戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ

“戦争×復讐×ケモノ”をテーマにしたドラマティックシミュレーションRPG『戦場のフーガ』の公式コミカライズ。少年少女たちは、戦争で捕らわれた家族を取りもどすため、謎の巨大戦車“タラニス”に乗り込み復讐の旅を始める……。火曜日マンガ配信予定。マンガ掲載の翌火曜日には、『戦場のフーガ』開発者からの連絡ノート『インターミッション』を配信。

  1. ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com>
  2. 企画・連載>
  3. 戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ>
  4. 『戦場のフーガ』の音楽はこうして作られた。サイバーコネクトツ―・福田考代氏インタビュー

『戦場のフーガ』の音楽はこうして作られた。サイバーコネクトツ―・福田考代氏インタビュー

2022-06-21 11:00:00

戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ 戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ


 隔週でお届けしている『インターミッション』では、ゲーム『戦場のフーガ』の開発裏話を松山社長に思う存分語ってもらっている。そちらの読者は『戦場のフーガ』の完成までにどのような苦労や葛藤、闘争、惨劇などがくり広げられてきたのかすでにご存じかと思う。

 そこで今回は、本作の世界観を作り上げるうえで欠かすことができない要素である“音楽”について、サイバーコネクトツーで全開発タイトルのBGM、テーマ曲、挿入歌の作曲を担当、『.hack//G.U.』からは作詞もし、サウンドユニット“LieN -リアン-”としても活動している福田考代氏に『戦場のフーガ』の音楽制作についてうかがった。


戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ

音楽制作も一筋縄ではいかなかった『戦場のフーガ』制作秘話


(以下、インタビュー内では福田)

――『戦場のフーガ』の楽曲制作はいつごろからはじまったのでしょうか。

福田 2018年の10月でした。

――最初のティザー動画の公開が2018年7月ですが、そのタイミングではまだ動いていなかったんですね。

福田 そうですね。音楽の制作はシナリオができてから一気に仕上げていくことが多いのですが、『戦場のフーガ』は世界観がわかるイメージイラストしかありませんでした。漠然と“戦争をテーマにした物語で、子供たちの魂が重要になってくる”ということが分かったので、それをもとにテーマ曲を書き上げました。それが、『空と大地のキヲク』です。

――『空と大地のキヲク』はエンディング曲ですよね。

福田 じつは、『戦場のフーガ』には全体テーマ曲として1曲だけ作るつもりでした。しかし、松山に聞かせたところ「うん。これはエンディング曲だね。もう1曲書いて」と……。 別のプロジェクトもあり、そこから1年くらいして書いたのが主題歌となった『轍に咲く花』でした。


――なるほど、『轍に咲く花』を制作したころにはある程度シナリオなどは完成していたのでしょうか。

福田 いや、それがですね、最後までは完成していませんでした(笑)。ただ、ゲームのシナリオよりも先に、『花のある生活』というマンガ動画の原稿は完成していました。

戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ 戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ


福田 マンガ動画に音を当てる作業をしながら、“戦争で壊されたを癒すものの象徴としての花”を題材に作曲したのが『轍に咲く花』です。『轍に咲く花』の“花”とは『花のある生活』から着想したものということになります。限られた情報の中から一所懸命に想像を広げ作曲しているということが分かっていただけるでしょうか。

ーー創意工夫されているのですね(笑)。ほかの楽曲はどのようにして作られたのでしょうか。

福田 複数のプロジェクトを同時にするとそれぞれの世界観が混ざってしまうので、制作するときは、戦闘曲などゲームに使用する楽曲は一気に制作します。なので、『戦場のフーガ』も『轍に咲く花』を作ったタイミングで、ほかの楽曲もつくりシナリオに合うように仕様書も作成しておきました。また、セリフやナレーションの収録なども終わった状態でした。しかし、そこから1年ほど経過した2021年の年明けに開発の進捗を確認したら後半部分がまるっきり変わっていたんです。そこで、曲の調整や追加の曲の制作も必要になり2021年5月くらいまで作業をしていました。

――発売は2021年7月末ですよね?

福田 ですね(笑)。

――なるほど、そんな大変な思いもされながら作曲された楽曲は『戦場のフーガ オリジナルサウンドトラック』Vol.1とVol.2は、ふたつ合わせて全部で61曲収録されていますね。

福田 じつは、サウンドトラックに収録されている曲以外にも、全81話からなる『G線上のフーガ』という4コマ形式のマンガ動画にも、それぞれ音楽を作曲しました。

戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ 戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ


福田 そのほかにも、フランス語の歌詞をもとに合唱曲『風伝哀歌 Breeze elegy』と『友に捧げるアンサンブル』を作曲し、フランス語の歌詞を翻訳して日本語の歌詞を制作するといった試みはじめてしました。

――血と汗と涙の結晶が『戦場のフーガ オリジナルサウンドトラック』に詰まっているのですね!

福田 はいそうです。あとこれは、ご存じの方もいるかもしれませんが、サウンドトラックのディスクにはちょっとした仕掛けがあるんです。ディスクを取ったときに少し見えるものがあると思うのですがお気づきでしたでしょうか。全貌を見るためにはディスクの下にあるトレイも取らないといけないので見るのに苦労しますが、ぜひ実物を手に取って確認してみてください。

戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ 戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ


以上で、”『戦場のフーガ』の音楽はこうして作られた”インタビューを終わります。

ファミ通.comでは火曜日にマンガ『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』を連載していますので、ぜひチェックしてみてください。

また来週6月28日(火)も特別企画の掲載を予定しています。また、次回のマンガの更新は7月5日(火)予定なので、お楽しみにお待ちください。