“戦争×復讐×ケモノ”をテーマにしたドラマティックシミュレーションRPG『戦場のフーガ』の公式コミカライズ。少年少女たちは、戦争で捕らわれた家族を取りもどすため、謎の巨大戦車“タラニス”に乗り込み復讐の旅を始める……。火曜日マンガ配信予定。マンガ掲載の翌火曜日には、『戦場のフーガ』開発者からの連絡ノート『インターミッション』を配信。
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漫画家
足立たかふみ 氏
6月21日生まれ、B型。児童漫画、少年漫画、SF・ファンタジー漫画を得意とする。コミックガオ!にてデビュー。
平成13年「分解屋ピット!」で小学館第48回新人コミック大賞少年部門佳作を受賞。
代表作:『D・Mファイター焔』『メタルファイト ベイブレード』『バレエヒーロー・ファンタジー ダンの冒険』
『アニマギア』など。
Twitterアカウント:@takafumi_adachi
開発者からの連絡ノート
『インターミッション』執筆
松山洋
株式会社サイバーコネクトツー代表取締役/ゲームクリエイター/代表作『戦場のフーガ』、『.hack』シリーズ、『NARUTO−ナルト−
ナルティメット』シリーズ、『ドラゴンボールZ KAKAROT』、『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』/漫画原作『チェイサーゲーム』
Twitterアカウント:@PIROSHI_CC2
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【『戦場のフーガ』開発記録】『インターミッション』第11回
2022-05-31 13:30:00
【うるさい黙れ。絶対にいいと言うまでやれ】
大いなる怒りによってそのとき目覚めてしまった暗黒破壊神(ぴろし)は、冷静な生き物ではまったくありませんでした。
前回お伝えしたように、できあがった『戦場のフーガ』のビルドデータは、あまりにもショボく、クオリティうんぬん以前の仕上がりでした。特にバトルシステムに対してどうしても怒りを抑えることができなかったその魔神(ぴろし)はスタッフにとうとうと話しました。
「え、こんなことある?え、あるの? つか、いままでどれだけ社内のプログラマーに対しておんぶにだっこだったワケ? 仕様が伝えられない&伝わらなかったって? そりゃそーでしょーよ。だって社内じゃなくて外部のパートナー会社に発注してるんだからさ。同じノリでいけるわけなんてないよね。え? 本作はバトルがすべてじゃない? うん、そりゃそーだね、ほかにもゲームシステムがあるよね。施設内で子どもたちを育成するためのシステム“インターミッション”だってあるよね。ルート進行画面内の各種イベントを発生させるための仕組みも作らなきゃいけないよね。ストーリーの章の終わりに挿入される村での物々交換のシステムだって必要だし。タラニスという戦車のパワーアップ要素も成長性含めてシステムが必要だよね。そりゃそーだよ、だってRPGなんだから。あとたまには子どもたちが戦車から降りて冒険する“探索”のダンジョンだって作らなきゃいけないよね。え? “探索”は社長が後から言い出して追加してきた要素だって? うん、そうだよ、だって必要だって思ったんだもん。そうだよ、オレが追加しようって言ったさ。それがなに? え? RPGは育成やパワーアップ要素含めてシステムと絡み合ってようやくその本質のおもしろさに触れることができるって? そうだよ、その通りだよ。だから? だから順番にそれらの要素を作っていってかみ合って初めて全体像が見えてくるって? そうだよ、わかってるよ、その通りだよ! だから? それなりに時間はかかる? そりゃそーでしょーよ。だから? ひとつずつ作っていくから待ってろって? あー、わかった、待つよ。でき上がった順から全部チェックするからな!でき次第どんどん持ってこい!」
こうやって毎月のように次から次へと仕上がってくるバラバラの要素=システムをその都度チェックしながらもその都度ダメ出しをしてひとつひとつを作り直しながら開発が進行していくことになったのでした。
その間に行われた各要素の作り直しがじつに3回。
おもしろくないものはおもしろくないし、ショボいものはショボいので仕方がありません。
「これ以上作り直すとどんどん開発期間が延びてしまいますが」
途中でスタッフからそんな提言を受けたこともありましたね。
しかし、魔神(ぴろし)はスタッフにハッキリと告げるのでした。
「うるさい黙れ。絶対にいいと言うまでやれ、こんな状態で世の中に出せるか、ゲーム開発はやり過ぎてナンボじゃい!闘って死ね!」
こうして開発期間はいつまでもズルズルと伸びてしまい、気が付いたら2020年の夏になっていました。
【気が付いたら2億円以上すでに使っていた】
この時点でもう当初の予算ははるかに超過していました。1年半の開発期間がもう2年を超えています。1億5000万円という計画予算もすでに2億円以上使ってしまっていました。
それでも魔神(ぴろし)はやめませんでした。
「あのさ、戦車の屋上のスペースにさ、こういうオマルを置きたいんだけど? いやだって必要じゃん、彼らはトイレをどうしているの? いるでしょ? 発生頻度は極めて低くていいからさ、いや、むしろ発生頻度は極めて低くしようよ、その代わりに全キャラクターの顔パターンを新たに追加しようよ」
いったい何が“その代わり”なんでしょう。
どんどん仕様が追加されていきます。こうやって物量は増えていくのです。
それでも魔神(ぴろし)は止まりませんでした。
その日の夜に開発チームのディレクター(フランス人)がそっとTwitterでこう呟いていました。
“My Boss is crazy”
【編集部コメント】
いやいやいや、クレイジーと言いたくなる気持ちはすごくわかります。
そんな差し迫っていて、切羽詰まったときに、「トイレのためにおまるを追加しろ」だなんてあり得ないですよ。
オマルなんかじゃなくて、ちゃんとした便器を用意すべきですよ! ってね。 HAHAHA!
ウィットに富んだジョークはここまでにしまして、来週6月7日(火)は『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の第11.5回を掲載予定です!