シーズン2 第19話　“ 幸福の反作用（6）”

【東京都の最低賃金の話】

　前回に引き続きテトラによって東京都の最低賃金の話から始まっています。

　最低賃金というのは各地方によって定められた最低時給のことです（使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定めた制度）。

　正確には地域別最低賃金といって、たとえば東京都と福岡県ではその金額が異なります。現在（2023年12月）だと東京都は1113円で、福岡県は941円となっています。

　テトラが指摘しているように、最低賃金を下回っているのにもかかわらずアニメ業界では人を働かせているようですね。

　いったいどういうことなのでしょうか。その答えは次回、第20話で説明されますよ（お楽しみに）。

【アニメーターの平均労働時間】
　
　作中でも言われているように、どうやらアニメーターの平均労働時間の実態は一日12時間前後のようです（私が取材した範囲だともっと短時間のケースもありましたし、もっと長時間働かれている方もいらっしゃいました）。

　べつにアニメーターに限らず、ほかの業種でも12時間労働を行っているようなお仕事は実在しますが、アニメ業界はそもそものカラクリが一般企業のそれとは大きく異なるようですよ。

　このへんの疑問も第20話の中で答え合わせができるようになっています。

【イベント期間中のアニメ会社（ゲーム会社含む）の異常な忙しさ】

　テトラや蓮実たちが飲み会をやっている最中でも、アサヒプロダクションの西野くん＆馬場さんはまだイベント会場で仕事をしていましたね。これはアニメ業界に限らず、ゲーム業界も同様ですが。イベント期間中のメーカーの担当プロデューサーは本当に忙しいんですよ。

　1日中イベント会場で仕事をしたあとに、翌日のイベント準備のための仕事があって深夜遅くまで働いている姿をよく目撃します。翌日のイベント展示や配布物の確認、ステージイベントのリハーサルなど確認しなければならないことが異常に多いのです。

　まぁ私はクリエイター側ですので、翌日のステージイベントのリハーサルを夜に実施されることはあっても自分の出番の確認が終わったらさっさと業界仲間たちと飲みに行っています。

　そんで、そこそこ酔っ払った状態でホテルの部屋に戻っている最中に（だいたい24時過ぎ）、会場でのリハーサルや準備などを終えたスタッフの方々がボロボロの状態でフラフラしながらホテルに戻っているのを見かけます（わりと毎年恒例の出来事ですね）。
　
　そのたびに「遅くまでお仕事お疲れ様です。我々がお酒を飲めるのも皆さんがこうやって遅くまで仕事をしてくれて準備をしてくれているおかげです。いつも感謝しています」と思いつつ心の中で敬礼をしています。

【なのに飲み会のお会計はプロデューサーが支払う】

　（一応ここにも触れておきますが）作中での会食後、西野くんたちにみんなが「ごちそうさまでした」と言っています。

　これはあの会食のお会計を遅れてやってきた西野くんたちが支払っていることを指しています。

　実際の話、プロデューサーがイベント会場から一瞬だけやってきて挨拶が終わったら、お会計だけしてまた会場に戻るなんてことはよくあります。

　ぜんぜん食べてもなければ飲んでもいないのに、、お金だけ払ってくれたりするんです。

　ご本人たちに話を聞くと「本当は我々もいっしょに飲みたいんですけど仕事が終わらないので参加できなくてすみません。少し挨拶だけやって戻りますのでせめてお会計だけでもと思って支払っています」とのことでした。

　プロデューサーさんってすごいですね（いつも感謝しています）。

【編集部コメント】
　いろいろと飲み会にてアニメ制作会社の実情が語られましたが、ついに次回は蓮実たちがスタジオに潜入のようですね。

　明るく迎えるヤマノですが、果たして実際の様子とはどうなっているのでしょうか。

　次話『チェイサーゲーム』シーズン2 第20話は、12月11日（月）に掲載予定です。お楽しみに。

　また、2022年9月より放映されたドラマ『チェイサーゲーム』は、Amazon Prime Video、U-NEXT、Paravi、DMM TV、Huluで配信中。気になる方はぜひチェックしてみてください。