで扱いにくいものではない。あれこれ試行錯誤しながら、なんとかクリアできるかなという感覚だ。間違えたら死ぬような緊張感のあるパズルとは違って、2人が出会うために試行錯誤すると考えれば、何回も間違えたとしても「恋愛って大変だな」と思って許せたりしてしまう。

ちなみに、登場する仕掛けは、スイッチを押したままにしておける「重り」、鍵付きの扉を開ける「鍵」、進む方向を変えられる「ベルトコンベア」、通せんぼする「動く壁」などなど。また、鍵などのアイテムを相手に投げる「パス」といったアクションもある。まさに恋の障害を避けて進むわけだ。

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▲鍵。デザインはかなりかわいらしくできている。

毎ステージごとに仕掛けが変わっていくので、どんな仕掛けがあるんだろうと楽しみにしながらプレイしてみてほしい。

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▲ストーリーが進むに連れてパズルも段々複雑になっていく(広いステージでは真上からの視点あり)。

なお、筆者のお気に入りは紹介動画にも入っている「傘」を使うステージ。雨の日に2人が出会うまでなのだが、雨が降っている屋外には傘がないと出れない。そこで1本の傘を渡し合いながら進んでいく。傘というギミックが、相合い傘などの「恋」にまつわるシーンを連想させるからだろうか。非常にほのぼのとした気持ちでプレイしていた。

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▲傘のステージ。出会って手をつなぐシーンがなんともむずがゆい。

●男の子と女の子という設定がもたらすノスタルジー

さて、このゲームのストーリーとパズルを紹介してきた。そして、なんといってもはずせないのはそのテーマと設定だ。

このゲームで描かれているのは、「恋愛」をテーマにしたときに描かれがちな大人な恋愛でもなく、イケメンと美少女が出てくるわけでもない。英語で言えば「A boy and a girl」と表現されるであろう、少年と少女。そしてたどたどしい「恋」だ。設定はおそらく小学校低学年くらいの初恋だろうか。

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▲少年も少女も顔はなく、服や帽子につけているもの、仕掛けを動かすときの若干の声があるのみ。非常にシンボリック。

こういう2人の関係を見て、感じるのは「ノスタルジー」だ。どこかで見たこと、体験したことがあるような情景。「ぼくなつ」の略称で知られる『ぼくのなつやすみ』にも近いものを感じた。夏休みではなく恋バージョンであり、そこにパズルという越えなければならない障害というジャンル設定を使ってうまく表現しているとも言える。

パズルを解きながら2人の小さな恋の行方をぜひ見守ってほしい。

“ニコニコ自作ゲームフェス”では、このようにコンセプトが光る作品や、キャラクター、世界観で魅せるゲームなどが揃っている。今後も次々ゲームを紹介していくので、是非チェックしてみてほしい。

●ニコニコ自作ゲームフェス4とは

“ニコニコ自作ゲームフェス”は、ゲームを作る人、遊ぶ人、二次創作をする人をつなぎ、個人で作ったゲームがもっと多くのひとにプレイされるようになることを目指す祭典。4回目の開催となる“ニコニコ自作ゲームフェス4”は、2014年7月17日(木)から2014年10月12日(日)の間で作品募集を行い、11月中旬に受賞者を発表予定。9月18~21日に“東京ゲームショウ”の会場にて展示が行われた。

ライター:すんくぼ(もぐらゲームス