ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション

“ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション”は、ニコニコ動画で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス4”の参加作品の中から、ゲームフェス運営が選んだゲームを毎週紹介していくコーナー。

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美麗な演出で紡がれる兄妹の悲劇『PRICE』【ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション 第6回】

2014-09-19 17:40:00

【ニコニコ自作ゲームフェス4】謎解きホラーAVG「PRICE」【紹介動画】

『PRICE』
【著作権者】夜兎ADV 氏
【対応環境】Windows XP / 7
【ジャンル】 謎解きホラーAVG
【作者のページ】 yetuavg.com/(中国語のサイトが開きます)

“ニコニコ自作ゲームフェス4 セレクション”は、ニコニコ動画で開催されている自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス4”の参加作品の中から、キラリと光るゲームを取り上げて紹介していくコーナー。今回は、『PRICE』を紹介していく。

●ゲーム性を補って余りある美しいグラフィックと演出

『PRICE』は、横スクロールタイプの脱出ゲームだ。このゲームで最も特徴的なのはグラフィックと演出だと思う。

美しさに悲劇の雰囲気を漂わせる不気味さがブレンドされた絵と演出は非常に心に残る。
ゲームをスタートするとすぐに触れるメニュー画面とオープニングにその要素は十分に詰まっており、冒頭から兄妹の物語に引き込まれることになる。

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▲メニュー画面。

そして、オープニングムービーが悲しくも激しい音楽とともに流れる。描写される美しい兄妹。そして、血、不吉な影。日本のフリーゲーム『デンシャ』を彷彿とさせる、複雑な動きではないけれどもインパクトのある劇的な映像に仕上がっている。

悲劇の主人公であるキャラクターの絵も丁寧に描かれている。

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▲主人公のイヴリー。長身で金髪碧眼のイケメンだ。

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▲妹のイヴァ―。お兄さんに似てお人形さんのようでかわいい。こんなにも美しい兄妹を果たしてどんな悲劇が襲うのだろうか。

プロローグが終わると、イヴリーは1人、部屋で目覚める。部屋には鍵がかかっているので、部屋の中を探して鍵につながる手がかりを見つけよう。

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▲部屋の中の様々なものをクリックすると、調べることができる。アイテムを手に入れたり、手がかりをみつけることで話が進んでいく。

そしてこのゲームでは手がかりを組み合わせることができる。新しいアイテムを見つけたら組み合わせることができないか試してみよう。

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▲意外な組み合わせもあるかもしれない…。

脱出ゲームとしての謎解きの難しさは普通レベル。もし詰まってしまったら、一度探したところももう一度調べると何か進展があるかもしれない。

苦労して謎を解き、部屋の扉を開けると、イベントシーンが入りエンディングを迎える。
「なんだ悲劇じゃないのか」と思いきや、メニューでSTARTを選ぶと新たな選択肢が現れている。

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▲この2周目でイヴリーは再び部屋で目を覚ます。イヴリーの部屋に似ているようだが、やはりイヴァーはいない。この部屋で謎を解くにつれて、いよいよ物語の真実が明らかになっていく…。

美しいグラフィックと音楽による演出が雰囲気を最高にもり立てるゲーム。ドラマや劇のような仕立てになっているので、楽しめるのではないだろうか。

●原作は中国語のフリーゲーム

もしかしたらプレイするだけでは気づかないかもしれないが、このゲームの原作は中国語で制作された。日本語に翻訳したものが制作者により、今回ニコニコ自作ゲームフェスにエントリーした。

日本のみならず、世界中でフリーゲームは制作され、遊ばれている。日本の『青鬼』、『Ib』といった有名ゲームの多くは、英語をはじめ複数言語に翻訳されているが、逆に海外のフリーゲームが日本語訳されることはまだあまりない。私たちは、日本のゲームに触れることが多いが、この『PRICE』のように海外にも非常にクオリティの高いゲームがあることがわかる。

本作を始め、中国語のゲームを日本語に訳している「悲しき魚」さんの話では、中国では日本ほどフリーゲームの制作が活発ではないということだが、制作者同士、助けあいながらゲームづくりを行っているようだ。

参考:中国のフリゲを日本に紹介したい。翻訳者悲しき魚さんが語る中国のフリゲ事情 - もぐらゲームス

どうしても原語が壁にはなってしまうが、需要があれば翻訳も行われる。海外の自作ゲームの動向にも注目していきたいところだ。

“ニコニコ自作ゲームフェス”では、このようにコンセプトが光る作品や、キャラクター、世界観で魅せるゲームなどが揃っている。今後も次々ゲームを紹介していくので、是非チェックしてみてほしい。

●ニコニコ自作ゲームフェス4とは

“ニコニコ自作ゲームフェス”は、ゲームを作る人、遊ぶ人、二次創作をする人をつなぎ、個人で作ったゲームがもっと多くのひとにプレイされるようになることを目指す祭典。4回目の開催となる“ニコニコ自作ゲームフェス4”は、2014年7月17日(木)から2014年10月12日(日)の間で作品募集を行い、11月中旬に受賞者を発表予定。9月18~21日に“東京ゲームショウ”の会場にて展示が行われている。

ライター:すんくぼ(もぐらゲームス