シーズン2 第21話　“ 幸福の反作用（8）”

【三年でまだ原画をやっていない】

　作中で「遅いよぉ、もう3年でしょ？」なんて言われていますが、実際のところどうなんでしょうか。

　私が取材した感じだと、かつてのアニメスタジオでは新人は動画から入って数をこなして経験を積んでどこかのタイミングで月産枚数が300枚から400枚を超えた時点で、原画試験という昇格試験を受けてから正式に原画へと上がるシステムがあったようです。

　誤解がないように言っておくと、この原画試験という制度は現在も多くのアニメスタジオで実施されています。

　が、それがすべてではない、という実態があるようです。

　前話（第19話＆第20話）の中でヤマノが語っていたように、動画の月産枚数や原画試験を目安にしてしまうと「だれも合格しない」という実態があることから、入社して数年経つと自動的に原画を任せる、という流れも一部のアニメスタジオにはあるようです。

　私が取材した会社の中には「1年間、動画をやったら自動的に原画の仕事を割り振る（そうしないとみんな食えない＝辞めていくから仕方がない）」というケースもありました。

　しかし当然ながら1年間動画を経験しただけで原画マンとしての能力が備わっていない人が原画を担当するとどうなるかは明白ですよね。

　実力が足りていない人間が担当した原画は、別の原画マンの手によって修正が入ることになります（作画監督によるリテイクが入る）。

　けっきょくは能力のあるベテランが新人のミスをカバーするという恐ろしい実態もあるようで。

　なかなか悩ましいものですね。

【26歳でキャラクターデザインに大抜擢】

　『チェイサーゲーム』に登場するキャラクターはみんな架空の人物ですが、ゲーム業界やアニメ業界に実在するいくつかの事例をもとに作られていることが多いです。

　すこし調べれば出てきてしまいますが、若干26歳でキャラクターデザインに大抜擢されたアニメーターさんは実在します。

　なんなら、ひとりではありませんし、もっと若い段階で抜擢された人もいらっしゃいますし、世界的な活躍をされてきたアニメーターも実在します。このへんはやはりクリエィティブ業界の残酷で恐ろしい側面ですよね。

　能力があれば抜擢されるし世界的な活躍をすることだって可能なんです。

　今回の『アニメ業界編』に登場した石井輝義という人物はそういったアニメ業界に現存する化物アニメーターの何人かを集約させた特異なキャラクターである、ということは一応説明しておきますね（特定の人物だけをモデルにしているわけではないですよ、ということです）。

【石井輝義はドラマ『チェイサーゲームW』にも登場します】

　毎週月曜日深夜2時35分から放送中のドラマ『チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ』をご覧になられている皆様にはすでに馴染みかもしれませんが、この石井輝義というアニメーターはマンガにもドラマにも登場しています。

　すこしだけ（マンガとドラマでは）時間軸が異なるので、印象的なメガネなどの差異があるように見えますが、このへんはこれからまたマンガの中で描かれていくことになります。

　共通しているのはマンガでもドラマでもこの石井輝義というキャラクターは“非常に困った人”ということになります。

　今夜！　2024年1月22日深夜2時35分からは『チェイサーゲームW』の第3話が放送されます。

　マンガもドラマもあわせて両方観ながら楽しんでいただければと思います。

　そして！　すこしだけ早くドラマ第3話を観た松島幸太朗による予告カットがこちらになります。

【編集部コメント】
　「ヒミツ」に要注意ということですが、どんな「ヒミツ」がぶっ放されるのか……。とても気になります。

　そして要注意人物といえば、石井輝義。マンガだけでなく、ドラマでも活躍（？）していますが、マンガとドラマでどのように描かれていくのか。

　次回のシーズン2 第22話は、2024年1月29日（月）に掲載予定です！

　現在放送中のドラマ『チェイサーゲームW』がTverにて見逃し配信中です。ぜひ、ご覧ください。