現代のゲーム業界を舞台にくり広げられるお仕事マンガ。第13話まで無料公開中です。また、原作者であるサイバーコネクトツー松山洋(まつやまひろし)社長のエッセイ「デバッグルーム」も必読。マンガが収録されている単行本は、最終巻第7巻まで発売中。気になる方はぜひチェックしてみてください。
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【漫画の裏側を語る!】『チェイサーゲーム』原作コラム 『デバッグルーム』シーズン2 第35回
2024-09-09 10:50:00
【どれも一流の仕事だ】
アニメの設定資料って見たことありますか?
まぁ現在は公式で販売されている設定資料集などもありますので昔に比べると手に入りやすくもなっているとは思いますので、たぶん目にされたことぐらいはあるんじゃないでしょうか。
当然ですがアニメーション制作というのは集団作業です。
わずか30分(実質24分)足らずのアニメを制作するだけで200人から300人以上のスタッフが携わっているケースもあります(当然ながら作品によってはそれ以上の人数も)。
そして、それらのスタッフの多くがアニメ設定というものを軸にそれぞれの作業を行っていくことになります。
登場人物の身長表や三面図や表情パターンや色指定などがすべての作画の基準となるわけなので、この設定を作るという工程自体が非常に繊細なものでまたすごく時間を要する部分でもあるのです。
なので、やっぱりすごいアニメーション作品の設定資料は“見ればわかる”というほど、すごい設定資料になっていることが多いです。
【脚本が第三稿までできてる】
これはわりとよくある話なんですよね。
「いったいいつになったら脚本があがるんですか?」「もう少しお待ちください」というやりとりをしていたはずなのに、届いた脚本を見たら“第三稿”って書いてあって、
「いやいやいや、どーゆーこと!?」
と驚いた、なんて話は、まぁ、そうですね、私自身も経験したことがある話なんですよね。
この先の話というか、種明かし的なからくりは作中で順番に語っていきますし、蓮実自身が学んでいくことになると思いますのでいっしょに楽しんでいただければと思います。
ちなみに、最初に書いた脚本は初稿、その次が第二稿、第三稿と修正されるたびに続いていくのですが、だいたいどんな脚本でも第四稿くらいが完成の目安となることが多いです。
逆に言うと脚本家さんにそれ以上の回数のダメ出しをするようだと、そもそも発注指示が悪いかミスマッチかのどちらかなので異変を感じ取らないといけないと思いますね、あくまで私の所感ですが。
【合宿までにゲーム企画書とコンセプトアート10枚】
2週間という限られた時間で、ゲーム企画書(10ページ前後)とコンセプトアートを10枚用意する、というのはハッキリ言ってかなり厳しいです。
どうがんばっても1か月の仕事です。
今回の蓮実は深夜遅くまでひとりで会社に残って作業をやってましたが、それもアウトです(上長の許可を取らずに無断で勝手に残業しちゃダメですよ)。
まぁ、そうでもしないと完成するわけがない、ということを表現するために深夜まで蓮実には頑張ってもらいましたが。
ゲームの企画書というものはひとりでは作れません。かならずプログラマーやアート、そしてほかのゲームデザイナーと基本設計的に握り合っておかないと個人的な妄想書類ができあがって後から「え、こんなことできませんよ、なんですか、これ」なんてことを言われたりしかねません。
コンセプトアートの制作も2Dアーティストにイメージを伝えてラフに対するフィードバックを行い、それを数日単位で何度も繰り返してようやく完成となりますので。
やはりどうしても時間がかかることは否めませんし、そこの工程をサボると後で本当に揉めますし面倒なことになるので絶対にオススメはしませんよ(蓮実はちゃんとそれぞれのセクションに確認を取ってましたね)?
今回のエピソードで蓮実が(深夜残業までやって)たった2週間で全ての作業を終えて完成させたことは、あくまでマンガ的演出でありファンタジーであるというお話でした。
【編集部コメント】
会社で夜遅くまでのこって企画書を作る。似たような状況に身に覚えがあり、読んでいてて「ぐぬぬ」となってしまいました。
そんな、いろいろな想いがこもった企画書をもって東京のアニメスタジオに向かう蓮実。がんばれ!
次回のマンガ『チェイサーゲーム』シーズン2 第36話は、2024年9月23日(月)に掲載予定です! 9月16日は企画記事を掲載予定です。