チェイサーゲーム

現代のゲーム業界を舞台にくり広げられるお仕事マンガ。月曜日配信予定。漫画掲載の翌月曜日には、原作者であるサイバーコネクトツー松山洋(まつやまひろし)社長のエッセイ「デバッグルーム」を配信。単行本第5巻が好評発売中!

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【マンガの裏側を語る!】『チェイサーゲーム』原作コラム デバッグルーム第51回

2021-07-26 11:00:00

『チェイサーゲーム』原作コラム デバッグルーム第51回

 第50話 ヴェインドリーム(7)

『チェイサーゲーム』原作コラム デバッグルーム第51回


【アキラ先輩はゴン爺の甥】

うすうす気づいていた方もいらっしゃるとは思いますが、アキラ先輩はゴン爺の甥っ子でした。まぁあれだけ顔が似てれば、親戚かと思いますよね。

前話に登場した、タツヤに宛てたゴン爺の手紙にも「元スープカレー屋だった『ハーヴェスト』というお店にガラの悪いニーチャンがいるけど、旨いから行ってこい」なんて言葉もあって、なんだかんだ言ってもゴン爺がアキラ先輩のことを気にかけていたことがうかがい知れるようにもなっています。

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【新卒で企画職は不利】

入川が発言している通りなのですが、やはり新卒で入社していきなりい企画職(ゲームデザイナー)を目指すというのはなかなかハードルが高いです。が、決して不可能というわけではありません。

とくに現代では、さまざまなゲームエンジンが普及したこともあり、昔よりも比較的容易にゲームソフトを作れるようになっています。プログラムがわからなくてもUnityやアンリアルエンジンを使用することで3Dゲームを作ることだってできます。

この“ゲームソフトを作る”という経験こそが企画職にもっとも求められる能力なのです(タツヤたちたちが学生時代のころにはそういったエンジンがそんなに普及していなかったので、チーム内で役割分担して開発するしかなかった)。

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【自己効力のミスマッチ】

かつて松山がタツヤ自身に対してそう表現していた言葉ですがようやく繋がりました。

『自己効力のミスマッチ』とは、“本来その人がもっとも力が発揮できるのは能力Aのはずなのに、なぜかぜんぜん違う能力Bで結果を出そうとしているミスマッチ現象のこと”です。『HUNTER×HUNTER』における水見式で例えるとわかりやすいかもしれませんね(本来は強化系なのに具現化系や操作系の能力を伸ばそうとするとうまくいかない)。

少なくとも学生時代のタツヤは、その“雰囲気=リーダーシップ”から、なんとなくリーダーとして企画職を担当していましたが、「本当にその職種でいいのか?」という確認が足りていなかったようです。

しかし、これは進路を決定するうえで非常に重要なことなのです。自分の将来を左右するもっとも大きな決断であるはずなのに(作中のタツヤのように)、なんとなく決めてしまっている人が本当に多いので注意してください。



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【キミひととおりやったか?】

では「自分自身に何がいちばん合っているのか?」ということを確認するためにはどうすればいいのでしょうか。答えは、作中でも語られている通り“全部やって確認する”ということ。実際問題、これができていない学生さんが非常に多い印象です。

乱暴な言いかたになってしまいますが、専門学校を選んでゲームコースを選択するときに「絵もうまくないしプログラムもよくわからないけど、なんか企画を考えるのがいちばん楽そうだな、よし企画コースにしよう」なんて思考で選んでしまっている時点でアウトです。

本来はやっぱりプログラムもグラフィックもひと通り経験し、自分自身でいちばん手ごたえを感じられてもっとも好きなことを進路として決定するべきなのです。

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【一日に最低10個のインゲームモーションを作れ】

インゲームモーションとは、ゲームソフトの中で直接操作できるキャラクターなどに使用されるモーションのことです。

モノにもよりますが、1体のプレイアブルキャラクターには“ニュートラル・歩き・走り・ジャンプ・ステップ・ダッシュ・バックステップ・クイックダッシュ・小中大パンチ・小中大キック・しゃがみ・ぶっ飛び・ダウン・受け身”などの基本動作があります。そしてさらに、そのキャラクラ―の特性に応じた必殺技などもありります。そのひとつひとつのモーションこそがインゲームモーションなのです。

ふつうのアクションゲームを作るとなると、1体のプレイアブルキャラクターにつき、だいたい70個前後のインゲームモーションが必要となります(もちろん作る内容によって異なります)。

“一日に10個作る”というのは非常にハードルが高い課題です。まぁ修業ですし、「1日16時間もモーションを作れ」なんて言っていますからね。追い詰めることで無理やりにでも覚醒させるという入川流のやりかただったのでしょう。

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【努力に勝る天才なし】

ハッキリとタツヤは「キミには才能が無い・ただの凡人」と言われています。が、安心してください。ゲーム業界にいる人間のうち99%は凡人です。

ただの凡人の集まりなんですよ、じつは。ほとんどの人が“好き”という一点だけの想いでゲーム業界を目指して能力を身に着けて入り口に立って、業界に入ったあとも日々みんな努力を続けている人たちばかりです。

よく「この世界に才能なんて言葉は存在しない」なんてことをおっしゃる方がいますが、もし本当に才能なんてものがあるのだとしたら、それは“好きなことのために努力し続けることができる”チカラのことかもしれませんね(例外的に、恐ろしいまでの才能を持った人も1000人にひとりくらいの割合で見かけることもあります。ただね、そういう人ほど他者の何倍も努力していたりするんですよ)。

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【第52話の予告カットを公開!】

“イヌヒト”と“ネコヒト”という2種類の種族が暮らす、大小さまざまな浮島からなる世界――浮遊大陸。

ある日突然、北東の国「ベルマン帝国」から村が襲撃され、一夜にして戦火に焼け落ちる。
大人たちはマルトや子どもたちを逃がし、敵軍に連れ去られてしまった。
山の洞窟へ逃げたマルトたちは、そこで謎の巨大戦車“タラニス”を見つける。

村のみんなを救うため、マルトたちは“タラニス”に乗り込み進撃を開始する――!

予告カットには龍也と勇希がゲームを制作しているひとコマが描かれていますが、もしかしたら彼らが制作しているかもしれないゲーム。

サイバーコネクトツーの初パブリッシングならびに設立25周年記念タイトルとなる“戦争×復讐×ケモノ”をテーマにしたドラマティックシミュレーションRPG『戦場のフーガ』が、7月29日(木)に発売予定!

ゲームの詳しい情報はこちらをご覧ください!!


そして次回、第四部の最後の話となる、『チェイサーゲーム』第52話『断章 空の軌跡』は8月2日(月)配信予定です!