現代のゲーム業界を舞台にくり広げられるお仕事マンガ。第13話まで無料公開中です。また、原作者であるサイバーコネクトツー松山洋(まつやまひろし)社長のエッセイ「デバッグルーム」も必読。マンガが収録されている単行本は、最終巻第7巻まで発売中。気になる方はぜひチェックしてみてください。
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【漫画の裏側を語る!】『チェイサーゲーム』原作コラム 『デバッグルーム』シーズン2 第20回
2023-12-18 11:00:00
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【原画試験の実態について】
これは取材を進めていく中で私自身も驚いたことなのですが、現在のアニメ制作会社ではどうやら原画試験というステップそのものが機能しなくなってきているという話を聞きました。
あくまで私が取材を行った一部のアニメ制作会社の話かもしれない、という前提で聞いてほしいのですが。
作中でもヤマノ監督が語っているように「月に300枚の動画をあげる」ということがなかなか難しい。なので入社して1年くらい経過するともう自動的に動画から原画にあげている、という話でした。
「そうしないとみんな辞める・食べていけない」という実態から、原画試験というステップそのものが機能しなくなってきているということでした。
そうなるとどうなるかわかりますか?
原画を担当する実力もない人間が原画を担当するようになると、結果的に作画監督の修正指示が大量に入ってそれをベテランの人たちがみんなで修正していく(ほぼ描き直し)、というなかなか恐ろしい負の連鎖が起きてしまうということなんです。
このへんは固定給の弊害ともいえるのかもしれませんね。
昔のアニメ業界は完全に歩合制で描いた分でしかお金をもらえない、だからみんな努力して上手くなって枚数をあげるようになる、それから原画試験を受けて原画に上がることで収入が増えて立場も上がっていく、というステップになっていたはずなんですけどね。
そもそも厳しすぎる業界のままだと若手が育たなくなって、いつまでもベテランの老人たちが誰かの穴吹きを強いられることになって、やがてその業界は崩壊してしまいます。これはべつにアニメ業界に限った話ではありませんが。
『チェイサーゲーム』ではこれらの業界が抱える問題についてもう少し踏み込んでいきますよ。
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【アニメ制作の現場はデジタル化が進んでいます】
本作ではわりとアナログ作画を行っているような制作現場として表現しましたが、実際の現場ではほぼアナログではなくてみんなデジタル環境で作画をしていることが多いようです。
基本的にはパソコンと“CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)”などの作画ソフトと液晶ペンタブレットがセットになっている感じです。
完全にアナログで作画をしている人はそれこそ高齢のベテランアニメーターばかりという印象でした。
本作の中ではあくまでアニメ会社らしく、ということを優先してみんなアナログで描いているようなシーンにしましたが実態はそうじゃあないですよ、ということを補足しておきますね。
ほぼゲーム会社と変わらない印象なんですよ(パソコンがいっぱいある感じ)。
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【最低時給は関係が無い】
作中でヤマノ監督が説明した通り、ほとんどのアニメーターはフリーランスであり個人事業主であることが多いです。従業員ではないんですね。だから、最低時給うんぬんの話は関係がないんです。薄給であることは変わりませんが、ここにもやはり大きな問題を抱えているということは間違いありません。
みんなが「やりたくてやっているんで」と口にしてしまうと、それこそ“やりがい搾取”ということになってしまいます。かといってハードルを下げると(上で実態を述べたように)いつまでも若手が育たないということになってしまいます。
答えはいったいどこにあるのでしょうか。
今後の展開にご期待ください。
【編集部コメント】
今回はみなさんにお知らせがあります。マンガ『チェイサゲーム』の2023年の連載は第20話が最期となります。次回のシーズン2 第21話は、2024年1月15日(月)に掲載予定です!
また、シーズン2は第1話~第4話以外のエピソードを2024年1月30日(火)まで公開を予定しています。
2024年1月8日(月)深夜2時35分より実写ドラマ『チェイサーゲームW』の放送が開始します。各話放送終了後からU-NEXTや、Amazon Prime Video、Tverなどで順次見放題配信も開始します。放映時間が遅くて観られないという方はネット配信でぜひチェックしてみてください!
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さらに、2022年に放送された実写ドラマ第1弾『チェイサーゲーム』が12月26日(火)よりTverにて配信開始します。こちらもご覧ください。