“戦争×復讐×ケモノ”をテーマにしたドラマティックシミュレーションRPG『戦場のフーガ』の公式コミカライズ。少年少女たちは、戦争で捕らわれた家族を取りもどすため、謎の巨大戦車“タラニス”に乗り込み復讐の旅を始める……。火曜日マンガ配信予定。マンガ掲載の翌火曜日には、『戦場のフーガ』開発者からの連絡ノート『インターミッション』を配信。
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足立たかふみ 氏
6月21日生まれ、B型。児童漫画、少年漫画、SF・ファンタジー漫画を得意とする。コミックガオ!にてデビュー。
平成13年「分解屋ピット!」で小学館第48回新人コミック大賞少年部門佳作を受賞。
代表作:『D・Mファイター焔』『メタルファイト ベイブレード』『バレエヒーロー・ファンタジー ダンの冒険』
『アニマギア』など。
Twitterアカウント:@takafumi_adachi

『インターミッション』執筆
松山洋
株式会社サイバーコネクトツー代表取締役/ゲームクリエイター/代表作『戦場のフーガ』、『.hack』シリーズ、『NARUTO−ナルト−
ナルティメット』シリーズ、『ドラゴンボールZ KAKAROT』、『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』/漫画原作『チェイサーゲーム』
Twitterアカウント:@PIROSHI_CC2
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【『戦場のフーガ』開発記録】『インターミッション』第4回
2022-01-25 11:00:00
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【『戦場のフーガ』の企画はこうして生まれました】
だいたい私が企画をする時というのは会議室に数人のゲームデザイナーと籠って椅子にも座らずにただ立ってウロウロしながら語り掛けるように呟くところから始めます。
「だいたいさ、小規模・短期間開発って言っているんだから。『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズをベースに開発をスタートすればある程度の開発予算を圧縮できるんじゃないか? って考えている時点で間違っているんだよ。一体いつもどれだけバンダイナムコエンターテインメントに莫大な予算を付けてもらってるかわかっている? いくらそれをベースにしたところであの規模を前提に作ったらそりゃ何十億円もかかるに決まってるでしょ。そこから考え直そうよ」
「まずは“何でも”はやらないこと。そう、やらないことを決める。そして立てるところを決める。そうだね、例えば完全に横スクロールのゲーム画面とかね。全方位で自由移動のゲームシステムになんかしちゃダメ。リソース含めて予算が爆増するに決まっているんだから。そして、バトルシステムはコマンドバトル。そう、昔の『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』みたいなノリでね。誰もが遊べるようにするの。え? システムが古臭い? いいんだって、誰もが想像がつく遊び方の方がいいの」
「その代わりに一つだけ立てようよ、システムを。例えば、巨大な戦車に乗って闘うRPG。そんでその戦車に乗るのは子どもたちだけ。全部で12人いてさ、みんなで巨大な戦車の中で生活しながら旅をして敵と闘って勝って前に進むRPG。戦車の中には食堂とかベッドとか畑とかもあって完全に自給自足で生活するの。巨大だからね、戦車は。けどやっぱりなんだかんだ子どもたちが旅をしているわけだから戦闘になるといつも大ピンチでなかなか辛めの難易度設定にしよう。で、ね、戦車の中に1か所だけ謎の部屋があってピンチのたびにその部屋に入るように促されるのよ、謎の存在に。あ、謎の存在とかはまだ未定ね、あとで決めよう。で、実際に子どもをひとりその部屋に入れると禁断の兵器ソウルキャノンが発動できる。ソウルキャノンを撃てば敵はどれだけいても一瞬で蒸発するくらい強力なんだよ、もう使うだけで勝ち決定。だって禁断の兵器だからね。けどやっぱり強大な力には代償がつきもので。ソウルキャノンにぶち込んだら必ず子どもはひとりいなくなる。そう、完全にロストしてしまうの。だから使えば必ず勝てる兵器を搭載しているんだけどなるだけ使わずに頑張って勝利して闘って前に進むというジレンマを抱えたRPG。こんなのどう?」
あ、できましたね、企画。(ざっとここまでで1時間くらいの会議でした)
【リトルテイルブロンクスシリーズの最新作として】
ミーティングに参加していたスタッフの全員から「理解しました、企画の骨子はこれでいきましょう!」と同意が取れたので、そこからはより具体的に話し合って詰めていきました。
その過程で「あのさ、せっかくサイバーコネクトツー初の自社パブリッシングタイトルを企画するんならさ、ただのゲームソフトというか普通の世界観じゃなくてリトルテイルブロンクスのシリーズ最新作にしようよ」という提案をしました。
リトルテイルブロンクスとはサイバーコネクトツーが(今から25年ほど前に)設立後初めて手掛けたゲームソフト『テイルコンチェルト』や、その10年後に開発した『Solatorobo それからCODAへ』と世界観を共有するケモノ世界のことです。
「初めてのことに挑戦するのならやっぱりリトルテイルブロンクスの世界で始めようよ」
「この10年くらいで特にアメリカなんかではケモナーも凄く増えてきてるしそろそろ攻めてもいいんじゃない?『Solatorobo それからCODAへ』発売からもうすぐ10年くらいになるし。ほら、設定資料集なんかもしっかりまとめてあるから。みんなまずはこれを読み込んでくれる?(資料集を渡す)」
こうやって『戦場のフーガ』はサイバーコネクトツーが手掛ける初の自社パブリッシングタイトルでありながら、リトルテイルブロンクスシリーズの最新作として開発をスタートすることになったのでした。
【開発期間は1年半、開発予算は1億5千万円】
それから10ページ程度の企画書を作って、それとは別にキャラクターデザインのイメージや世界観設定の資料を作ってから“BP”を作成しました。
“BP”とは“ビジネスプラン”の略称で、そのエクセルには全体の開発スケジュールや必要な職種やそれにかかる人数(工数)をざっくりと洗い出してあって必要な情報がまとめて書かれています。
要するに、“どれくらいの時間とお金をいくら投資して回収するプロジェクトなのか?”ということが書かれているわけです。このとき(2018年)の“BP”には開発期間は1年半、開発予算は1億5千万円と書かれていました。
が、実際にかかった(かかってしまった)開発期間はおよそ3年、使用した開発予算は3億2,500万円でした。
さて、次回からは「いったい何があってどうなってしまったのか?なんでそんなにも予定通り&計画通りに進行しなかったのか?」その経緯も含めて赤裸々に説明していきますね。
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【編集部コメント】
当初の企画内容自体は、発売されている『戦場のフーガ』とそこまで大きく変わらないものです。
にもかかわらず、ほぼ当初の予定していた倍の開発期間と開発費用がかかってしまっています。何が原因だったのでしょうか……。
開発記録『インターミッション』の次回の更新をお待ちください。
来週2月1日(火)は、マンガ『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』の第5回を掲載予定です!