戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ

“戦争×復讐×ケモノ”をテーマにしたドラマティックシミュレーションRPG『戦場のフーガ』の公式コミカライズ。少年少女たちは、戦争で捕らわれた家族を取りもどすため、謎の巨大戦車“タラニス”に乗り込み復讐の旅を始める……。火曜日マンガ配信予定。マンガ掲載の翌火曜日には、『戦場のフーガ』開発者からの連絡ノート『インターミッション』を配信。

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『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の秘蔵ラフも初公開! マンガ家・足立たかふみ氏にインタビュー

2022-11-01 11:15:00

『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の秘蔵ラフも初公開! マンガ家・足立たかふみ氏にインタビュー

 隔週でお届けしている『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』では、ゲーム『戦場のフーガ』とは少し異なった物語が展開され、マルトを中心とした子どもたちの活躍が描かれています。

 そこで今回は、『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』のマンガを担当している、足立たかふみ氏にマンガ制作の裏側についてうかがった。

一般的な”コミカライズ”とは異なり、協力してひとつの”作品”を作り上げている感覚です

『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の秘蔵ラフも初公開! マンガ家・足立たかふみ氏にインタビュー

(以下、インタビュー内では足立)

――『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の連載開始からもうすぐ1年が経ちますが、感想をお聞かせください。

足立 プレイステーション時代に『テイルコンチェルト』で遊んでいた自分にとって、『リトルテイルブロンクス』シリーズの最新作に関われるというのは大変光栄なことでした。同時に、すでに完成されているその”世界観”に、自分が(ないし自分のマンガが)どうアジャストしていけばいいのだろう? という不安もありました。

――『リトルテイルブロンクス』が持つ、メカや獣人といった世界観を描くことは得意なのでしょうか。

足立 得意といっていいのかはわかりませんが、メカも獣人もSFファンタジーもすべて僕の好きなジャンルでしたので、まずは楽しみながら作品作りをしよう、と考えています。実際、めちゃめちゃ楽しいです!

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1998年に発売されたプレイステーション用ソフト『テイルコンチェルト』

――描くのが好きなキャラクターを教えてください。

足立 『戦場のフーガ』に登場するキャラクターはすべてかわいい&カッコいいので、「全員好き!」と、言いたいですね。でも、強いて挙げるとするとマルトです。

ーーその理由は?

足立 原作のある場合は、当然絵柄の異なる元デザインが存在します。それを“自分のものにする”には、けっきょく描く回数だと思っています。

ーーなるほど。登場回数の多いマルトがいちばん描きこまれているということですね。

足立 そうですね。マルトが自分の中に刷り込まれる回数がいちばん多く、そろそろ資料を見ずに自分なりのマルトは描ける気がしています。だからとても好きです。

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――玩具メーカーとのマンガ制作はご経験が多くあるかと思います。今回はゲーム開発会社とのマンガ制作ということでしたが、いかがでしたでしょうか。

足立 クライアントごとにマンガ編集との距離感は違うので一概に玩具会社とゲーム会社の違いはわかりません。ただ、ある程度プロダクトが完成した状態のおもちゃの場合、自由に作品を作らせてもらうことが多いです。掲載雑誌が前提なので、編集部と作家に物語やキャラクターの運用を任せてもらえる傾向にあると思います。

ーーなるほど。

足立 対してゲームは、そもそも世界観やキャラクターがしっかりあるので、それに準じてマンガ製作をすることになります。より原作を尊重した”コミカライズ”作業をするイメージです。本作もそういった点ではしっかりした監修が入って、完成原稿まで何回もサイバーコネクトツ―さんの手が入っています。

ーーでは、『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』もすでにでき上っている世界のイメージに沿ったものを描きあげているのでしょうか。

足立 ただ、今回とくに感じるのは一般的な”コミカライズ”とは異なり、協力してひとつの”作品”を作り上げている感覚ですね。これはクライアントであるサイバーコネクトツ―さんが直接編集者の役割も兼ねている本作ならではのものではないかと。ただのコミカライズとはちょっと、いやかなり違うなと感じでいます。

『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の秘蔵ラフも初公開! マンガ家・足立たかふみ氏にインタビュー

ネームには“パッション型”と“調整型”があって、松山社長は前者、僕は後者ですね


ーー制作面のお話をもう少しお聞かせください。

足立 このマンガが生まれるきっかけはあいだに入っていただいているナンバーナインの編集さんからいただいた連絡からでした。その際、僕の初めての連載作である『D・Mファイター焔』を好きだとその方がおっしゃってくれました。あの作品はちょうど、メカも獣人も楽しく描いた思い出が自分にあり、思い入れがとても強い作品だったんです。なので、その自分の”武器”がそのまま活かせる『戦場のフーガ』というコンテンツに対しても、必然的に興味を惹かれましたね。

ーーなるほど、実際のマンガ制作はどのように行われているのでしょうか。

足立 作品製作の流れはかなり変わっていて、大まかなグランドスケジュールと週一のミーティングで基本構成されています。全体ですり合わせをして現況を確認しながら進めるといった形ですね……。これは世間一般ではむしろふつうで、当たり前の方法なんですが、マンガ業界ではまったく経験がありませんでした。

ーー“マンガ業界の経験”というと?

足立 まず紙の雑誌が存在していて、打合せでネームを作り上げた後は作家に一任し、校了と入稿期限までにすべてを集約してなだれ混むというものです。こういった古来の編集とマンガ家の関係のほうが変わっているのかもしれません。少なくとも僕はそっち側の人間でした。

ーーなるほど。具体的なスケジュールはどのようなものですか。

'足立'' 『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』はおおよそ2週間でひとつの話数を完成させますが、ネームを1巻分でまとめて仕上げていたり、また僕が別件と並行作業をしたりしているのでハッキリとしたペースは申し上げにくいです。

『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の秘蔵ラフも初公開! マンガ家・足立たかふみ氏にインタビュー

『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の第7話のネーム

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『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の完成原稿


――X.5話などは、松山社長からネームが送りつけられてくるなんてことがあるみたいですが。

足立 正直、僕よりネームがお上手なんじゃないかと思うことすらあります(本当ですよ)。それくらいしっかりしたネームを描かれるので、たいへん驚いています。ネームには“パッション型”と“調整型”があって、僕は後者のタイプだと思っていますが、松山社長はパッションを強く押し出すネームスタイルなので、読んでいてたいへんおもしろいです。


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松山社長がかかれた第5.5話のネーム


――では最後に読者の皆様に一言いただけますでしょうか。

足立 このマンガを読んでちょっとでも興味を持っていただけたらぜひゲーム『戦場のフーガ』を遊んでいただきたいと思ってます。ただのコミカライズと違うので、両方を味わっていただけると何倍も楽しめるんじゃないかと。あとは「ああ、足立、楽しんで描いているな」と、感じていただければ僥倖ですね。やっぱり異世界のSF冒険ファンタジーマンガは、最高におもしろいです!


 以上、足立先生のインタビューでした。

 そんな足立先生が楽しんで描かれいているマンガ『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』ですが、次回17.6~17.9話は11月8日(火)に更新予定です。

 ソウルキャノンの犠牲となったマルトでしたが、マルトを失った話が描かれるのか、はたまた運命が変わるのか。お楽しみに。