戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ

“戦争×復讐×ケモノ”をテーマにしたドラマティックシミュレーションRPG『戦場のフーガ』の公式コミカライズ。少年少女たちは、戦争で捕らわれた家族を取りもどすため、謎の巨大戦車“タラニス”に乗り込み復讐の旅を始める……。火曜日マンガ配信予定。マンガ掲載の翌火曜日には、『戦場のフーガ』開発者からの連絡ノート『インターミッション』を配信。

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【『戦場のフーガ』開発記録】『インターミッション』第9回

2022-04-26 11:00:00

戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ


【やったことがないことはできない】

 これまでのサイバーコネクトツーの開発においてリソース(素材)の一部を外部の協力会社に発注して手伝ってもらうなんてことは別に珍しくはありませんでした。

 なんならこの15年くらいはほぼすべてのプロジェクトでなんらかのリソースを外部のパートナー企業に手伝ってもらっています。

 それこそ発注する企業は北は札幌、南は沖縄まで日本全国に点在しています。というか、なんなら中国にだって発注しています。

 それは『NARUTO-ナルト-』『ジョジョの奇妙な冒険』『ドラゴンボールZ』『鬼滅の刃』のゲームだって同様です。これらの大型受注案件に関してはピーク時はサイバーコネクトツーの社内スタッフだけでも100人いて、また同時に外部発注も同じくらい(100人分)出していたりします。

 それくらい現在のゲームソフト開発は膨大でたいへんなのです。

 しかし、『戦場のフーガ』はそういった規模を前提としたプロジェクトでは決してありません。なにしろ総予算が1億5000万円くらいの規模ですからね(前述の大型受託案件はフタ桁億円以上はかかるのです)。グラフィックリソースは全部社内で作れるレベルの物量ですので外部発注しませんでした(全部内製です)。その代わりと言ってはなんですが、社内にまったくいないプログラマーのパート(システム)をまるごと外部の協力会社に発注しました。

 やることは別にこれまでと大差はありません。仕様書を用意して発注資料を渡して作ってもらってそれをチェックする、といういつもの流れです。

 うん、大丈夫!

 と思っていたのが大間違いでした。

 ええ、ハッキリと言いますがサイバーコネクトツーの20年以上の歴史の中でグラフィックの一部を外部に発注することはあってもゲームシステムのすべてを組み上げるためのプログラム全般を発注することは初めてだったのでした。

 そして初めてのことはだいたい上手くいきません。まるで赤ん坊が初めて立った日のようなことが起きるのです。赤ん坊が初めて自分の足で立った日に何が起きるかわかりますか?

 そうです、その直後に盛大に(初めて)転んで大泣きをするのです。

 このときのサイバーコネクトツーはまさにそれを体験したのでした。会社設立から20年以上経っていても初めてのことはわかりません。

 わからないものはわからない。

 やったことがないことはできないのです。

【うまく回して指示して順調にいっていると思い込んでました】

 ゲームソフトというものの開発は数日や数週間で完成するようなものではありません。ひとつのシステムを作り上げるのにも数か月かかったりします。だから、最初は見えないんですよ。上手くいってないなんてことは、気づかないんです。

 「その後どう?」なんてチームメンバーに聞いても「制作中です」としか返ってきませんからね。

 「じゃあ、ある程度カタチになってきたら確認するので見せて」

 そう伝えて3か月経っても4ヵ月経っても報告は上がってきませんでした。

 「さすがに時間がかかりすぎじゃない?」

 そう突っ込んでから最新ビルドをチェックしてみたら「なんじゃこりゃ?」という内容でした。

 まるで指示した内容とは程遠いよくわからないモノがそこにあったのでした(書いていて背筋が凍る)。

戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ


【編集部コメント】

 上長の確認を怠っているうちに、いつの間にかとんでもない方向に行っている。プロジェクトが長くなればなるほどありがちです。自分も仕事で思い当たる節があったので、いっしょにブルブルしました。 

 あれ? これって読んでいると胃がキリキリしてくるゲーム業界リアル系お仕事コラムになっていませんか?

 来週5月3日(火)は『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の第10回を掲載予定です!